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01 婚約破棄はデビュタントの舞踏会で言い渡された
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「そのように病弱なそなたとは、子をなすことも家庭を築くことも叶わないだろう。よってこの婚約は無かったこととする」
それは年に一度、王宮で開催され、国内の貴族たちが一同に会する、デビュタント舞踏会での事だった。
「ルイーズ・ブルージュ公爵令嬢」
最初に名前を呼ばれると、キャバリエである従兄弟にエスコートされ、私は品位高く大ホールへ入場した。
両サイドに集ったたくさんの貴族たちから歓声を浴びながらぐるりと視線を巡らせると、両親や親戚たちの誇らしげな顔が見て取れた。
私は珍しく気持ちが高ぶっていた。
なぜなら、一番に名前を呼ばれたからである。デビュタントの舞踏会で一番に名前を呼ばれるのは名誉なことだ。
その年のデビュタントを地位、頭脳、容姿、あらゆる角度から評価し、最も優秀とされる者が事前に一位を頂き、舞踏会では最初に入場するのだ。
誇らしさに私は自信を漲らせていた。
今日この時のために、体調を整え、万全の準備をしてきた。
人より少し、いや、かなり、疲れやすい体質なのだが、今日の舞踏会は最後まで踊り切るつもりで体力作りもしてきた。
何もかもが順調だった。
深呼吸して、平常心よ。
私は晴れの舞台を最高のものにするために、もう癖になってしまった文句を自分に言い聞かせながら、たおやかに人々の中心を歩く。
「ルイーズ様!」
「ルイーズ様、素敵よ!」
掛けられる声に笑顔で答えて、ホールの中央を歩き上座へ向かう。
後ろから続々と名を呼ばれたデビュタントが入場する中、私は凛と背中を伸ばして、上座で待ち構えている婚約者の元へと向かう。
婚約者は第二王子のテオドリック。
金髪碧眼のハンサムだ。いつもは大型犬みたいにしっぽ振り振り、愛嬌を振りまいているのだが、今日はシャンと立っている。
真面目な顔をすると国宝級のハンサムで、見慣れたお顔も今日は一段と綺麗に見えた。
私の手はこのままキャバリエからテオドリックに渡され、その瞬間に音楽が奏でられ、ファーストダンスが始まる予定だ。
私たち二人のダンスが終わると、一斉にデビュタントが踊り出す段取りとなっている。
そして、正に今、最も輝き注目を浴びる瞬間だった。
だが。
差し出された私の手を取るはずのテオドリックが微動だにせず立ち尽くしている。
「テオドリック様?」
私は小さく小首をかしげて声を掛けた。
楽団の指揮者がこちらをガン見して、今か今かとタイミングを計っている。
進行が止まった状態に、ざわめいていた館内が急速に静まり返る。
そして、婚約破棄の宣言が下されたのだった。
それは年に一度、王宮で開催され、国内の貴族たちが一同に会する、デビュタント舞踏会での事だった。
「ルイーズ・ブルージュ公爵令嬢」
最初に名前を呼ばれると、キャバリエである従兄弟にエスコートされ、私は品位高く大ホールへ入場した。
両サイドに集ったたくさんの貴族たちから歓声を浴びながらぐるりと視線を巡らせると、両親や親戚たちの誇らしげな顔が見て取れた。
私は珍しく気持ちが高ぶっていた。
なぜなら、一番に名前を呼ばれたからである。デビュタントの舞踏会で一番に名前を呼ばれるのは名誉なことだ。
その年のデビュタントを地位、頭脳、容姿、あらゆる角度から評価し、最も優秀とされる者が事前に一位を頂き、舞踏会では最初に入場するのだ。
誇らしさに私は自信を漲らせていた。
今日この時のために、体調を整え、万全の準備をしてきた。
人より少し、いや、かなり、疲れやすい体質なのだが、今日の舞踏会は最後まで踊り切るつもりで体力作りもしてきた。
何もかもが順調だった。
深呼吸して、平常心よ。
私は晴れの舞台を最高のものにするために、もう癖になってしまった文句を自分に言い聞かせながら、たおやかに人々の中心を歩く。
「ルイーズ様!」
「ルイーズ様、素敵よ!」
掛けられる声に笑顔で答えて、ホールの中央を歩き上座へ向かう。
後ろから続々と名を呼ばれたデビュタントが入場する中、私は凛と背中を伸ばして、上座で待ち構えている婚約者の元へと向かう。
婚約者は第二王子のテオドリック。
金髪碧眼のハンサムだ。いつもは大型犬みたいにしっぽ振り振り、愛嬌を振りまいているのだが、今日はシャンと立っている。
真面目な顔をすると国宝級のハンサムで、見慣れたお顔も今日は一段と綺麗に見えた。
私の手はこのままキャバリエからテオドリックに渡され、その瞬間に音楽が奏でられ、ファーストダンスが始まる予定だ。
私たち二人のダンスが終わると、一斉にデビュタントが踊り出す段取りとなっている。
そして、正に今、最も輝き注目を浴びる瞬間だった。
だが。
差し出された私の手を取るはずのテオドリックが微動だにせず立ち尽くしている。
「テオドリック様?」
私は小さく小首をかしげて声を掛けた。
楽団の指揮者がこちらをガン見して、今か今かとタイミングを計っている。
進行が止まった状態に、ざわめいていた館内が急速に静まり返る。
そして、婚約破棄の宣言が下されたのだった。
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