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第4章 裏切りと脅迫と忘却

プロローグ<329>

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新しい日々が始まるはずだった。




私は晴れて、営業二課の主任になる事になり、役職手当が少し上がった。



仕事は相変わらず、色んな意味で大変だけど、仕事にやりがいを持って取り組んで行こうと思っている矢先。




冬野さんと同棲を前向きに考えて、1週間ぶりに戻って来た私に、三つの災いが待ち受けていた。



裏切りと脅迫と忘却の災いに打ち勝たなければ、そこにあるのは、別れしかない。



そんな事、知りもせず、私はのこのこ街に帰って来た。





親、過去、宿敵。





私はそれらを無視しては、先に進めない事を、まだよく分かっていなかった。

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