稀有ってホメてる?

紙吹雪

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第2章 覚悟と旅立ち(まとめ)

更なるレベル上げ

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『そっかぁ…じゃあコツとか聞けないね…』

 凄く残念そうに言われてうっとなる。

「効率的なレベルの上げ方なら教えてやれるから頑張って取得しろよ?」

『ほんと?ありがと!』

『なぁ、リミル。忍者も取得してたりしないのか?俺も効率的なレベルの上げ方教えて欲しい。』

『僕も!』

『俺も!』

 リミルは困った。バラバラで教えると凄く時間が取られる。系統が似ているのだから3人まとめてはどうかと思ってしまう。

「4人に別々の物を教えると時間が1人の4倍取られるから、取得の系統が似てるアキリム、クロト、ジャックの3人をまとめて教えるなら良いよ。3人とも3つとも覚えとくと損は無い職業クラスだし。」

『確かに。基礎からやる方が後々楽そうだし、基礎体力とかもついでに上げれて良いかも。』

『僕もより動けるようになるかも知れないし良いよ。』

『俺も忍者使ってみたいしな。』

 3人とも所持職業クラスが増えるのは嬉しいみたいだ。3つ同時は大変だと思うがまぁ、効率的なレベルの上げ方さえ教えたら後は各自でやってもらうしかないし、自分のペースでやればいい話だからそこまで心配する程でもない。
 むしろ職業改変クラスチェンジが目標のニーナの方が大変だろう。

「ならまずは体操者ジムナストを取得して、次に軽業師トレーサーを取得、最後に忍者を取得って流れでレベル上げも同時にやろうか。」

 3人が了承してくれたので一応計画を立てつつニーナの心配をする。

「なぁリリアン。生き物使いテイマーの取得のコツを教えられる信頼出来る人っていないかな?」

愛しい旦那様クリードに聞いてみましょうか?彼、適任者探しそういうの得意だから。』

「うん。助かる。」

『待ってて!』

 リリアンは仕事中に大好きな旦那様へ会いに行ける口実が出来て嬉嬉として向かった。仕事中には敬語を外さないのがモットーなはずのリリアンが、完全に気が逸れていて気づいていなかった。
 リミルは確かに早い方が良いとは思ったがすぐに行ってくれるとは思わなかった。





 リリアンにとってクリードは番で、クリードが告白した時にその事に気づくという、なんともドラマチックな出会いの2人だ。いつでもラブラブなのも仕方ないのかもしれない。
 そんなことを考えているとクライがリリアンを庇うためか、リリアンの行動に呆気にとられていた皆に向かってリリアンへの共感を語った。

<今ならリリアンの反応も分かる気がするぞ。俺もジャックと離れていて会えると思うとソワソワするからな。>

 それを聞いたジャックはクライに優しく触れながらリリアン達に同情した。

『俺らはあんまり別れて行動することが無いけどリリアン達は仕事柄仕方ないよなぁ…。』

『そうなんだ。あたしも成人したら番が分かるようになるのかなぁ…。』

 まだ恋も愛も番も分からないニーナは成人が待ち遠しくなったらしい。
 その様子をみてクロトが焦る。

『え…。俺じゃだめなの?』

『ダメとかじゃなくて、番じゃない人と付き合った後に番が現れたら悲惨なんだってさ…。よくわかんないけど。ママ達が言うには一緒になってくれる番が現れるのを待った方が幸せだって。成人したら番が分かるようになるらしいの。』

 クロトへの気持ちが無いわけでは無いと思うのだが、確かにクロトが番でなかった時のことを考えると心配ではある。
 クロトもそれがわかったのか祈り始めた。

『俺が番であってくれ。頼む、俺をこの世界に連れてきた神様。』

『神様に連れてこられたの?』

 全員が思った疑問をニーナが代表して聞いてくれた。

『いや、わかんないけど。会ってないし。でもそうじゃなきゃ別の世界に転移とか説明がつかないし。』

『どうなんだろうね…。』

 結局は分からないが答え合わせが出来ないのだからかも知れないで済ませるしかない。

『ニーナの近くに出現した意味があるんじゃない?番だから引き寄せられたとか!』

<アキリム、期待させるのは違った時に悲しい思いをさせるだけだからやめておけ。>

 期待を持つと違った時辛いと分かっているからこそクライはアキリムを窘めた。アキリムもハッとなってクロトに謝った。

『そうだね、ごめん。』

『良いよ。そういう考え方もあるなって思えたし。でもクライが言うことも一理ある。期待はしないでおこうかな。ただ、神様がいるかは分からないけど願うのは自由だよな。頼むよ神様。』





