異世界から魔王候補として召喚された

フミナベ

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ウォーミングアップとランキング戦開始

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【ラーバス学園・グランド】

クラスの皆は、グランドに出てウォーミングアップしている。

大成は、ジャンヌとウルミラと一緒に廊下を歩いていたら背後からイシリアに声を掛けられた。

「ねぇ、ジャンヌ、ウルミラ。ちょっと聞きたいことがあるのだけど。良いかしら?」

「珍しいわね。で、何?」

「ここでは、ちょっとね」

「わかったわ。大成、ごめんね。先に行ってて頂戴」

「わかった」
ジャンヌとウルミラはイシリアに呼ばれ、イシリアについていった。



【ラーバス学園・廊下】

何で、こんな流れになったのかと落ち込む大成は、仕方なくグランドに向かっていた途中…。

「あ、あのう…」
クラスメイトの女子が、大成に話しかける。

「ん?何?」
大成が振り返ると、大人しい印象の女子がいた。

「負けましょうか?」
「えっ!?」
女子が突然、意外な発言をしたので大成は驚いた。

「私が負ければ、大和君は男子から馬鹿にされないですよね」
「まぁ、そうだけど。でも、全力で来て欲しいな。その方が僕のためにもなるからね」
大成は、笑顔で頼んだ。

「フッ、フフフ…。笑ってごめんなさい。大和君の性格が面白かったから、つい…」
「ん?何か知らないけど、別に気にしてないから謝らなくっても良いよ」
女子生徒は、口元に手を当て笑ったので、大成は意味がわからず首を傾げた。

「ありがとう。じゃあ、全力で挑むね」
「うん、楽しみにしているよ」
女子生徒は、小さく手を振って立ち去っていった。


「大成さん。人が目を離したら、すぐに逢い引きするのですね。しかも、1回戦に当たる相手ですよ」

「あ、ウルミラ。もう話し終わったんだね。あと誤解だよ。逢い引きなんてしてないから。向こうから話し掛けてきたんだ。で、どんな人?」

「ルネルさんは優しく強い方ですよ。油断したら負けるかもしれません」

「あれ?でも、強いのに最下位?」

「そうですよ。自分が最下位になれば、最下位なる人がいなくなり、府垂れ腐る人が出ないという理由で、いつも棄権したり手を抜いて負けたりして最下位になってます。でも練習中の成績は、ほぼ負けなしで同い年で数少ない魔力値5です。しかも、家系が剣術の道場を開いており、剣術も騎士団の方達を勝つほどの腕前を持ってます。なので、真面目に試合をすれば、上位に組み込むのは確かです」
複雑な顔をしながら、ウルミラは説明をした。

ついでに、クラスの魔力値は、ジャンヌとウルミラ8、イシリアとマーケンス6、ルネル5で他は3と4だそうだ。


ウルミラは、自己犠牲する人をあまり見たくはなかった。
母・ウルシアも自己犠牲して、勇者からウルミラを守り、現在は封印され意識不明の状態だった。
この事は、まだ大成に報せていなかった。



【グランド】

大成とウルミラはグランドに出て、2人はウォーミングアップをし、ストレッチを始めた。


大成は地面に座り足を伸ばして、ウルミラから背中を押して貰っていた。

「もう少し強めに押しても大丈夫だよ。ウルミラ」
「わかりました。では、もう少し強く押しますね」
ウルミラは腕の力だけではなく、体重をかけて押した。

「す、凄いです!こんなに柔らかいなんて、大成さん凄いです!」
大成の体の軟らかさに、ウルミラはハイテンションだった。

「そ、そうかな」
(うぉ!ウルミラ、君の豊富な胸の方が柔らかいで凄いよ)
ウルミラは体全体を使い体重をかけて大成の背中を押す時、大成の背中にウルミラの豊富な胸が押し付けられていた。
やる気のなかった大成も、ある意味テンションが上がった。

「はい!凄いですよ!次は何をします」
「いや…。もう、ちょっとだけ、このままで…ハァ~幸せ~」
「た、大成さん!」
突然、ウルミラは慌てた声を出した。

「何?ウルミラ」
デレデレになって隙だらけの大成は周囲の警戒が疎かになっており、危険な状況に陥っているが全く気づかないでいた。

周囲のクラスメイト達は離れ、ウルミラも慌てて大成から離れた。

「ん?ウルミラどうした?もう少しだけお願い。ウルミバァ…」
ウルミラに頼もうとして、大成は後ろに振り返った。
ニヤついた大成の顔面にファイア・ボールが直撃した。


「ねぇ、大成あなたに聞きたいことがあるの?何が「幸せ~」なのかしら?それに、「もう少し」て何がもう少しなのかしらねぇ」
ジャンヌは、横に倒れてもがいている大成の姿を笑顔で見ながら質問した。

「あ、アツ!アツッ!熱い!…」
大成は、転げ回っていた。

「人が目を離した隙に何をしているの?ねぇ、何を思ったのかを正直に答えなさい大成」
ジャンヌの魔力が上がり右手に魔力が集中し、ファイア・アローを唱え炎の矢がジャンヌの周りに出現した。

「しょ、正直に言ったら、許してくれるのかな?」
「ええ」
大成は恐る恐るジャンヌの笑顔を見て、すぐ目を逸らして迷ったが覚悟を決め決断した。

「じゃあ、し、信じて正直に言うよ。ウルミラに、ウォーミングアップを手伝って貰っていたら、ウルミラの豊富な胸が背中に押し付けられ、とても柔らかくって幸せでした!」
静寂の中、大成は親指を立てキリッとした顔で心に思ったことをそのままに答えた声がグランドに響いた。


