49 / 115
「二学期」
しおりを挟む
夏休みが終わり、隼人は学園に向かっていた。今日から二学期を迎える。
「夏休み終わるのはえーよ」
「それなー」
隼人も他の生徒にもれなく夏休みの終わりを憂いていた。
「随分と気落ちしているわね」
結巳が隼人の顔を覗き込むように顔を向けて来た。
「まあ、それなりに充実していたからな」
隼人は腕を組んで、手を伸ばして校舎の中に入っていた。
教室に入り、ホームルームを終えると担任の星野奏から挨拶とともにとあるイベント内容が黒板に書かれた。
「えー。みなさん一ヶ月後には文化祭があります。それぞれやりたい催しなどをピックアップして行ってください」
文化祭。学園内で行われる祭り。飲食店などの様々な催し物を開催する行事だ。
「たこ焼き!」
「定番は焼きそばだよなー」
「綿菓子!」
「食い物ばっかなだな」
食べ物ばかりが出てくるクラスメイト達に隼人は苦笑いを浮かべた。普段から厳しい訓練を行っている生徒達に取って、こういう行事は息抜きにも等しいものだ。
昼間。 隼人は屋上に行こうと教室を出ようとした。
「あっ、あの」
声のする方に首を向けると結巳が立っていた。ほんのりと頬を赤くして、少し俯いている。おそらくあまり人に声をか慣れていなかったから恥ずかしがっているのだ。
「どうした?」
「良かったら一緒に食事でもどう?」
「ああ。良いよ」
隼人は結巳や揚羽など他の生徒達とともに食事を取ることになった。相変わらず結巳の食事量は目を見張るほどだ。
「相変わらずよく食うな」
「これくらいしないと保たないの!」
結巳が食事に口に含んで、そっぽを向いてしまった。
「そういう松阪くんはあんまり食べないね」
揚羽が隼人の食事メニューを覗き込んできた。隼人の昼食はささみチキンとゆで卵というなんとも簡素なものだ。
「食べ過ぎると眠くなって授業や鍛錬にも影響が出る。満腹になるのは夕食で十分だ」
「真面目だねー」
揚羽が気の抜けたような反応をしながら、卵焼きを口にした。同級生とともに昼食をとる。少し前なら考えもしなかった事だ。
クラスメイト達と食べる昼食は彼の心にほんのりと暖かいものと楽しいひと時を与えた。
夜。静けさ漂う森の中で隼人と結巳は修羅と化していた。原因は辺りにいる忌獣だった。
「ギャオオオ!」
「グオオオオオオ!」
「二学期始まって早々、これとはな!」
「まさか昼食の後に本部から任務のお呼び出しが来るなんてね!」
隼人は迫り来る忌獣達を一体、また一体と斬り伏せて行く。その横では結巳が迫り来る忌獣達を氷漬けにした。
「全員かかってこい!」
隼人は頰に付いた返り血を拭った瞬間、忌獣が三体飛びかかってきた。しかし、鋭利な牙、爪、触手。それを華麗にかわして的確に切り刻んでいく。
「粉微塵にしてやるよ」
これまで幹部二人や数多の忌獣と戦闘を体験してきた隼人からすれば、忌獣三体など恐るに足らない。
隼人は凄まじい速度で忌獣達を切り裂いて肉塊へと変えた。血や肉片が頰に付着して少し不快感を覚えたが、関係ない。
「氷柱《アイシクル》!」
結巳の声とともに地面から無数の氷柱が飛び出た。氷柱は忌獣達の脳天や心臓を貫き、絶命に追い込んだ。
そうして、暴れ続けて数分。隼人達は忌獣を全て討伐する事に成功した。辺りには忌獣の死体と血や肉片、臓物が飛び散っている。
隼人は対策本部に任務を完遂した事を伝えた。
任務から帰還中。護送車に揺られながら、隼人は文化祭に付いて考えていた。
夏休みで祭りに行ったり、海に遊びに行ったりといかにも年頃の学生のような生活を行なっている。
今まで自分には無縁の経験をしているのだ。そして、一ヶ月後に行われる文化祭。
それもどこか楽しみにしている自分がいるのだ。
「文化祭か」
隼人は月を見上げて、静かに口角を上げた。隣では結巳が心地好さそうに小さな寝息を立てていた。
