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「文化祭」
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文化祭当日。 多くの来客がやってきて、校内は活気に満ちていた。お化け屋敷。カフェ。焼きそば。たこ焼き。色取り取りの店が並んでいる。
「やっぱり多いな」
続々と流れ込んでくる来客の数に隼人は目を見張っていた。それとともに校内にいる数人の戦闘員にも目を向けた。
「戦闘員が多いわね」
「文化祭だからこそなんだろうな」
外部の人間が来ると言う事はその中に敵勢力が紛れていても、おかしくないと言う三段だろう。
「まあ、おれたちは俺たちの事をやればいい」
「そうね」
隼人は早速、屋台の準備に始めた。
屋台は大忙しだった。次から次へと流れ込んで来る来客。接客しても数が一向に減る気がしない。
注文を言う客の声。卵を焼く鉄板の音。オーダーを通すクラスメイトの声。様子以上の忙しさに目が回りそうだった。
そして、打ち込む事一時間。ようやく客が引いてきた。あまりの疲労感に肩を回した。
「松阪君! 休憩行って来て!」
「ああ、ありがとう」
隼人は揚羽に交代を任せて、文化祭を巡る事にした。自分がいたたこ焼き。玉せん。焼きそば。
忙しかったせいか、腹にこれでもかと言うくらい食べ物が入って行く。
「そう言えば、早見先輩。カフェをやっているって言っていたな」
隼人は早見のクラスが出しているカフェに向かう事にした。
カフェが出されている彼女の教室に向かうと、そこは大盛況だった。男子生徒はタキシードを纏い、女子生徒はメイド服。
「あー。こう言う系統ね」
「おや、きてくれたのか」
メイド服を来た速水が出迎えてくれた。普段の落ち着いた雰囲気とは違い、可愛らしさが漂っている。
「コーヒー飲みに来ました」
「是非。上がってくれ」
教室内はコーヒーと甘いミルクの匂いがほんのりと漂っている。
「お待ちどうさま」
「ではいただきます」
隼人は淹れたての熱いコーヒーを啜った。コーヒーはとても味わい深く学生が淹れたものとは思えない美味しさだった。
「これ美味しいですね」
「淹れてくれている子が趣味でコーヒーを淹れているんだよ」
「なるほど」
個々の活かせる部分を生かして、みんなに貢献する。現場と同じだ。教室内はウェイトレスも客人も皆、生き生きとしていた。
「賑わっていますね」
「嬉しい限りだよ」
最後の文化祭。三年生は皆、悔いを残さないように力を合わせている。穏やかな空気に身を委ねながら、隼人は再びコーヒーを啜った。
巡る所を巡って、広場から離れた席に腰を下ろした。買い込んだ食べ物を口に頬張り、休み明けへと英気を養っていた。
「賑やかなね」
「おう。客が多くて参るな」
少し疲れた表情を浮かべた結巳が手前の席に腰を下ろした。周囲では生徒達が自分達の露店の切り盛りをせかせかと行なっている。
隼人には戦闘員を育成する学園ではなく、どこにでもある普通の学園に見えた。
「こうしてみると普段、戦闘員を育成している学園とは思えないな」
「そうね。賑やかね」
「いつか、鳥籠や忌獣がいなくなったら、この学園は普通の学園になるんだろうな」
戦闘員の卵とは言え、彼らも年頃の若者。こういう行事には精を出したいのだろう。
いつか忌獣や鳥籠が無くなり、この学校が普通の学園として機能する。そうなってほしいと少し思った。
すると突然、グラウンドに土煙が舞った。突然、巻き起こった出来事に隼人は動揺を覚えると同時、嫌な気配を感じていた。
煙が引くと隼人は目を見開いた。忌獣がいたのだ。それも一体ではない。三体の忌獣が口の端から唾液を垂らしていたのだ。
「きゃああああああ!」
「忌獣だ!」
その場が一斉にパニックに包まれ始めた。来客を今すぐ避難させないと死者が出る。
隼人は聖滅具を起動させて、戦闘態勢に入った。ここはもう平和な学び舎ではない。血煙漂う戦場だ。
「校内に避難してください! 早く!」
戦闘員達が来客を次々と誘導して行く。その間、隼人は忌獣と戦闘を行なっていた。
「我々も加勢する!」
戦闘員達が銃型の聖滅具を構えて、発砲して行く。
「氷柱《アイシクル》!」
結巳が生み出した氷柱が忌獣の体を貫いた。
「よし! このまま」
隼人は忌獣討伐に拍車をかけようとした時、凄まじい存在感を覚えた。
空気が変わった。隼人は何か得体の知れない存在が近くにいるのを本能的に察知した。
「なっ、なんだ。この感覚」
全身の鳥肌が異様に逆立つほどの殺気を感じるのだ。その存在は校舎の屋上にいる。
結巳の方に目を受けると、彼女も隼人の方を見て、相槌を打っていた。
「何かいる」
「聖堂寺。残り二体を戦闘員と討伐してくれ」
隼人は一目散に校舎に入り、階段を上がった。心拍数が上がっていくのを感じながら、階段を駆け上がっていく。
凄まじい存在感。重厚な空気。屋上に飛び出した瞬間、威圧感の正体がそこにいた。
先端が鳥のくちばしのように尖った黒いマスクと同色のシルクハット。そして、全身を包む黒マント姿の人影が佇んでいた。
隼人はその異様な姿に体が固まる。黒いマスクが彼の方にゆっくりと顔を向けた。
「こっ、こいつは」
