「黒炎の隼」

蛙鮫

文字の大きさ
3 / 115

「入学試験」

しおりを挟む
 松阪隼人はとある場所に来ていた。『忌獣対策本部』の戦闘員を育成する学校。『金剛杵学園』の試験会場である。

「試験は校舎じゃなくて別の施設で行うのか」
  隼人は建物を眺めながら、そのままゆっくりと足を踏み入れた。試験会場に着くと大勢の少年少女達が大広間に集まっていた。

 その奥の部屋の掛札に『特待生試験場』と書いてあった。

「あれか」
 隼人はその部屋の前に着くと近くの座席に一人の少女が座っていた。切れ長の目に雪のような白い髪と肌。

 隼人は少し驚いたが気にせず、彼女の近くの席に座った。

「松阪隼人くん。こちらに来てください」
 職員に呼ばれるままに隼人は腰を上げて、職員のいる方に向かった。

 招かれると隼人はそこで学科試験と聖滅具の適正率の検査を行った。その二つを終えると隼人は特訓できない事に対して退屈を抱いていると職員が再び、声をかけて来た、


「それでは最終試験会場へ案内します」
 職員は何も言わず、足を進めて何処かへと向かっていく。すると目の前に大きな鉄扉が見えた。

「ではこちらを」
 職員がいきなり、隼人に『聖滅具』を手渡して来た。

「これってどう言う?」

「試験ですよ。準備ができたらあの鉄扉を開けて、入ってください」
 職員はそう言うと元来た道を戻っていった。

「何だ? まあいいか」
 隼人は聖滅具を展開させて、鉄の扉を開けた。中に入った時、隼人は目を見開いた。

 大きな闘技場に透明なガラスケースに閉じ込められた二体の忌獣がいるからである。

 一体は巨大な狼のような姿をした忌獣。もう一体は軟体動物のように数本の足でガラスケースの中をのたうちまわっている。

 二体とも隼人を見るなり、唾液を垂らし始めた。

『えー、松阪隼人くん。特待生最終試験は二体忌獣討伐となります。もし我々が命の危険があると判断した場合、または戦闘意思がなくなった場合、不合格とさせていただきます』

 職員の声は隼人には届いていなかった。彼が今、夢中になっていたのは目の前の忌獣を一秒も早く殺すことである。

『準備はいいですね。それでは最終試験開始!』

 職員の声とともにガラスケースが解放されて、二体の忌獣が勢いよく飛び出して来た。

「キュオオオオオオ!」
 軟体動物型の忌獣が足を伸ばして来た。隼人は動きをみて、ひらりと攻撃を躱していく。

「グオオオオオ!」
 避けた瞬間、狼型の忌獣が待っていたと言わんばかりの勢いで飛んで来た。

「ふうん。連携が取れているな。でも!」
 隼人は忌獣の攻撃を躱すと、態勢が前のめりになったのを見計らい頭上に降り立った。

「隙あり」
 隼人は目に止まらない速さで狼型の首を斬り落とした。すぐ横を見ると軟体動物型の足が迫って来た。

「邪魔だ!」
 足を斬り落としながら、的確に忌獣との距離を詰めていく。恐怖しかのか、忌獣の方が隼人から後退し始めた。

「おい。なにビビってんだよ。獲物はここにいるぞ!」
 隼人は目を血走らせながら、忌獣の元に向かった。そこからは微塵になるまで忌獣を刻んだ。

 周囲は瞬時に忌獣の遺体と血肉で染め上げられていた。

『試験終了。お疲れさまでした』
 職員が試験終了をスピーカーで伝えた。その声は震えていた。
 

 後日、金剛杵学園から隼人宛に届いた封筒には『首席合格』と書かれていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...