「夏休み終わるのはえーよ」
「それなー」
隼人も他の生徒にもれなく夏休みの終わりを憂いていた。
「随分と気落ちしているわね」
結巳が隼人の顔を覗き込むように顔を向けて来た。
「まあ、それなりに充実していたからな」
隼人は腕を組んで、手を伸ばして校舎の中に入っていた。
教室に入り、ホームルームを終えると担任の星野奏から挨拶とともにとあるイベント内容が黒板に書かれた。
「えー。みなさん一ヶ月後には文化祭があります。それぞれやりたい催しなどをピックアップして行ってください」
文化祭。学園内で行われる祭り。飲食店などの様々な催し物を開催する行事だ。
「たこ焼き!」
「定番は焼きそばだよなー」
「綿菓子!」
「食い物ばっかなだな」
食べ物ばかりが出てくるクラスメイト達に隼人は苦笑いを浮かべた。普段から厳しい訓練を行っている生徒達に取って、こういう行事は息抜きにも等しいものだ。
昼間。 隼人は屋上に行こうと教室を出ようとした。
「あっ、あの」
声のする方に首を向けると結巳が立っていた。ほんのりと頬を赤くして、少し俯いている。おそらくあまり人に声をか慣れていなかったから恥ずかしがっているのだ。
「どうした?」
「良かったら一緒に食事でもどう?」
「ああ。良いよ」
隼人は結巳や揚羽など他の生徒達とともに食事を取ることになった。相変わらず結巳の食事量は目を見張るほどだ。
「相変わらずよく食うな」
「これくらいしないと保たないの!」
結巳が食事に口に含んで、そっぽを向いてしまった。
「そういう松阪くんはあんまり食べないね」
揚羽が隼人の食事メニューを覗き込んできた。隼人の昼食はささみチキンとゆで卵というなんとも簡素なものだ。
「食べ過ぎると眠くなって授業や鍛錬にも影響が出る。満腹になるのは夕食で十分だ」
「真面目だねー」
揚羽が気の抜けたような反応をしながら、卵焼きを口にした。同級生とともに昼食をとる。少し前なら考えもしなかった事だ。
クラスメイト達と食べる昼食は彼の心にほんのりと暖かいものと楽しいひと時を与えた。
夜。静けさ漂う森の中で隼人と結巳は修羅と化していた。原因は辺りにいる忌獣だった。
「ギャオオオ!」
「グオオオオオオ!」
「二学期始まって早々、これとはな!」
「まさか昼食の後に本部から任務のお呼び出しが来るなんてね!」
隼人は迫り来る忌獣達を一体、また一体と斬り伏せて行く。その横では結巳が迫り来る忌獣達を氷漬けにした。
「全員かかってこい!」
隼人は頰に付いた返り血を拭った瞬間、忌獣が三体飛びかかってきた。しかし、鋭利な牙、爪、触手。それを華麗にかわして的確に切り刻んでいく。
「粉微塵にしてやるよ」
これまで幹部二人や数多の忌獣と戦闘を体験してきた隼人からすれば、忌獣三体など恐るに足らない。
隼人は凄まじい速度で忌獣達を切り裂いて肉塊へと変えた。血や肉片が頰に付着して少し不快感を覚えたが、関係ない。
「氷柱《アイシクル》!」
結巳の声とともに地面から無数の氷柱が飛び出た。氷柱は忌獣達の脳天や心臓を貫き、絶命に追い込んだ。
そうして、暴れ続けて数分。隼人達は忌獣を全て討伐する事に成功した。辺りには忌獣の死体と血や肉片、臓物が飛び散っている。
隼人は対策本部に任務を完遂した事を伝えた。
任務から帰還中。護送車に揺られながら、隼人は文化祭に付いて考えていた。
夏休みで祭りに行ったり、海に遊びに行ったりといかにも年頃の学生のような生活を行なっている。
今まで自分には無縁の経験をしているのだ。そして、一ヶ月後に行われる文化祭。
それもどこか楽しみにしている自分がいるのだ。
「文化祭か」
隼人は月を見上げて、静かに口角を上げた。隣では結巳が心地好さそうに小さな寝息を立てていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる