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第一章
選ぶ者、選ばれぬ者③
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舞踏会から2週間後、公爵家全員が王宮に呼び出された。
父は口を真一文字に結んだまま、どの要件なのかは一切喋らない。義母とエリナは楽観的で、心を弾ませながら大いに着飾ってきていた。
私は、舞踏会が終わってからレオナルト様が急に多忙となり、お茶会が一度も開かれなかったことに疑問を抱いていたので、不安しかなかった。
王城に着くと、侍従が応接間に通してくれた。硬い椅子に腰を下ろす。空気は冷たく、息をするだけで胸が押し潰されそうだった。
すでに隣室で待っていたのだろう、国王とレオナルト様が間を置かずして入ってきた。形式ばった挨拶をするや否や、国王に促され、レオナルト様が淡々と話し出す。
「リシェル、まずは――これまで婚約者としての務めに励んでくれたことを感謝する」
膝の上に重ねた両手に力を込める。紡がれる言葉が不安で仕方がない。
レオナルト様と目が合っているはずなのに、どこを見ているかわからない。また透明人間になっている気がする。
「だが、今後、王太子妃としての座には、よりふさわしい者を迎えることに決まった」
鼓動が一瞬止まったかと思った。視界がかすむ。
「……それは、どういう意味でしょうか」
声が震えているのを自覚する。父は苦い顔をして沈黙し、義母は戸惑いの表情を浮かべるもエリナの緊張した面持ちを見て、彼女に手を重ねた。
「君に非はない。君は十分に務めを果たした。しかし、これから王家が求めるのは、君の義妹――エリナ嬢のような、より広い交友関係と家格を持つ者だ」
「非はない」と繰り返しながらも、私の心を突き刺す言葉。情も迷いもなく、理屈だけが冷たく降りかかる。
視界の隅で、エリナが嬉しそうに義母に視線を向けるのを見て、胸の奥がひりついた。父の視線は床に落ち、守ってくれる気配は微塵もない。
誰一人として私を庇わなかった。
「リシェル。僕は君を傷つけたくはない。だから、これは“円満な婚約解消”とする。王家も公爵家も、君に対して感謝と敬意を表するだろう」
円満、感謝、敬意――その言葉は、私の胸に深く刺さる刃だった。
「……承知いたしました。謹んで婚約解消を承りました。」
「これからは、臣下として王家に力を貸してほしい」
レオナルト様の声は冷たく、揺るぎがない。
こんな時にも、彼の瞳の中に情が灯っているか探ってしまう自分がいる。ついぞ見つけることはできず、私の返答は、ただ静かに、小さく頭を下げるしかなかった。
全てが、音を立てて崩れ落ちた。未来を賭けて努力してきた日々も、耐え続けてきた孤独も、意味を失った。
椅子の冷たさが、肌に突き刺さる。呼吸が重く、鼓動が耳の奥で響く。
ああ、私はやはり、どこにも居場所がないのだ――。
私は息を整え、もう二度と戻らぬ未来を思い描く。
その瞬間、心の中で何かが折れた。
婚約者として頑張ってきた私、孤独の中で耐えてきた私、すべてが空虚に変わった。
「リシェル嬢」
低く静かな声に、私は自然と姿勢を正す。
国王の目は、冷たくも温かくもない。だがその奥に、王家の意志がひそんでいるのを感じた。
「愚息からも説明があったが、これまで婚約者としての務めに励んでくれたことを感謝する」
どんなに褒められたとしてももう心には何も響かない。今度は何を言われるのだろうか。
「だが今後、君には別の形で王家に尽くしてもらうことを考えている」
思わず息を呑む。私は唇をかみしめ、視線を伏せる。これ以上、私に何を望むというのだろうか。
「王太子妃のための教育を活かし、君には文化交流を通じ、ライゼルト王国で経験を積んでもらいたい」
耳を疑った。ライゼルト王国での文化交流――それは、学びの場であると同時に、王家の都合で私を遠ざける方便でしかない。国王は言葉を続ける。