 クロトの変なポーズに皆で軽く笑っていると扉をノックする音が聞こえた。リリアンがクリードを連れて戻ってきたのだった。

『リリアンから聞いた。こういう時は適任の道場を教えたりもしてるんだが、今回の場合はそうもいかない。』

『何で?あたしには向いてないとか?』

 ニーナが心配そうに聞いた。道場に向き不向きはないが、先生も人なので相性の善し悪しはある。それを心配しているらしかった。

『いや、担当がモーリスだからだ。まだラッセル達を任せているんだ。初日に他の道場生達とも揉めてな。モーリスの道場は人気で週5日で開いてるんだが、そのうち1日をアイツらだけの貸切にしたんだ。だから他の日は今抱えている人数で手一杯らしい。ラッセルとはお前の保護者であるリミルが絡まれているし、ジャックとも何かあったと聞いた。別の方が良いだろ?』

 素直なはずなのに少し痛い所を突かれると相手を威嚇し攻撃してしまう。ラッセルは自尊心が高く、臆病な部分も持っている。だから傷付けられそうだと思った途端に虚勢を張ってしまうのだろう。
 注意や助言は攻撃ではないと分かってくれれば、人を攻撃すればその分自分に返ってくることが分かれば、素直な所を尊重すれば、或いは、感情の起伏が激しくてもあそこまで誰彼構わず揉めることも無くなるのかもしれない。

『アイツらの貸切って…そんなの他の道場生から苦情が来ないか?俺は注意しただけだよ。なのに突っかかってきて腹が立ってさ。俺はアイツとは合わないんだろ。』

 道場の師範が貸切を敢行することは珍しい。通常であれば、他の道場生やその保護者から苦情、若しくは、自分も貸切をしたいと要望が来ることになり、正当な理由があったとしてもどこか不満が残ってしまうため行わない。


 しかし今回は特殊だった。


 クリードによると、道場生と揉めたヤツをそのままにしてはおけないと、モーリスがこってり搾ることにしたらしい。
 『マンツーマン指導だ。他に参加したいやつは?』とモーリスが道場生に聞くと皆は遠慮したという。
 とにかく厳しい指導だと皆分かっていてモーリスにラッセルが搾られることに納得した形だ。だからこそ文句など出なかったのだとか。

『クロトの言うところのドンマイってやつだね。』

 アキリムが楽しそうに言った。そのおかげで少しピリついていた空気が弛緩した。クロトやニーナ、ジャックも『確かにドンマイ。』『そうね。』『だな。』と軽く笑った。

『ドンマイって何だ?最近ギルレイが使うんだが聞いても教えてくれないんだ。』

 クリードが思い出したように言い、クロトが答えた。初めてみんなの前でドンマイと言い、詳しく聞かれた時と同じように教えた。

『俺の居た世界の言葉で、語源の意味は確か気にすんなってことなんだ。けど、俺の居た場所では、気にすんなの他に、諦めろとか、受け入れろとか、自業自得だとか、同情するよとかっていろんな意味で多用してたな。』

 クリードは『なるほど、だから取り調べの前後に言われたんだな。』と納得していた。



『あたしはやっぱ自力で覚えるしかないのかな?』

 ニーナが話を戻すとクリードが代案についてメリットとデメリットを考えながら話し始めた。

『それなんだが、いくつか選択肢を用意した。まず、1つ目。別の道場を紹介する。メリットは波風が立たない。モーリスよりは優しい。デメリットはモーリスよりは取得に時間がかかることだな。次に、2つ目。俺が教える。メリットは取得にかかる時間が多分モーリスより早い。デメリットは俺自体が時間をあまり取れない分、厳しくなる。目立つ。波風が立つ可能性がある。そして、3つ目。俺かリミルかギルレイの知り合いの冒険者プレイヤーに教えてもらう。メリットは依頼と並行できる。波風が立たない。その冒険者との縁故ラポァができる。デメリットは教え慣れていない分時間がかかる可能性が高い。相手に寄っては見返りを要求される。それから…。』

