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「逃避行」
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夜の首長室。静けさと緊張感が漂う中、隼人は首長である聖堂寺光と向かい合っていた。
「本当によろしいんですか?」
「はい。やはり俺には実力が足りないと思っています」
「幹部を討伐する人間を平の戦闘員に置くのは勿体無い気がしますね」
「倒せたのは結巳さんや庭島さんのおかげです。俺一人ではどうにもなりませんでした」
隼人は光からの提案を拒否しに来た。全ては自分の成すべき事を成すためだ。
「分かりました。貴方の御意志を尊重いたします」
「ありがとうございます」
隼人は一礼すると首長室を去った。終始、光の全てを見透かすような目に心臓の鼓動が強く脈打っていた。
寮に戻った後はすぐさま、脱出の準備を行う予定だ。対策本部の建物を出ると辺りはすっかり夜になっていた。
部屋へ戻り、荷物を入れたリュックを担いだ。窓を開けて、誰かいないか確認する為、辺りを見渡した。
「誰も見ていないな」
隼人は誰も見ていない事を確認するとゆっくりと窓から降りた。事前に監視カメラの位置や警備システムの場所は把握している。
慎重に行けば、この学園から出ることは可能だ。
「どこに行くの?」
背後から聞き慣れた声が聞こえた。ため息をついて、ゆっくりと振り返った。
結巳だ。いるはずのない彼女がいたのだ。
「なっ、なんでここに」
予想愛の出来事に動揺を隠せずにいた。
「今日の貴方。様子が可笑しかった。私の返事に対してもよそよそしかったし。何かあるんじゃないかって思って、見つからないように観察していた」
どうやら最初から怪しまれていたようだ。隼人は自分の不甲斐なさに思わずため息が出た。
「その格好から察するにまさか、出て行くつもり」
「ああ」
「なんで?」
「言わなくても分かるだろ?」
隼人は拳を握りながら、言葉を吐いて行く。彼自身、現在の対策本部に籍を置き続ける事に限界を感じていた。
そうとはいえ、個人的な事情で彼女を巻き込むわけにはいかない。
「どうして私に言わずに一人で行こうとしたの?」
「言ったら止めるだろ?」
等かけると結巳が黙った。沈黙は肯定。隼人は彼女の顔にゆっくりと目を向けた。鋭い目を作っていた。
「何で、そんな顔しているんだよ」
「分からない?」
分かっていた。曖昧な返答をした挙句、一人で去ろうとしたのだ。
「私ってそんなに信頼ない?」
「信頼はしている。けど俺の勝手な理由でお前を巻き込みたくなかった」
「それは貴方の勝手な都合でしょ?」
結巳が声を強く発した。
「私言ったわよね。夏祭りの日。もう一人で抱えまないでって。あの時の返事は嘘だったの?」
隼人の脳裏に数ヶ月前の出来事が浮かんだ。今まで言わなかった過去を打ち明けて、彼女が受け止めてくれたあの日。
頼って欲しいと彼女は確かに言った。
「私はもう嫌なのよ。誰かが目の前に去るのは」
結巳の声が微かに震えていた。おそらく彼女の頭に浮かんでいるのは殺された父と別人のようになってしまった兄。
そして、隼人だ。今、去ろうとしている彼の姿がかつて去った二人と重なっているのだ。
「もし貴方が行くなら私も行く」
「本気か? 聖堂寺のお嬢様が行方不明なんてなったら大問題だぞ」
「幹部候補の貴方一人が行方不明になった時点で大問題よ。もうだったら一人も変わらないわ。それに」
「それに?」
「兄さんだって。突然いなくなったんだから私を咎める権利はないわ」
結巳が再び、強い目を作った。そこには先ほどまで弱気な態度を見せていた彼女はいなかった。
「十分待つ。いや二十分」
「そんなにかからない。十分でいいわ」
