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田舎に住む つきあってないさけむす

鮭川くんの発情期(R18)

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 ここ二、三日で、伊織が発情期を迎えたようだ。犬や猫ではないから、比喩なのだけど。俺でも興奮出来るということが最近になって発覚した。
「結くん、抱っこしていい?」
 普段勝手にあちこち触って来る癖に、発情期になってからはきちんと許可を取って来る。最初は何か分からなくてソファーの上で困惑していると勝手に抱き上げて、寝室に連れて行かれる。それから、切羽詰まった顔でフーフーと荒い息を抑えるように、全身で呼吸する。初めてこれに遭遇した時は殺されるかと思ったんだ。それで俺を抱きすくめて、吸って、短パンの上からお手を下から支えるようにしてお尻を撫でてくる。伊織のが当たるし、荒い息が耳に掛かって、伝染したように俺の息も自然と上がる。腕の中で縮こまると、伊織の腕の力も少し強くなる。いつも俺のを勝手に抜いてきたり、俺の気持ちいいことしかしない伊織。俺も何かしてあげた方がいいとは思うけど、付き合ってるわけじゃないから、こんな風に改めて申し出るのもおかしな話だと思う。……そもそもどう扱ったらいいか分からない。伊織がつらそう。この前、そういうお店に言って来たって言ってた。かなりモヤモヤするけど、比べられたらたまったものじゃない。ここ数日は、そういうところに行けない理由でもあるんだろうか。
「いおり」
「黙ってて」
 おずおずと伊織の背中に手を回そうとする。恋人同士じゃないけどこういう時は、俺も抱き着いていいんだよね。あちこち熱くて、顔も赤くて恥ずかしくて耐えられないけど、伊織が揶揄うようなこと言って来ないから、少し素直になれるこの時間が嫌いじゃないかもしれない。俺はきっとうまくできないけど、このくらいなら出来る。上を向いて、伊織の顔を覗き込む。目が合って、逸らされそうになったから、口を小さくあけて伊織の下唇の端にかぷりと嚙みついた。ちょっと今のは失敗したかもしれないけど、俺も、ちゅうくらいならできる。
「あ?」


 結くんが煽るから行けなかったと思う。俺は随分と我慢していたし、優しくしようとしていた。こんな冷静ではいられない状況で、手を出すまいと必死に耐えていたというのに……いや、俺もかなり頑張った。今回も耐えた。頑張った。口内を犯しまくって、キスだけでイってしまった結くんが枕の下に手を入れて、ぎゅっと枕を握りしめる。余韻で何度も身体を震わせる。今、他の結くんの性感帯に触れたら、それこそ最後までやってしまいそうなので、落ち着いたら身体を離そうと思いながら、素数を数えた。
「伊織、どこいくの?」
「トイレだよ。結くんは寝てていいよ。着替えさせておくね」



友達の杉崎に、友達の様子がおかしいと話したら私生活が上手くいってないのかもと、返されてしまった。根掘り葉掘り聞いて、質問すると怖いことを言われた。最後までやらせてくれないから溜まってるんじゃないの、イラついて次にいかれるかもねって言われてしまった俺は、伊織は今はそんなんじゃないし、多分俺のこと大好きだから、全然違うって思っている。……思ってる。
「……」
 ベッドの上に置いたものの前に座って、頭を抱える。杉崎が客にもらったという結婚式二次会のビンゴの景品。パッケージをみても全然わからなかったけど、杉崎がスマホを取り上げて検索して俺に渡してきて用途がわかってしまった。要は大人のおもちゃだ。知ってか知らずが、杉崎には気持ちよくされてばかりじゃなくて、結も協力は必要だよと……。ここを拡げて、俺はどうなるの。
 説明書を薄目で読んで、伊織の寝室に侵入する。ベッドの引き出しからコンドームを取り出す。箱が空いていたけど、他の誰かに使ったとかじゃない。この前、俺がシーツ汚したくないからやだって言い逃げようとしたら、俺につけてくれたからだもん。サイズは伊織のだから、ブカブカであまり意味なかったけど。また自分の部屋に戻ろうとすると、入り口で伊織とばったり会った。
「い、伊織、お仕事は?」
「後輩がベスト汚してさ、替えがなくて困ってたから、家近いし、俺のあげようと思って。取りにきただけだから、すぐ店に戻るけど」
 けどって言って、俺の真上から見下す。何か疑ったような目で俺をみてくる。
「俺の部屋で何してたの?」
「ないもしてない」
「そう?」
「部屋掃除してて、伊織の部屋にもゴミあったかなって」
「ゴミなら、この前、結くんをこの部屋に連れ込んだ時に回収済み」
「つ、連れ込んだって……は、早く仕事行きな」
「はーい」
 ちゅって目元にキスをされて、出て行く伊織にホッとする。ポケットに咄嗟に詰めたコンドームを取り出して、ついでに脱ぎっぱなしだった伊織の服を掴んで自室に戻った。箱から取り出して、それにコンドームを取り付ける。これを突っ込んだとて、あまり気持ちいとは思えないなんだけどどうなんだろう。問題はここから。俺、お尻自分で触ったことない。前だって、最近伊織に専らお世話になってる。むしろ、一人でなんてさせてくれない。伊織の指よりは自分のが細いから入らないなんてことはないだろうけど。指を入れる前に、これを入れるのが本当に現実的なことなのか、試してみよう。
 すぐに本当にいれる気なんてなくて、ただちょっとお尻にはいるものなのか、入り口に押し当ててみようと思っただけだった。ちゃんと解してから、いれるつもりだったんだ。本当に。あんまりえっちぃ気分にもなれなかったのもあるから、何処か他人ごとで脚を開いて先端を当てる。持ってきた伊織の服を口元に当てようとした瞬間、物凄い勢いで何かがすっ飛んできた。
「へ! い、いおり、なんで」
「服渡したから帰って来た。なにしてんの、結くん」
「え、あ、その」
「浮気?」
「うわき、なんで?」
「俺が大事に育ててる結くんのお尻を、なんで俺より先にこれが奪うことになるわけ」
「伊織さん?」
「こんなの迄つけて、指じゃ、足りなかった?」
「ほぇあっ」
 バキッとおもちゃを真っ二つに破壊して、床に投げ捨てた伊織に声が裏返る。ご、ごりら……。手に持ってた服も取り上げられて、抱き上げられて膝に乗せらせる。また、そのまま身体を二つに折るようにして、ごろんと寝転ばされた。足裏を掴まれて、胸の辺りまで腰を引き寄せられて、伊織から全部見える。
「いおり、はずかしい、やだ」
「だめ」
「ほんと、だめ」
 伊織は俺の脹脛に顔を寄せてから、自分の人差し指と薬指をいやらしく舐めた。
「今日はお尻だけでたくさんいかせてあげるね。俺、今まで本気出してなかったから」
 あ、おれ、しんじゃうかも。


「お前の仕業か、クソガ。地獄に堕ちろ」
「どう、俺のナイスアシスト?」
「いや、最悪だった。危うく結くんの処女が玩具に奪われるところだったし、本当ショックで泣きそうだった」
「お前は本当に気持ち悪いね」
「友達の性事情に首突っ込む友達の方が気持ち悪いと思うけど。心配してくれるのはありがたいけど俺達のペースってのがあるんでね」
「早く告ってくれない? 鬱陶しいんだよ。セフレとかは嫌だから関係を持ちそうになったら、流石にお前もその前には告るかなって思って」
「全然心配じゃなかった」
「で、ヤった?」
「ヤっとらんわ、あほ」
「折角その顔面に産まれてきたのにトイレで一人で抜いてんの、可哀想すぎで笑う」
「なんとでも言って」
「でも、結も発情して辛そうなお前をどうにかしてあげたいって自我が芽生えたわけだ」
「アレを与えられても尚、俺が結くんに突っ込みたいって考えに達してないのも考え物だよね」
「ああ、この前自分の興奮するって初めて知ったばかりみたいだよ」
「まじか」
「それも、自分だけではないと思ってるからお前の地位って割と脆いってわけ。だから心配してあげてんの」
「……まじか」
「酒強いのにする?」
「いや、前科があるから野菜ジュースで」
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