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「特訓」
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休日。今日は学校の授業はなく、隼人にとっては特訓に時間を注げる絶好の機会だ。
「さてまずは瞑想から」
すぐさま準備に取り掛かろうとした時、携帯がけたたましく鳴った。眼を向けるとそこには聖堂寺と表示されていた。
「まあ、後でいいだろう」
隼人は携帯の電源を切り、瞑想を開始した。呼吸を繰り返し、精神が明鏡止水の領域に達した時、外がやけに騒がしく鳴ってきた。
すると扉の向こう側からノックが聞こえてきた。気にせず無視し続けるとノックは止んだ。
「なんだったんだ。まあいいや。もう一度」
部屋の窓の方に態勢を向けた時、隼人は卒倒しそうになった。そこには白髪の少女が目を血走らせて、張り付いていたからだ。
隼人は部屋の外に出て、聖堂寺結巳と対面した。しかし、先ほどの衝撃が頭から離れず、動揺していた。
「ようやくきたわね」
「なんで俺の部屋に? というかここ男子寮だぞ!?」
「あなたに用があるからに決まっているからよ」
「それで何の用だ? 俺は今から鍛錬するんだ」
「それなら好都合ね。実は鍛錬に付き合って欲しいの」
「えっ?」
隼人は少し驚いた。今まで他者から特訓に付き合うようになかったからである。
「聖堂寺の当主となるために勉学や作法に打ち込むのは大事だけど、何より大事なのは実戦での強さ。剣の実力ではあなたには及ばない。だからお願い」
結巳がゆっくりと頭を下げてきた。隼人自身、彼女の境遇は理解している。
父が兄との諍いで死亡し、兄は行方不明。そして実母は聖堂寺の血筋でないにもかかわらず首長代理として対策本部の最高責任者になっている。
そんな母を心配する彼女の気持ちを簡単には無視できなかった。
「口答えはするなよ」
「ええ」
隼人は早速、準備に取り掛かった。
照りつく太陽の下、松阪隼人は結巳と木刀を重ねていた。理由はもちろん、剣の指導を行なっているのだ。
「動きが硬い! もっと緩急をつけろ!」
「はああ!」
何度も剣を打ち込み、叩きつけていく。呼吸を刻みながら、断続的に繰り返す剣撃。
次第に結巳の表情に陰りが見え始めた。隼人は力強い横払いを打ち付けると結巳が地面に倒れた。
「すまない。少し強くしすぎた」
「いえ、これくらい平気」
「基礎は悪くない。ただ、ところどころの動きが荒い。聖堂寺は主に異能を使って戦う事が多かったように見える。だからおそらく剣を合わせる事も少なかったんだろうな」
「確かに。そうね」
「それがわかれば、ただ打ち込むだけだ。行くぞ!」
隼人は再び、結巳に剣戟を打ち込みにいった。
夕方。辺りが茜色に染まる頃、隼人と結巳は近くのベンチに腰を下ろしていた。
「今日はありがとう。指導うまいわね」
「爺ちゃんの受け売りだよ」
「爺ちゃん?」
「ああ、言ってなかったけ。俺の爺ちゃん。元対策本部の人間だったんだよ」
「いや初耳よ。ということは何十年も前に引退したってこと?」
「まあ、そうなるな」
隼人の祖父。松阪シライは何十年も前に対策本部で活躍していた戦闘員だった。
そして、隼人が十歳の頃から十六までシライの元で血の滲むような修行を積んできたのだ。
「私がいうのもおかしいけど、なんで付き合ってくれたの?」
「昔、爺ちゃんからもっと、他人と剣を合わせるように言われた事があったんだ」
隼人はかつて自身の祖父シライに教えられた事を思い出していた。
「隼人。他者ともっと剣を交えるんだ。ワシの剣だけ模倣してはそれまでだ。その先の成長は見込めん」
祖父の厳しくも胸に響く言葉は今でも心に深く刻んでいる。
「あの、もし良かったらまた剣を合わせてもらえる?」
「......分かった」
「ありがとう!」
