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出雲・石見の2ヶ国の平定
小次郎と宗信
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朝の日差しが出てきて小次郎は目を覚ます。
宗信が気になって寝れないとか思っていたが、いつの間にか寝てしまったみたいである。
だが、まだ眠い為もう一眠り付こうかとした時だった。
「小次郎さーん。ご飯できましたよー。」
宗信の声が聞こえた。
アレ?確か宗信は熱で倒れていたはずだったはず。
そう思い隣を見てみたら宗信の姿が無かった。
もしかして熱下がったのか?
気になった小次郎は宗信の元へ行くと、そこには元気に料理を盛り付けしている宗信の姿があった。
「お、おい。熱は大丈夫なのか?もう動いて良いのか?」
小次郎に気付いた宗信はいつもの笑顔であった。
「小次郎さん、おはようございますです。体調の方はもう大丈夫ですっ。」
宗信はそういって、席に座り朝食を取り始める。
昨日までの姿が嘘のようである。
まさか1日でここまで回復するなんて思わなかった。
「凄い熱だったのに回復早いな。」
「小次郎さんが私の隣で寝てくれたからですよ。小次郎が隣にいたから落ち着いて寝れたのだと思うです。」
宗信は小次郎を見つめて言う。
何なんだこの雰囲気。
寝起きでまだ頭の回転が悪いのにこの展開はちょっとキツい…。
いやもちろん最高の展開だがお昼ぐらいが良かった。
「ところで小次郎さんって優ちゃんに『お兄ちゃん』って呼ばせているんですね…。昨日聞いちゃいましたよ。アレは何かのプレイですか?」
宗信の目が怖い…。てか雰囲気怖すぎだろ。
「あ、アレはな。優が俺の事を『お兄ちゃん』と呼びたいと言い出したからな。俺も優が妹に似ているから呼ばれて嫌な感じはしないな。」
宗信は「へー」とか「ふーん」とか言って適当に納得した。
前から気になっていたが優と宗信は仲が悪いのか、あまり話しているところを見たことがない。
特に宗信から話すことなんてほとんど無い。
もしかして優をライバル視しているのか?
しかし、全てが宗信の圧勝に見えるが、まあ今はいいや。
そして、昼頃になり昼食を済ませた小次郎たちは近くにある川に行き釣りをすることにした。
この時代の川は現実世界のドブ川と違い綺麗で魚も沢山いるし、もちろん水も飲める。
宗信は風邪が治ったばかりで、しばらく激しい動きをしたらダメなはずだから川でのんびり釣りをすることにした。
「ところで宗信は釣りしたことあるのか?」
「有りますよ。私結構釣り好きなんですよ。食糧調達にもなりますし。」
「マジか、釣り出来るのかよ…」と小次郎は心の中でガッカリした。
普段教えてもらう事ばかりで情けないから、宗信にも何か教えたいと思っていたのである。
だが、それは叶わなかった。
小次郎が思っていた以上に宗信は何でも出来るみたいである。
せっかく頼りになるところを見せてやりたかったのに、このままでは何も出来ない男と思われてしまう。
それなら俺は釣りの上手さ…釣りのプロとしての巧さを魅せてやる。
実は俺は昔は釣りが好きで毎日川に釣りをしにいっていた。
その時の感覚を思い出せば今日の食糧として大量の魚を釣れる。
そして釣りすぎてしまったら町の人にお裾分けして良い人アピールが出来る。
こんな事考える俺スゲーっ!
小次郎は脳内で己とそんなやり取りをした。
「では早速釣りまくりますか!」
宗信と釣りを始めて時間もかなり経ち今は夕方。
小次郎は宗信の釣った魚を食べるのに困っている人達に配りに行っている。
小次郎は宗信ほど釣りが上手くなかったみたいで2匹しか釣れなかった。
それに比べ宗信は20匹くらい釣っていた。
釣りは魚との駆け引きと言われることもあるが、小次郎は魚との駆け引きに負け続けたのである。
しかし、釣りをしていた時の宗信も可愛かった。
今日はずっと宗信の事を考えているような気がする。
胸の辺りがモヤモヤ、ムラムラする。
まさか、これが恋に落ちたってやつか?
