1 / 7
①
しおりを挟む
穏やかな夕日降り注ぎそよ風が木々を揺らす、放課後の中庭。ベンチに座って本を開いていると、校舎の方から足音が近づいてくる。誰か来たのかなと思いながらも本を眺めていたら、僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
顔を上げると、幼なじみの1人であるイアンが僕の方に向かって歩いてくる。彼は僕の前で立ち止まり、僕に笑いかけた。
「フェリ、どうしたのこんなとこで」
「ちょっとね。イアンはローレンス待ち?」
「あー……うん。そうそう。ぶらぶらしてたら窓からフェリが見えてさ。隣座っていい?」
うん、と返事をするとイアンが僕の隣に座った。もう1人の幼なじみであるローレンスが剣術クラブに行っているから暇なんだろう。イアンとローレンスは恋人同士で、いつも2人で一緒に帰っているから。
「……フェリ、ちょっと相談してもいい?」
再び僕が本に視線を落としてから少し経ったころ、隣から伺うような声が聞こえた。もちろんと言って彼の方を向きながら僕が返事をすると、イアンは内緒話をするように小さな声で話し始める。
「ローレンスがさ、その……最中にオレの身体すげー舐めてくるんだけどさ……」
「ふふ、愛されてるね」
僕が返すと、そうなんだけけど、と照れたイアンが少し困ったような顔をした。
「別に腹とか背中とかならオレも好きにさせとくんだけど……足の裏とか、足の指の間まで舐めようとしてきて……さすがにちょっとどうかと思ってさー」
はあ、と小さくため息をつくイアン。本人はいたって真面目なんだろうけど、可愛い悩み事だなと思ってしまった。
「イアンは足の裏とか舐められるの嫌?」
「嫌っていうか……汚いじゃん。洗っても靴とかスリッパとか履いてベッドまで歩くしさ」
なるほど。たしかに歩いてベッドに向かうなら気になるかもしれない。綺麗な状態ならいいのかと尋ねると、イアンはほんのりと頬を赤くした。
「んー……あいつに舐められるの、気持ちいいし……手の指の間とか、結構感じ……って! ごめん、変なこと言った。とにかく、どうしたら諦めてくれるかなって……」
ローレンスはちょっとやそっとじゃ諦めないタイプだ。うーん、と悩むイアンを見ながら、僕ははっとひらめく。
「無理に諦めさせなくても、歩く前ならいいんじゃない? 洗ったすぐとかなら汚くないし」
「洗ったすぐ……って……え、風呂……とか?」
「うん。一緒に入るでしょ?」
僕が質問で返すと、イアンの顔はさらに赤くなっていく。
「はっ……入るわけないじゃん!」
真っ赤な顔で答えるイアンに、僕はどうしてかと尋ねる。イアンは少しだけ口ごもったあと俯いた。
「……恥ずかしいじゃん。明るいし……全部見えちゃうし……」
ぽつりと呟きながら、耳まで赤くしている。これだけ恥ずかしがるということはもしかして、夜にしかしてないのだろうか。お休みの日は一日中えっちとか、みんなあんまりやらないのかな。
僕は少し腰を浮かして座り直して、イアンに笑いかける。
「イアンがどうしても嫌なら、話せばローレンスもきっとわかってくれるよ。でしょ?」
「うーん……でも……よく考えたら、どうしても嫌ってわけじゃ、ないし……」
「汚い状態で舐めさせるのが、っていうなら……2人で考えたらいい感じの案が浮かぶかもしれないよ?」
たとえば足に浮遊魔法かけて浮いてベッドまで行くとか。そう僕が提案すると、イアンの肩が震え出す。
「あははっ! なにそれ。でも……そうだね。うん」
顔を上げたイアンが、照れながらもにっこりと笑った。
「ありがと。ちゃんと話してみる。フェリに相談してよかった!」
役に立ててよかったと返すと、イアンは再びありがとうと言って立ち上がった。
「オレそろそろ行くね。フェリも寒くなる前に中に入りなよ。顔、赤くなってるみたいだし……大丈夫?」
「うん、大丈夫。ありがとう。もう少ししたら帰るから」
「ならいいけど。じゃあまた明日……って、ん? ここ濡れてたっけ」
イアンが視線を向けた先は、僕が座っている場所の少し前。地面が濡れて色が濃くなっている。
「さっきお水こぼしちゃって」
「まったく、フェリは相変わらずぼんやりしたとこがあるんだから。気をつけなよ。じゃあねー」
そう言ってイアンは校舎の方へ歩いて行く。僕は彼の姿が見えなくなるまで手を振って見送った。