仮面から伝わる強烈な威圧感のせいで胃がキリキリと痛み始めた。恐怖で歯がガチガチと音を立てて、震える。
「鳥籠の教祖。 迦楼羅」
「やっぱり多いな」
続々と流れ込んでくる来客の数に隼人は目を見張っていた。それとともに校内にいる数人の戦闘員にも目を向けた。
「戦闘員が多いわね」
「文化祭だからこそなんだろうな」
外部の人間が来ると言う事はその中に敵勢力が紛れていても、おかしくないと言う三段だろう。
「まあ、おれたちは俺たちの事をやればいい」
「そうね」
隼人は早速、屋台の準備に始めた。
屋台は大忙しだった。次から次へと流れ込んで来る来客。接客しても数が一向に減る気がしない。
注文を言う客の声。卵を焼く鉄板の音。オーダーを通すクラスメイトの声。様子以上の忙しさに目が回りそうだった。
そして、打ち込む事一時間。ようやく客が引いてきた。あまりの疲労感に肩を回した。
「松阪君! 休憩行って来て!」
「ああ、ありがとう」
隼人は揚羽に交代を任せて、文化祭を巡る事にした。自分がいたたこ焼き。玉せん。焼きそば。
忙しかったせいか、腹にこれでもかと言うくらい食べ物が入って行く。
「そう言えば、早見先輩。カフェをやっているって言っていたな」
隼人は早見のクラスが出しているカフェに向かう事にした。
カフェが出されている彼女の教室に向かうと、そこは大盛況だった。男子生徒はタキシードを纏い、女子生徒はメイド服。
「あー。こう言う系統ね」
「おや、きてくれたのか」
メイド服を来た速水が出迎えてくれた。普段の落ち着いた雰囲気とは違い、可愛らしさが漂っている。
「コーヒー飲みに来ました」
「是非。上がってくれ」
教室内はコーヒーと甘いミルクの匂いがほんのりと漂っている。
「お待ちどうさま」
「ではいただきます」
隼人は淹れたての熱いコーヒーを啜った。コーヒーはとても味わい深く学生が淹れたものとは思えない美味しさだった。
「これ美味しいですね」
「淹れてくれている子が趣味でコーヒーを淹れているんだよ」
「なるほど」
個々の活かせる部分を生かして、みんなに貢献する。現場と同じだ。教室内はウェイトレスも客人も皆、生き生きとしていた。
「賑わっていますね」
「嬉しい限りだよ」
最後の文化祭。三年生は皆、悔いを残さないように力を合わせている。穏やかな空気に身を委ねながら、隼人は再びコーヒーを啜った。
巡る所を巡って、広場から離れた席に腰を下ろした。買い込んだ食べ物を口に頬張り、休み明けへと英気を養っていた。
「賑やかなね」
「おう。客が多くて参るな」
少し疲れた表情を浮かべた結巳が手前の席に腰を下ろした。周囲では生徒達が自分達の露店の切り盛りをせかせかと行なっている。
隼人には戦闘員を育成する学園ではなく、どこにでもある普通の学園に見えた。
「こうしてみると普段、戦闘員を育成している学園とは思えないな」
「そうね。賑やかね」
「いつか、鳥籠や忌獣がいなくなったら、この学園は普通の学園になるんだろうな」
戦闘員の卵とは言え、彼らも年頃の若者。こういう行事には精を出したいのだろう。
いつか忌獣や鳥籠が無くなり、この学校が普通の学園として機能する。そうなってほしいと少し思った。
すると突然、グラウンドに土煙が舞った。突然、巻き起こった出来事に隼人は動揺を覚えると同時、嫌な気配を感じていた。
煙が引くと隼人は目を見開いた。忌獣がいたのだ。それも一体ではない。三体の忌獣が口の端から唾液を垂らしていたのだ。
「きゃああああああ!」
「忌獣だ!」
その場が一斉にパニックに包まれ始めた。来客を今すぐ避難させないと死者が出る。
隼人は聖滅具を起動させて、戦闘態勢に入った。ここはもう平和な学び舎ではない。血煙漂う戦場だ。
「校内に避難してください! 早く!」
戦闘員達が来客を次々と誘導して行く。その間、隼人は忌獣と戦闘を行なっていた。
「我々も加勢する!」
戦闘員達が銃型の聖滅具を構えて、発砲して行く。
「氷柱《アイシクル》!」
結巳が生み出した氷柱が忌獣の体を貫いた。
「よし! このまま」
隼人は忌獣討伐に拍車をかけようとした時、凄まじい存在感を覚えた。
空気が変わった。隼人は何か得体の知れない存在が近くにいるのを本能的に察知した。
「なっ、なんだ。この感覚」
全身の鳥肌が異様に逆立つほどの殺気を感じるのだ。その存在は校舎の屋上にいる。
結巳の方に目を受けると、彼女も隼人の方を見て、相槌を打っていた。
「何かいる」
「聖堂寺。残り二体を戦闘員と討伐してくれ」
隼人は一目散に校舎に入り、階段を上がった。心拍数が上がっていくのを感じながら、階段を駆け上がっていく。
凄まじい存在感。重厚な空気。屋上に飛び出した瞬間、威圧感の正体がそこにいた。
先端が鳥のくちばしのように尖った黒いマスクと同色のシルクハット。そして、全身を包む黒マント姿の人影が佇んでいた。
隼人はその異様な姿に体が固まる。黒いマスクが彼の方にゆっくりと顔を向けた。
「こっ、こいつは」
仮面から伝わる強烈な威圧感のせいで胃がキリキリと痛み始めた。恐怖で歯がガチガチと音を立てて、震える。
「鳥籠の教祖。 迦楼羅」
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