空飛ぶ島は崩落寸前!?〜僕が攻略対象なんて知りません!

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一章 飛空島

41 3つの魔核

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それからしばらくは、僕らは学生らしく、日々を穏やかに過ごしてた。
魔法の授業は見ていて楽しいし、飛空島の不具合を見て回ることで、それの補填になるから堂々と見てられる。

それと、放課後はツインタワーの工房に。
もうルーティンワークだよね。ヴォルカー先生にも、仕事を終えたら寄ってくれることが多くて、お誘いしなくても会えちゃうの。
お陰でコーヒーの腕前もかなり上がったよ!

そして、今日も工房に、と思って寮に帰らず門を目指してると、学園の正門前でエディオとフェリクスさんが立っていた。
「あっ!エディオ!!お帰りなさい、無事に帰ってこれたみたいだね!!」
「あぁ。エルナリアの転移装置は王宮から大神殿に移されてたぞ。いよいよ王家はヤバいな。権力が神殿側に集まりつつある。」
飛空島との間を繋ぐ転移装置は、国の管理下にある。それが、大神殿に着くように設定しかえられたってことは、もはや聖エルナリア王国の王家は力を失ってるってことだ。
王女様…クライン血族を、敵に回すと…こうなるってことが、分からなかったんだ。
そして、それを止めなかった親も親なんだけどさ。

「結論から言うと、封印毒は魔法使いではなく、太古の魔道具…アーティファクトから抽出したそうだ。」
工房の鍵を開けて、皆集まったところで。

「アーティファクトから抽出…!?どういうこと?」
会議机に得た情報を広げ、報告してくれた。
太古の魔道具。
それこそ、ハウザー様の時代に作られた、神々の傑作とも言える道具たちのこと。
大半は、魔核が死んで使い物にならないけれど、まだ生きていた魔道具があってっていうの…?
「さすがに、大神殿に納められている魔道具を持ち出すことは出来なかったから、魔核の設計図、書き写して持ってきたぞ。これを作れば、逆に解毒の設計も出来るはずだろ?」
エディオが見せてくれた、大判用紙に描かれた美しくも悍ましさを感じる設計図。
この図案が魔核に閉じ込められていたとしたら…。
毒、呪いだと言われる所以かな。
絶対誰かを呪い殺すために作った…いや、昔のことだから…無理矢理作らされたのかもしれない。
こんなもの、何故…作る必要があったんだろ。

「それとな、お前が描いた橋の魔核の設計図、姉さんにも見せた。…かなり上手く描けていると驚いてたぞ。起動させるにも問題なさそうだから、すぐにでも魔核作成に取り掛かりたい。しばらく工房を借りるよ。」
「あ、うんっ!使うときは行ってね。」
よっしゃ!エルナリアの当主に見てもらえたなら、安心だ!
「では、完成したら次は橋自体の修理……ですね。本格的に立ち入り禁止にしないといけないね。」
「アールベル様、よろしくおねがいします。」
「離れ島の崩落を防ぐためだよ。こちらこそ、よろしく頼む。エディオ様も。」
「えぇ。任せてください。…とりあえず、今日は報告だけ、かな。必要な材料は工房にお願いできますか?」
「勿論。研究職員らが手配するよ。」
エディオはその確認だけすると、フェリクスと並んで工房を出た。
これから学生街でデートするんだって。いいなぁ。
「シャルル嬢、私達も行こうじゃないか。」
「あっ、はーい。」
!!?
シャルルがアールベル様の誘いに応じてる!!?
僕が驚愕していると、ヴォルカー様がそっと耳打ちしてくれた。
「夏休みに入る前に、飛空島の学園の生徒たちでお茶会を開くんですよ。シャルル嬢は未経験なので、アールベルがマナーの勉強を見てあげているんですよ。」
「あっ!そっか。言ってたなぁ、お茶会!!……って、僕も!?」
「……お前、学園長からの招待状届いてないの…?成績上位者は全員配られてると思うぜ?名目としては、成績上位者に対する褒美らしいけどな。」
えぇ?届いてたかな…?最近寮に帰らずに工房の仮眠部屋で寝ちゃうことが多くて…。
ひょっとしたら、寮のポストに入ってた…のかな。
「絶対、アールベル王子の企みだぜ。マルローズをエスコートしたくて仕方なさそうだったしな。」
「あははっ。アールベル様、わかりやすい。」
そんな僕は、貴族のお茶会のマナーなんて知らないからさ、ギーヴに教えてもらったんだ。
ギーヴってやっぱり伯爵家の嫡男なだけあるよ。

それから、何回か貴族のマナーについて実技も兼ねてギーヴに、たまにヴォルカー様にも教わったよ。
飲み込みが早いって褒められた!


そして、エディオは僕と一緒にそれぞれ違う能力を込めた魔核を3つ完成させた。
特に重力軽減の金色の魔核なんて、凄く美しくて、見惚れちゃう程!
「ははっ……。流石に疲れた。…ここまで魔核に魔力を吸われるとな。」
魔核が完成した翌日、工房で待ち合わせたんだけど、エディオの身体を、フェリクスさんが支えながら来たのを見て、僕は息を呑んだ。
「エディオ、有難う。……身体は平気?設計図通りだったとは言え、これ程の魔核を作るなんて…負担があったはずだ。」
「いや、平気だよ。その代わり、明日からしばらく養生したいな。橋の修理が終わったら、お前の次の飛空島の調査結果が出るまでは、フェリクスとのんびり過ごさせてくれ。」
クライン血族の魔力は枯渇すると命に関わるし、しばらくは安静だな。
あ、ちなみに普通の人たちの魔力は、枯渇するほど扱えないんだよ。
「勿論っ!フェリクスさんも、大切なエディオをこんなになるまで働かせてしまって、ごめんね……。辛かったでしょう。」
「いえ!そんな…。それに、エディオ様は地上に居られた頃より、楽しそうに作っておられましたよ。
ティルエリー様にお仕事をいただけて、感謝しておられました。」
フェリクスさんは、エディオを座らせて脇に立つと、ふわりと微笑んでくれた。
うわー、なんて優しい目で見つめてるんだろう。
「よーっし、じゃあ、みんなが揃ったら、橋の修復に向かおう!」

僕たちはついに、崩落する未来を、変える。


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