魚を運びながらずっと考え続けている。だが考えていたのでは何も変わらない。
小次郎はこの原因不明のモヤモヤというかムラムラの正体を今日の宗信が可愛く見えたからと言うことにした。
そう、病気で顔色が悪い昨日と比べて別人の様に可愛かったから少し緊張…ムラムラしただけだ。
これは恋なんかではない。
魚を配り終えた宗信は夕食の準備をしに家に戻った。
家に戻ると宗信はすぐに釣ってきた魚で料理を始める。
「じゃあ今日はお刺身にしますねー。」
そう言い黙々と料理を始めた。
宗信は色んな料理が出来るから正直凄い。
やっぱり家が神職だから厳しく育てられたから料理もキチンと教えられたのだろう。
夕食は釣った魚で刺身にして食べた。
やはり現実世界のスーパーで売っているのより、その場で魚を切って刺身にしているから旨い。
ちなみに小次郎は生物…寿司や刺身は苦手なのだが、この魚は美味しかった。
現代には見かけない魚だがいったい何て言う魚なのだろうか。
夕食が終わり片付け・洗い物を済ませた。
時計が無いから分からないが多分時間は9時くらい。
そろそろ風呂に行く時間なので宗信を誘って近くの温泉に誘うことにした。
「え…?温泉ですか?私まだ風邪治ったばかりで、湯冷めしたらまた風邪引いちゃいますです…。」
「大丈夫だよ。今から行く温泉は風邪にも聞くからな。そもそもお前の風邪の原因は疲れだからな。温泉でしっかり疲れを取りなさいって事だ。」
宗信は「それなら行きます」と言い温泉に行く準備をした。
準備を終えた二人は温泉に歩いて行く。
温泉は裏山に有り、歩いて5分くらいで外は真っ暗。
なので小次郎は提灯をもって歩く。
提灯を使えばある程度周りが見える。
「じゃあ行くか。」
小次郎はソッと宗信に手を差し伸べた。
宗信は小次郎の手を握り、闇夜を歩いていった。
実は小次郎も宗信も夜道が怖いのである。
戦国時代は現代みたいに明るくないので山道は特に危ない。
しかも山道を歩くときに提灯を持っていると山賊に場所を知られることになるのでとても危険だ。
小次郎の領内は治安が良いが山賊はいつどこで現れるか分からない為、用心が必要なのである。
何とか暗い夜道を歩いて裏山にある温泉に到着。
小次郎は毎日ここの温泉に通っている為、この山は歩き慣れていたが、宗信は病み上がりということも有り、しんどかった様だ。
とはいえ、何とか無事に着いたので温泉に浸かることにした。
この温泉は小次郎の領内の物で、小次郎が温泉奉行というのを置いて経営しているのである。
つまり小次郎の私物の様な物で、人の少ないこの時間帯は好き勝手に使いたい放題である。
そしてもう1つ。
この時代は風呂というのが一般的では無かった為、基本的に男女混浴である。
つまり、何を言いたいかと言うと宗信と一緒に入れて、宗信の裸を見られるということである。
以前、宗信が水浴びしていたところを見たが、あの時は今ほど宗信を意識していなかった。
だが昨日気付いた。
俺は多分宗信の事が好きなのかも知れないという事を。
意識すると、裸を見るだけで、なんと言うか…緊張してまう…。
「じゃあ服を脱ぐので先に入っていてください。」
「お、おう…。先に入っておくよ…。」
緊張している為かいつもみたいに言葉が出ない。
しかし、この時代の女の子は男に裸を見られるのは平気なのだろうか。
宗信は全く恥ずかしがっている様に見えなかったし、この時代は風呂に入れるだけマシだから少々裸を見られてもみんな平気なのだろう。
「小次郎さんどこですか?湯気で見えないですよ。」
そういえば今日はいつもより湯気が凄まじい。
湯気で前が見にくい。
こういう時はたまに有るんだが、次の日には直るので気にはしていない。
「俺はここだー。湯気が酷いから気を付けて歩けよ。」
と言った瞬間隣に誰かが入ってきた。