 3つ目までスラスラと言っていたクリードが言葉を区切りチラリとリミルを見てフッと笑い、ニーナに視線を戻して続けた。

『4つ目。リミルに教えてもらう。本人は取得の記憶が曖昧みたいだけどな、レベル上げの方法が分かるってことは一応必要になる基礎は分かってるって事だろ?メリットはそのままレベル上げに移行できる。指導料を払わなくて済む。保護者だから安心。デメリットは取得出来るか一抹の不安が残る。だが、これは道場以外の全員に当てはまる。教えるのを仕事にしている人が1番安心だ。最後に、5つ目。自力でやる。メリットは自立の1歩。デメリットは失敗の可能性が大きくなる。時間がかかる。間違いを正してくれる人が居ない。危険も多くなる。だから自力はオススメはしない。』


 ニーナは暫く考えてリミルに教えてもらうことにした。リミルは驚き、クリードは射抜くような目でニーナを見た。

『何故リミルを選んだか参考までに教えてくれるか?』

『リミル君の直感を信じようかなと思って。職業改変クラスチェンジを勧めてくれたってことは向いてると思ったからでしょ?それに覚えていないのに取れたってことはリミル君の習性とかが合ってたってことなんだから条件と照らし合わせながらリミル君を観察して真似すれば取得できそうだし。直ぐにレベル上げに移行できるのもいいよね。』

『そうか。何となくって言ってたらもう少し考えさせようと思ったが、そこまで考えて決めたなら良しとするか。』

 ニーナはホッとし、リリアンがクスクスと笑い出す。不思議に思って皆一斉にリリアンを見た。

『元からリミルちゃんを勧めてたんじゃない?』

『まあな。でも一応、別の道場もオススメだった。もし冒険者を選んでいてもなるべく条件の良い奴を探して勧めたしな。1番無かった選択肢は俺か一人でやるかだな。』

 リミルは自分が選択肢に上がった時点でもしや?とは思っていた。ニーナが実際選ぶとは思わなかっただけで。
 リリアンは嬉しそうに笑ってクリードとリミルを交互に見ていた。



 リミルは何となく、この場で言えそうな気がして夜にクライと決めた内容を話すことにした。

「昨日ギルレイから聞いたんだけど、俺の戸籍が見つかったんだ。」

 昨日話していた内容がわかりクロト達は納得し、安堵した様子で祝福してくれた。身元が分からないままは異端だからこの反応が普通なのかもしれない。

『ホントなの!…良かった。』

『…そうだな。良かった。年齢や出身は分かったのか?』

 全員から祝辞を述べられ擽ったいがリリアンとクリードのほんの僅かな間が気になった。探るように見ると後でと言われているように感じた。


「…ああ。アキリムと同い年で28歳、出身はルセフらしい。」

『同い年だったんだ。そう言われるとそんな気もするなぁ。』

『俺には二人とも20代に成り立てくらいに見えるよ…。』

『クロトのとこだと歳をとる毎に老けていくんだもんね。幼世代で老けた人は見たことないなぁ。唯一ジャックが同世代の中では年上だよね。一応。』

 アキリムがのんびりとした口調で言うとクロトが全然28歳に見えないと愕然とし、ニーナはクロトの認識が中々直らないから仕方ないといった感じで話す。

『俺はもうすぐ50歳だからな。』

『え、今年の誕生日か?』

『いやあと数年。』

 ジャックとのやり取りにクロトが『マジかよー。』と変なポーズを取るとアキリムとリミルが笑う。つられてニーナも笑い、ジャックはやれやれと肩を竦める。クライに前足を乗せられクロトが転け、みんなで笑う。
 最近のお決まりの流れである。

『仲良いなお前ら。』

『楽しそうで良いわね。』

 クリードとリリアンもクスクスと笑った。


 笑い終えたリミルは話を戻し、旅の最終地点をルセフにしようと思っていることを伝えた。

「痕跡を見つけたいんだ。両親は行方不明だし。」

『行方不明?…そうか。他に親戚は?』

 クリードが何かを察したのか深堀はしないでくれたので助かった。皆を巻き込みたくはない。

「居るよ。両親の親とママの兄が。グレモスには両親の親達に会ってみないかって言われてて、その時はまだ確信がなかったんだけど、昨日ギルレイから確定だって聞かされて…。会おうか迷ってる。」

