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第17章 少女漫画風味のデート!?
少女漫画のテンプレ
しおりを挟む「アミィール様だ!」
「セオドア様だ!」
「何故城下に!?」
「ありがたや、ありがたや!」
「わ、ちょ、えっ……!」
国民達が集まってきて、セオドアは目に見えて焦る。
うわー!バレてしまった!ラフェエル皇帝様との約束『目立つな』と『バレるな』、『力を使うな』という約束を破ってしまった!ど、どどど、どうすればいいんだ俺…………!?
そう慌てて言い淀むセオドアの手を、細く白い手が掴んだ。は、と我に返り見ると___悪戯っぽく笑うアミィール様。
「___セオ様、逃げちゃいますよ」
「え?……うわぁっ!」
アミィール様はそれだけ言って俺を物凄い強い力で引っ張ってきた。そして国民たちを掻き分けて走り出す。セオドアはされるがままになりながらパニックを起こす。
な、なんだこの少女漫画的展開!手を繋いだまま逃げる!ヒーローがヒロインに良くやるやつだ!とても乙女心が………というか早、早い!足が早すぎる!
とんでもない脚力の持ち主であるアミィールの足の速さは異常だ。ヒールだというのにそんなのお構い無しに走っていて、セオドアは必死に足を動かすのに精一杯だった。
* * *
「大丈夫でしょうか、セオドア様」
「だ、だ、大丈夫………ゴホゴホッ!」
人混みを抜けて、やっとアミィール様が足を止めた頃にはもう俺の息は切れていた。結局1度もアミィール様の前を走れず、それどころか俺のせいで足を止め心配させているのだからすごくかっこ悪い。今度から鍛錬の時ランニングも取り入れるべきだな……………
「…………申し訳ございません、手荒なことをしてしまい…………」
アミィール様はしゅん、と肩を窄めて俺に謝る。勿論、アミィール様が悪いわけではない。国民を傷つけようとする悪者を率先して倒した結果バレてしまったのだし、あのままあそこに居ては国民達からの質問攻めを受けていただろう。
____だから、そんなに謝らなくていい。
そう思ったセオドアは息を整えながら、優しくアミィールの頭に手を置いた。
「大丈夫だよ、本当は私が貴方を連れ出さなければならなかったのだから」
「………セオ様…………」
「それに____あ」
やっと視界が広くなった俺の目に__沢山の向日葵がはいった。まるで、皇城の向日葵畑のような場所。ここも季節を忘れて咲き誇っていて…………美しかった。
「ここは……………皇城か?」
「いいえ。ここは、まだ城下です。
此処は昔の皇妃を敬うために国民達が作り世話をしている"季節知らず"のひまわり畑です」
アミィール様はそれだけ言って、俺から目を離し近くにあったひまわりを見た。先程思った通り………いや、思った以上に、夕日と服装とひまわりがアミィール様の美しさを際立たせた。
あまりの美しさに見とれる俺を他所に、アミィール様は続ける。
「このひまわり畑、城にある物と似ていますでしょう?
___此処を模して作ったらしいのです」
「え…………?」
此処にもあるのであれば、態々作る必要はなかったのではないか………?なんで、わざわざ_____ッ!?
びゅう、と一際強い風が吹いた。俺は思わず目を瞑る。
そして、再び目を開けて_____驚いた。
「な、んで…………」
確かに夕日だった。確かにアミィール様といた。
なのに、俺は___太陽が照りつける青い空の下、ひまわり畑に囲まれて…………アミィール様の代わりにある2人の姿の近くに居た。
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