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第11章 父がお世話になりました
しおりを挟む「よし。新はちゃんと寝てるンだぞ」
「わかってますって!」
愛は枡田を追い返して新を覗き込む。
ちょっと、愛さん。アングルが……
「よし、じゃあな」
「いってらっしゃい」
「おぅ」
愛はたから屋へアルバイトという名の内偵調査に向かった。
。・*・:♪
「おはようございます!」
10:45にたから屋に入る。
11:00入りのシフトだった。
そろそろランチタイムだ。
「おう! おはよう、愛ちゃん! えっとね、上田がホールの仕事は教えてくれるから、上田~!」
「うっす、了解ッ す」
あぁ、あの金パのあんちゃん。
「ども、自分、上田と言います。よろしくッス」
「あ、こちらこそ宜しくお願いします」
仕事になるとスイッチが入る。
言葉遣いや表情も一変して、別人になる。
「ホールの経験はあるンすよね?」
「はい、何箇所か」
「ラーメン屋さんはあるッスか?」
「うーん、居酒屋さんならあります」
「じゃあ、あの宮野の兄ちゃんよりは通じるか……」
と、上田は聞こえないように言ったようだが、愛は地獄耳。
もちろん聞き取っていた。
仕事中に腹を立てても表情
に出さない。
任務に、業務に支障をきたすから。
かたては感情的にもなったな、と遠い昔を思い出す。
「んじゃあ、教えてます! 詳しい事は実際やった方が分かると思うんで」
「はーい!」
「んじゃ、着替えて来て下さい」
「了解です!」
。・*・:♪
愛は更衣室にはいり鍵を掛けてその扉にもたれた。
はぁ……
今日はホールか。情報拾えるか?
しかも昼番だろ? 難しそうだな、
延長させてもらうか?
うーん、
だいたいは読めたんだが、証拠がない、
愛は思いつつも着替えて鍵を開けてホールへ向かった。
。・*・:♪
「いらっしゃいませー!」
愛はあたりが驚くほど見事に業務をこなした。まるで何年もそこで働いているかの様に。
1度聞いたらすぐ憶える、ミスがない、細やかなサービスができる。
などなど。客からのクレームなどが一切なかった。
新の様にレジでパニクる事も、もちろんなかった。
「へい、らっしゃい!」
「愛ちゃん流石だねー! 全然初めてに見えないよ」
「だから、居酒屋さんでは働いてた事あるンですよ~! なんか似てるンで憶えやすいです」
まぁ、ここはよく来てたからホールの動きはだいたい把握して、厨房の中も予想できたけど、実際入ると見え方は変わる。
先代……
あンたやっぱり……
そして、今の店長は……
頭を2、3度横に振り、データがなければ意味がない、証拠がなければ……
そう思いつつ激務をこなした、
。・*・:♪
客足も落ち着いてきた14:30頃
「店長!」
年配の男性が店長を呼ぶ。
「あぁ! 安東さん! 父がお世話になりました!」
「いーの、いーの! また、食べにくるし麻雀やろうって言っといてな」
「あ、はい」
「あれ? 俺から言った方がいいかな? 先代どこにいる?」
「あぁ、父ならちょっと検査入院で」
愛は2つ後ろのテーブルで注文をとっていたが、愛の耳は、はっきりと聞き取った。
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