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二章 宝探し
58 魔力塊
しおりを挟むふわ ふわ
闇の中を泳いでるみたいな。
(なんだろ……あぁ、あの時の夢に似てる。)
暗い闇を漂っていると一つの光を見つけた。
手足をバタつかせて、そっちに泳いでいく。
(光……違う、魔力の塊だ)
近づくと分かる。
あれは僕らが魔石に込める時の、魔力塊だ。
青白い光は僕を見つけて、僕の周りを浮遊する。
(わっ……。意思があるみたいに動くんだな……。)
『意思ならあるぞ。』
「……魔力塊が喋った……………ッ!!!?」
『ようやくここまで来れたか。』
「えっ?え……?何、誰っ!?」
『さぁ…。誰だったかな。長く地中深くに閉じ込められていた故…。だが、この数ヶ月の間に懐かしい魔力を感じて、その微かな気配に呼びかけていた。』
呼びかけて……た?
え?
もしかして。
「あの夢……僕に呼びかけていたのって、貴方なの?」
『あぁ。そなたが今日、クラインの血を与えたことで、こうして楽に話せるようになった。』
「あ……。玻璃平原の石碑……?」
『ハウザーの魔導具に、血族の証を示せ』
「?」
『ここ、飛空島にはハウザーが遺した魔導具が5つある。そのうちの1つが、あの石碑……の下に眠る《玻璃の盾》。つまり、私だ。』
「………玻璃の盾、は…ハウザー様の《血を護る者》の一人が授かった魔道具の名前じゃ……?」
実家の図書室にある、僕らのルーツを記した本。
それに書いてあったんだ。
ハウザー様のブロディアが使ったとされる魔道具の名前。
『……あぁ。思い出した。私はその盾であの方を護り、あの場所で命を落とした…あの方の…ブロディアだった。』
「うそ……、魔力塊に、ブロディアの魂が宿ったというの?」
『そのようだな。…まぁ、あの方の魔道具が特別だったんだろう。死してなお、私はこの飛空島に留まり時が過ぎるのを見守ってきた。』
「そんな………。」
ハウザー様って千年前に亡くなられたはず。
そんな昔から…?
『そなたはハウザー様の魔力を色濃く継いでいる。だから、血の証を示すことで私とこうして会話さえできるようになった。』
幼い頃「お前は始祖の血が濃い」と、母さんに言われた。
意味は分からなかったけど、クライン直系の何人かには、分かるらしい。
当主を継ぐに値する器だと。
「僕のほかの人は……?」
『勿論、ハウザーの末裔らしい者は、数年に一度はこの島に来る。そいつらに呼びかけたこともある…が、その殆どが反応は薄かった。そなたが初めてだ。千年経って、ようやく見つけた逸材だな。』
青白い光は嬉しそうにクルクルと僕の周りをに漂ってる。
ふふっ。何だか可愛い。
『……ん?そなた、玻璃の盾の魔核を再現したな?』
「ぁ…うん。」
なんでわかるの。
『何故分かるのか?という顔をしている。分かりやすいな、そなたは。』
くっ。読まれてるし!!
『成功したのか?』
分からないよ。
魔力が枯渇しちゃって……そのまま倒れちゃったんだ。
今はきっと…深い眠りに落ちてるんじゃない?
ここって、夢か何かでしょう?
『………そなたの意識の中には間違いないが……。そうか、枯渇したか……。では、私が手助けしてやろう。早く目覚めて側に居る者を安心させてやれ。』
手助け…?
『私は意思はあっても、玻璃の盾の魔核に込められた魔力塊だ。それを注いでやろうというのだ。…但し私の生前の経験や記憶も共にそなたに共有されることになるがな。』
なにそれ、気持ち悪そう……
『なにっ?失礼な奴だな。
そなた、ハウザーに憧れておるだろう?ハウザーとの日々の記憶も共有されるのだぞ?貴重だと思わんか?』
思います!!!!
『では、私の力がそなたの役に立てるよう……協力しよう。』
そう言うと、青白い光は僕の中に溶け込むように入ってきた。
熱いくらいの波動を感じる。
枯渇していた魔力が一気に埋め尽くされる感覚に酔う。
「うっ………。」
◇◆
息苦しさを感じて目を覚ますと、辺りは真っ暗で、今は夜なんだと分かる。
「うぅッ…。」
「……ん………?エリィ…!?あぁ、エリィ。気がついたのですね。……良かった!」
ベッドの脇には、月明かりに照らされたヴォルカー様の顔。
「ヴォルカ…けほっ……ぅぅっ。」
喉が乾いて…喋れないや。
「飲み物をお持ちしましょう。マーティ、頼めるか?」
「えぇ、すぐに!」
マーティアスさんも部屋に居たんだね。
心配をかけてしまった…よね。
「ごめ、なさい。ぼく、やっぱり………気絶したね。」
「えぇ……本当に心配しましたよ。ですが……ほら、美しい魔核が誕生しました。」
そう言って、僕の手に魔核を乗せてくれた。
「あっ………。あははっ、良かった……。成功してる。」
手のひらの上にある魔核は、夢の中で出会った魔力塊のように青白く光ってた。
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