結巳が普段見せる冷静な表情から想像もつかないほど、あどけない笑みを浮かべた。
隼人は内心、心臓が飛び上がる感覚を抱いた。
「さてまずは瞑想から」
すぐさま準備に取り掛かろうとした時、携帯がけたたましく鳴った。眼を向けるとそこには聖堂寺と表示されていた。
「まあ、後でいいだろう」
隼人は携帯の電源を切り、瞑想を開始した。呼吸を繰り返し、精神が明鏡止水の領域に達した時、外がやけに騒がしく鳴ってきた。
すると扉の向こう側からノックが聞こえてきた。気にせず無視し続けるとノックは止んだ。
「なんだったんだ。まあいいや。もう一度」
部屋の窓の方に態勢を向けた時、隼人は卒倒しそうになった。そこには白髪の少女が目を血走らせて、張り付いていたからだ。
隼人は部屋の外に出て、聖堂寺結巳と対面した。しかし、先ほどの衝撃が頭から離れず、動揺していた。
「ようやくきたわね」
「なんで俺の部屋に? というかここ男子寮だぞ!?」
「あなたに用があるからに決まっているからよ」
「それで何の用だ? 俺は今から鍛錬するんだ」
「それなら好都合ね。実は鍛錬に付き合って欲しいの」
「えっ?」
隼人は少し驚いた。今まで他者から特訓に付き合うようになかったからである。
「聖堂寺の当主となるために勉学や作法に打ち込むのは大事だけど、何より大事なのは実戦での強さ。剣の実力ではあなたには及ばない。だからお願い」
結巳がゆっくりと頭を下げてきた。隼人自身、彼女の境遇は理解している。
父が兄との諍いで死亡し、兄は行方不明。そして実母は聖堂寺の血筋でないにもかかわらず首長代理として対策本部の最高責任者になっている。
そんな母を心配する彼女の気持ちを簡単には無視できなかった。
「口答えはするなよ」
「ええ」
隼人は早速、準備に取り掛かった。
照りつく太陽の下、松阪隼人は結巳と木刀を重ねていた。理由はもちろん、剣の指導を行なっているのだ。
「動きが硬い! もっと緩急をつけろ!」
「はああ!」
何度も剣を打ち込み、叩きつけていく。呼吸を刻みながら、断続的に繰り返す剣撃。
次第に結巳の表情に陰りが見え始めた。隼人は力強い横払いを打ち付けると結巳が地面に倒れた。
「すまない。少し強くしすぎた」
「いえ、これくらい平気」
「基礎は悪くない。ただ、ところどころの動きが荒い。聖堂寺は主に異能を使って戦う事が多かったように見える。だからおそらく剣を合わせる事も少なかったんだろうな」
「確かに。そうね」
「それがわかれば、ただ打ち込むだけだ。行くぞ!」
隼人は再び、結巳に剣戟を打ち込みにいった。
夕方。辺りが茜色に染まる頃、隼人と結巳は近くのベンチに腰を下ろしていた。
「今日はありがとう。指導うまいわね」
「爺ちゃんの受け売りだよ」
「爺ちゃん?」
「ああ、言ってなかったけ。俺の爺ちゃん。元対策本部の人間だったんだよ」
「いや初耳よ。ということは何十年も前に引退したってこと?」
「まあ、そうなるな」
隼人の祖父。松阪シライは何十年も前に対策本部で活躍していた戦闘員だった。
そして、隼人が十歳の頃から十六までシライの元で血の滲むような修行を積んできたのだ。
「私がいうのもおかしいけど、なんで付き合ってくれたの?」
「昔、爺ちゃんからもっと、他人と剣を合わせるように言われた事があったんだ」
隼人はかつて自身の祖父シライに教えられた事を思い出していた。
「隼人。他者ともっと剣を交えるんだ。ワシの剣だけ模倣してはそれまでだ。その先の成長は見込めん」
祖父の厳しくも胸に響く言葉は今でも心に深く刻んでいる。
「あの、もし良かったらまた剣を合わせてもらえる?」
「......分かった」
「ありがとう!」
結巳が普段見せる冷静な表情から想像もつかないほど、あどけない笑みを浮かべた。
隼人は内心、心臓が飛び上がる感覚を抱いた。
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