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序章
有栖はデートがしたいらしい
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「デートに行きませんか!?」
突如そんなことを言われて僕は困惑する。
「えぇと、いきなりどしたの?有栖。」
時は放課後。僕がいつも通り帰ろうとすると、有栖が正門でスタン張っていた。じゃあなって声をかけて帰ろうとしたら腕を掴まれて、キラキラした目でデートをしようと誘ってきたのだ。突然ね。
「だから、デートに行きませんかって言ってるんです!!」
デート。それは恋人、または好きな人同士で買い物やお出かけに行く行為。デートの定義は人によって様々だが、僕にとっての定義はこんなもんだ。もちろん、僕はデートなんてしたことがない!
「デートというよりかは遊びに行くって感じか?」
僕は言葉を訂正して改めて聞き直す。
「いいや、デートですよっ!」
「いや、僕たち恋人じゃないんだからデートじゃないでしょ…」
すると有栖は少しだけドヤッとした顔で僕に言う。
「何を言ってるんですかっ。異性が遊びに行くだけで、それはデートと呼べるのですよっ!」
「そ、そうなのかっ!」
初耳である。そんな簡単にデートなんて言葉使っても良いのだろうか。まぁ、そんなことを考えていても意味がない。だから僕は断る理由はなかったしデートを了承する。
「わかった。で、いつデートするんだ?」
すると有栖は二パーっとした輝かしい笑顔を浮かべながら僕にこう告げた。
「クリスマスですっ!」
「く、クリスマス…だと!?」
今日は12月10日。今から14日後のクリスマス。恋人がいない人たちはクリぼっちと呼ばれるその日。僕もクリぼっちの仲間だったゆえに、今年もクリぼっちなのだろうと思っていたのだが、今年は違うようだ。
「はい!クリスマスです!どうせ秀先輩クリぼっちでしたよね!なら断る理由はないはずです!」
何やら貶された気がしたが、それよりも非リア充に対しての優越感がぼくの中に渦巻いた。
「ハハッ。どうやら僕は一足早くクリぼっちを卒業するようだ。スマねぇな非リア充。フハハハハ。」
僕は高笑いした。だが、そんな僕とは裏腹に、後ろから謎の殺意を感じた。僕咄嗟に振り返る。すると
「クリスマス…デートですって?」
後ろには汐恩がいた。そういえば汐恩は僕のことが好きだったはずだから、僕をクリスマスデートに誘ってる人物がいるとすぐに止めに行くに違いない。そう、今がその時なのだ。
ちらりと汐恩の方を見ると、地響きがなりそうなほどに顔を赤くしていた。…………え?何怒ってんの!?
「ふざけるんじゃないわよ!!私という女を置いて他の女とデートするなんて!浮気よ浮気!!」
「いや待て僕はまだ誰とも付き合ってなグボァァ!?」
僕の頬にグーで握られたカチカチの鉄拳が飛んできて、僕はその勢いで地面に尻をついたのだった。
「誰とも付き合ってないなんて言い訳よ言い訳!秀は私と結ばれるべきなのよ!西城なんとか!あんたに秀は似合わないわよ!」
見上げると汐恩は有栖という年下相手に威嚇しまくっていた。ガキかよ……それにしても頰が痛い。
「秀先輩はそんな簡単に暴力を振るう女と付き合いたくなんてないと思いますけど?」
有栖はニヤニヤしながら汐恩に言葉を返す。だが、沸点の低い汐恩のことだ。その有栖の言葉にさらにヒートアップして
「うるっさいわね!秀は私と付き合いたいのよ!私なら下のサービスもしてあげることができるのよ!」
「いやだからしてもらうつもりなんて無いって言ってるだろぉがぁ!」
傍観者でいるつもりだったが、そういうわけにも行かなくなってしまった。何回言えばこいつ理解すんの?まじで日本人じゃねぇぞこいつ。
「ふふん。私は漣先輩と違って不埒じゃありませんので。それに秀先輩はしてもらうつもりなんて無いって言ってますよ?自分の欲を押し付けても良いのですか?」
正論。正論。正論。いっつもこいつらの争いを見てて思うのだが、汐恩は有栖の言葉に耐えきれずキレるだけで、いっつも有栖に正論を押し付けられて負けてる気がする。
そうしてしばらくこいつらの争いを見て、たまに言い返していると
「よぉ秀。モテる男は大変だな。」
「あ、真夏。見てるなら助けてくれ。面倒くさくてたまらん。」
僕に話しかけてきたのは真夏だった。だから僕は真夏に助け舟を求めたのだが…
「悪い秀。俺用事あったわ。」
それだけ言い残し足速に去っていく真夏。逃げんなよ。女が怖いからって。
真夏は逃げた。あの臆病者が。そう内心で毒づいてるといきなり名前を呼ばれる。
「秀はどう思ってるの!?」
「秀先輩はどう思ってるんですか!?」
「えぇ!?」
なんということだろう。僕に話題が振られてしまった。正直なことを話すと全く話を聞いていなかったので、なんのことだかわからない。だから僕は適当にはぐらかすことにした。
「あ、えっとだなぁ~。良いと思うぞ…うん。」
すると二人の目つきが豹変する。二人の矛先は一変して僕に向かってきた。………なんで?泣きたい気分である。
「話………聞いてませんでしたね?」
「話……聞いてなかったわね?」
「も、申し訳ありませグボァ!?」
今度は両頬に衝撃。痛い。痛いよ二人とも。僕はサンドバックじゃないんだぜ?
