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田舎に住む つきあってるさけむす

夏の日(R18)

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「むすびくん。ただいま」
「おかえり」
 近所の井戸端会議で戦利品のスイカをもらって帰ると居間のクーラーが壊れたと朝から機嫌が悪かった結くんが扇風機を陣取ってる。寝室にクーラーが付いているだから、そこに避難していればいいのに。タンクトップに短パンでソーダ味のアイスを咥えて過ごす子を見下ろす。こんな姿を見て煩悩に塗れるのはもう自分だけだと信じたいが、このちんちくりんが何故か男にモテるのは今に始まったことじゃない。ここいらの人間なら兎も角、心配だ。過保護だなんて思われても仕方ない。
 結くんの前にしゃがんで、首元がゆるゆるのタンクトップの裾をぺろんと胸の上まで上げる。何故なのか。この子は俺とそういうことをしているというのに、警戒心というか意識をどっかで溶けて落としたかな?
「はぁ」
「なに。鮭川、俺の顔見て溜息とか失礼過ぎる」
「結くん、俺ね。結くんがこれで玄関出てきたら、抱くと思う」
「なっ」
「警戒心を、ちょっと養ってもらいたいなって」
「警戒心? 鮭川に?」
「そこは持たなくていいような、でも意識はしてほしいような、複雑だな」
「面倒くさい話? 暑いから、あんまり考えられない」
「うん」
「ねぇ、暑いからあんまり、くっつく……な」
「顔、真っ赤」
 身体を少し前に出して、文句を言う結くんの唇にちょんっと口を押し付ける。アイスを食べていたから、口が冷たくて気持ちいい。手に持ったアイスは溶ける前に俺が食べた。文句を言わなくなったのは最近。ただ、恥ずかしいみたいで、顔を手で覆い隠すからその隙に小さな身体を抱き込む。結くんは高校の時から身長は変わらなくて身長差は二十センチくらいあるから、すっぽりと俺の身体に埋もれる。 
「ひっ」
「何その悲鳴。可愛い」
 指を引っ掛けて、タンクトップが下に下がらないようにしているのに気づかない結くんは、漸く慌てて下ろそうとしているけど、中々下りなくて焦っている。ニコリと笑うと、たらりと結くんは汗を垂らして俺に腕の中から出ようとする。結くんの耳に髪を引っ掛けて撫でる。これが好きらしくて、すると照れたように大人しくなる。
「結くん、俺が散々触ったから大きくなった?」
「な、なってない!」
「そう? 前より、ぽてってしてる気がする」
「なんで、触るの」
「なんでって……」
 結くんが可愛くなるから。こんなことなら、高校の時に手を出しておくべきだった。いや、今でさえ、若干の犯罪臭と罪悪感はあるから、あの時は無理だったかも。後藤のやつ、よく真っ直ぐに欲情出来てたなって思う。結くんの顔を上に向くように固定して、下を向いてキスをする。文句を言いそうだったから、唾液をたくさん含んで舌を突っ込むと喋れなくなってしまった。可哀想で、かわいい。口から溢れたどちらかわからない唾液を掬って、結くんの口の端をなぞる。もう片手で、胸に指を引っ掛けて先端を指で弄ぶ。最初は全然気持ちよさそうじゃないし、なんでそんなとこ触るんだって言ってて俺も半信半疑だったけど、一週間ほどで開発完了してしまった。流石にここだけでイクのは、まだショックで泣いてしまうかもしれないから、時間を掛けようとは思うけど。
「んっ」
「結くんって、ちょっと痛い方が気持ちいい?」
「きもちくない」
「そう? ちょっと痛かったかなって思った時の方が反応いいから」
「触んな」
 触んなって言う割に、小さな口を開けて俺がキスするのを待ってる。少し甘やかしすぎたかもしれない。
「結くん、この布一枚で来客対応したりなんかしたら、俺怒るよ。ぺろんってこんなに簡単にめくれちゃうでしょ」
