穴の影

藤屋へび

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2. お天道様は居るのかしら

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  次の日の朝も目覚まし時計なしに起きることができた。丁度玄関のドアが開く音がした。万恵は完全にその気配が無くなるまで天井を独り眺めていた。まだ眠りが解けていない。うっかりすると目を瞑ってしまう。万恵は側の絹のカーテンをそっと小指で撫で光りを遊んだ。カーテンから透けて見える蜂蜜色の光は優しく万恵のおでこで踊る。小さなおにぎり二個ほどがぴったりと収まる様なおでこには愛嬌があった。しばらくしてカーテンから手を離すと、また天上を眺めた。乳白色の天井には何もなかった。ただその白さが角まで続いている。目でなぞって角までいくと、きちんと直角に二面に広がる。その二面の片方は万恵の隣を通りまた別の角へと向かう。文字通り、目で部屋を舐めった。傷も虫も見当たらなかった。無機物の冷たい視線が万恵を四方八方から見つめている。万恵が受け入れられるのにはもう少し時間がかかりそうだ。そうすると、万恵はかっと目を見開きぎゅっと閉じてふっと開いた。今日が始まったのだ。悠々としていては朝を逃してしまう。

 一昨日、万恵と彼女のお父さんはかつての家を離れた。市や県をまたぐ引越しではない。町を移動しただけ。万恵の通う学校も変わらない。新しい住みかは新築の家ではないが以前暮らしていた家よりもふた回りほど大きい家だ。廊下が広い。キッチンにはITコンロが設備されている。そしてトイレとお風呂が別にある。これは万恵の密かな夢でもあった。だがしかし、引っ越しの理由を万恵ははっきり知らなかった。
 引っ越しをすると告げられたのは3週間前のこと。知らされた時にはもう既にお父さんは家を購入していた。三週間の猶予があれど、急な引っ越しに万恵は戸惑いを見せた。  

      

 その日、お父さんはコンビニで買った二つのハンバーグ弁当を万恵と二人で食べた。いや、二人は独りで食べていた。お父さんが居間のテーブルの上にぽつんと置いたコンビニの袋の中から万恵はこっそり弁当をひとつ取り出し床に座ってテレビを点けた。お父さんはその様子を目の端で見つめながら誰かと、おそらく女の人と、通話をしていた。気にならないわけでもない。しかし今さら何か言うのもおかしい気がする。そういう痒い気持ちがお父さんの心の中で渦巻く。それは万恵も一緒である。お父さんが自分のことを背後から見ていることは分かっているし、こんな風によそよそしく過ごすのも今回が初めてではない。むしろこれが日常である。なのになんで、こっそり、お父さんに気付かれないように体を動かすのだろう。万恵も自分の本当の気持ちに見て見ぬ振りをしている。電話が終わると、お父さんは椅子に座り買ってきた水のボトルをぐいっと開け勢いよく飲んだ。日々の疲れもこのむずがゆい環境も、全て水の快感で一瞬だけ忘れてしまう。ぶはあっと、唇から飲み口を離す。テレビでは昨日万恵が録画していたドラマが流れていた。結構笑えるところがたくさんあるのに万恵は笑わない。いや分からない。本当は向こう側でにっこり微笑んでいるのかもしれない。あまり感情を表に出さない子だから、あれはあれで楽しんでいるのかもしれない。そういえばここ最近、万恵のにっこり笑った真っ白な前歯を見ていない。お父さんのまっすぐで太い眉毛が、万恵の細い首筋をぼんやりと見つめる目が、そう語っていた。