「ふぇ、ふぇぇ~!?」
ウルミラは、顔を真っ赤にしながら胸を隠すように両手を使いオドオドした。

そして、大成の周りのクラスメイト達は殺気立ち、大成を庇っていた女子達も冷たい目で大成を見た。
その目には、殺気が込められていた。

「なるほどね」
ジャンヌは笑顔のまま、ファイア・アローをキャンセルし消した。

「良かった…」
ホッとし胸を撫で下ろした大成だったが…。

「へ、ん、た、い、の病は、死ねば治るのかしらね?ねぇ、どう思う?大成。ファイア・ボール!」
ジャンヌは、右手を上に挙げて先程よりも比べ物にならないほどの大きな火球を作り出した。

「ちょ、ちょっと話が違うよ。ジャンヌ」
「違わないわよ。アローは許してあげたでしょう?」
「そ、そんな~」
涙目の大成に、ジャンヌは笑顔のまま容赦なくファイア・ボールを放った。
グランドに、大成の断末魔と轟音が響いた。


その後、マミューラが現れ大成達はグランドの中央に移動する。

「ククク…。では、始めるぞ。まずは、ルネルと大和前へ出てこい」
マミューラは、遠くから大成達のやり取りを見ており腹を抱えて笑っていた。

笑いが収まったマミューラは2人を呼び、ルネルと大成は前へと出た。
他の皆は、2人から離れた。


ルールは、簡単で相手に降参または気絶させたら勝利となる。
武器は木刀、棍棒、槌など木で出来た代物を選んで使用できる。(複数の武器は使用可能)

ルネルが木刀を選んだので、大成も木刀を選んだ。
ウルミラから、ルネルは剣術も結構な腕前と聞いていたので大成は期待をした。

「じゃあ、全力で行きますよ。大和君」
「お手柔らかにお願いしますね。ルネルさん」
(あ、あれ?さっきまでと同じ優しそうな顔だけど、般若みたいな顔が背中に見える)
ルネルの変化に大成は苦笑いした。


「それじゃ、始め!」
マミューラの開始の合図で、お互い魔力で身体強化をし前にダッシュして接近する。

「えっ!?」
「「えっ!?」」
ルネルと皆は驚愕した。
魔力値2の大成が、ルネルと同じぐらいの速さで動いていたからだ。

そして、お互い木刀を振り下ろし、鍔迫り合いになった。
大成は、ジリジリと後ろに押されていくが、障害物や場外のルールが無い広いグランドなので特に問題はなかった。


「おいおい、一体、どうなっているんだ?普通、魔力値2と5だぞ。お互い身体強化し激突したら編入生が吹っ飛ぶはずなのに、あいつは何故そうならない?」
男子は疑問に思い呟いた。

ジャンヌとウルミラが、説明しようと思った時…。

「簡単な話よ。大和君は身体強化を全身ではなく、必要な部分だけしか強化してないわ。しかも、必要ない部分の魔力を必要な部分に上乗せして強化しているから、魔力値が2でも4ぐらいの身体強化の効果が出ているわ。まぁ、言葉では簡単だけど実際は、とても難しいわ。私からして見ては、魔力コントロールだけなら化け物ね」
興味がなかったイシリアだったが、大成達の戦いを見て興味深い表情に変わり説明をした。

「流石ね、イシリア。一目見てわかるなんてね」
「流石です、イシリアさん」
「これくらい当たり前よ」
イシリアは平然と答えた。


「……。」
学園でトップクラスのイシリアに化け物と言わせるほどなのかと、クラスメイト達は息を呑んだ。

「チッ…。あいつ、口や態度だけの馬鹿じゃないってわけか」
イシリアの近くにいたマーケンスは、苦い虫を噛み潰したような顔をした。

大成は鍔迫り合いから、力を抜いてルネルの体勢を崩そうとしたが思ったより崩れなかった。
だが、その少し崩れた隙を大成は見逃さなかった。

少し体勢が崩れた瞬間、ルネルの木刀を上から叩きつけた。
ルネルの木刀は地面に落ち、大成は木刀をルネルの顔の前で止めた。

周りが静寂になっていた。

「私の負けね。参りました」
ルネルは瞳を閉じて降参した。

「勝者、大和」
マミューラが勝利宣言をした。


「……」
未だにクラスメイト達は、誰も言葉がでなかった。
イシリアとマーケンスも呆然としていたが、ジャンヌとウルミラは笑顔でお互いの顔を見た。

(これほどとはな…)
審判をしていたマミューラは、口元に薄らと笑みを浮かべていた。


「マ、マジかよ。あのルネルに勝つなんて…」
「や、ヤバイ!俺、負けるかも…」
「す、凄い!大和君凄い!」
1人の男子が言葉を出し、皆は我に返って騒ぎ始めた。


そんな中、イシリアがマーケンスに歩み寄る。
「これだと、私達も闘うかもしれないわね?マーケンス」
「だな。まぁ、負ける気はしないけどな。だから、お前の番まで回らねぇよ」
「フフフ…。どうかしら?楽しみだわ」
「おい!」
大成の強さを見てイシリアは嬉しくなり微笑み、逆にマーケンスはイシリアの対応に苛立った。


2人は大成と闘うことになりそうなので、念入りに体をほぐすためその場から離れた。
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