「捲るのなんて、鮭川だけだもん」
「んー」
「ちゅう、ちゅーしたい。ぁっ」
 乳首の先を摘まんだり、カリカリすると結くんが口元を抑えて少し声が漏れる。ちゅーしたいのに、してやらないから怒ったのか、ほっぺを膨らませている。胸を暫く弄ってると、気持ちよくなってきたのか背中が反ってくるから、正面から抱きしめ直して、自分の上に乗せて結くんの小さなお尻を撫でた。
「んー、まだ全然挿入らないよね」
「?」
「はぁ」
 この子は、男の俺が好きだと言っていたので、なんとなく男同士のやり方は知ってはいるものの、俺が自分にいれるという考えはないらしい。長年好きじゃないと言っていた俺のせいでもあるんだけど。だけど、俺が告白する前に、何を血迷ったか欲の発散するつもりで結くんが購入したおもちゃを使っては絶対欲しくない。結くんの処女が玩具とか嫌すぎる。他の男のとこいったらどうしようとか、こっちは大変だったわけだけど。まだ、信じてはくれていないのかもしれない。
「鮭川、お尻にあたる。硬いの」
「ん。ごめんね」
「ちゅーで許す」
「わかったわかった」
「ちがうぅー」
 べーっと舌を見せてから、結くんの乳首に吸い付くと後ろ髪を引っ張られる。そこまで強い力でないから、ちょっと面白くて笑いそうになる。ズボンの上から、ぎゅーっと尻たぶを掴んで、わざとらしく舐めると、結くんは足を擦り合わせてもじもじしている。身体はこんなになっても、ちゅーを優先したいのは少女漫画脳なのは流石というべきか。
「う……ゃあっ」
「ここ、今日はどうしてほしい? また舐めてあげようか。でも結くん、すぐイッちゃうし、舐めた後にキスすると怒るし」
 キスとちょっと触っただけで、もうぐずぐずになってしまった。今まで、よく無事でいてくれたとげんきんな上に気持ち悪いことを思ってしまう。
「またメスイキ「いおり」
「……はい」
「動かないで」
「それは、拷問なんだけど」
 なんて罰ゲーム。ちゅっちゅって猫の赤ちゃんにキスでもされてんのか、なんなのか。本人は俺の首のあたりにキスマをつけようと必死なようだけど、下手くそにも程がある。うまくいかなくて、勝手に怒って、頬っぺたを齧られた。俺も結くんの身体をどんどん変えているけど、結くんもまた俺の性癖の扉をどんどん開いて行ってる気がする。下半身が、凄く痛い。
「それじゃあ、御礼ね」
 この後、ぶん殴られるんだろうが。結くんのズボンに指を引っ掛けて、一気に下ろす。閉じる前に両足の膝裏を抱き込んで、結くんの下腹部に顔を埋めた。
「あっ、やだっ。すぐでちゃうから、やぁ」
「かわいいね」
 口に含むと、悲鳴にも似た喘ぎ声が上から降って来て、次第に声が甘いものに変わっていく。俺の肩に手をついて、蕩けた顔をした結くんは妙に色っぽい顔をして俺の口の中に白濁を吐き出した。
「いくいく、いっちゃうっ」
 



「お前、また結に何かしたの? その頬、噛まれた上に叩かれたの?」
「飴と鞭ってやつ。濃ゆいちゅーしたら、殴られた。タイミングが違ったらしい」
 まぁ、自分の精液飲まされたら、俺でも怒るか。……結くんならどうだろ。結局あの後、結くんは寝ちゃったから、俺は一人虚しく抜いたし。あの子、出したらすぐ寝ちゃうから。
「嬉しそうだな」
「俺って結くんと付き合ってから、煩悩にまみれてるなって思って。なんか生きてるって感じ」
「もっと他にあると思うけど。生きてる実感とか」
「まぁ、今ここにいること自体が、夢みたいなことだから」
「俺まだ高校生だけど、あんたみたいな人生は送りたくないな。あんま知りたくもないし」
「恋愛相談をしてきたのはそっちなのに」
「ただ、男同士の恋愛がどんなもんか知りたかっただけ」
「好きな子と上手くいく参考にしたまえ」
「絶対参考にならない」
 
 
 
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