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第1章 ちゃんとして下さい。
しおりを挟む「ちょっと、愛さん」
ソファーでお世辞にも綺麗とはいえない。そして女とは思えない寝姿で寝ている女に男が声をかける
「うるさい」
「そろそろ事務所開ける時間ですよ?」
「眠いから休む」
「そんな事言って、ここが実家でテナント料かからないからって……」
「じゃあいいじゃん」
「また、電気止められますよ」
「電気なんかなくても生きていける」
「そういう問題じゃないでしょ」
「ったく新はうるさいんだから」
「心配してるんです」
「お前はあたしのオカンか!」
「せめてオトンといいましょうか」
「自炊、洗濯、料理、裁縫、その他諸々。こんなに家事ができたらオトンじゃなくてオカンだろ。あたしより女子力あるじゃん」
確かに。
新は家事全般なんでもできてしまう。
それに比べて愛はなにもできない。
そう、女子なのに女子力のカケラもないのだ。
「愛さんもちゃんと女子力身につけて下さいね?」
「そんなモン身に付ける暇があったらあたしは推理力を上げる。事件を解く」
愛はこういう人間だ。
一に事件
二に推理
三に捜査
と全くといっていいほど探偵業務以外に興味がないのだ。
探偵になるまで何やってたのか、高校時代から付やらせて!
「じゃあ、大好きな推理、捜査、事件の為に事務所開けますね」
「あと15分寝かせて」
「ダメです」
「新の鬼!」
「僕から言わせれば貴女のほうが鬼ですよ! 家事全部やらせて! 事務仕事全部やらせて! いくらただで住まわせてもらってるからといっても限度ってモンが!」
「わーった、わーった! はいはい、開けましょう」
「まったく」
かくして、今日も2人の探偵業務がはじまった。
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