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カルテによると、被害に遭った楓は、ある日を境に自身を男だと思い込む事で強姦された事実を消そうとした。
記憶が戻った際に血液に過剰反応するのは暴行を受けた際に出血をした為だ。
あの日、あの後すぐにアフターピルを処方された彼女は幸いにも妊娠はしなかった。
強姦だったので屈辱的な検査はされたが。
だが、彼女が自分自身に掛けたマインドコントールはすぐに解ける。
そして、また、眠りにつくと彼女の記憶は無くなる。
医師も半分お手上げ状態で、まだ、治療の方針が定まらない。
入院当初はマインドコントロールを掛ける事もなかったが、一瞬たりとも忘れる事が出来なかった。
忘れる事は出来るが、ある鍵で全てを強制的に思い出させている、それと、どちらが辛いのだろうか?
楓は何故、その様な事をわざわざしているのか。
それはまだ先の話だ、
今は、全て覚えている。
記憶は保持されたまま。
辛い記憶の中にいる。
事件の翌日、保護された日は普通病棟に検査入院をさせられた。
色んな検査室をたらい回しにされる。
最初はなんとなく、平穏に、入院生活を送って居た。
床上安静を徹底し、個室対応。TVも見させない。
警察関係者も記者やマスコミも入れない。
完璧な対策をしていたが、ある日、1人の心ない記者が病室に忍び込み、楓にマイクを向けた。
その日から、1人が入ったなら同じだろうと言わんばかりに毎日警察が楓を訪ねて来た。
最初は女性警官だった。ふくよかで、優しい目をした可愛らしい女性だった。
優しく、たわいもない事を話しては帰って、時々、女の子が好きそうなお菓子や小物を持ってきてくれた。
楓は少し、その女性警官に心を許し始めていた。
この人になら話せるかも、話してみようかな。
そう思った日、彼女は来なかった。
その日、代わりに来たのは神経質そうな男性警官だった。
彼女の行方を聞くと、あまりにも聞き出せないから担当を外したと言われた。
早く話せよ。
乱暴に言われた。
楓は雅人達を思い出し、震えが止まらなくなった。
その日は異変を察知した看護師が駆けつけ、安静剤を打たれて、警察は帰された。
しかし、翌日になれば当然の様に彼はやってくる。
やはり乱暴な口調で問い質される。
私は、悪くないのに、なんでこんな怖い目に遭わなきゃいけないの。
楓は再び、絶望の淵に立たされた。
それが何日か続いたある日、母親が見舞いに来た。
果物を頂いたの。食べる?
楓に聞く。
楓は力なく頷いた。
楓の母親は器用に果物を剥き始めた。
キラッと果物ナイフが光る。
その時、母親の携帯が鳴った。
「あら、お父さんからだわ。ちょっと出てくるわね」
そう言って、果物と果物ナイフを皿の上に置き、母親は席を外した。
その、ナイフを楓は手に取った。
そして、自らの脇腹に刺した。
脇腹がじんわりと熱を持った。
血が滲んでくる。
痛い 痛い 痛い 怖い 怖い 痛い 怖い
血を見て、あの日の事が今までで1番鮮やかに、より、鮮明に湧き上がる。
「うわああああああああああ!」
楓は叫び声を上げた。
それを聞きつけた、母親とナースがやってきた。
緊急オペが始まった。
幸い、傷は浅く、消毒と縫合のみで済んだ。
2018年8月30日の事だった。
これが楓の1度目の自殺未遂。
その日から楓は大事を取って精神科の隔離病棟へ移された。
精神を完全に壊した楓は年が明けるまでそこに居た。
年が明けて、精神科の1人部屋に入れられた。
何も喋らず、壊れた人形の様だった。
その頃から楓の担当は藤宮だった。
逆に、相部屋にすれば話す様になるのか?
そう考えた医師らは楓を相部屋に引っ越させた。
2019年2月13日の事だった。
記憶が戻った際に血液に過剰反応するのは暴行を受けた際に出血をした為だ。
あの日、あの後すぐにアフターピルを処方された彼女は幸いにも妊娠はしなかった。
強姦だったので屈辱的な検査はされたが。
だが、彼女が自分自身に掛けたマインドコントールはすぐに解ける。
そして、また、眠りにつくと彼女の記憶は無くなる。
医師も半分お手上げ状態で、まだ、治療の方針が定まらない。
入院当初はマインドコントロールを掛ける事もなかったが、一瞬たりとも忘れる事が出来なかった。
忘れる事は出来るが、ある鍵で全てを強制的に思い出させている、それと、どちらが辛いのだろうか?
楓は何故、その様な事をわざわざしているのか。
それはまだ先の話だ、
今は、全て覚えている。
記憶は保持されたまま。
辛い記憶の中にいる。
事件の翌日、保護された日は普通病棟に検査入院をさせられた。
色んな検査室をたらい回しにされる。
最初はなんとなく、平穏に、入院生活を送って居た。
床上安静を徹底し、個室対応。TVも見させない。
警察関係者も記者やマスコミも入れない。
完璧な対策をしていたが、ある日、1人の心ない記者が病室に忍び込み、楓にマイクを向けた。
その日から、1人が入ったなら同じだろうと言わんばかりに毎日警察が楓を訪ねて来た。
最初は女性警官だった。ふくよかで、優しい目をした可愛らしい女性だった。
優しく、たわいもない事を話しては帰って、時々、女の子が好きそうなお菓子や小物を持ってきてくれた。
楓は少し、その女性警官に心を許し始めていた。
この人になら話せるかも、話してみようかな。
そう思った日、彼女は来なかった。
その日、代わりに来たのは神経質そうな男性警官だった。
彼女の行方を聞くと、あまりにも聞き出せないから担当を外したと言われた。
早く話せよ。
乱暴に言われた。
楓は雅人達を思い出し、震えが止まらなくなった。
その日は異変を察知した看護師が駆けつけ、安静剤を打たれて、警察は帰された。
しかし、翌日になれば当然の様に彼はやってくる。
やはり乱暴な口調で問い質される。
私は、悪くないのに、なんでこんな怖い目に遭わなきゃいけないの。
楓は再び、絶望の淵に立たされた。
それが何日か続いたある日、母親が見舞いに来た。
果物を頂いたの。食べる?
楓に聞く。
楓は力なく頷いた。
楓の母親は器用に果物を剥き始めた。
キラッと果物ナイフが光る。
その時、母親の携帯が鳴った。
「あら、お父さんからだわ。ちょっと出てくるわね」
そう言って、果物と果物ナイフを皿の上に置き、母親は席を外した。
その、ナイフを楓は手に取った。
そして、自らの脇腹に刺した。
脇腹がじんわりと熱を持った。
血が滲んでくる。
痛い 痛い 痛い 怖い 怖い 痛い 怖い
血を見て、あの日の事が今までで1番鮮やかに、より、鮮明に湧き上がる。
「うわああああああああああ!」
楓は叫び声を上げた。
それを聞きつけた、母親とナースがやってきた。
緊急オペが始まった。
幸い、傷は浅く、消毒と縫合のみで済んだ。
2018年8月30日の事だった。
これが楓の1度目の自殺未遂。
その日から楓は大事を取って精神科の隔離病棟へ移された。
精神を完全に壊した楓は年が明けるまでそこに居た。
年が明けて、精神科の1人部屋に入れられた。
何も喋らず、壊れた人形の様だった。
その頃から楓の担当は藤宮だった。
逆に、相部屋にすれば話す様になるのか?
そう考えた医師らは楓を相部屋に引っ越させた。
2019年2月13日の事だった。
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