顔を上げると、幼なじみの1人であるイアンが僕の方に向かって歩いてくる。彼は僕の前で立ち止まり、僕に笑いかけた。
「フェリ、どうしたのこんなとこで」
「ちょっとね。イアンはローレンス待ち?」
「あー……うん。そうそう。ぶらぶらしてたら窓からフェリが見えてさ。隣座っていい?」
うん、と返事をするとイアンが僕の隣に座った。もう1人の幼なじみであるローレンスが剣術クラブに行っているから暇なんだろう。イアンとローレンスは恋人同士で、いつも2人で一緒に帰っているから。
「……フェリ、ちょっと相談してもいい?」
再び僕が本に視線を落としてから少し経ったころ、隣から伺うような声が聞こえた。もちろんと言って彼の方を向きながら僕が返事をすると、イアンは内緒話をするように小さな声で話し始める。
「ローレンスがさ、その……最中にオレの身体すげー舐めてくるんだけどさ……」
「ふふ、愛されてるね」
僕が返すと、そうなんだけけど、と照れたイアンが少し困ったような顔をした。
「別に腹とか背中とかならオレも好きにさせとくんだけど……足の裏とか、足の指の間まで舐めようとしてきて……さすがにちょっとどうかと思ってさー」
はあ、と小さくため息をつくイアン。本人はいたって真面目なんだろうけど、可愛い悩み事だなと思ってしまった。
「イアンは足の裏とか舐められるの嫌?」
「嫌っていうか……汚いじゃん。洗っても靴とかスリッパとか履いてベッドまで歩くしさ」
なるほど。たしかに歩いてベッドに向かうなら気になるかもしれない。綺麗な状態ならいいのかと尋ねると、イアンはほんのりと頬を赤くした。
「んー……あいつに舐められるの、気持ちいいし……手の指の間とか、結構感じ……って! ごめん、変なこと言った。とにかく、どうしたら諦めてくれるかなって……」
ローレンスはちょっとやそっとじゃ諦めないタイプだ。うーん、と悩むイアンを見ながら、僕ははっとひらめく。
「無理に諦めさせなくても、歩く前ならいいんじゃない? 洗ったすぐとかなら汚くないし」
「洗ったすぐ……って……え、風呂……とか?」
「うん。一緒に入るでしょ?」
僕が質問で返すと、イアンの顔はさらに赤くなっていく。
「はっ……入るわけないじゃん!」
真っ赤な顔で答えるイアンに、僕はどうしてかと尋ねる。イアンは少しだけ口ごもったあと俯いた。
「……恥ずかしいじゃん。明るいし……全部見えちゃうし……」
ぽつりと呟きながら、耳まで赤くしている。これだけ恥ずかしがるということはもしかして、夜にしかしてないのだろうか。お休みの日は一日中えっちとか、みんなあんまりやらないのかな。
僕は少し腰を浮かして座り直して、イアンに笑いかける。
「イアンがどうしても嫌なら、話せばローレンスもきっとわかってくれるよ。でしょ?」
「うーん……でも……よく考えたら、どうしても嫌ってわけじゃ、ないし……」
「汚い状態で舐めさせるのが、っていうなら……2人で考えたらいい感じの案が浮かぶかもしれないよ?」
たとえば足に浮遊魔法かけて浮いてベッドまで行くとか。そう僕が提案すると、イアンの肩が震え出す。
「あははっ! なにそれ。でも……そうだね。うん」
顔を上げたイアンが、照れながらもにっこりと笑った。
「ありがと。ちゃんと話してみる。フェリに相談してよかった!」
役に立ててよかったと返すと、イアンは再びありがとうと言って立ち上がった。
「オレそろそろ行くね。フェリも寒くなる前に中に入りなよ。顔、赤くなってるみたいだし……大丈夫?」
「うん、大丈夫。ありがとう。もう少ししたら帰るから」
「ならいいけど。じゃあまた明日……って、ん? ここ濡れてたっけ」
イアンが視線を向けた先は、僕が座っている場所の少し前。地面が濡れて色が濃くなっている。
「さっきお水こぼしちゃって」
「まったく、フェリは相変わらずぼんやりしたとこがあるんだから。気をつけなよ。じゃあねー」
そう言ってイアンは校舎の方へ歩いて行く。僕は彼の姿が見えなくなるまで手を振って見送った。
107
あなたにおすすめの小説
平凡高校生の俺にイケメンアイドルが365回告白してくる理由
スノウマン(ユッキー)
BL
高校三年生の橘颯真はイケメンアイドル星宮光に毎日欠かさず告白されている。男同士とのこともあり、毎回断る颯真だが、一年という時間が彼らの関係を少しずつ変えていく。
どうして星宮は颯真に毎日告白するのか、そして彼らの恋の行方は?
