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14 お姫様抱っこでも戦います
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暗闇の中、厩舎に隠れた不審者確保作業は進行する。
音も無く騎士たちは全ての出入り口を囲み、突入部隊が茂みに隠れて合図を待っている。
かなり細長い厩舎だが、ターゲットの位置は確定しているため、難なく確保できるだろう。
私とヴァレリー王子は、安全な反対側の茂みに隠れて待機していた。
お父様が二人の騎士を護衛に残してくれている。
そして、王子の近衛が三人、令嬢を抱っこする王子に常に付き従っている。
「あの、殿下。降ろして頂いて大丈夫です」
私は小さな声で訴える。
「レディーを裸足で歩かせるわけにはいかない」
ヴァレリー王子は最もな理由で却下する。
そうでなく。
王太子にいつまでも抱っこされていては、私の心臓が持たないのです。恥ずかしいのです。
いやー。誰か助けてー。
そうこうしているうちに敏感な馬たちがそわそわし始めた気配がする。
同時に突入が始まり、建物の向こう側では騒ぎが起きていた。
「始まったようだな」
「はい」
私たちは安全なこっち側で成り行きを見守る。
突入が始まってしまえば、騎士たちは大騒ぎで現場確保に駆け回る。
不審者確保の場はきっと押せよ引けよの大騒ぎだろう。
ドン!
ドガガガ!!
ドタドタドタ!!
―――きゃー、なになになに!?
―――見つかった! に、逃げろ!
―――エルミナ様!!
―――テオドリック殿下!!
バサバサ!
カキンカキン!
私は『地獄耳』で事の成り行きを見守った。
剣がかち合う音が聞こえた時はさすがに身震いした。
「寒いか?」
勘違いした王子が一層強く抱き込んでくる。
違うの、違うからやめてー。
―――エルミナ嬢、確保!
―――テオドリック殿下、確保!
うん、従者も捉えたかな?
と、状況が『地獄耳』で聞こえている事に安心していたら、こちら側で騒ぎが起こった。
ざわッと騎士たちの緊迫感が伝わってくる。
ひとり逃げた? 違う、五人目が居たのだ。
『地獄耳』で捉えきれなかった、音を立てない手練れだ。
「来ます!」
私が叫ぶと、護衛の騎士が二人、茂みから飛び出て前線で構える。
「上です!」
二階か!?
違う。
屋根から来る。
向こうからやって来た黒い塊が厩舎の屋根を跳躍したと思ったら、落ちる勢いで騎士二人をなぎ倒し、素早く茂みに突入してくる。
なんでこっちに来るかな!?
ヴァレリーの近衛が二人前に出て剣を抜いた時、敵は容赦なく斬り込んできた。
ひとつ、ふたつ、剣を合わせて敵は逃げる。
「殿下!!」
近衛が叫ぶ。
だからなんでこっちに来るかな!?
横に付いていた近衛が殿下を守るように一歩前へ出ようとした時、私は彼より一足早く彼の剣をすらりと抜いた。
「!?」
殿下も近衛さんもビックリしているがそれどころではない。
「こっちに来ないで下さーーーい!!」
突撃して来る人影にひと振り、ヴァレリー王太子に抱かれたままのヘロンとしたひと振りだが、その軌道から稲妻のような気の塊が敵に向かって発せられた。
バン!
という空気が弾けた音とともに、敵はこちらにたどり着く前にパタンと倒れ落ちた。
お部屋を吹き飛ばした技の剣バージョンです。
音も無く騎士たちは全ての出入り口を囲み、突入部隊が茂みに隠れて合図を待っている。
かなり細長い厩舎だが、ターゲットの位置は確定しているため、難なく確保できるだろう。
私とヴァレリー王子は、安全な反対側の茂みに隠れて待機していた。
お父様が二人の騎士を護衛に残してくれている。
そして、王子の近衛が三人、令嬢を抱っこする王子に常に付き従っている。
「あの、殿下。降ろして頂いて大丈夫です」
私は小さな声で訴える。
「レディーを裸足で歩かせるわけにはいかない」
ヴァレリー王子は最もな理由で却下する。
そうでなく。
王太子にいつまでも抱っこされていては、私の心臓が持たないのです。恥ずかしいのです。
いやー。誰か助けてー。
そうこうしているうちに敏感な馬たちがそわそわし始めた気配がする。
同時に突入が始まり、建物の向こう側では騒ぎが起きていた。
「始まったようだな」
「はい」
私たちは安全なこっち側で成り行きを見守る。
突入が始まってしまえば、騎士たちは大騒ぎで現場確保に駆け回る。
不審者確保の場はきっと押せよ引けよの大騒ぎだろう。
ドン!
ドガガガ!!
ドタドタドタ!!
―――きゃー、なになになに!?
―――見つかった! に、逃げろ!
―――エルミナ様!!
―――テオドリック殿下!!
バサバサ!
カキンカキン!
私は『地獄耳』で事の成り行きを見守った。
剣がかち合う音が聞こえた時はさすがに身震いした。
「寒いか?」
勘違いした王子が一層強く抱き込んでくる。
違うの、違うからやめてー。
―――エルミナ嬢、確保!
―――テオドリック殿下、確保!
うん、従者も捉えたかな?
と、状況が『地獄耳』で聞こえている事に安心していたら、こちら側で騒ぎが起こった。
ざわッと騎士たちの緊迫感が伝わってくる。
ひとり逃げた? 違う、五人目が居たのだ。
『地獄耳』で捉えきれなかった、音を立てない手練れだ。
「来ます!」
私が叫ぶと、護衛の騎士が二人、茂みから飛び出て前線で構える。
「上です!」
二階か!?
違う。
屋根から来る。
向こうからやって来た黒い塊が厩舎の屋根を跳躍したと思ったら、落ちる勢いで騎士二人をなぎ倒し、素早く茂みに突入してくる。
なんでこっちに来るかな!?
ヴァレリーの近衛が二人前に出て剣を抜いた時、敵は容赦なく斬り込んできた。
ひとつ、ふたつ、剣を合わせて敵は逃げる。
「殿下!!」
近衛が叫ぶ。
だからなんでこっちに来るかな!?
横に付いていた近衛が殿下を守るように一歩前へ出ようとした時、私は彼より一足早く彼の剣をすらりと抜いた。
「!?」
殿下も近衛さんもビックリしているがそれどころではない。
「こっちに来ないで下さーーーい!!」
突撃して来る人影にひと振り、ヴァレリー王太子に抱かれたままのヘロンとしたひと振りだが、その軌道から稲妻のような気の塊が敵に向かって発せられた。
バン!
という空気が弾けた音とともに、敵はこちらにたどり着く前にパタンと倒れ落ちた。
お部屋を吹き飛ばした技の剣バージョンです。
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