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17:ネフェルと①
「よし、問題ないな。エスター、合格だ」
「ありがとうございます」
「試験は終わりだが……エスターももう帰るか?」
学園の裏にある広大な森。今日は午後からここで実技試験が行われていた。俺は先ほど無事に試験課題をこなし、担当教師からの合格をもらえたところだ。
試験を終えた生徒から帰宅していいことになっていて、前回の試験のときはオレもそのまますんなり帰った。だけど今日はまだやることがあるため首を横に振る。
「先生、もう少し残ってもいいでしょうか? 魔力を発散してから帰りたくて……」
「ああ、そうか。エスターは魔力過多症だったな。いいぞ。立ち入り禁止区域には近づかないようにな」
「はい。ありがとうございます」
教師に一礼して、オレは森の方に戻っていく。試験を終え入り口に歩いて行く生徒たちの隣を通り過ぎ、森の中に足を踏み入れる。
(思ったより魔力の消費少なく終わったからなあ。どうすっか……)
今日は試験で魔力をたっぷりと発散する予定だったのだが、今回は思った以上に早く終わってしまったのだ。前回と同じ内容だったから要領を掴んでしまったようだ。さすがオレ。でも来年はもうちょっと魔力量を調整しなければ。
なんて考えながら、人気のない場所を探してのんびりと森の中を歩くことにした。
*
「……お」
森の中を歩いていると、少し離れた場所で魔法石を動力にした魔導人形と戦う2人の生徒が見えた。2人とも長身で、1人はグレーの髪、もう1人はペールブルーの髪をしている。
目を凝らして見てみれば、グレーの髪の生徒はグレン殿下だった。ならばもう1人は、殿下と一緒に入学した従者だろう。2人で試験に挑んでいるようだ。
今日の試験は剣術や魔術など、自分で課題を選べるようになっている。森の中にはいくつか課題を受けられる場所があって、各々自分が選択した課題の場所で受ける――という感じだ。ちなみにオレが選んだのは、もちろん魔術課題。
(原作でもメインキャラだったし、こうやって見るとかっこいいなあ)
邪魔にならないように少しだけ近づき、木の陰からグレン殿下たちを眺める。殿下は何体もの魔導人形をあっさりと倒していた。息が乱れている様子もなく、恋愛ゲームなら一枚絵になるような格好よさだ。さらさらのグレーの髪が風に揺れ、輝く汗が飛び散っているような、そんな感じの一枚絵を頭の中で思い浮かべる。
(……ん? そういやリリオンは……?)
今日の試験は原作の回想シーンでは出てこなかったけど、ループ予定の今世なら当然リリオンはグレン殿下のそばにいるはず。あたりを軽く見渡すが、柔らかそうな髪質のピンクブロンドは見当たらない。
(そういやリリオンは魔術課題選んでたっけか。課題終わってから来るのかもな)
ぼくも魔術課題を選んだよ、と試験が始まる前にリリオンがにこにこしながら言っていたのを思い出す。
原作ではグレン殿下と共通の話題を作るべく剣術の授業を選ぶこともあったのでちょっと意外だった。まあ原作の回想シーンでも毎回同じ行動を取ってるわけじゃなさそうだったかったから、そういうこともあるか。
「……っと。あんまちんたらしてっと下校時間になるよな。そろそろ行くか」
このままグレン殿下たちを眺め続けていると、そのうちリリオンもやってきそうだし。ただでさえ最近のリリオンは、放課後殿下に会いに行かずにオレと一緒に過ごしているのだ。
なるべく原作の展開から遠のいてほしくはないので、リリオンとグレン殿下が絡む場面は邪魔しないようにしないと。今世を無事にループさせないといろんな意味で終わるからな。
そう思い直し、オレはグレン殿下たちから離れるように歩き出した。
「ありがとうございます」
「試験は終わりだが……エスターももう帰るか?」
学園の裏にある広大な森。今日は午後からここで実技試験が行われていた。俺は先ほど無事に試験課題をこなし、担当教師からの合格をもらえたところだ。
試験を終えた生徒から帰宅していいことになっていて、前回の試験のときはオレもそのまますんなり帰った。だけど今日はまだやることがあるため首を横に振る。
「先生、もう少し残ってもいいでしょうか? 魔力を発散してから帰りたくて……」
「ああ、そうか。エスターは魔力過多症だったな。いいぞ。立ち入り禁止区域には近づかないようにな」
「はい。ありがとうございます」
教師に一礼して、オレは森の方に戻っていく。試験を終え入り口に歩いて行く生徒たちの隣を通り過ぎ、森の中に足を踏み入れる。
(思ったより魔力の消費少なく終わったからなあ。どうすっか……)
今日は試験で魔力をたっぷりと発散する予定だったのだが、今回は思った以上に早く終わってしまったのだ。前回と同じ内容だったから要領を掴んでしまったようだ。さすがオレ。でも来年はもうちょっと魔力量を調整しなければ。
なんて考えながら、人気のない場所を探してのんびりと森の中を歩くことにした。
*
「……お」
森の中を歩いていると、少し離れた場所で魔法石を動力にした魔導人形と戦う2人の生徒が見えた。2人とも長身で、1人はグレーの髪、もう1人はペールブルーの髪をしている。
目を凝らして見てみれば、グレーの髪の生徒はグレン殿下だった。ならばもう1人は、殿下と一緒に入学した従者だろう。2人で試験に挑んでいるようだ。
今日の試験は剣術や魔術など、自分で課題を選べるようになっている。森の中にはいくつか課題を受けられる場所があって、各々自分が選択した課題の場所で受ける――という感じだ。ちなみにオレが選んだのは、もちろん魔術課題。
(原作でもメインキャラだったし、こうやって見るとかっこいいなあ)
邪魔にならないように少しだけ近づき、木の陰からグレン殿下たちを眺める。殿下は何体もの魔導人形をあっさりと倒していた。息が乱れている様子もなく、恋愛ゲームなら一枚絵になるような格好よさだ。さらさらのグレーの髪が風に揺れ、輝く汗が飛び散っているような、そんな感じの一枚絵を頭の中で思い浮かべる。
(……ん? そういやリリオンは……?)
今日の試験は原作の回想シーンでは出てこなかったけど、ループ予定の今世なら当然リリオンはグレン殿下のそばにいるはず。あたりを軽く見渡すが、柔らかそうな髪質のピンクブロンドは見当たらない。
(そういやリリオンは魔術課題選んでたっけか。課題終わってから来るのかもな)
ぼくも魔術課題を選んだよ、と試験が始まる前にリリオンがにこにこしながら言っていたのを思い出す。
原作ではグレン殿下と共通の話題を作るべく剣術の授業を選ぶこともあったのでちょっと意外だった。まあ原作の回想シーンでも毎回同じ行動を取ってるわけじゃなさそうだったかったから、そういうこともあるか。
「……っと。あんまちんたらしてっと下校時間になるよな。そろそろ行くか」
このままグレン殿下たちを眺め続けていると、そのうちリリオンもやってきそうだし。ただでさえ最近のリリオンは、放課後殿下に会いに行かずにオレと一緒に過ごしているのだ。
なるべく原作の展開から遠のいてほしくはないので、リリオンとグレン殿下が絡む場面は邪魔しないようにしないと。今世を無事にループさせないといろんな意味で終わるからな。
そう思い直し、オレはグレン殿下たちから離れるように歩き出した。
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