そんなこんやで二人の争いは小一時間続き、その間何発か殴られくたくたになる僕でした。とほほ。
突如そんなことを言われて僕は困惑する。
「えぇと、いきなりどしたの?有栖。」
時は放課後。僕がいつも通り帰ろうとすると、有栖が正門でスタン張っていた。じゃあなって声をかけて帰ろうとしたら腕を掴まれて、キラキラした目でデートをしようと誘ってきたのだ。突然ね。
「だから、デートに行きませんかって言ってるんです!!」
デート。それは恋人、または好きな人同士で買い物やお出かけに行く行為。デートの定義は人によって様々だが、僕にとっての定義はこんなもんだ。もちろん、僕はデートなんてしたことがない!
「デートというよりかは遊びに行くって感じか?」
僕は言葉を訂正して改めて聞き直す。
「いいや、デートですよっ!」
「いや、僕たち恋人じゃないんだからデートじゃないでしょ…」
すると有栖は少しだけドヤッとした顔で僕に言う。
「何を言ってるんですかっ。異性が遊びに行くだけで、それはデートと呼べるのですよっ!」
「そ、そうなのかっ!」
初耳である。そんな簡単にデートなんて言葉使っても良いのだろうか。まぁ、そんなことを考えていても意味がない。だから僕は断る理由はなかったしデートを了承する。
「わかった。で、いつデートするんだ?」
すると有栖は二パーっとした輝かしい笑顔を浮かべながら僕にこう告げた。
「クリスマスですっ!」
「く、クリスマス…だと!?」
今日は12月10日。今から14日後のクリスマス。恋人がいない人たちはクリぼっちと呼ばれるその日。僕もクリぼっちの仲間だったゆえに、今年もクリぼっちなのだろうと思っていたのだが、今年は違うようだ。
「はい!クリスマスです!どうせ秀先輩クリぼっちでしたよね!なら断る理由はないはずです!」
何やら貶された気がしたが、それよりも非リア充に対しての優越感がぼくの中に渦巻いた。
「ハハッ。どうやら僕は一足早くクリぼっちを卒業するようだ。スマねぇな非リア充。フハハハハ。」
僕は高笑いした。だが、そんな僕とは裏腹に、後ろから謎の殺意を感じた。僕咄嗟に振り返る。すると
「クリスマス…デートですって?」
後ろには汐恩がいた。そういえば汐恩は僕のことが好きだったはずだから、僕をクリスマスデートに誘ってる人物がいるとすぐに止めに行くに違いない。そう、今がその時なのだ。
ちらりと汐恩の方を見ると、地響きがなりそうなほどに顔を赤くしていた。…………え?何怒ってんの!?
「ふざけるんじゃないわよ!!私という女を置いて他の女とデートするなんて!浮気よ浮気!!」
「いや待て僕はまだ誰とも付き合ってなグボァァ!?」
僕の頬にグーで握られたカチカチの鉄拳が飛んできて、僕はその勢いで地面に尻をついたのだった。
「誰とも付き合ってないなんて言い訳よ言い訳!秀は私と結ばれるべきなのよ!西城なんとか!あんたに秀は似合わないわよ!」
見上げると汐恩は有栖という年下相手に威嚇しまくっていた。ガキかよ……それにしても頰が痛い。
「秀先輩はそんな簡単に暴力を振るう女と付き合いたくなんてないと思いますけど?」
有栖はニヤニヤしながら汐恩に言葉を返す。だが、沸点の低い汐恩のことだ。その有栖の言葉にさらにヒートアップして
「うるっさいわね!秀は私と付き合いたいのよ!私なら下のサービスもしてあげることができるのよ!」
「いやだからしてもらうつもりなんて無いって言ってるだろぉがぁ!」
傍観者でいるつもりだったが、そういうわけにも行かなくなってしまった。何回言えばこいつ理解すんの?まじで日本人じゃねぇぞこいつ。
「ふふん。私は漣先輩と違って不埒じゃありませんので。それに秀先輩はしてもらうつもりなんて無いって言ってますよ?自分の欲を押し付けても良いのですか?」
正論。正論。正論。いっつもこいつらの争いを見てて思うのだが、汐恩は有栖の言葉に耐えきれずキレるだけで、いっつも有栖に正論を押し付けられて負けてる気がする。
そうしてしばらくこいつらの争いを見て、たまに言い返していると
「よぉ秀。モテる男は大変だな。」
「あ、真夏。見てるなら助けてくれ。面倒くさくてたまらん。」
僕に話しかけてきたのは真夏だった。だから僕は真夏に助け舟を求めたのだが…
「悪い秀。俺用事あったわ。」
それだけ言い残し足速に去っていく真夏。逃げんなよ。女が怖いからって。
真夏は逃げた。あの臆病者が。そう内心で毒づいてるといきなり名前を呼ばれる。
「秀はどう思ってるの!?」
「秀先輩はどう思ってるんですか!?」
「えぇ!?」
なんということだろう。僕に話題が振られてしまった。正直なことを話すと全く話を聞いていなかったので、なんのことだかわからない。だから僕は適当にはぐらかすことにした。
「あ、えっとだなぁ~。良いと思うぞ…うん。」
すると二人の目つきが豹変する。二人の矛先は一変して僕に向かってきた。………なんで?泣きたい気分である。
「話………聞いてませんでしたね?」
「話……聞いてなかったわね?」
「も、申し訳ありませグボァ!?」
今度は両頬に衝撃。痛い。痛いよ二人とも。僕はサンドバックじゃないんだぜ?
そんなこんやで二人の争いは小一時間続き、その間何発か殴られくたくたになる僕でした。とほほ。
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