「あ、やっぱりココでしたかー。人影が見えたから来てみたけど正解でした。」
「お、おう…そうか。」
小次郎はソッと宗信の胸を見る。
「あ、アレ?」
「どうしましたか?私の身体ばかり見て。」
よく見たら宗信は身体にタオルを巻いている。
「宗信って風呂に入るときタオルを身体に巻くのな…。」
少し残念…だが、宗信の綺麗な太ももが見れるから良しとするか…。
「これはですね、背中の傷痕を他の人に見られたくないからですよ。昨日見ましたよね?私の背中を…。」
昨日汗が酷かったから身体を拭いたとき見た傷。
アレは刀や弓矢の傷で酷い有り様だった。
「……。」
小次郎は言葉を発する事が出来なかった。
何を言っても宗信が傷つきそうで怖かったからだ。
「あの傷はですね…月山富田城の防衛戦で負いました。主家のために奮戦して負った傷だから『名誉の負傷』と父上と当時の主君義久様は言いましたが私はこんな傷は嫌です。鹿之介さんや秀綱さんは慰めてくれたけど…。」
そう言い、泣きそうな顔になる宗信を見ると小次郎も胸が苦しくなる。
「私、本来ならもう結婚している筈なんです。でも背中の傷の事を知った男の人は私とのお見合いをことごとく避けました。本来、神職の娘はお見合いでは人気なんです。結婚したら神職…寺社勢力と血縁関係を結べたら武士とは違う権力も手に入りますから。つまり巫女なのに二十歳過ぎても結婚出来なかった私は醜い女…。」
「やめろ…。それ以上言うなっ…!」
咄嗟に声を張り上げる小次郎。
宗信の悲しい話は聞きたくない。それ以上に宗信が醜いなんて有り得ない。
「お前は醜い女なんかじゃない…!お前は肌も白くて綺麗だし、可愛い顔をしているんだ。性格もお前より良い奴なんか見たことねぇ…!お前の事が醜いなんていう奴は見る目がねぇ男ばかりだ!」
言いたいことを言い切った小次郎は平常心を取り戻す。
「済まない。大声で言ってしまった。お前は醜くない。少なくとも俺はお前を可愛いと思っている。」
「本当ですか?」
宗信は上目遣いで小次郎を見つめる。
「ああ…。」
宗信が気になって寝れないとか思っていたが、いつの間にか寝てしまったみたいである。
だが、まだ眠い為もう一眠り付こうかとした時だった。
「小次郎さーん。ご飯できましたよー。」
宗信の声が聞こえた。
アレ?確か宗信は熱で倒れていたはずだったはず。
そう思い隣を見てみたら宗信の姿が無かった。
もしかして熱下がったのか?
気になった小次郎は宗信の元へ行くと、そこには元気に料理を盛り付けしている宗信の姿があった。
「お、おい。熱は大丈夫なのか?もう動いて良いのか?」
小次郎に気付いた宗信はいつもの笑顔であった。
「小次郎さん、おはようございますです。体調の方はもう大丈夫ですっ。」
宗信はそういって、席に座り朝食を取り始める。
昨日までの姿が嘘のようである。
まさか1日でここまで回復するなんて思わなかった。
「凄い熱だったのに回復早いな。」
「小次郎さんが私の隣で寝てくれたからですよ。小次郎が隣にいたから落ち着いて寝れたのだと思うです。」
宗信は小次郎を見つめて言う。
何なんだこの雰囲気。
寝起きでまだ頭の回転が悪いのにこの展開はちょっとキツい…。
いやもちろん最高の展開だがお昼ぐらいが良かった。
「ところで小次郎さんって優ちゃんに『お兄ちゃん』って呼ばせているんですね…。昨日聞いちゃいましたよ。アレは何かのプレイですか?」
宗信の目が怖い…。てか雰囲気怖すぎだろ。
「あ、アレはな。優が俺の事を『お兄ちゃん』と呼びたいと言い出したからな。俺も優が妹に似ているから呼ばれて嫌な感じはしないな。」
宗信は「へー」とか「ふーん」とか言って適当に納得した。
前から気になっていたが優と宗信は仲が悪いのか、あまり話しているところを見たことがない。
特に宗信から話すことなんてほとんど無い。
もしかして優をライバル視しているのか?
