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夏休みの間
43.絨毯と座布団。
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広い畳敷きの部屋の真ん中に、部屋の大きさよりちょっと小さい赤っぽい絨毯が敷かれていた。
絨毯には綺麗な模様が描いてある。
模様はは表面に印刷してあるののじゃなかった。絨毯を織っている糸そのものにいろいろな色が付いていて、模様になるように組み合わせてあるのだ。
龍が床をじっと見ていると、「トラ」が小さな声で言った。
「その絨毯はね、遠い国で女の人や子供が作ってるんだよ。綺麗で、それにとても丈夫なんだ」
その声は、夏前にあの川原で話していたときとまるきり同じ調子だった。
だから龍も、あのとき止まるきり同じに、
「ふぅん」
と答えた。
絨毯の上には、スチールの脚にガラスの天板を乗せた低いテーブルがある。テーブルの周りには座椅子が二つ。部屋の隅に座布団が何枚か詰まれている。
背もたれが大きくて肘置きが付いた座椅子は、多分Y先生の旦那さんの場所だ。座るとテレビが真正面に見える位置だから間違いない、と龍は確信した。
だって龍の家でも、父親はテレビの真正面の、一番よくテレビがみえるに席に座っているのだもの。
大きい座椅子のその左側に、籐の蔓を編んだ背もたれが付いた座椅子がある。
テーブルの辺の真ん中からからちょっとずれた位置に置かれているから、これはきっとY先生の席だ。
この位置なら旦那さんがテレビを見る邪魔にならない。ちょっと中心からずれているのは、旦那さんの湯飲みにお茶をつぎ足すのに便利なように、にちがいない。
龍はテーブルの前でちょっと考えた。先生と旦那さんの「定位置」に座る訳には行かない。だから空いている二カ所のどちらかに座ればいいのだけれど、どっちを選んだらよいのかまでは解らない。
迷っていると、「トラ」は部屋の隅の座布団塔に駆け寄って、頂上から二番目と三番目の座布団を引き抜いた。
そして、二枚の座布団を先生の席の対面に並べて置いて、自分はテレビから遠い方へポンと座った。
嬉しげに笑う黒い瞳で龍を見つめながら、「トラ」はテレビに近い方の座布団をポンポンと軽く叩いた。
だから龍は、その座布団にちょこんと座った。
背後から甘い匂いが漂ってきた。その匂いの元が、白いレースのテーブルクロスの上に、トンと置かれた。
きれいに皮を剥かれて、櫛形に切られた大ぶりの桃が、一人に一つずつ。
緑色のプラスチックの柄の小さなフォークが添えられているそれは、龍が普段食べるものよりも、一回り大きいように見えた。
「大きい!」
驚いたのと嬉しかったのが混じって、龍は、大きな声を挙げた。「トラ」の分のお皿を持ったY先生の肩がびくんと持ち上がるほどの大声だった。龍は、慌てて自分の口を両手で押さえた。
絨毯には綺麗な模様が描いてある。
模様はは表面に印刷してあるののじゃなかった。絨毯を織っている糸そのものにいろいろな色が付いていて、模様になるように組み合わせてあるのだ。
龍が床をじっと見ていると、「トラ」が小さな声で言った。
「その絨毯はね、遠い国で女の人や子供が作ってるんだよ。綺麗で、それにとても丈夫なんだ」
その声は、夏前にあの川原で話していたときとまるきり同じ調子だった。
だから龍も、あのとき止まるきり同じに、
「ふぅん」
と答えた。
絨毯の上には、スチールの脚にガラスの天板を乗せた低いテーブルがある。テーブルの周りには座椅子が二つ。部屋の隅に座布団が何枚か詰まれている。
背もたれが大きくて肘置きが付いた座椅子は、多分Y先生の旦那さんの場所だ。座るとテレビが真正面に見える位置だから間違いない、と龍は確信した。
だって龍の家でも、父親はテレビの真正面の、一番よくテレビがみえるに席に座っているのだもの。
大きい座椅子のその左側に、籐の蔓を編んだ背もたれが付いた座椅子がある。
テーブルの辺の真ん中からからちょっとずれた位置に置かれているから、これはきっとY先生の席だ。
この位置なら旦那さんがテレビを見る邪魔にならない。ちょっと中心からずれているのは、旦那さんの湯飲みにお茶をつぎ足すのに便利なように、にちがいない。
龍はテーブルの前でちょっと考えた。先生と旦那さんの「定位置」に座る訳には行かない。だから空いている二カ所のどちらかに座ればいいのだけれど、どっちを選んだらよいのかまでは解らない。
迷っていると、「トラ」は部屋の隅の座布団塔に駆け寄って、頂上から二番目と三番目の座布団を引き抜いた。
そして、二枚の座布団を先生の席の対面に並べて置いて、自分はテレビから遠い方へポンと座った。
嬉しげに笑う黒い瞳で龍を見つめながら、「トラ」はテレビに近い方の座布団をポンポンと軽く叩いた。
だから龍は、その座布団にちょこんと座った。
背後から甘い匂いが漂ってきた。その匂いの元が、白いレースのテーブルクロスの上に、トンと置かれた。
きれいに皮を剥かれて、櫛形に切られた大ぶりの桃が、一人に一つずつ。
緑色のプラスチックの柄の小さなフォークが添えられているそれは、龍が普段食べるものよりも、一回り大きいように見えた。
「大きい!」
驚いたのと嬉しかったのが混じって、龍は、大きな声を挙げた。「トラ」の分のお皿を持ったY先生の肩がびくんと持ち上がるほどの大声だった。龍は、慌てて自分の口を両手で押さえた。
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