『そうなのね。母親のお兄さんって言うのは?』

 リリアンもクリードが突っ込まないことに気づいてそちらから意識を逸らしてくれた。


「ギルレイだよ。」

 一瞬沈黙があり、皆が一斉に反応し出す。

『嘘ぉ!リミル君、ギルレイの甥っ子だったの?』

 ニーナが驚き、

『あんまり似てないな。』

 クロトが驚き、

『妹の子供なら似てなくて仕方ないと思うよ?』

 アキリムが納得し、

『そうなのか。』

 クロトが納得し。

『分かって良かったな。親戚なんだから思い切って甘えれるようになるだろ?』

 ジャックの認識は多分一般的だ。

「今までの生き方を簡単には変えられない。甘え方もよく分からないしな。でもまぁ、パパやママもギルレイを頼りにしてたみたいだし俺もそれぐらいなら。」

 クリードとリリアンはあまりの衝撃に声も出ず、ただただ顔を見合わせていた。暫く見つめ合うとハッとしたようだった。


 その後、必然と手紙の話になり、コピーした3枚目を見せる。原本は大事に収納している。写絵もコピーして原画は保存してある。

『事件に巻き込まれた感じか?』

 ジャックがそう言うので用意していた言葉を述べた。

「いや、パパは捜査機関の人らしいからそれでじゃないかってギルレイとは話した。」

『捜査機関の人か。なら有り得るね…。』

 アキリムとジャックが納得してくれたのでホッとする。ニーナとクロトは知らないのでクリードが説明してくれた。

『危険な仕事なの?』

『警察みたいなものか?』

『そうだな。警察も捜査機関の1部だ。危険は多い方だろうな。ギルドは対魔物だが捜査機関は対人物だ。捜査相手によっては危険なこともあるだろう。』


 クリードの説明に皆が納得してくれたところで、ニーナがそれにしてもと口を開く。

『リミル君愛されてるんだね。良かったね。』

「ああ。ありがとう。」

 ニーナの屈託のない笑顔にリミルは寂しく笑うしかできなかった。


 クライはその流れで気になっていた両親の親と会うことについて聞くことにした。

<それで、ミルレアの親とリーマスの親には会うのか?>

「うーん…。」

 正直、あまり会いたいとは思わない。せめてもう少し心に余裕が出来てからにしたい。どう接して良いのかも分からないし、どういう顔して会えばいいのかもわからない。
 そうリミルが言うと、無理しなくて良いと思うとニーナが言ってくれた。ニーナも両親の親とは会っていないらしい。
 アキリムとジャックは不思議そうだったが、自分たちには分かってあげられないからゆっくり決めればいいんじゃないかと言ってくれた。

『複雑だよな…。』

 クロトがボソリと言ったのが不思議とリミルの耳に届いた。本当に複雑な心境だ。
 捨てられたのであれば憎んで自分には関係ないと切り捨てることも出来たかも知れない。愛されていたからこそ、接し方が分からなかった。会ってみればいいのかも知れない。でも簡単には踏ん切りがつかない。どんな人かもグレモスに聞いた程度しか知らない。会うのが怖い。
 そう思う一方で愛されていてとても嬉しかった。もし祖父母にも愛されるのなら会ってみたい。そうも思っている。自分も優しい家族に囲まれることが出来るのでは、そう思うと期待してしまう。だからこそ、より一層会うのが怖くなって行く。

『うん…複雑だな。』

 はは、と乾いた笑いが出た。



『なら会いたい気持ちが強くなってからにすれば良いのよ。無理することは無いわ。考えてたって暗くなるだけなら、明るく楽しく前向きに今を楽しみなさい。身体を動かしてスッキリして来たら?皆のレベル上げ、始めるんでしょ?』

 リリアンが明るく促してくれる。
 リミルも考えるだけ無駄なのは分かっている。未来を憂いても仕方の無い事だと。それでも考えてしまうのは今1番気にかかる事だから。
 レベル上げは自分のことではないけれど、保護者として、仲間として気になっている。今優先順位が高いのは皆に勧めた職業スキルの取得とレベル上げだ。