しかし、全てが宗信の圧勝に見えるが、まあ今はいいや。
そして、昼頃になり昼食を済ませた小次郎たちは近くにある川に行き釣りをすることにした。
この時代の川は現実世界のドブ川と違い綺麗で魚も沢山いるし、もちろん水も飲める。
宗信は風邪が治ったばかりで、しばらく激しい動きをしたらダメなはずだから川でのんびり釣りをすることにした。
「ところで宗信は釣りしたことあるのか?」
「有りますよ。私結構釣り好きなんですよ。食糧調達にもなりますし。」
「マジか、釣り出来るのかよ…」と小次郎は心の中でガッカリした。
普段教えてもらう事ばかりで情けないから、宗信にも何か教えたいと思っていたのである。
だが、それは叶わなかった。
小次郎が思っていた以上に宗信は何でも出来るみたいである。
せっかく頼りになるところを見せてやりたかったのに、このままでは何も出来ない男と思われてしまう。
それなら俺は釣りの上手さ…釣りのプロとしての巧さを魅せてやる。
実は俺は昔は釣りが好きで毎日川に釣りをしにいっていた。
その時の感覚を思い出せば今日の食糧として大量の魚を釣れる。
そして釣りすぎてしまったら町の人にお裾分けして良い人アピールが出来る。
こんな事考える俺スゲーっ!
小次郎は脳内で己とそんなやり取りをした。
「では早速釣りまくりますか!」
宗信と釣りを始めて時間もかなり経ち今は夕方。
小次郎は宗信の釣った魚を食べるのに困っている人達に配りに行っている。
小次郎は宗信ほど釣りが上手くなかったみたいで2匹しか釣れなかった。
それに比べ宗信は20匹くらい釣っていた。
釣りは魚との駆け引きと言われることもあるが、小次郎は魚との駆け引きに負け続けたのである。
しかし、釣りをしていた時の宗信も可愛かった。
今日はずっと宗信の事を考えているような気がする。
胸の辺りがモヤモヤ、ムラムラする。
まさか、これが恋に落ちたってやつか?
魚を運びながらずっと考え続けている。だが考えていたのでは何も変わらない。
小次郎はこの原因不明のモヤモヤというかムラムラの正体を今日の宗信が可愛く見えたからと言うことにした。
そう、病気で顔色が悪い昨日と比べて別人の様に可愛かったから少し緊張…ムラムラしただけだ。
これは恋なんかではない。
魚を配り終えた宗信は夕食の準備をしに家に戻った。
家に戻ると宗信はすぐに釣ってきた魚で料理を始める。
「じゃあ今日はお刺身にしますねー。」
そう言い黙々と料理を始めた。
宗信は色んな料理が出来るから正直凄い。
やっぱり家が神職だから厳しく育てられたから料理もキチンと教えられたのだろう。
夕食は釣った魚で刺身にして食べた。
やはり現実世界のスーパーで売っているのより、その場で魚を切って刺身にしているから旨い。
ちなみに小次郎は生物…寿司や刺身は苦手なのだが、この魚は美味しかった。
現代には見かけない魚だがいったい何て言う魚なのだろうか。
夕食が終わり片付け・洗い物を済ませた。
時計が無いから分からないが多分時間は9時くらい。
そろそろ風呂に行く時間なので宗信を誘って近くの温泉に誘うことにした。
「え…?温泉ですか?私まだ風邪治ったばかりで、湯冷めしたらまた風邪引いちゃいますです…。」
「大丈夫だよ。今から行く温泉は風邪にも聞くからな。そもそもお前の風邪の原因は疲れだからな。温泉でしっかり疲れを取りなさいって事だ。」
宗信は「それなら行きます」と言い温泉に行く準備をした。
準備を終えた二人は温泉に歩いて行く。
温泉は裏山に有り、歩いて5分くらいで外は真っ暗。
なので小次郎は提灯をもって歩く。
提灯を使えばある程度周りが見える。
「じゃあ行くか。」
小次郎はソッと宗信に手を差し伸べた。
宗信は小次郎の手を握り、闇夜を歩いていった。
実は小次郎も宗信も夜道が怖いのである。
戦国時代は現代みたいに明るくないので山道は特に危ない。
しかも山道を歩くときに提灯を持っていると山賊に場所を知られることになるのでとても危険だ。
小次郎の領内は治安が良いが山賊はいつどこで現れるか分からない為、用心が必要なのである。
何とか暗い夜道を歩いて裏山にある温泉に到着。
小次郎は毎日ここの温泉に通っている為、この山は歩き慣れていたが、宗信は病み上がりということも有り、しんどかった様だ。
とはいえ、何とか無事に着いたので温泉に浸かることにした。
この温泉は小次郎の領内の物で、小次郎が温泉奉行というのを置いて経営しているのである。
つまり小次郎の私物の様な物で、人の少ないこの時間帯は好き勝手に使いたい放題である。
そしてもう1つ。
この時代は風呂というのが一般的では無かった為、基本的に男女混浴である。
つまり、何を言いたいかと言うと宗信と一緒に入れて、宗信の裸を見られるということである。
以前、宗信が水浴びしていたところを見たが、あの時は今ほど宗信を意識していなかった。
だが昨日気付いた。
俺は多分宗信の事が好きなのかも知れないという事を。
意識すると、裸を見るだけで、なんと言うか…緊張してまう…。
「じゃあ服を脱ぐので先に入っていてください。」
「お、おう…。先に入っておくよ…。」
緊張している為かいつもみたいに言葉が出ない。
しかし、この時代の女の子は男に裸を見られるのは平気なのだろうか。
宗信は全く恥ずかしがっている様に見えなかったし、この時代は風呂に入れるだけマシだから少々裸を見られてもみんな平気なのだろう。
「小次郎さんどこですか?湯気で見えないですよ。」
そういえば今日はいつもより湯気が凄まじい。
湯気で前が見にくい。
こういう時はたまに有るんだが、次の日には直るので気にはしていない。
「俺はここだー。湯気が酷いから気を付けて歩けよ。」
と言った瞬間隣に誰かが入ってきた。
「あ、やっぱりココでしたかー。人影が見えたから来てみたけど正解でした。」
「お、おう…そうか。」
小次郎はソッと宗信の胸を見る。
「あ、アレ?」
「どうしましたか?私の身体ばかり見て。」
よく見たら宗信は身体にタオルを巻いている。
「宗信って風呂に入るときタオルを身体に巻くのな…。」
少し残念…だが、宗信の綺麗な太ももが見れるから良しとするか…。
「これはですね、背中の傷痕を他の人に見られたくないからですよ。昨日見ましたよね?私の背中を…。」
昨日汗が酷かったから身体を拭いたとき見た傷。
アレは刀や弓矢の傷で酷い有り様だった。
「……。」
小次郎は言葉を発する事が出来なかった。
何を言っても宗信が傷つきそうで怖かったからだ。
「あの傷はですね…月山富田城の防衛戦で負いました。主家のために奮戦して負った傷だから『名誉の負傷』と父上と当時の主君義久様は言いましたが私はこんな傷は嫌です。鹿之介さんや秀綱さんは慰めてくれたけど…。」
そう言い、泣きそうな顔になる宗信を見ると小次郎も胸が苦しくなる。
「私、本来ならもう結婚している筈なんです。でも背中の傷の事を知った男の人は私とのお見合いをことごとく避けました。本来、神職の娘はお見合いでは人気なんです。結婚したら神職…寺社勢力と血縁関係を結べたら武士とは違う権力も手に入りますから。つまり巫女なのに二十歳過ぎても結婚出来なかった私は醜い女…。」
「やめろ…。それ以上言うなっ…!」
咄嗟に声を張り上げる小次郎。
宗信の悲しい話は聞きたくない。それ以上に宗信が醜いなんて有り得ない。
「お前は醜い女なんかじゃない…!お前は肌も白くて綺麗だし、可愛い顔をしているんだ。性格もお前より良い奴なんか見たことねぇ…!お前の事が醜いなんていう奴は見る目がねぇ男ばかりだ!」
言いたいことを言い切った小次郎は平常心を取り戻す。
「済まない。大声で言ってしまった。お前は醜くない。少なくとも俺はお前を可愛いと思っている。」
「本当ですか?」
宗信は上目遣いで小次郎を見つめる。
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