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一、蕾
一、蕾 ⑫
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彼は僕の肩を掴むと、仰向けに引き戻された。
妖艶に笑って僕を見下ろす竜仁さんが、今は少し怖い。そして悔しい。
本来なら、花を食べている僕が貴方を見下ろすはずだったのに。
「祖母は貴方の祖父に、ここで監禁されていたんです!」
竜仁さんが僕のズボンに手を伸ばしたので、真実を叫んだ。
「貴方の祖父と僕の祖母は運命の番でした。貴方の祖父は、」
「君は頭がいい子だね。私が今から何をしようか分かって、躊躇させようとしている」
彼は僕の話を聞こうともせず、ズボンを脱がせると床へ放り投げた。
肩を押さえつけられ、暴れても全く身動きは取れない。
「君が食べている艶酔は酷い副作用があるんだよ。副作用と強い依存性。君は一目会った時から分かった。艶酔に栄養分を全て持っていかれ、ガリガリで副作用で酷い栄養失調。きっと空腹にならないんだろうね」
下着に手をかけられ、頭が真っ白になる。今までアルファは花を食べていたおかげで意識を手放してきた。なぜ、この人には効かないのか。初めて触られる。初めて暴かれていく。ただただそれを受け入れるしかない今の状況は、その昔のオメガが社会的にも人間としても下に扱われていた時代のようだ。
「竜仁、さん。やめ、て。僕、経験ないんです」
もしただの発情したアルファではなく、知能のあるアルファだというのであれば、情に訴えかけるしかもう逃れようがない。
「あれ? これは君が言い出したんでしょう。一回抱く度に、形見を一つ返す。君から求めてきたことでしょう」
それは貴方を騙すためだった、なんて言えない。いや、彼は知っている。知っていて茶番みたいな台詞を言っているんだ。
背中をなぞられ、服を乱暴に脱がされた。
下着を太腿まで下ろされると、さらに身動きが取れなくなる。
嫌だ。
悔しくて、今度は自分から枕に顔を押し付けた。
この顔をこの人に見られたくない。
強がる僕を見下ろし、余裕のある彼は小さく零れるように笑う。
「熱を下げるのに座薬がいいのは、粘膜から吸収されて全身に浸透するからだよ。君を花から救うには、ここに沢山注いで全身に僕の精を浸透させてあげるのが一番手っ取り早いんだ」
指が一本、中を広げるように入っていく。僕の体は、抵抗なんてしない。初めて挿入された異物を歓迎するかのように熱を放った。
僕の中が、指に吸い付くように締め付けていく。
奥に侵入しようと動く律動に、背中に汗が浮かんできた。
「はは。確かに。眩暈がする甘い香りだ。しばらくは君の体液は舐めない方がいいか」
キスできないのが残念だよ、とうなじを甘噛みされる。
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