勘違いから始まる反逆王

わか

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開拓

第20話 副産物

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 アデス村の調査をしてから1週間。
 大体の情報が集まった。ゲートの設置も完了してある。浮浪者のたまり場であったボロ家の1つを、金で買取ることによって手に入れた。

 「それで?君たちは、何をしに来たのかな?」

 俺たちの目の前には、割れた瓶や丈夫そうな木の枝を持って乗り込んできた浮浪者たち。

 「おいおい、見れば分かるだろ?俺たちには、金がねぇ。おメェに貰った金がねぇーんだよッ。」

 いきり立つ浮浪者。金で解決するなら良いんだが、人間は欲が深いからな...。

 「見ても理解が出来ない。が、金ならやるから、さっさと出ていってくれる嬉しい。」

 金が入っている小袋を浮浪者たちに投げ渡す。

 「へぇ。これだけしかねぇのか、オォイッ!ねぇーなら、そこの女を寄越せッ。村長に高く売れそうだ。ヒッヒヒヒぃ。」

 はぁ。このボロ家を購入した時の3倍の金が小袋に入っているんだけど...。参ったな、ここで騒ぎが起きると作戦に支障をきたす。

 「カーラちゃん、エタンセルにいるアリエスさんに伝えてくれる?ゴミを送るから、処理をお願いと。」

 「はい、であります!」

 「アァン?おメェ、何言ってんだ?この数を相手にやれんのかッ?オォイッ!」

 「ぶふっ。三下のセリフ、どうもありがとう。そして、さよなら。」

 「ッ!!は...?」

 影から針が幾度も射出され、浮浪者のこめかみに刺さる。正確に、確実に刺さる針。拍手を送らざる得ないほど完璧な殺し。

 「お見事、ルイズさん。素晴らしいお手並み。」

 影から出てくるルイズさんは、俺の前で片膝を地面につき、胸に手を当て、頭を下ろす。

 「はっ。御身に貢献出来ること、とても嬉しく思います。それに、お褒めのお言葉、まさしく天にも昇る気持ちで下着がびちゃびちゃです...」

 こいつも変態だったな...。

 「あ、うん。下着を替えておいで。まだ、ルイズさんに頼ることは多いからね。」

 「かしこまりました。ナイン様。」

 また、影に潜り、消えるルイズさん。最近、過激な発言をする子が増えた気がする。
 顔を横に振り、思考を切り替える。

 「フレアさん、ゲートに死体投げ捨てるの手伝って。薬剤を投与する人間の接触の時間が近い。」

 エタンセルにキメラの研究の課程を書かれている資料があって良かった。アデス村に混乱を引きこせる。

 「ふぅ...これで最後か、なっ!」

 最後の死体の首を掴み、ゲートに放り込む。

 「それじゃあ、ゲートの守護を頼むね。フレアさん、セレナ。」

 「なぁ、人間の仕事はいいけどよぉ...ナイン様がへりくだる必要ないんじゃないかー?」

 「セレナ、油断させるためにしていること。下に見られるだけ、作戦が上手くいくんだ。いいか?セレナ、俺に怒鳴った人間を殺すのやめろ。疑われてしまう。」

 「だってー...ムカつくんだよ。ナイン様に向かって暴言をはくヤツらが。この前、殴られていたじゃん、ナイン様。アタイじゃなくても、殺していたと思うんだよね。」

 アデス村に来てから、俺は調査ではなく、別行動していた。奴隷たちと一緒に土木工事や建設の仕事に就き、最底の労働環境の中、奴隷より少し良い扱いを受けている。少し良いと言っても、労働時間が15時間。ブラックすぎる。

 「今日で最後だから、我慢してくれ。もう行くよ。」

 立て付けの悪いボロ家の扉を開き、走って現場に行く。現場についたら、まず、殴られる。

 「おい、新入り。おせーよ。奴隷じゃないからと言って甘えんなよ?5分遅刻だ。1分につき、銀貨1枚引く。あと5発な、ぐ、ら、せろ!おらぁ!」

 「ぐっ、がっ...がはっ、おえ。や、やめてください。出勤時間より早く来た、はずです。かはっ。や、や、やめてぇ...。」

 5発じゃない。何発殴られたか分からない。

 「俺様が遅刻だと思ったら、それは遅刻なんだよ!ふっ、殴りがいがあっていいな、新入り。奴隷どもは、殴っても反応がない。新鮮でいい。ガハハはははっ。」

 殴られるのは慣れている。いかに、最小限の痛みで抑えるよう避けるか、コツがある。身体に触れる瞬間、大袈裟に捻るだけなのだが、これをマスターするのに1年かかった。

 「はぁ、はぁ。申し訳ございません。許してくだざいぃ。今日も、一生懸命働きますから!」

 「見ろよ、コイツ。鼻血垂らしながら懇願してるぞ!くっははははは。笑えるぜ、新入り?」

 現場監督が、こんなに腐っていると周りも腐る。俺を見て笑うゲス野郎共。気持ち悪い、くそ。
 吐き気を抑えながら、土を掘っていく。今日の奴隷の便所作りとゴミ捨て場を作る。下っ端の作業の一つ。

 「おーい、君たち。今日は、ここでしてくれよー。」

 奴隷の獣人の男がぺこっと頭を下げて、お礼を言う。俺は友好的に奴隷たちに接している。現場の食料をくすねて与えたり、新鮮なキレイな水を渡したり、奴隷の環境を良くするために動いていた。そのおかげで、好意的に見られている。

 「おい、新入り!飲み水持ってこい!」

 「分かりました!」

 現場監督と俺以外の人間どもに、やかんに入った水をコップに注いでいく。エタンセル特製の水だ。思う存分、飲みやがれ。そろそろ、薬が効いてくるだろ。

 現場監督が持っていたコップが地面に落ちる。それに続くように、また一人、コップを落とし自分の首を締め上げ吐き出そうとする。

 「キメラ作りの研究の副産物。どうですか?現場監督?皮膚が爛れて、腐っていく。ふふっ、魔物になるってどんな気分ですか?あはっ。バイバイ、人間...いや、食屍鬼グール」

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