「よし。やるか。」



 体操者ジムナストは睡眠の前後にやる軽い柔軟と体幹トレーニングからなので、今日の夜寝る前から始めることになる。
 軽業師トレーサーは、柔軟さと体幹と脚力が必要なので体操者ジムナストが取得出来た辺りから増やす体幹トレーニングと共に跳躍練習を始めるのが良いだろう。ある程度脚力と体幹が出来たら逆立ちやバック転、転回、着地、受け身の練習を開始し、それに慣れた頃、壁蹴りを含め壁を使った跳躍に移る。軽業師トレーサーが取得出来たら全てをひたすら反復練習、《流鏑馬やぶさめ》習得のため、跳躍の最中に投擲する練習を追加という流れだ。
 忍者はそれらが出来てからになる。小刀・苦無・手裏剣の投擲練習と魔法操作の練習をある程度やって、最後に気配操作だな。

 リミルは3人の方の手順を考え紙にまとめた。3枚新たに紙を出して《転写コピー》し、3人に渡す。

「忍者取得まではその都度指示をするから勝手に始めるなよ?」

『駄目なのか?』

 別に駄目ではない。取得が前後してしまう可能性が高くなるだけだ。対処出来る範囲での失敗であれば改修できる。渡した紙の通りにやれば大きな失敗はしないはずだ。
 リミルがそう伝えると失敗とは具体的にどういう状態なのか聞かれた。

「簡単に言うと取得出来ない状態かな。狙っている物とは別の職業クラスの取得にシフトしてしまうとそれを取得するまでは同系統の取得が不可能になる。そうなると忍者までの道のりが遠くなるな。一応引き返せる程度であれば修正出来るから大丈夫だ。」


 取得したいものにシフトしてしまえば大丈夫だがそれまではデリケートだったりする。全部ではないけれど。今回、取得の方に影響するのは最後に取得する忍者だけだ。忍者の取得条件に近いものがある訳では無いが、忍者を取ろうとすると失敗する者は多い。何故かは知らないが。だから細かく指示を出す必要がある訳だが、あとの2つについては紙に書いた指示通りやればその限りでない。それでもその2つについても細かく指示する予定なのは後にやるレベル上げに影響が出るからだ。


『逆に遅くなりそうだから僕は指示を待つよ。』

『俺も。急がば回れって言うし。』

『俺も。あせるとげるって言うし。』

『お!それ絶対生産職の言葉だよな?今度からそっち使お。』

『そうだな。生産職じゃなくても使うけどな。』

「なら今日の夜から始めるな。」


 リミルはレベル上げがスムーズに出来ることが確定し、ホッとして、今度はニーナのメニューを考える。
 生き物使いテイマーの条件はリリアンによると6つ。

1つ、種族に拘わらず平等に接すること。
2つ、対価交換。
3つ、救済や援助。
4つ、好感を持たれる。
5つ、狩りをする。
6つ、複数の種族から協力を得て何かを成し遂げる。

 条件を見て思い出すのは統括達のこと。でも統括達に出会ったのは既に狩人ハンターになった後で、生き物使いテイマーを取得した時の記憶はない。
 リミルは不安に思い、思い出す。クリードがニーナの選択肢に居たことを。ということは取得している。それにギルレイの取得職業クラス狩人ハンターがあることはこの場にいるものは皆知っている。なら話に出しても問題ない。
 クリードにクリードとギルレイが6つ目の条件で何を成したのかを聞いた。

「なあクリード、クリードは条件の6つ目に何をやった?参考に教えて欲しい。」

『俺か?昔、堕ちる寸前の魔獣が居て、俺よりは弱かったんだが凶暴化していてな、厄介だった。そいつに縄張りを荒された奴らと共闘したんだ。』

「そうか…。ギルレイが何やったか知ってるか?」

『確かあいつは怪我や病気をした奴らをその仲間達と協力して助けたんだ。それぞれに必要なポーションの素材を集めてもらってその場で作って提供したんだったと思う。』

 内容を聞いて2人とも条件を知っていて取得したような気がした。でもそれぞれやったことは違っていた。

「2人とも狙ってやったのか?」

『それもあったんだがな、俺らの場合、もともと気にかかってたことをついでに解消した感じだな。』

「なるほど…。ありがとう。参考になった。」

 2人のを参考に考える。気にかかることを森のヤツらと一緒にどうにかするのが良さそうだ。
 ニーナに確認すると、今のところ森で気にかかることはないみたいなので、森を巡回しつつ野伏レンジャーのレベル上げをし、見つけ次第取り組む方向性で良いだろう。
 森で巡回しながらであればレベル上げにもちょうどいいかも知れない。