 それからはただ、テレビの音だけが流れる時間が続いた。それと多少の咀嚼音。二人は独りで自分たちの弁当を黙々と食べた。不思議なことに、食べ終わるタイミングはぴたりと一緒だった。同時に立ち上がる二人。しかし万恵は自分の携帯をいじり始める。お父さんが空の弁当をキッチンにあるゴミ箱に捨てに行く。そのまま、自分のコーヒーを注ぐため、コーヒーメーカーの電源を入れる。万恵はまだ片手に空の弁当、片手に携帯をもちそこでずっと立っている。一分ほどの静寂。しかしただ立っているだけには長すぎる時間。万恵は気が落ち着かなくなったので、仕方なくキッチンにゴミを捨てに行った。十秒もかからない。万恵がお父さんの後ろをすっと通る間、お父さんはコーヒーメーカーから出てくるコーヒーを瞬ぎもせずじいっと見つめていた。たった一瞬が、頭の中で何度も繰り返される。背中をなぞるかすかな風が、お父さんの心をくすぐる。万恵がゴミを捨て終え、居間の隣にある自分の部屋の襖を開けた時、お父さんは決意して、ようやく万恵に振り返った。
「ま、万恵ちゃん。」
声が少し裏返ってしまったようだ。
 万恵が口をキュッと結んで振り返った。
「ん、何。」
万恵は思いの外ぶっきらぼうに返してしまった。
「今月の終わりに、ここ引っ越すから。三週間後。万恵ちゃんも部屋とか、居間とかその、うん。片付け始めてくれるかな、うん。」
万恵の眉毛がお山のように膨らんだ。そして目も、まん丸お月さまのように見開いている。やはり、急すぎたか。勝手に話を進め過ぎたかな。
「え、どこに。」
「明田味町。あの、ほら、隣の隣。」
「ふうん。」
万恵は力なく答えた。そして
「なんで。」
と、呟いてみた。しかしその時にはもうお父さんはコーヒーをコップに注ぐのに集中していて万恵のことはもう気にしていなかった。気にしていたのかもしれないけれど聞こえていたのかもしれないけれど、答えてはくれないだろう。そう察した。コップから出る煙が、お父さんの顔を隠して見えなくする。万恵は唇を緩めて自分の部屋に入った。そして、後ろを振り返らずに襖をぴしゃっと閉めた。襖の前で、電気も点けずしばらくそのまま立っていた。濡羽色の空間に襖の隙間から象牙色の光が差し込む。その光を哀れ見る。引っ越しが絶対に嫌であるというわけでもない。なのになんでだろう。ここをこのまま去ってはいけない気がする。その気持ちは一言では表せられない。鼻息だけが部屋に響く。ここに何かを置いてけぼりにしてしまうようだ。いつも取り残されるのは自分の方なのに。万恵は原因をよくよく考えた。昔お父さんに買ってもらったけどすぐに死んでしまったたまごっちを放り投げて無くしてしまった事か、友達に借りた雑誌を返したかどうか忘れてしまった事か、または陶器のウサギの貯金箱を割ってしまい、小銭を全部拾いきれていない事か。考えれば考える程口がへの字に曲がっていく。そんな事ではないなんて自分が一番わかっている。襖の向こうにいるお父さんに気付かれないように万恵は、んーと、唸いてみせた。藍白の雫が頰をつーと伝わるのが分かる。眉間には二本のくっきり濃いしわがおしくらまんじゅうをしている。いつもは考えることが好きなのに、なんで今日はこんなに辛いのか。
「わかんないし。」
自分にだけ、いや自分にも聞こえないような細い声で呟いた。万恵はぐちゃぐちゃに溢れる気持ちでいっぱいになった。暗闇は万恵を残したまま。

 一方、お父さんは万恵が部屋の電気を点けていないことに気が付いていた。何かしてあげたい気持ちはあるけれど、かと言って自分が下手に行動するとまた万恵を傷つけるかもしれない。気にしないふりをして熱いコーヒーを飲む。お父さんとは何か、家族とは何か、距離感も感覚も全て忘れてしまった。もしかしたら、自分と同じ家に住んでいる少女と家族になれたことなんてないのかもしれない。そう考えると妙に納得してしまう。冷めた安心感を抱えた胸に熱いコーヒーがずきずきと胃に垂れていく。
「もっと冷ましゃ良かった。」
誰かに聞いてほしい独り言ではないのに大きな声で呟く。ただあの妙に冷めた安心感を胸に留め、淡々と明日の仕事を考える。考えようと努めた。