「君が将来、臣下の一員としてふさわしい人格と教養を備えるための最良の策だ。…アレク殿下も、若くして文化や外交に励むことがどれほど自身を豊かにするかを示している。もちろん、強制ではない。君の希望に基づく形として、文化交流への参加を認めるつもりだ。だが、王家としても最善の道であると判断している」
強制ではない――名目はそう言われたが、胸の奥で私は知っていた。選択の余地などない。王家の理に従わざるを得ない。婚約解消で王家の瑕疵になりそうな私を放逐する名目上の指示なのだ。
「アレク殿下の留学も後一月ほどで終える。共にライゼルト王国へ行き、研鑽に励むように。期限は、問わない。」
アレク様の笑顔が胸に浮かんで消えた。わずかに希望の光が灯る。
文化交流の場では、自分の意思で学び、自由に選択できる。何よりアレク様が近くにいる。心を少しずつ取り戻せるかもしれない――。
「公爵よ。この一月は学園には行かせずとも良い。リシェル嬢の隣国行きの準備期間とするが良い。」
「御意」
「リシェル嬢もよいな。」
私は小さく息をつき、頭を下げた。
「……承知いたしました」
国王は静かに頷き、そして続ける。
「公爵家も、王家も、君の尽力に深く感謝している。君がこの経験を通して成長することは、王家にとっても喜ばしいことだろう」
円満な形。感謝と敬意。
どれも、私の胸を刺す言葉にしかならない。けれど、同時に、遠くへ行くことが、今の私には救いにも思えた。
帰り道、義母とエリナは先に帰り、馬車の中は父と2人きりとなった。父は相変わらず眉間に皺を寄せ、無言のままだ。別に慰めてもらえるとも思っていないし、励まされているとも思ってない。
(案外、薄情なのね、私)
窓の外、夜風が頬を撫で、心の奥に沈んだ孤独がひとしずく溶けていく。
私はそっと胸に手を当て、決意を固める。
――せっかくなら楽しみましょう。
レオナルト様から離れ、家族から離れ、国から離れる。私に残るものは何かしら。いえ、これから未来を自分で作っていくのよ、頑張りなさい、リシェル。見上げた星空が美しく瞬いていた。
父は口を真一文字に結んだまま、どの要件なのかは一切喋らない。義母とエリナは楽観的で、心を弾ませながら大いに着飾ってきていた。
私は、舞踏会が終わってからレオナルト様が急に多忙となり、お茶会が一度も開かれなかったことに疑問を抱いていたので、不安しかなかった。
王城に着くと、侍従が応接間に通してくれた。硬い椅子に腰を下ろす。空気は冷たく、息をするだけで胸が押し潰されそうだった。
すでに隣室で待っていたのだろう、国王とレオナルト様が間を置かずして入ってきた。形式ばった挨拶をするや否や、国王に促され、レオナルト様が淡々と話し出す。
「リシェル、まずは――これまで婚約者としての務めに励んでくれたことを感謝する」
膝の上に重ねた両手に力を込める。紡がれる言葉が不安で仕方がない。
レオナルト様と目が合っているはずなのに、どこを見ているかわからない。また透明人間になっている気がする。
「だが、今後、王太子妃としての座には、よりふさわしい者を迎えることに決まった」
鼓動が一瞬止まったかと思った。視界がかすむ。
「……それは、どういう意味でしょうか」
声が震えているのを自覚する。父は苦い顔をして沈黙し、義母は戸惑いの表情を浮かべるもエリナの緊張した面持ちを見て、彼女に手を重ねた。
「君に非はない。君は十分に務めを果たした。しかし、これから王家が求めるのは、君の義妹――エリナ嬢のような、より広い交友関係と家格を持つ者だ」
「非はない」と繰り返しながらも、私の心を突き刺す言葉。情も迷いもなく、理屈だけが冷たく降りかかる。
視界の隅で、エリナが嬉しそうに義母に視線を向けるのを見て、胸の奥がひりついた。父の視線は床に落ち、守ってくれる気配は微塵もない。
誰一人として私を庇わなかった。
「リシェル。僕は君を傷つけたくはない。だから、これは“円満な婚約解消”とする。王家も公爵家も、君に対して感謝と敬意を表するだろう」