「──ということでいいか?」

『うーん…焦っても良くないもんね。焦ると焦げる。うん。それでいいよ。』

「じゃあニーナは早速俺と今から森に行くぞ。皆はどうする?」

 リミルは言ってからこれじゃあ一緒に来るかと聞いているようにも捉えられるなと思い、着いてくると言われたらどうしようかと焦った。リミル自身は皆の今後の予定を聞いたつもりだった。言われてから考えることにして言葉を待つとジャックが皆で依頼を受けることを提案してくれた。

『着いていくと邪魔になるし残った全員で依頼を受けるか?』

『そうだね。僕、欲しいものあるし稼がなきゃ。』

 ジャックの言葉に助かったと思いながらも続くアキリムの言葉にリミル自信も旅の資金を稼ぎたいなと少し羨ましく思った。だが直ぐに考え直し、ニーナの狩りのついでに自分も狩って素材を売ればいいかと考えた。

『ついて行きたかったけど邪魔になるのは嫌だな。俺も依頼に行くよ。』

<なら俺は3人の方になるな。リミル、ニーナ、気をつけろよ。>

「ああ。ありがとう、クライ。」

『ありがとう、気をつけるね!』



 全員で個室を出る。リミルとクリードが最後に残り少し話した。

『戸籍が見つかったと聞いたとき、喜ぶのが遅れてすまなかった。戸籍があったということは育児放棄か、もしくはリミルの親に何かあったんだろうと思うと喜んで良いのか迷ってしまってな。リリアンもそうだと思う。』

「そっか。後者だけど、詳しくはギルレイから聞かされると思う。アイツらを巻き込みたくないからみんなの前で行方不明について言及されなくて助かった。ありがとう。」

『そうか…。手紙、見つかってよかったな。俺もお前の両親の事は知ってる。リーマスがミルレアに惚れててな、ミルレアとギルレイの親父が頑固で兄妹そろって結婚に反対されてたんだ。2人も結婚してたんだな。』

 遠くを見つめて思い出すように語ってくれた内容に少し擽ったさを覚えながら聞いていた。するとノックをしてニーナが迎えに来たので、クリードにはまた聞かせて欲しいと頼んで個室を出た。
 リリアンに4人の依頼の選定は任せて、リミルはニーナと共にリンドの森に向かった。





 転移での移動にあっという間に元ホームに着く。パーティ全員とギルレイには既に転移はバレているので最近はパーティでの移動にも一応人目は避けて使用していたりする。
 移動を楽にするためにバラした。

転移者テレポーターの取得条件ってまだ分かってないんだっけ?取りたいなー。』

「そうだな。取得している者同士で話せば少しくらいは何か分かるかもしれないけど、珍しい職業クラスだから皆隠して使ってるだろ?無理だな。」

 小声でそんなやり取りをしながら人気のない場所を走る。森にはいくつかのパーティが入っていると思われるが広大なためなかなか遭遇はしない。それでも一応用心して移動する。

「ニーナ、2人の時にしか出来ない移動方法やってみるか?」

『何それ!やるやる!』

 リミルは地面から飛び出た岩に飛び乗り、近くの木の幹に飛び移る。

『なるほど。確かに2人の時じゃないと無理だね。』

「だろ?でも3人とも忍者を習得すれば出来るようになるけどな。ニーナは一足先に樹上移動を覚えてしまおう。スムーズに出来るようになる頃には種族も職業クラスも少しずつレベルが上がってるはずだ。」

 ニーナもリミルの真似をして岩に飛び乗り木に飛び移った。木で少し足元が滑ったがリミルが支えて無事だった。

『この木って結構滑るんだね。』

「うん。靴にもよるかもしれないけど、色んな木の上を移動するから頑張って慣れよう。今日の帰り装備屋に行って靴を新調するか?」

『そうだね、そろそろ普通の靴じゃ無理があるのかも。』

 防具や武器は買って貰っていたが靴や籠手などは買っておらず、靴は村で使っていた物だ。そろそろ自身で買えるくらいには稼いだのでニーナは帰りの買い物を楽しみに頑張ることにした。



 木から木へ飛び移りながら森を見回る。拓けて木がない場所は1度地上に飛び降り、また木があれば飛び乗る。その繰り返しだ。リミルは周辺の様子とニーナを気にしながら慣れた様子で移動するがニーナは飛び移ることに精一杯で辺りに気を配る余裕は無かった。しかし1日目にしては飲み込みが早かった。

