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28 大公殿下にまで抱っこされてしまいました
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※26、27を飛ばしてお読みの方。ルイーズがテオドリックとエルミナにガルガンの能力を使ってちょこっと復讐し、ぶっ倒れてしまったところです。
ここで、倒れるわけにはいかないのよ!
私は落ちて行く意識をつかみ取り、ふん! と目を覚ました。
「おおっと、暴れるなよ」
がっしりと体を抱き止められて、私は只今、人様に運ばれて移動中であることに気付く。
そして取り敢えず落ちないようにしがみつく。
覚えの無い逞しい腕と胸筋を感じて、そっと私を運ぶ方を確認すると、大公将軍だった。
「たたたた大公殿下!?」
あまりの無礼さに体が固まる。
だから倒れるわけにはいかなかったのにー!
「はいよ。久し振りだなルイーズ嬢ちゃん。暴れると落とすぞ」
腹に響くバリトンの声。獅子の鬣のような金髪を揺らし、甘く優しい碧眼が私を見ている。
逞しく大きな体に抱っこされ、いつもより高い位置にいるのにベッドにいるかのような安定感がある。
王の弟、王立騎士団の長である大公様はビクトリア様のお父上だ。
「ああ、テオドリック様とエルミナ様に会ったの、ばれてしまいましたのね」
私は大公の腕の中、両手で顔を覆う。
「ま、気にすんな。ふ、はは。ははははは!」
なんで笑うんですの?
私、テオドリック様とエルミナ様をちょっと、いや、かなり強くやってしまいました。
あの後、どうなったのかしら?
「いや、お前がな、やられっぱなしで憔悴してるって報告受けてたから、大丈夫か? ちゃんと人間か? って心配してたんだよ」
心配はありがたいですけど、人間ですが!?
「したらば、まぁ、見事だった! あいつら心臓握り潰されたとか脳ミソ焼かれたとか、ガタガタ震えながらチビってたぞ」
そうですか。チビってましたか。
「俺がやられてもチビっちまうけどな」
大公様にやるわけがないでしょう!?
「ルイーズ、お前がちゃんと人間で、女で良かったよ。あんまり感情を溜め込みすぎるなよ。小出しにしろ、小出しに」
「小出しですか。でも、被害を考えると」
「悪いやつがチビるくらい構わないだろ」
「壁が」
「ああ。あの壁な! 俺もよく壊すらから無問題!」
大公様はあっけらかんとしたものです。
が、法的に今回の行動はどうなのだろう?
法規を順守するのが大公様のお役目だ。なのに、その娘を唆し、手続きをガン無視してしまった。しかも現行犯逮捕だ。
ぐるぐる考えていると、大公様は私の不安を読みとって答えてくれる。
「ブルージュ家が訴えなかったお陰で、今お前は被害者ではなく、あいつらも加害者ではない。ただ、違法な婚約破棄をしたから、きちんとした手続きを踏ませる必要がある。それだけだ」
あ、我が家は訴えてなかったのですね。
それはそうか。
訴えたら王家を相手に戦争だ。ブルージュ家は穏便な解決を望んだのだ。
「だが、当事者は納得がいかないはずだからな。早く直接対決させてやりたかったんだがなぁ。問題があってな・・・」
大公様は決まりが悪そうだ。
問題、か。
んんん?
「バルリ公爵のことですか? 彼ならリリア妃殿下の所に居ますよ」
言うと大公様は私をじっと見た。
「ぬぁんだと!!!???」
ここで、倒れるわけにはいかないのよ!
私は落ちて行く意識をつかみ取り、ふん! と目を覚ました。
「おおっと、暴れるなよ」
がっしりと体を抱き止められて、私は只今、人様に運ばれて移動中であることに気付く。
そして取り敢えず落ちないようにしがみつく。
覚えの無い逞しい腕と胸筋を感じて、そっと私を運ぶ方を確認すると、大公将軍だった。
「たたたた大公殿下!?」
あまりの無礼さに体が固まる。
だから倒れるわけにはいかなかったのにー!
「はいよ。久し振りだなルイーズ嬢ちゃん。暴れると落とすぞ」
腹に響くバリトンの声。獅子の鬣のような金髪を揺らし、甘く優しい碧眼が私を見ている。
逞しく大きな体に抱っこされ、いつもより高い位置にいるのにベッドにいるかのような安定感がある。
王の弟、王立騎士団の長である大公様はビクトリア様のお父上だ。
「ああ、テオドリック様とエルミナ様に会ったの、ばれてしまいましたのね」
私は大公の腕の中、両手で顔を覆う。
「ま、気にすんな。ふ、はは。ははははは!」
なんで笑うんですの?
私、テオドリック様とエルミナ様をちょっと、いや、かなり強くやってしまいました。
あの後、どうなったのかしら?
「いや、お前がな、やられっぱなしで憔悴してるって報告受けてたから、大丈夫か? ちゃんと人間か? って心配してたんだよ」
心配はありがたいですけど、人間ですが!?
「したらば、まぁ、見事だった! あいつら心臓握り潰されたとか脳ミソ焼かれたとか、ガタガタ震えながらチビってたぞ」
そうですか。チビってましたか。
「俺がやられてもチビっちまうけどな」
大公様にやるわけがないでしょう!?
「ルイーズ、お前がちゃんと人間で、女で良かったよ。あんまり感情を溜め込みすぎるなよ。小出しにしろ、小出しに」
「小出しですか。でも、被害を考えると」
「悪いやつがチビるくらい構わないだろ」
「壁が」
「ああ。あの壁な! 俺もよく壊すらから無問題!」
大公様はあっけらかんとしたものです。
が、法的に今回の行動はどうなのだろう?
法規を順守するのが大公様のお役目だ。なのに、その娘を唆し、手続きをガン無視してしまった。しかも現行犯逮捕だ。
ぐるぐる考えていると、大公様は私の不安を読みとって答えてくれる。
「ブルージュ家が訴えなかったお陰で、今お前は被害者ではなく、あいつらも加害者ではない。ただ、違法な婚約破棄をしたから、きちんとした手続きを踏ませる必要がある。それだけだ」
あ、我が家は訴えてなかったのですね。
それはそうか。
訴えたら王家を相手に戦争だ。ブルージュ家は穏便な解決を望んだのだ。
「だが、当事者は納得がいかないはずだからな。早く直接対決させてやりたかったんだがなぁ。問題があってな・・・」
大公様は決まりが悪そうだ。
問題、か。
んんん?
「バルリ公爵のことですか? 彼ならリリア妃殿下の所に居ますよ」
言うと大公様は私をじっと見た。
「ぬぁんだと!!!???」
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