円満、感謝、敬意――その言葉は、私の胸に深く刺さる刃だった。
「……承知いたしました。謹んで婚約解消を承りました。」
「これからは、臣下として王家に力を貸してほしい」
レオナルト様の声は冷たく、揺るぎがない。
こんな時にも、彼の瞳の中に情が灯っているか探ってしまう自分がいる。ついぞ見つけることはできず、私の返答は、ただ静かに、小さく頭を下げるしかなかった。
全てが、音を立てて崩れ落ちた。未来を賭けて努力してきた日々も、耐え続けてきた孤独も、意味を失った。
椅子の冷たさが、肌に突き刺さる。呼吸が重く、鼓動が耳の奥で響く。
ああ、私はやはり、どこにも居場所がないのだ――。
私は息を整え、もう二度と戻らぬ未来を思い描く。
その瞬間、心の中で何かが折れた。
婚約者として頑張ってきた私、孤独の中で耐えてきた私、すべてが空虚に変わった。
「リシェル嬢」
低く静かな声に、私は自然と姿勢を正す。
国王の目は、冷たくも温かくもない。だがその奥に、王家の意志がひそんでいるのを感じた。
「愚息からも説明があったが、これまで婚約者としての務めに励んでくれたことを感謝する」
どんなに褒められたとしてももう心には何も響かない。今度は何を言われるのだろうか。
「だが今後、君には別の形で王家に尽くしてもらうことを考えている」
思わず息を呑む。私は唇をかみしめ、視線を伏せる。これ以上、私に何を望むというのだろうか。
「王太子妃のための教育を活かし、君には文化交流を通じ、ライゼルト王国で経験を積んでもらいたい」
耳を疑った。ライゼルト王国での文化交流――それは、学びの場であると同時に、王家の都合で私を遠ざける方便でしかない。国王は言葉を続ける。
「君が将来、臣下の一員としてふさわしい人格と教養を備えるための最良の策だ。…アレク殿下も、若くして文化や外交に励むことがどれほど自身を豊かにするかを示している。もちろん、強制ではない。君の希望に基づく形として、文化交流への参加を認めるつもりだ。だが、王家としても最善の道であると判断している」
強制ではない――名目はそう言われたが、胸の奥で私は知っていた。選択の余地などない。王家の理に従わざるを得ない。婚約解消で王家の瑕疵になりそうな私を放逐する名目上の指示なのだ。
「アレク殿下の留学も後一月ほどで終える。共にライゼルト王国へ行き、研鑽に励むように。期限は、問わない。」
アレク様の笑顔が胸に浮かんで消えた。わずかに希望の光が灯る。
文化交流の場では、自分の意思で学び、自由に選択できる。何よりアレク様が近くにいる。心を少しずつ取り戻せるかもしれない――。
「公爵よ。この一月は学園には行かせずとも良い。リシェル嬢の隣国行きの準備期間とするが良い。」
「御意」
「リシェル嬢もよいな。」
私は小さく息をつき、頭を下げた。
「……承知いたしました」
国王は静かに頷き、そして続ける。
「公爵家も、王家も、君の尽力に深く感謝している。君がこの経験を通して成長することは、王家にとっても喜ばしいことだろう」
円満な形。感謝と敬意。
どれも、私の胸を刺す言葉にしかならない。けれど、同時に、遠くへ行くことが、今の私には救いにも思えた。
帰り道、義母とエリナは先に帰り、馬車の中は父と2人きりとなった。父は相変わらず眉間に皺を寄せ、無言のままだ。別に慰めてもらえるとも思っていないし、励まされているとも思ってない。
(案外、薄情なのね、私)
窓の外、夜風が頬を撫で、心の奥に沈んだ孤独がひとしずく溶けていく。
私はそっと胸に手を当て、決意を固める。
――せっかくなら楽しみましょう。
レオナルト様から離れ、家族から離れ、国から離れる。私に残るものは何かしら。いえ、これから未来を自分で作っていくのよ、頑張りなさい、リシェル。見上げた星空が美しく瞬いていた。
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