「木登り自体は慣れてるな。」

『狩りをする時に上からの方がやりやすくて。』

「狩りはしたことあるのか。何種類くらい?」

『2か3かな?たぶん。えっとベリットとデリーツ…あ、あとコリーヌ鳥。』

 ベリットとデリーツは植物系の魔物だ。
 ベリットからはベリーの果実がドロップするのだが、棲息地域によってベリーの味が変わる。ダンジョンだと殆ど均等にドロップするがダンジョン産でない物は特産として扱われ、ダンジョン産よりも美味しい。
 デリーツがドロップする実の中にはリーツと呼ばれる焼き菓子がいくつか入っている。デリーツのドロップする甘くてサクフワのリーツをもとに、似た焼き菓子が作られ販売されるくらい人気で定番のお菓子だ。
 コリーヌ鳥は比較的仕留めやすいがベリットとデリーツは動きが素早くコツがいる。

「やるな。ベリーもリーツも天然物は特に美味しいもんな。狩りはあと3種類くらい狩っておけば大丈夫だろ。」

『種類はなんでも良いの?』

「そうだな…一応植物系の魔物と鳥系の魔獣はなしで、それ以外ならなんでも良いよ。」



 巡回を続けているとニーナがはぐれた子猪アグーを見つけた。森では親とはぐれるのは普通、死を意味する。例外はこの際置いておくとして。
 ニーナがどうにかしてあげたいと言うので、途中で放棄すれば可哀想なのはその子だから後のことも考えて手を出せよと言い聞かせた。


 ニーナは頷き、最大限自身のスキルを使用して母親探しを始めた。アグーは腕の中で心配そうにニーナを眺めた。
 ニーナが痕跡を辿っていくと地中の実を掘り出して食べる親らしき2体の大猪と子猪達の集団があった。
 ニーナが抱えていた子猪アグーが腕を飛び出し集団に駆け寄った。すると兄弟たちが鼻先でその子どもを小突き始め、親は実を掘っている。

『もしかして仲悪いのかな?』

 ニーナが不安そうにそう言い近づくと兄弟達が囲み、守っているように見えた。親達も実をいくつか掘り出し終わるとはぐれた子猪に与えていた。

「今回は大丈夫だったみたいだ。たまに口減らしに捨てる親もいるからどちらかは連れて行ってみないことには分からないんだ。親が子に与える試練っていう種族もあるしな。」

『そうなんだ。人族だと神殿に連れていけば犯罪にはならないけど野生だとそういうのもないもんね…。』

「だから俺は捨てられたと自覚させるのは嫌で親元にはあまり連れていかない。食えるやつは仕留める。無理なら比較的生き延びやすい場所に追い立てる。声をかけてしまうと情が移って契約するしかなくなるからな…。契約したいなら声を掛ければいい。」

 ニーナは複雑そうな顔をしたがあえて無視し、ニーナに擦り寄った子猪達を眺めた。大猪達が実を2つほど持ってきたのをニーナは自分の勝手だからと受け取らないつもりみたいだった。

「受け取れ。等価交換だ。彼らの食事は貴重だ。それを2つも。それほど大事な子どもだと言うことだ。受け取らないのは失礼だぞ。」

『あ、そっか!ごめん。ありがとう。』

 今まで等価交換をしてこなかったのだろう。何かをした代わりに貰うことも、何かをしてもらった代わりに与えることも。

「生き物達との交流には等価交換は必須だ。貰うのも与えるのも自然と出来るようにならなきゃな。」

『挙げるのはやってたんだけど…。』

「強請られてからじゃないなら良いけど。」

『…強請られてからだわ。』

「それじゃ等価交換とは言えないな。してもらった代わりにそれに相応すると思ったものを渡すんだ。生き物達の価値観も知らなきゃ交換とは言えないけどな。」

『今渡された実がとても貴重な物だってリミル君が教えてくれなきゃ分からなかったしね…。』





 そろそろ夕方に差し掛かり、等価交換の第一歩も踏み出せたということで、2人は帰路に着いた。
 木の上を渡って帰りながら、リミルは見掛けた生き物達の好物や欲しがる物をニーナに教えていく。