 夜は二人のことなんかおかまいなしに更けていく。そして朝も駆け足でやってくる。自然の摂理はいかにも機械的で無情である。その中で鼓動を打ち感情に踊らされる生き物は醜くも羨ましい。空には憂いに満ちた満月が独りぽっかりと浮かんでいる。月には悲しさがわからない。無常の中でただ存在するだけ。その無常の中に趣を見出すのは人間たち。無情でもあり感情でもあるこの夜に定義を与えてくれる賢い人はいないだろう。

        

 あの日のことを一通り思い出し、万恵は朝からなんだか暗い気持ちになってしまった。また温かい布団の中に潜って夢で遊びたいけれど、そうするには遅すぎたようだ。今日は月曜日。お父さんがいつも家を出るのが大体七時。それからかれこれ三十分はベッドの上で寝そべっていた。学校の登校完了時刻は八時十五分。あと四十五分で身支度から登校までを完了しなければいけない。万恵は時間にお尻を叩かれるのが大の嫌いであった。しかも今日は、新しい家からの登校。どのルートを使っていくのかは土日の間に確かめたがちょっと不安である。万恵は徒歩での登校なので学校までおよそ二十分。これは大急ぎで支度をしなければ。万恵はベッドから飛び跳ねた。そして万恵のルーティーンの開始の笛が鳴った。

 まず最初にトイレを済ませる。朝のトイレは妙に長い。
 次に洗面所に行って顔を洗い歯を磨く。慌ててお父さんの歯ブラシを使うところであった。誰であれゾッとする。
 それが終わると髪を結う。万恵は決まって高いポニーテールである。栗色のカールが可愛らしくはねる。
 そしてすぐに万恵は自分の部屋に戻り着替えを始めた。髪を結う前に着替えればよかったと少し後悔をする。
 靴下がない。万恵はリビングに置いてある洗濯箱へと急いだ。盛り塩のようになっている洗濯物たちはどう考えても二人分であるとは考えられない。万恵が畳むのをずっと先延ばしにしていたのである。自業自得だ、と万恵はその山を勢い良く崩した。靴下は箱の底に潜んでいた。
 靴下を履き終わると、充電器から携帯を外し、リュックを担いで玄関まで走った。
 弁当を忘れていた。リビングまで再び戻り机の上にきちんと置いてある弁当を右手で掴み取りまた玄関まで走る。弁当箱の後ろに用意されていた朝ごはんを横目で見て見ぬ振りをしながら。
 かれこれ、朝の支度は急いで十五分くらいで済ませたようだ。三十分もあればゆっくり学校までいけるだろう。ここで初めて携帯で時間を見た。

七時五十八分。

万恵の全身の血液が一瞬びくんと止まった。どうやら、予想以上にベッドで寝そべっていたらしい。急いで玄関の鍵を閉めて学校までの道のりを走り出す。万恵の靴は学校指定の白いものであったが、その白さも今や失われボロになっている。そのボロはよく万恵の足に馴染んでいる。万恵にとっては一級品だ。心が空になって飛んでいく。昨晩は逃げるように駆け抜けたあのさか道を、今は堂々と足音を鳴らして駆け抜けていく。

 足、心臓、時間、足、心臓、時間、足、心臓、時間、

万恵が考えているのはたったこれだけ。昨晩とは違い、周りは彩に包まれていた。塀の上でゴロゴロとあくびをする灰茶の子猫、自転車のハンドルから反射する白の光、八百屋の前に並ぶ深緋のパプリカ。そして上には悲しいほどの空色が広がっていた。もっとも、全速力で駆け抜けていく万恵にはこれらを脳で認識する余裕などはない。ただの色の線となって通り過ぎていく。側から見ると、万恵を囲む綺麗なリボンである。

