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大内輝弘の乱

名族の大内輝弘が反旗を翻した

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毛利軍が九州に出兵し、立花山城付近で大友軍と交戦している間に出雲・石見は陥落。

2国における毛利の求心力は無くなった。


そしてここにもう1つ新たな勢力が毛利に反旗を翻した。


その名は大内輝弘。


祖父は応仁の乱で西軍の主力を率いていた名将大内政弘、叔父は周防・長門・石見・安芸・筑前・豊前・山城の7ヵ国の守護になった大内家最盛期を作り上げた西国探題大内義興である。



輝弘の父大内高弘は兄である義興に謀反を起こして敗北し、豊後大友氏に亡命して大友氏の客将となっていた。




現在、大友は毛利との戦いで滅亡の危機に立たされているが、大友宗麟の参謀吉岡長増は大内輝弘に目を付けた。


吉岡長増の進言により、宗麟は輝弘に兵を与え、若林鎮興らの大友水軍を付けて密かに海上から周防国に上陸した。


そして、現在大内輝弘は周防に入り大内氏遺臣を集めている。



そしてこの事は山中鹿之介にすぐに知られることになった。


鹿之介は古くからの友である商人の明日香から情報を貰う為に出雲のとある茶屋に寄っていた。



「なるほどな。大内輝弘が大内家遺臣を集めて反乱か…。数はどれくらいだ?」


明日香はお茶をゆっくりと飲み干す。

「えっと…今のところ500人だけど、その内1000人越えるね。武具の注文もかなり来ているし大友の経済力のお陰で大砲も南蛮から買ったらしいよ。」


大内が反乱を起こすのは良いが、それだと九州にいる毛利の大軍が戻ってくると大内の1000人そこらの兵では太刀打ちできなくなる。


鹿之介は既に気付いていた。

大友宗麟は大内輝弘を捨て駒に使っていることに。


九州に出兵している毛利軍は3万以上と言われているが恐らく大内と我ら尼子の討伐の事も考えて2万を本土に呼び戻すだろう。


つまり大友宗麟の狙いは九州から毛利軍を撤退させる事である。

そうなると兵が減った九州の毛利軍は苦戦を強いられる様になり、形勢逆転となる。


その代わり大内輝弘は毛利の大軍に1000の兵で立ち向かい戦死するだろう。



「このままでは貴重な反毛利勢力が消される。すぐに動かねば…。明日香に頼みがある。」


鹿之介は明日香に書状を渡す。

「私の部下と共に大内輝弘を救いにいってくれ。」


明日香は商人の娘の為、ありとあらゆる大名や武将と顔見知りで有り、大名間のパイプ役も出来るのであった。


実際に千利休などの茶人や商人は大名間のパイプ役となって交渉の場を作ったりしていた。
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