 森の入口が見えるところに着いた時、見知った双子を見つけ、転移でギルレイの家に飛んだ。
 ラッセル達に遭遇するのはまだ早い気がした。そのため仕方なく転移した。幸い行こうと思っていた装備屋はギルレイの家からの方が近いためそう言ってニーナを連れ出す…連れ出そうと思っていたところに声がかかる。

『あれ?帰ってたの?』

「あぁ、アキリム。今帰ったんだけど、これからニーナの靴を買いに装備屋に行くよ。」

『僕も行きたい!今日言ってた買いたいものって実は細かい装備品だったんだ。』

『じゃあアキリムも一緒に行こう。てゆか、せっかくだし皆も呼ぼう。皆は?』

 アキリムもだいたいニーナと同じくらいは稼いでいる。手持ちの金額から買い物によって減る金額の割合を少しでも少なくしたかったらしい。
 ニーナも買い物が楽しみらしく、せっかくなら皆でワイワイ行きたいみたいだ。

『皆いるよー。呼んでくるね!』

「あ、アキリム、クライとジャックには声かけなくていい。どうせ呼んでも降りてこないし。クロトを呼んできてくれ。」

 リミルは慌ててアキリムを引き止めた。
 2人の逢瀬おうせを邪魔するのは良くない。リミルはクライ達が二人きりになれる時は出来るだけ邪魔しないようにしている。
 シンクロで伝わってくるのでそういったタイミングには困らない。

 了解してくれたアキリムがクロトを呼んでくると4人で装備屋に向かった。





 中央広場から北に暫く歩くと、ガラス窓から見えるところに金属以外の籠手や靴が並んだ店がある。
 そこに4人は入った。

『金属は無いのかな?』

 アキリムがポツリと言うとそこの店主のセンジラールが出てきた。小人族で少し老けて見える男だ。オッサンというに丁度いい。

『あるけどな、注文を受けてから作るんだ。人それぞれ手の形が違うから、先に作ると作り直しが大変だからな。一応見本ならあるぞ。』

 皮を使った物は後からでも直しやすいそうだ。リミルは慣れたように注文した。

「センじぃ、こいつらに合う物をいくつか見繕ってくれ。」

『俺はまだ爺じゃない。まだ400くらいだ。』

 そう、センジラールはまだまだ若い。しかし、少し前に製作途中にやらかしてしまい見た目だけが老けてしまった。ギルレイよりも年上に見える。だがさすがに爺は言い過ぎである。

「前は600とか言ってなかったか?戸籍見りゃ歳わかるんだろ?」

『態々確認しに行くくらいなら道具作りをするだろ。ほれ、これでどうだ?』

 見た目にも年にも無頓着で製作への情熱が凄いタイプだ。なぜ生産の街ルスタフではなくイレアに居るかは疑問だ。
 センジラールは目利きカーネッサーを取得している。リミルは持っていないのでそれが職業クラスなのか特殊技能スキルなのか称号なのかは分からない。本人から聞いたのと実際に目利きしたのを見て知っているだけだ。
 3人の前にそれぞれ1つか2つずつ、靴や籠手を持ってきた。

 ニーナの前に並ぶのは弓を使用するのに丁度いいデザインで命中率の上がる籠手と身につけている防具に合う防御力の上がる籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉が付与された皮と金属で出来た靴。

 アキリムの前に並ぶのは皮と金属で出来た攻撃力が上がる籠手と金属で出来た防御力と腕力が少しずつ上がる籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉、〈加速〉が付与された金属の靴。

 クロトの前に並ぶのは生産の成功率が上がるヘッドバンド、ナイフを装着出来て攻撃力が上がる籠手と最小限の防御面積で手首や指の動きを阻害しない生産者向けの籠手、〈滑り止め〉と〈静音〉の付与された革と金属で出来た靴、〈重力軽減〉と〈加速〉が付与された革製の靴。

「流石センジだな。」

 ヘッドバンドはセンジラールが趣味で作る小物だ。アクセサリー類を趣味で作っては何かを付与して必要としている奴がいれば声をかけ売ってしまう。
 リミルも生産があまりにも上手くいかない時、生産の成功率が上がるネックレスを見せられて買った。以来、何かを生産する時は身につけている。

「皆、物を鑑定して良く考えて買えばいい。気に入らなければ断っても良いし、センジラールに注文箇所を言えば直してくれたりもするからな。」



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