 足、心臓、時間、足、心臓、時間、足、心臓、時間、

汗が万恵の首筋をねっとりと濡らしてきたその時、前方から悠々とした声がした。

「万恵、おはよう。どうしたの。」

どうしたの、ではない。悠長にしていられないんだよ。そう思いながら万恵は走るスピードを落とし声の主の方向を見た。

 艶のある黒檀の長髪をハーフアップに結い、妖狐のように怪しげな細い瞳でこちらをすっと見つめている彼女は曜子である。長くて細い手足は綺麗な薄卵色だ。頰が可愛らしく紅梅色に染まっている。唇はぷるるんと潤っている。彼女には万恵にはない色気があった。

「学校、遅れちゃうから走ってるの。」
「そう、万恵はせっかちさんね。」
「曜ちゃんが余裕すぎるんでしょ。」
と、言いながらも万恵は走るのを止めた。曜子を見ると不思議と落ち着いてしまう。万恵は安心しきって首の汗を手で拭った。

「汗拭きシートで拭いたら。汗って臭うんだよ。」
「持ってないし。てか私っていつも臭ってるの。」
「知らない。」
そう言って曜子はにたっと笑った。まるでなんでも知っているような笑みである。万恵はいつもその笑顔を前に何も言えなくなってしまう。

「いつまでそこにいるの。早くしないと学校遅れちゃうよ。」
気が付いたら曜子はすでに万恵の先を歩いていた。
「曜子の方がせっかちさんよお。」
万恵よりひと回り大人に振り舞う彼女は万恵の少しの憧れでもあった。不意に風が吹いて曜子の横髪が曜子の顔を隠す。王女様には近づかせないわよ、とでも言うかのように。
「早くこっちに来い、のろまさん。」
少し嬉しそうに、そして意地悪に曜子は笑った。そして万恵が曜子の元へ軽い足取りで駆けていく。

 万恵は曜子と二人肩を並べて学校の門をくぐった。二人の会話にたくさんの言葉は要らない。二人は一緒に空を見つめてはたまに、「澄んでいるね。」、「私が雲を食べちゃったからね。」と言ってくすくす笑う。そしてまた心地の良い静けさが訪れる。お互いの世界の見方が似ているからだろうか。二人は二人の呼吸を知っていた。万恵はずっと、曜子は自分の家族のようだと思っていた。二人だけが分かる二人だけの世界は万恵にとって宝物である。

 二人が教室に入ると同時に学校のチャイムが鳴った。そして曜子は窓側の前から二列目の席に、そして万恵は廊下側の最終列の席に着いた。担任の先生が教室に来るまで生徒たちは他愛もない会話をする。
「万恵ちゃんおはよう。」
「ねえ、はせじいの宿題した?写させてお願い。」
「目え痛えコンタクト絶対ずれてるわこれ。」
「あっ借りてた漫画返すよ。」
「この前の模試どうだった。」
「前髪切りたいから誰かハサミ持ってる?」
「うるせえ俺は寝てんだよ。」
「昨日の水やり当番誰よ、ペケし忘れてるよ。」
「あれ、今日の給食ソフト麺じゃんやった。」
「このキャラかわいいね。」
「はいっ静かに。おはようございます。」
担任の西川先生が教室のドアを開けながら低い声で唸った。そして短い二本の足で大股に歩く。西川先生は四十路の国語の先生だ。わかりやすい授業をしてくれるが愛想が無いので生徒からの人気はイマイチ。でも万恵は西川先生の人に深入りしないちょうどいい距離感が嫌いではなかった。

