空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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一章 飛空島

15 枯れた噴水

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「ヴォルカ…さまっ!?」

振り返った先に、ヴォルカー先生!!

「今日はお休みですね。お買い物…でしょうか?休日にもこうして読んでいらっしゃる物が魔法専門書とは、流石はクライン、といったところですね。」
先生に褒められた…!
「い、いぇ…。僕は、魔道具を作るしかできないから…。」
「ふふっ。真面目な子は好きですよ。」
あ。
ヤバい。
心臓、うるさい…。
学園で見る白衣姿も素敵なんだけど!先生の私服っ!カッコ良すぎない?

バクバク鳴る心臓を、服の上からぎゅうって抑えて。

「ティルエリー様?どうされました…具合が悪いのですか?」
心配してくれるヴォルカー先生に、ブンブンと首を横に振って大丈夫です、と小さく言った。
「私もこの本を買いに来たのです。」
ヴォルカー先生が見せたのは、意外にも平民に人気の、ベストセラー小説だった。
「え…冒険小説、ですよね?それ…。意外です」
「そうですか?…私も騎士の端くれでしたからね。剣を携え、自由に大陸中を旅する冒険者に、憧れていたこともありましたよ。」
あぁ、そっか。今でこそ飛空島の神官医という立場だけど、昔は神殿騎士だったってシャルルが言ってたな。
でも、辞めちゃったんだよね?どうしてだろう…?
「せっかくですから、公園でお話でもいかがですか?」
「………!」
ヴォルカー先生の願ってもない申し出に、僕は二つ返事で了承した。

◆◇


「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
公園のパーラーでジュースと軽い食べ物を買って、ベンチに腰掛ける。
ベンチで隣同士とか!
「ふふっ。」
「……ぇ?」
突然微笑まれた!
なんでだろう?と思って首を傾げると、
「ベリー炭酸、本当にお好きなのだなぁと思いまして。」
そう言われ、手に持ったカップを見る。
「あっ、えと、はい。シュワシュワってしてて…甘みも、フルーツの甘みだけなのが好きなんです。」
「果物がお好き?」
「はい!栄養もあるし…手を加えなくてもそのまま食べれるじゃないですか。特にロッチァの実とか、種まで柔らかくて」
「工房で食べるには最適でしょうね。」
……!バレてる!
ヴォルカー先生は面白そうにクツクツと笑って、コーヒーを飲んでた。

それから、今日買う予定のものをあれこれ説明すると、先生がいい店を紹介してくれるってことになって。
凄い、これってデートしてる?
してるよね!?

僕は思いがけず夢がかなったことが嬉しくて舞い上がってた。ヴォルカー先生からしたら、きっと変に見えたかもしれないけど。

「…あれ?そういえば、この公園の噴水…水を止めているんですかね?せっかく公園のシンボルっぽいのに。」
公園の中央にある美しい白い噴水は、本来水が溢れ出てその公園を潤していたに違いない。
だけど、目の前にある噴水は全く水を蓄えておらず、枯れ葉が溜まってしまっている。
「ここの噴水が動いているのを見たものはいませんよ。」
「へ?」
確かに、時間差とかで止めているような感じじゃない…みたいだけど。
「噴水の水が出なくなって、もう五年になるそうですよ。」
五年!?
え、何、修理工の人たち何やってんの!?
「そ、そんなに!?」
「水回りの故障は無いそうなのです。だから修理工の方たちもお手上げだとか。」
「へぇ……。」

なに、それ。

「すっごく興味ある………。」
「はい?」
「ちょっと、見てきていいですか?」
言うが早いか、行動が早いか。僕は噴水の側まで駆け寄り、手に触れる。
「えーと、ふんふん。……これは……あぁ、そっか。」
やっぱり。
少し触れば分かるし、僕なら・・・見える。
微量だけど、ここからクラインの魔力回路を感じる。きっと、見えないところにアレがある。
「あ、あの、ティルエリー様?」
後から追いかけてきた先生に、僕の見立てを説明した。
「この噴水自体が、魔道具なんだ。魔核の摩耗で、噴水が枯れた。」
「この、大きな噴水が、魔道具…?」
「不思議がることはないですよ、先生。だって、この飛空島自体、ハウザー様の作った魔道具なんだから。」
「!!」
ヴォルカー先生、きょとんってしてる!きょとん!!
カッコいいのに、カワイイ。
「そうとわかれば、修理してみたいなぁ……あ、でも公園の施設を勝手に弄ったりしたら、駄目…ですよね。」
さすがに、公共の施設だし…。
「今すぐに、というわけで無いのなら、アールベルに許可を取れば、良いでしょう。」
王子殿下?何故に?…って思ったけど、すぐ理解した。
「あっ、そっか!飛空島の管理責任者……!」
「週明けにでも、頼んでみましょうね。…最近は彼も休日はお忙しそうですから。」
シャルルにちょっかいを出している話は、元々ヴォルカー先生から聞いたんだ。
王子とは幼なじみらしくって、学園の業務ついでに、雑談を交わしてくることもあるんだって。

いいなぁ、雑談。
僕は用事もないのに保健室なんて行けないし…。ヴォルカー先生は一年の教室なんて用事あるわけないし。

なんて思っているとさ。

「……ティルエリー様、これから、宝石見に行きましょうか。雑貨屋さんも。」
「ヴォルカー先生…。」
「今日は、先生ではありません。ただのヴォルカーですよ。」
「ヴォルカー様…っ。」
「あいつも自由にデートしてるんです。私達も、少しくらい羽根を伸ばしても神は罰などお与えになりませんよ。」
え、これって、つまり、

これから、二人で一緒にお店見て回って、お買い物して……とか?


きゃーーーーっ。

で、でででデートッ!!!

ヴォルカー様とデートだぁ!!!!


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