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
「レジ袋はご利用になりますか?」
すずかけあおい
BL
仕事帰りに寄る、いつものコンビニで五十嵐 歩(いがらし あゆむ)はイヤホンをつけたまま会計をしてしまい、「――――?」なにかを聞かれたけれどきちんと聞き取れず。
「レジ袋はご利用になりますか?」だと思い、「はい」と答えたら、実際はそれは可愛い女性店員からの告白。
でも、ネームプレートを見たら『横山 天志(よこやま たかし)』…店員は男性でした。
天志は歩に「俺だけのネコになってください」と言って…。
告白を全部ドッキリだと思って振ったら、三人のアイドルが壊れかけたので彼氏役をすることになりました
海野(サブ)
BL
大人気アイドルヘイロー・プリズムのマネージャーである灯也はある日、その担当アイドル 光留 輝 照真 に告白されるが、ドッキリだと思い、振ってしまう。しかし、アイドル達のメンタルに影響が出始めてしまい…
致してるシーンと受けが彼氏役を引き受けるとこしか書いてませんので悪しからず。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
僕の太客が義兄弟になるとか聞いてない
コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26
BL
没落名士の長男ノアゼットは日々困窮していく家族を支えるべく上級学校への進学を断念して仕送りのために王都で働き出す。しかし賢くても後見の無いノアゼットが仕送り出来るほど稼げはしなかった。
そんな時に声を掛けてきた高級娼家のマダムの引き抜きで、男娼のノアとして働き出したノアゼット。研究肌のノアはたちまち人気の男娼に躍り出る。懇意にしてくれる太客がついて仕送りは十分過ぎるほどだ。
そんな中、母親の再婚で仕送りの要らなくなったノアは、一念発起して自分の人生を始めようと決意する。順風満帆に滑り出した自分の生活に満ち足りていた頃、ノアは再婚相手の元に居る家族の元に二度目の帰省をする事になった。
そこで巻き起こる自分の過去との引き合わせに動揺するノア。ノアと太客の男との秘密の関係がまた動き出すのか?
オメガなのにムキムキに成長したんだが?
未知 道
BL
オメガという存在は、庇護欲が湧く容姿に成長する。
なのに俺は背が高くてムキムキに育ってしまい、周囲のアルファから『間違っても手を出したくない』と言われたこともある。
お見合いパーティーにも行ったが、あまりに容姿重視なアルファ達に「ざっけんじゃねー!! ヤルことばかりのくそアルファ共がぁああーーー!!」とキレて帰り、幼なじみの和紗に愚痴を聞いてもらう始末。
発情期が近いからと、帰りに寄った病院で判明した事実に、衝撃と怒りが込み上げて――。
※攻めがけっこうなクズです。でも本人はそれに気が付いていないし、むしろ正当なことだと思っています。
同意なく薬を服用させる描写がありますので、不快になる方はブラウザバックをお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる