稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第1章 出会い

増えるもの減るもの #6

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『そうか。パーティは組むのか?』

「向こうで組んで来た。どうせ一緒に行動すればパーティに見られるだろうからって…でも俺は正直どうしていいかよく分からない」

庭園で1人になった際に考えていたが結局結論が出なかったので思い切って話してしまうことにした。

『何をだ?』

「とりあえず登録したての3人は鍛えなきゃだろ?でも全員の食や装備何かのためには稼がなきゃだろ?」


リミルは今まで自分で何でもやってきたがアンリに出会って教えて貰ったり守ってもらったりを知って、ギルレイには最近だが家も食事も与えてもらっていた。

皆の家すら与えてもらってこれ以上甘えられない。

自分も保護対象にはそうしなければ行けないのか。
ギルレイに与えられるほどにそういう思いは強くなる。


リミルの中の当たり前は"自分でどうにかする"ことだった。


でもそれだと危険が多いことは知っている。
だから保護するため鍛えるのには付き合わなければならない。
依頼を受けて稼ぐと言っても、強くなければ危険があったり簡単なものしか受けられなかったりと1食食べるのにも苦労するだろう。
そうなると保護するためには強くなるまでは依頼を受けさせられない。
食を確保する手段として狩りもあるが、狩りとなると森に入ることになるので更に難易度が上がるため却下。

保護対象の2人には強くなるまでは鍛錬に集中してもらうしかない。

鍛えることについてはラッセル達のこともあるので一緒にダンジョンに連れていけば良い。
だが、レベルの上がり方がギルレイの言っていた感じだと時間がかかりそうだ。
その間どうやって稼ぐのか。

鍛錬にも付き合って、新たな依頼も受けて、となると今までほどのんびりしていられない。
最悪リミルの所持金を食い潰す形になるだろう。


そこまでしなければいけないのか。


食事や装備などの素材に使う以外全て貯金してきた。
旅で必要になるだろうと思って貯めてきた金だ。
自分の楽しみにしていた旅が出来るのはいつになるのだろう。
連絡手段も作ったのだから直ぐに出ても問題ないはずだ。


自分の貯金を崩す以外に彼らを養う方法を思いつかなくてどうしたらいいのか分からなくなっていた。
そこにギルレイが追い打ちをかける。
本人はそんな気は無いかもしれないが。

『当分は俺が面倒見るぞ?』

「それはダメだろ?」

『何故だ?親が子の面倒を見るのは当然だろ?』

「………当然…か…。ギルレイは何故そんなことが出来るんだ…俺には…無理だ」

とうとうリミルは頭を抱え込んでしまった。
リミルは自分とギルレイの器の大きさを比べて愕然とする。
どうして自分はギルレイのように"貯金なんて良いよ、また貯めるし"と思えないのか。

ギルレイが自分にしてくれるように保護対象の2人にしてやれと言われているようで…。
今のリミルにはお金にも心にも余裕がなかった。



お昼ご飯の時、3人が稼げるようになるまでジャックと分担することになった。
しかしジャックにいきなり二人分もの食費の負担を強いることにも罪悪感がある。
自分の従魔であるから尚更だ。

しかし自分の都合で増えた3人の食費として出してもらうのはもっと気が引ける。



クライの食費の半分を担って貰うとして、リミルは自分の分の他に4人分。
今までから二人分増えることになる。


受ける依頼を増やさなくてはならない。

自身の鍛錬の時間が減る。

人の鍛錬に付き合わなくてはならない。


比較的自由に生きてきたリミルにこの環境の変化はキツいものがあった。
更にここ最近の窮屈さ。

本当なら依頼をこなしてノフテスから一気に帰ってきて日常に戻るはずだった。
旅の許しが出るまで今まで通りその日その日でやりたい事をして生きる。

そのはずだった。

危険がないか分からない相手と行動を共にするように言われ、会ってみたら歳が近くて話も楽しくて、新たな職業クラスを手に入れて、旅へ1歩近づいて。
そこにいた村娘も同行することになって2人の保護者にされて、わいわいと移動して一緒にカリィ食べて奢って。
ギルレイにもルシノにも増築してもらって、ルシノに勘違いされたと思って悲しくなって好きだと自覚して、もう2人同行者が増えてルシノにお昼ご飯を奢ってもらって。


嬉しいこともあったけど今までと違いすぎてこれからのことが不安だった。


ずっと人と一緒にい続けることなどなかった。
人と過ごしたのはアンリとの言葉の勉強の間と誰かと話す時、依頼、ギルレイの家での数日間とルシノに出会ったときしか経験がなかった。

クライとだってたまに別行動することもあった。

クロトと出会ってから人と接する時間が急に増えすぎて心にストレスがかかっていた。
クロトが悪いとかではない。
クロトは良い奴だ。
ただ、慣れていないだけだった。


リミルは誰かが何かを言う前に、逃げた。

「少し出てくる。《転移テレポート》」


視界は一気に暗く、キラキラとした光景に変わる。
いくつかの花が綺麗に光っている。

そこは夜の庭園だった──。

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