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第17章 少女漫画風味のデート!?

ひまわり畑の記憶 #1

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 セオドアは目を見開いていた。

 何が起きているのかわからない。
 俺はアミィール様のデートをしていて。
 楽しい時間を過ごして。
 少し事件があって。
 それでひまわり畑に来て。
 空には夕日が浮かんでいて。


 なのに。

 俺は_____青空の下、ある2人の人物の会話を見ていた。


 その2人にはよく見覚えがある。

 1人は、黒髪のストレートヘア、黄金色の瞳、アミィール様が今日着ていたワンピースと麦わら帽子を被った俺の知っている彼女よりも幼い………美女。

 もう1人は、愛おしい御方と同じ紅銀色の短い髪、紅い瞳の、俺の知っている彼よりも若い……………美青年。



 その2人が誰だか、疎い俺でもわかった。



 「_____アルティア皇妃様と、ラフェエル皇帝様……………?」



 そう、俺の若い義父母が太陽に照らされ、黄色の光の舞うひまわり畑の真ん中に、居るのだ。



 なんだこの空間?何が起きている?
 戸惑う俺を他所に、若いアルティア皇妃様とラフェエル皇帝様が会話をしている。




『……………凄いね、アトランティスの近くにこんなところがあったなんて、知らなかった』





『…………ああ』









『……………私、私ね、アトランティスから出て、沢山学んだよ』



 アルティア皇妃様はしみじみとそう言う。アトランティスって…………なんだ?そもそも、俺は何を見ている?…………なにが、起きている?

 困惑する俺を他所に、会話が続いていく。




『最初はただ、アトランティスから出れればなんでもよかった。いつでも逃げ出す気、満々だったんだ』







『………事実、逃げ出していただろう』



 会話の内容はわからない。けれど………2人とも、どこか悲しげだった。俺はもう思考をやめて見入っている。



『そうね、その節は迷惑かけたわ。でも最後まで話を聞いてよ。



 色んな人に会って、色んな精霊や妖精神と会って…………人間も神も大嫌いだったのに、いつの間にか好きな人が何人も増えていた。最近、気づいたんだけどね。





 でも、一番好きなのは_____』



 そこで、ラフェエル皇帝様はアルティア皇妃様に唇を重ねた。それを見て自然とこれが告白のシーンだと理解する。………俺は義父母の"記憶"を見ているのか………?どんな原理で……………とはいえ、すごく素敵なシュチュエーションだ。きっと、こうして結ばれて…………


 そう思っていたのに。

 長いキスを終えて、ラフェエル皇帝様が悲しげな顔で言った。




『その言葉は___言うな』



 「…………は?」


 思わず、俺は声を漏らした。けれども、聞こえていないらしく、アルティア皇妃様はこちらを見ることなく驚いた顔をして口を開いた。





『………………え?』







『お前が今言おうとした言葉は、私が生きてる間、絶対に言うな』



 なんで…………?
 すっかり乙女思考で見ていた俺の頭は疑問でいっぱいだ。ここは結ばれる展開だろう?


 アルティア皇妃様はこれを聞くなり、声を荒らげた。






『なんでよ!私の気持ちなんだから、私の勝手でしょ!ラフェー……いえ、ラフェエルが私と同じ気持ちじゃなくても、私はッ…………』







『同じ気持ちだから言うなと言っているんだ!』





「______!」



 そう言ったラフェエル様は___とても、とても悲しい顔をしていた。







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