ループもの小説のモブに転生したがどうやら今世もループしそうなのでオレは肉便器になる

このえりと

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29:グレン②

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 幸い誰にも見られることなくグレン殿下専用の自習室に着き、殿下たちに続いて部屋の中に入っていく。部屋の奥には窓を背にして机が置かれ、中央には大きめのソファが2脚、その間にローテーブルが配置されている。自習室というよりは、執務室か応接室のように思えた。
 グレン殿下に促されソファに座ると、その隣に殿下が腰掛ける。身体を殿下の方に向けて顔を見上げ、彼が言葉を発するのを待つ。

「ケイト。お前もわかっているだろうが……訓練というのはもちろん嘘だ」

 ワンチャン心の中で魔術の訓練に賭けていたのだが、案の定外れてしまった。まあ普通に考えて、オレではグレン殿下の訓練相手が務まるわけもない。
 正直催眠魔法が効いたのが奇跡レベルなのだ。そしてオレは今も殿下たちの催眠を解いてない。殿下たちがオレの名前を憶えているのもそのせいだろう。

「もっと早く声をかける予定だったのだが、ネフェルに先を越されることが多くてな。だがあいつがいない今……ケイト、お前を抱かせてもらおう。いや……使わせてもらおう、の方がいいか?」

 今日もしっかり催眠にかかっている様子のグレン殿下は、オレを肉便器として使うつもりのようだ。あのちんぽに今度はまんこを犯してもらえると思うと腹の奥が期待に疼いてくるが、理性で欲望を抑えつける。

「……殿下、私は……」
「ああ、もっと楽に話してくれてかまわない」
「ありがとうございます……ですが、オレは……申し訳ありません。お断りします」
「……なんだと?」

 さすがに断られると思っていなかったのか、驚いたように目を見開くグレン殿下。オレは殿下の瞳をじっと見て、口を開く。

「殿下はリリオンの婚約者です。婚約者がいらっしゃる方はオレを使うことができません」

 催眠状態だから、こうやって言えば暗示をかけられる。ネフェル様で実践済みだから、これで解放してもらえるだろう。

「……ははっ。性に奔放なのかと思えば、変なところで律儀なんだな。だが……お前を抱くというのは命令だ。断らせるわけがないだろう」
「……え?」

 グレン殿下の言葉に、オレの心臓が跳ねる。

(は? え? なんでだ? 催眠は効いてるのに……)

 追加の暗示が聞かないことに戸惑っていると、グレン殿下がオレの顎を指ですくった。

「誰でも、使っていいのだろう?」
「そ、れは……」

 ――そういえば、王族や高位貴族は幼少期から魔法耐性をつけていると聞いたことがある。その耐性が変に発動して、追加の暗示がかからなくなっているんじゃないか。

(いやそもそも、魔法耐性があるなら催眠がかかるわけない、よな……?)

 ますます頭が混乱してくる。だがひとつわかることは、この場から逃げ出さないといけないということ。オレはただのモブキャラであって、リリオンの婚約者に手を出して断罪される悪役キャラではないのだ。

「……あっ、オレ、用事を思い出してっ……! し、失礼します……!」

 不敬なのは重々承知でグレン殿下の手を振り払い、オレはドアに向かって走り出す。ドアノブに手をかけようとした瞬間――目の前が光り魔方陣が現れる。

「なん……っ!?」

 わけがわからないまま再びドアノブに手を触れようとするが、その手は届くことなく弾かれた。なおも手を伸ばすが、壁のような感触に阻まれてしまう。

「は!? 防御魔法……!? 嘘だろ……?」
「嘘ではありません。お戻りください、ケイト様」

 ドアの前に立ち尽くすオレの隣に立ったのはイザード卿。自習室に入ってからずっと部屋の隅にいたようだ。

(この防御魔法、殿下のだな……めちゃくちゃ頑丈だ……)

 透明な壁のように張られた防御魔法に描かれた魔方陣から、かなり高度なものだと推測できる。オレでは破れるかわからないレベルだ。それになにより、ここにいる2人が大人しく魔法を破るまで待ってくれるわけがない。
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