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「新しい友」
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廃工場の中、不良達が俺を睨んでいる。
「なんだ? お前? こいつの仲間か?」
不良の一人が地面で倒れている庭島君を指差した。彼は疲れたような目で俺の方を見ていた。
「ははは! 良かったなあ! お友達が助けに来てくれてよ!」
「まさかだと思うけど、この数を相手取ろうってのか?」
一際、体格のいいリーダー格の男が不良達を引き連れる。皆、釘バットや鉄パイプ。アイスピックに警棒など様々な武器を持っていた。
俺は息を整えて、戦闘に臨んだ。
「問題ない。俺一人で十分だ」
「なめやがって! 野郎ども!」
「おう!」
リーダー格の男の叫び声と同時に男達が俺の元に走って来た。
「ヒャッハー!」
「隙だらけだ」
俺は襲いかかって来た男を張り倒して、警棒を奪った。
「ふん!」
「がはっ!」
「ごほっ!」
俺は寄って来た不良二人を倒して、そこから一人、また一人と膝や手首を重点的に攻撃していく。
素人相手だと動きそのものが遅いからいくらでも対応できる。
「お前ら! 何やってんだ! 相手は一人だぞ!」
「分かっている! でもこいつありえねえくらい強え!」
俺は襲いかかって来た男達を無力化して、とうとうリーダー格の男のみとなった。
「クソ!」
男が眉間に皺を寄せて、鉄バットを振って来た。力任せの単調な大振り。あまりに隙だらけだ。
「舐めんなああああ!」
「遅いよ」
俺は躱した後、両膝と両腕を素早く叩いて戦闘不能に追い込んだ。
「クッソ」
歯ぎしりする男を尻目に俺は庭島君の元に近寄っていく。
「庭島君。大丈夫?」
「お前は転校生? なんでここに」
「庭島君が入っていくのが見えたから」
俺は倒れている庭島君に肩を貸して、工場の外に向かった。
「ソラシノ君! 庭島君! 大丈夫?」
北原が驚いた様子でこちらに駆け寄って来た。無理もない。同級生が傷だらけになっているのだ。
「病院に行ったほうがいいんじゃないか?」
「いい。これくらい」
庭島君がそう言って、立ち上がった。しかし、体のところは傷だらけで見るからに辛そうだった。
「ならここで待ってて!」
突然、北原がどこかへと走って行った。
「どうして喧嘩になったの?」
「あいつら。他校の生徒をカツアゲしてたんだよ。だから助けたら因縁つけられて、のったらボコられた」
「なるほどね。でも無茶だよ。一人で複数人相手は」
「お前は全員ボコっただろう? しかも傷ひとつ付いてねえ。本当ナニモンだよ」
「ただの学生だよ」
忌獣を相手取って来た俺に比べれば、不良は大した事なかった。
「お待たせ!」
しばらくするとコンビニ袋を持った彼女が戻って来た。
中身はガーゼや湿布が入っていた。
「せめて傷くらいは直そう。バイ菌入ったら大変だし」
北原がどこかぎこちない手つきで庭島の傷口にガーゼを当てていく。彼女の献身的な姿勢に思わず目を見張った。
「はい! 終わり! もう大丈夫ね!」
北原が白い歯を見せて、笑った。暖かな笑顔に影響されたのか、庭島の微かに口角をあげていた。
この日、俺に新しい友達ができた。
「なんだ? お前? こいつの仲間か?」
不良の一人が地面で倒れている庭島君を指差した。彼は疲れたような目で俺の方を見ていた。
「ははは! 良かったなあ! お友達が助けに来てくれてよ!」
「まさかだと思うけど、この数を相手取ろうってのか?」
一際、体格のいいリーダー格の男が不良達を引き連れる。皆、釘バットや鉄パイプ。アイスピックに警棒など様々な武器を持っていた。
俺は息を整えて、戦闘に臨んだ。
「問題ない。俺一人で十分だ」
「なめやがって! 野郎ども!」
「おう!」
リーダー格の男の叫び声と同時に男達が俺の元に走って来た。
「ヒャッハー!」
「隙だらけだ」
俺は襲いかかって来た男を張り倒して、警棒を奪った。
「ふん!」
「がはっ!」
「ごほっ!」
俺は寄って来た不良二人を倒して、そこから一人、また一人と膝や手首を重点的に攻撃していく。
素人相手だと動きそのものが遅いからいくらでも対応できる。
「お前ら! 何やってんだ! 相手は一人だぞ!」
「分かっている! でもこいつありえねえくらい強え!」
俺は襲いかかって来た男達を無力化して、とうとうリーダー格の男のみとなった。
「クソ!」
男が眉間に皺を寄せて、鉄バットを振って来た。力任せの単調な大振り。あまりに隙だらけだ。
「舐めんなああああ!」
「遅いよ」
俺は躱した後、両膝と両腕を素早く叩いて戦闘不能に追い込んだ。
「クッソ」
歯ぎしりする男を尻目に俺は庭島君の元に近寄っていく。
「庭島君。大丈夫?」
「お前は転校生? なんでここに」
「庭島君が入っていくのが見えたから」
俺は倒れている庭島君に肩を貸して、工場の外に向かった。
「ソラシノ君! 庭島君! 大丈夫?」
北原が驚いた様子でこちらに駆け寄って来た。無理もない。同級生が傷だらけになっているのだ。
「病院に行ったほうがいいんじゃないか?」
「いい。これくらい」
庭島君がそう言って、立ち上がった。しかし、体のところは傷だらけで見るからに辛そうだった。
「ならここで待ってて!」
突然、北原がどこかへと走って行った。
「どうして喧嘩になったの?」
「あいつら。他校の生徒をカツアゲしてたんだよ。だから助けたら因縁つけられて、のったらボコられた」
「なるほどね。でも無茶だよ。一人で複数人相手は」
「お前は全員ボコっただろう? しかも傷ひとつ付いてねえ。本当ナニモンだよ」
「ただの学生だよ」
忌獣を相手取って来た俺に比べれば、不良は大した事なかった。
「お待たせ!」
しばらくするとコンビニ袋を持った彼女が戻って来た。
中身はガーゼや湿布が入っていた。
「せめて傷くらいは直そう。バイ菌入ったら大変だし」
北原がどこかぎこちない手つきで庭島の傷口にガーゼを当てていく。彼女の献身的な姿勢に思わず目を見張った。
「はい! 終わり! もう大丈夫ね!」
北原が白い歯を見せて、笑った。暖かな笑顔に影響されたのか、庭島の微かに口角をあげていた。
この日、俺に新しい友達ができた。
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