「了解」
結巳がすぐさま寮へと走り、隼人は近くの草葉に隠れた。
結局、彼女が来たのは二十分後だった。
「本当によろしいんですか?」
「はい。やはり俺には実力が足りないと思っています」
「幹部を討伐する人間を平の戦闘員に置くのは勿体無い気がしますね」
「倒せたのは結巳さんや庭島さんのおかげです。俺一人ではどうにもなりませんでした」
隼人は光からの提案を拒否しに来た。全ては自分の成すべき事を成すためだ。
「分かりました。貴方の御意志を尊重いたします」
「ありがとうございます」
隼人は一礼すると首長室を去った。終始、光の全てを見透かすような目に心臓の鼓動が強く脈打っていた。
寮に戻った後はすぐさま、脱出の準備を行う予定だ。対策本部の建物を出ると辺りはすっかり夜になっていた。
部屋へ戻り、荷物を入れたリュックを担いだ。窓を開けて、誰かいないか確認する為、辺りを見渡した。
「誰も見ていないな」
隼人は誰も見ていない事を確認するとゆっくりと窓から降りた。事前に監視カメラの位置や警備システムの場所は把握している。
慎重に行けば、この学園から出ることは可能だ。
「どこに行くの?」
背後から聞き慣れた声が聞こえた。ため息をついて、ゆっくりと振り返った。
結巳だ。いるはずのない彼女がいたのだ。
「なっ、なんでここに」
予想愛の出来事に動揺を隠せずにいた。
「今日の貴方。様子が可笑しかった。私の返事に対してもよそよそしかったし。何かあるんじゃないかって思って、見つからないように観察していた」
どうやら最初から怪しまれていたようだ。隼人は自分の不甲斐なさに思わずため息が出た。
「その格好から察するにまさか、出て行くつもり」
「ああ」
「なんで?」
「言わなくても分かるだろ?」
隼人は拳を握りながら、言葉を吐いて行く。彼自身、現在の対策本部に籍を置き続ける事に限界を感じていた。
そうとはいえ、個人的な事情で彼女を巻き込むわけにはいかない。
「どうして私に言わずに一人で行こうとしたの?」
「言ったら止めるだろ?」
等かけると結巳が黙った。沈黙は肯定。隼人は彼女の顔にゆっくりと目を向けた。鋭い目を作っていた。
「何で、そんな顔しているんだよ」
「分からない?」
分かっていた。曖昧な返答をした挙句、一人で去ろうとしたのだ。
「私ってそんなに信頼ない?」
「信頼はしている。けど俺の勝手な理由でお前を巻き込みたくなかった」
「それは貴方の勝手な都合でしょ?」
結巳が声を強く発した。
「私言ったわよね。夏祭りの日。もう一人で抱えまないでって。あの時の返事は嘘だったの?」
隼人の脳裏に数ヶ月前の出来事が浮かんだ。今まで言わなかった過去を打ち明けて、彼女が受け止めてくれたあの日。
頼って欲しいと彼女は確かに言った。
「私はもう嫌なのよ。誰かが目の前に去るのは」
結巳の声が微かに震えていた。おそらく彼女の頭に浮かんでいるのは殺された父と別人のようになってしまった兄。
そして、隼人だ。今、去ろうとしている彼の姿がかつて去った二人と重なっているのだ。
「もし貴方が行くなら私も行く」
「本気か? 聖堂寺のお嬢様が行方不明なんてなったら大問題だぞ」
「幹部候補の貴方一人が行方不明になった時点で大問題よ。もうだったら一人も変わらないわ。それに」
「それに?」
「兄さんだって。突然いなくなったんだから私を咎める権利はないわ」
結巳が再び、強い目を作った。そこには先ほどまで弱気な態度を見せていた彼女はいなかった。
「十分待つ。いや二十分」
「そんなにかからない。十分でいいわ」
「了解」
結巳がすぐさま寮へと走り、隼人は近くの草葉に隠れた。
結局、彼女が来たのは二十分後だった。
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