無の王

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生きる知恵

茶道部

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飛鳥に告白をされてから2週間ぐらい経った。



俺は昼休み、放課後に屋上で飛鳥と毎日会っている。


毎日飛鳥と話していると分かったことがある。


飛鳥はどうやら茶道部らしい。


飛鳥は母親が茶道の習い事を経営している見たいで、飛鳥もそれに影響されて茶道をしているみたいだ。


そして俺は昨日、飛鳥から人数合わせの為に茶道部に入ってくれと言われた。



どうやら茶道部は飛鳥と3年の先輩一人の部活らしい。


しかし、文化部は最低でも三人は部員が居なければならないので廃部を回避するために俺に部に入ってくれということである。


最初、俺は茶道の経験が無いから無理と言ったんだが、飛鳥がどうしてもと言うから入ることにした。



俺は特に何もせずに、居るだけで良いらしい。


幸いにも部活は週三回である。


それも部員が集まる日を決めて部活をするからバイトに影響は無いのだ。


今日の放課後に飛鳥と茶道部に顔見せに行く。





放課後、零は飛鳥の授業が終わるのを待っていた。

いつもの如く、飛鳥は授業が終わり零のいる屋上に行く。


「お待たせ。じゃあ行こ?」


地べたに転んでいた零は立ち上がる。

「行くか。」



そして飛鳥に連れられて茶道部の部室に着く。


茶道部の部室は1階の和室である。


普通の人は使うことがないので、ここが茶道部の部室とは知らない。


「遅くなりました。」


飛鳥がそう言って入る。

零は部屋に入って感じた。


いかにも和風な部屋ということに。


それに学校なのに畳がある事という事に一番驚いた。



普通、高校に畳があるなんて思わないから驚くわな。


そして零の目には1人の女性が映った。


美人で校内偏差値トップの3年の藤宮桜花先輩だ。


生徒会長を勤めており、学校では知らぬものがいない超エリートで神の頭脳を持つとクラスの人が言っていた。



「桜花さん遅れてゴメン。」

飛鳥は「テヘッ」と謝る。

いや謝るというか笑っているな。


普段真面目な飛鳥もここではそんな一面を見せるのか。




「それであなたが一応茶道部に入ることになった伊地野くんかしら?」


そう言う桜花と目を合わした時だ。

急に背筋が凍るような殺気がした。


まるで俺のことを頭数としか思っていない…そんな気配が確かにした。


どうやら俺は桜花先輩からしたら虫けらの様な者なのだろう。



だが俺はエリートから馬鹿にされるのは慣れている。






藤宮桜花は早速入部届けを零に書かせる。


零はすぐに書き終えて藤宮に渡す。


「確かに受け取ったわ。じゃあ伊地野くんはもう帰って良いわよ。顧問の先生が来るときだけ居てくれたら良いから。」


「そうですか…。」

そう言われ、零はカバンをもって帰ろうとする。

零は冷静であったが内心穏やかでは無い。

桜花のあの発言はまるで零を同じ部員として見ていない発言である。




考えて見ると茶道に興味が無いんだから、確かにやる気のある人からすれば部員として見ることは出来ないかもしれない。


でも心の中で思うのならまだしも、それを口に出したらおしまいだろっ…!

明らかに人を邪魔者扱いする奴がいる部活に誰がいくかよっ…!



零が心の奥底で怒り狂っていたとき、飛鳥が桜花に発言する。


「ちょ、ちょっと…!桜花先輩、酷いですよ。零くんを邪魔者扱いなんて…。」


「黙りなさい。」

桜花の冷たい声が飛鳥の声を遮る。


「ここ茶道部は基本的には女子だけの部活。一応、過去には茶道好きの男子もいたわ。しかし、伊地野くんは茶道が好きなわけでも無いし、頭も悪そう。私の部活にいても楽しくないでしょう。」




つまり…なんだ…?
結局…俺は頭数か…?

てか、頭悪そうって何だよ…?


零は怒りが爆発しそうである。



「言い過ぎじゃないですかねぇ…。俺は学は無いが知識は有りますよ…?」



『頭が悪そう』と言う言葉に零は腹が立った為、言い返してしまった。




それと同時に零は藤宮桜花に認めて貰いたいと思った。


零は今まで、誰かに認めてもらいたいなど思った事が無かった。


だが、藤宮桜花を前にして初めて認めてもらいたいという感情が出た。




「へぇ?なら貴方の知識を試させて貰いたいわ。今度、学校から出る部活動の援助金の話を各部の代表者とやるんだけど、貴方の知識で私の茶道部の部費を増やして見せてくれるかしら?」



零は「ニヤッ」と笑った。

交渉は零の得意な事。それに各部の情報を得れば、使いようによっては幾らでも自分の優位に動かせられる。



「桜花先輩、アンタを驚かせてやるよ。俺にかかれば部費の交渉なんざ簡単よ。」


零はそう言い出ていく。


「ちょ、零くん?」


飛鳥は部屋を出ていった零を追いかける。
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