「連絡です。もうすぐ卒業式だから、先輩たちの教室に飾り付けしてくれる人を五人くらい募集します。誰かいませんか。」
「先生、どのクラスのデコレーションするんですか。」
「私たちは二組なので三年二組の教室担当です。」
するとすぐに二本の腕が挙がった。
「私たちします。部活の先輩いるんで。」
「はい、安堂と遊田さんね。あと三人。」
三十秒ほど、生徒たちは目と目でお互いの様子を伺った。そして、先程からこそこそと会話をしていた女子生徒の一人が手を挙げた。
「なんですか、金子さん。」
「あと四人それに参加して大丈夫ですか。」
「別に良いですよなんでも。卒業式に間に合えば。」
「じゃあ私たち四人もしま~す。」
「はい、ええと、金子さんと安田さんと、結城さんとあと、三輪さんね。はい、了解です。」
それから四人は、どんなデザインの飾り付けを作るかきゃっきゃと相談した。まるでお花畑で花かんむりを作って遊んでいるようだ。そこに西川先生が言葉を挟む。
「桜が散っているデザインはやめとけよ。先輩達まだ受験の結果わからないから。あとこの六人は昼休憩、一組で説明があるそうなので忘れずに行ってください。」
それから西川先生は持っていたファイルを一通り確認して、
「今日はもう伝達事項はないです。しっかり授業受けてくださいね。」
また低い声で唸って、西川先生は教室の外へ出て行った。
 今日も長い学校が始まった。

*****

 始まった時はいつも憂鬱だが、意外とその時間はさっと通り過ぎる。今はもう放課後の午後五時である。万恵は曜子が委員会の仕事を終えるまで曜子の席に座って待っていた。たった一人の教室で過ごすのは退屈ではなかった。窓から見えるのは誰かが住んでいる街。走る子どもたちも自転車で颯爽と消えていく社会人も、道の角で昼寝をしている犬さえもみんな蜜柑色に包まれていく。夕方の空模様は秋の空よりも移り変わりが早い。しっかり見ていないと一番綺麗な時間を見逃してしまう。万恵は昨日の同じ時刻の出来事を思い出した。これからあの濃藍がまた世界を包んでしまうのか。万恵は一抹の不安を抱いた。
「曜ちゃんとだったら歩けるかな。」
と、その瞬間、蜜柑色が万恵までもすっぽりと包んだ。

 廊下から曜子が教室を覗く。万恵はうつ伏せて窓を見ている。曜子から見たら、寝ているのか起きているのか分からない具合だ。曜子は気付かれないように、こっそりと万恵の横まで忍び寄った。
「何してるの、曜ちゃん。」
万恵は顔をくるっと曜子に向けて言った。曜子の肩が一瞬上に上がった。万恵の顔はまるでお母さんにねだる子供だ。
「万恵何してるのかなあって思って。」
曜子は万恵のそばへ歩きながらそう言った。
「空を考えていたの。」
「そう。」
 それから二人はしばらく、消えていく蜜柑色を黙って見守り続けた。一秒、一コンマもその変化を見逃さないよう、二人はじっと見続けた。沈黙を破ったのは曜子。その時にはもう濃藍が窓のスクリーンに映し出されていた。
「空って、多分なんでも知ってるよね。」
万恵は空を見続ける曜子の顔を見た。
「そうかなあ。」
 空はきっとなんでも見ている。自分のいい行いだって、悪い行いだって。でも全部知っている訳ではないと万恵は思った。もし全部、自分の心さえ空が知っているとしたら、昨日のように悲しい思いをさせることはしない。心まで知っている空だったら、永遠に蜜柑色の優しさを持ち続けているはずだ。だから、空は全知の存在ではないと思う。と、いうことは心の内に秘めた。
「でも、きっとなんでも知っている存在はいると思うよ、曜ちゃん。」
これも本音である。万恵はずっと、幼い時から自分を見守り続ける誰かがいると信じている。実際に五感で感じたことはない。しかしきっと誰かがいてくれているんだ。もしそれが、曜子の言う「空」と同じ意味なら、その「空」はなんでも知っているのだろう。

「万恵、そろそろ帰ろう。お腹空いてきちゃった。」
「うん。帰ろ。」
二人は手を引っ張り合って教室を出た。
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