ループもの小説のモブに転生したがどうやら今世もループしそうなのでオレは肉便器になる

このえりと

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61:ケイト・エスターのこれから②

「出してもらったんだ。神に」
「……は?」

 予想外の答えが出てきて、一瞬思考が停止する。リオはにこにこと微笑んだまま再び口を開く。

「神子は一生に一度だけ神に願いを叶えてもらえるっていうやつ。アミス子爵家を消したいっていう願いを叶えてもらって、証拠をぼくのところに召喚したり……あとはちょっとねつ造なんかもしたり、ね」
「は? え? まっ……え?」

 脳の処理が追いつかない。リオはなにを言っているんだ。チートとかご都合主義とかそんな言葉が頭をよぎる。だけどそんなことはどうでもいい。オレは大量の冷や汗が背中を伝うのを感じながらぽつりと呟いた。

「……ループ、は……?」
「……ふふふ。ケイ、本当に読んでくれていたんだ……」

 オレの言葉が耳に届いたらしいリオは、とんちんかんなことを言い出す。呆気にとられていると、彼はほんのりと頬を色づかせ目を細めた。

「ほかの神に、ケイがぼくの小説を読んでたって聞いてたけど……えへへ。恥ずかしいけど、すっごく嬉しい」
「ぼくの、小説……?」

 オウム返しのように聞き返すと、リオは大きく頷く。

「うん。きみが前世で読んだ小説……リリオン・アミスが主人公の小説は、ぼくが書いたんだよね」
「……は? え? なに、言ってんだ……?」

 まさか、作者が主人公に憑依したっていう展開なのか。なんでオレの前世のことを知っているんだ。本物のリオはどうなってしまったのか。様々な疑問が頭を埋め尽くしていく。
 なにから聞けばいいんだろうとまとまらない思考で考えていると、リオが口を開いた。

「ごめんね、混乱させちゃったよね。ちゃんと説明するから、聞いてくれる?」
「ああ……頼む」
「ありがとう。……まず、ぼくは前世……きみと同じ世界で、この世界のことを小説として書いたんだけど……創作の世界じゃなくて、現実なんだ」
「え、っと……?」

 小説だけど現実。頭に疑問符を浮かべていると、ややこしいよね、とリオは苦笑する。

「順を追って話すと……まず、ぼく……リリオン・アミスはこの世界で生まれて、本当に何回も殺されてループしたんだ。それで、小説ではループに自分で気づいて、っていう展開だけど……実際は、ぼくを神子に選んだ神がぼくにもう悲しい思いをさせたくなくて別の世界に送ったんだ」
「……それって、まさか……」
「うん。きみが前世生きていた世界。すべてを忘れて別の世界で生きてほしいと神がありったけの力を使って送ってくれたんだ。そこでぼくは璃央リオという名前で、まったく違う人生を歩むことになった」

 こういう字を書くんだよ、とリオは説明してくれる。そしてまた話し始めた。

「璃央として生まれたぼくはごく平凡な人生を生きていたんだけど、前世の……リリオンとしてループしていた頃の記憶を夢として見るようになったんだ。あまりにも頻繁に見るし、ありきたりなウェブ小説みたいな内容だったから……なんとなく小説として書いてみたんだよね。それが、ケイが前世で読んだ小説」
「そういうことか……ん? そうなるとループ後の本編は……」
「えへへ。ぼくの想像というか願望みたいな。どうせなら、ざまぁ展開っていうのを書いてみようかなって思って」

 リオの話を聞いて、投稿サイトで書かれていたとある感想を思い出した。

「回想はやたら具体的に書かれてるのに本編はふわっとしてるって感想あったけど……」
「あ、きみも見た? 鋭いよね」

 くすくすとリオは笑う。つまり、回想はノンフィクションで本編は完全フィクションだったわけだ。そりゃふわっとした感じにもなるか。
 謎が少しずつ解け始めると、新たな疑問が浮かぶ。

「むこうの世界に送られたのに、なんで戻って来ちゃったんだ?」
「それなんだけど……本来この世界で生きるべき魂を無理矢理別の世界に送ったから、まずいことになったらしくて。世界を正常な状態に戻すためにぼくの魂を呼び戻さないとってなったらしいんだ」
「なるほどなあ」

 壮大な話になってきたな。なんて内心面白くなりながらリオの話に耳を傾ける。

「ぼくをむこうの世界に送った神はもう力がほとんど残ってなくて。だからほかの神がぼくの魂をこの世界に呼び戻すためにむこうの世界に来て力を使ったんだけど……そのときにケイが巻き込まれちゃったんだよね」
「え? オレ?」

 この世界にもいろいろと宗教はあるが本当に神も何人もいるんだな、なんて呑気なことを考えていたら急に自分の名前が出てきた。驚いて聞き返すと、リオはこくんと頷く。
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