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異世界で生き残るには? チャック・○リスなら大丈夫
異世界にも事実が満載
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現れたチャック・ノリスは、どうみても本人だった。
「ホワット? 何がおきたかな? ガール?」
俺らに合わせてなのか、いんちきくさいカタカナ英語混じりの日本語を喋るところを除けばそれは映画や写真なんかで見る本人そのものだった。
ローゼの魔法なんだから、たぶん本人を召喚しているに違いなとは思うが……
問題は、彼が現実のチャック・ノリスなのか、それとも事実のチャックノリスかなのだが?
——コブラ死んでたしな。
たぶん……
「おお、そのハット? 君は、もしかして魔法使いか? 私は君にここに呼ばれたのか?」
「む! そのとおり!」
ローゼと掛け合いを始めるこの人ノリスは、
「でも、ホワット? 私を呼んだ?」
「む! 危機!」
「リアリィ? 世界の危機を私に救って欲しいと言うのかな?」
「む! そうだ!」
「オーケー! それは良い選択だ、マジック・ガール。世界の危機をなくすことなど、私にとっては朝飯前のことだ……ただし……」
きっと、
「ただし? む……? なんだ?」
「私が世界の危機でなければな!」
うわ事実の方だ絶対これ。
*
と言うわけで、外に出て街を歩き始める俺ら三人であった。
「あれ、ローゼ様、どうしたんですかぁ? そのおじさん誰ですか?」
「む!」
「えっ、ノリスさんですかぁ? そんなすごい人なんですかぁ?」
ちょうど用事が終わり、俺の部屋にやってきたところだったサクアが事実ノリスを見て言う。
いつも通り、「む!」とか言ってるだけのローゼの言葉から、なんでそんなにいっぱい意味を汲み取れるのかわからないが、
「なるほど、さすがローゼ様です。そんなすごい人を召喚するなんて! この使えない使い魔殿とは大違いですね!」
ろくに家事ができないグータラメイドにそんなことを言われるのは心外だが、しかしものは考えようだ。このままローゼの騒動にはこの事実さんが対応してくれれば、俺の心労も少しは減るのではないか? カジュアルに世界の危機だ終わりだをぶち込んでくるローゼが不用意な魔法でおこす騒ぎには、もういっぱいいっぱいな俺なのだった。その負担をこのスクリーンのヒーローに分担してもらえれば、俺はもうちょっと落ち着いた生活ができるのではないか? 俺はそんなことを思いながら、
「ところで今日何してたんだ?」
と珍しくローゼと離れて行動していたサクアが何をしていたものかと興味本位で質問するのだが、
「それは——今日は、街の商工会に頼まれて少しトラブルを解決に行ってたんですよ。別にローゼ様に頼むほどのことでもないですので、ローゼ様には休日を楽しんんでもらうことにして、私一人で行ってました」
「へえ、そうなのか?」
「そうですよ、使い魔殿を召喚してからローゼ様はなんだか暇なしですからね、……たまに何もない日ができて休めると思ったのにこの騒ぎです。こんな些事でわざわざ出向いてもらうほどでもないですから……」
「些事? でもお前何しに行っ……」
「はい。それは……」
俺の言葉に、ニヤリとしながら、腰に下げた袋に手を突っ込んで何か出そうとしているサクア。
「商店街のモニュメントの石像作りに呼んだ石工さんだったはずが、手違いでこんな人がやって来て大騒ぎになってしまったので……撥ねてきたんですよ首を……」
俺は、なんとなく、聞かなきゃよかったと言う後悔とともに、悪い予感マックスでサクアの手元から目をそらすと……
「——メデューサさんの首を!」
「——うぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! 石なる! 石になる!」
俺は思いっきり目を塞いで、慌てて後ろをむくが、事実さんは微動だにもせずにサクアの取り出した首を見ているようで、
「ふん!」
気合い一閃、
「えっ?」
驚いた様子のサクアの声だった。
はい、多分、あれが起きたんだ。
チャック・ノリスファクトの一つ、
——チャック・ノリスはメデューサを石にした。
俺は振り返り、事実さんにガンをつけられて石になったメデューサの首を見るのだった。
*
そして、石になったメデューサの首は、
「首がない石像があったからちょうどよかったですね」
「む!」
と、首のないニケの像に勝手にくっつけるこの迷惑コンビであった。
まあ、あとでこっそり直して、メデューサの首は扱いに困りそうだからロータスの聖教会にでも引き取ってもらかと俺は思いながら、そのままローゼが歩くのについて行くと、
「む!」
「あ、あなたたち——使い魔も」
なんだか顔を少し赤くして下を向くずっこけ聖女様。俺の部屋に毎日やって来ては凝りに凝った濃厚な料理を作ってくれる重い女であった。この聖女様がやってくるようになってから、ここ最近、俺が数キロは太ったと思われる、——異世界に来て初めてフラグらしきものができたそのロータスに、
「今日は……来ないと思ったらここにいたんだね」
「す、すみません! 明日は二倍……いや三倍料理作りますから!」
「いや……」
頼んでないし、これから頼むつもりもない。でも断ると、落ち込んで慰めるのもめんどくさそうで、じゃあなんとなくそのままで良いかとか——ずるずるしてるうちに、正直今日なんかは現れないと寂しいかななんて思ってしまうようになってしまっている聖女さまであった。
でも、
「それは置いといて……何してんの?」
俺は、必死の形相をしながら、手から何か霊力を出しているロータスを見ながら言う。
「なんだ、魔女の使い魔! お前はそんなこともわからないのか?」
「ん?」
声の方向を振り向けば、そこにいたのはロータスの騎士エチエンヌであった。
「あれを見ろ。ロータス様の戦っているものが見えないのか?」
「と言われても、何にも……あれ?」
俺は、目の前の風景の奇妙さに気づいた。
ロータスが見つめる街路は、この真昼間だというのに、目の前十メートルくらい先から、薄暗い暗闇に包まれていたのだった。
「あれ、何?」
「何も? お前は目の前に見てるものも分からないのか?」
「分からないのかと言われても——なんで街が闇に包まれてるの? まだそんな時間じゃないだろ?」
「それが問題なのですわ!」
「闇が問題なんだよ」
「…………?」
「まったく、頭の悪い使い魔殿ですね。この面白聖戦士二人組に諭されるなんて、どんなお馬鹿さんなのですか?」
俺は、その聖戦士二人よりもさらに言われたくない、奴に馬鹿にされてかなりムッとするが、
「だから——そう言われても——闇がなんでこんな昼間にやって来ているのかって俺は聞いてるんだけど……」
「理由なんてわかったら苦労はしないですわ」
「そうだぞ、魔女の使い魔。理由のない禍や矛盾、そんなものが世界に現れたのが虚無の闇で、それが今世界を被おうとしている」
「だから私がそれを止めようと、さっきから霊力を注ぎ混んでいるのですが、この闇は強力で……このままでは世界がすべて闇になってしまいます……」
どうも、知らぬ間にまたずいぶんと気軽に世界の危機が起きていたようだった。
で、それにロータスが対抗しているのだが、どうにも旗色が悪く。
「だから、この闇に対抗できるほどの力を持つ、ロータス様の黒歴史がついに聖教会本部から使用許可がでたのだ!」
ほう?
「来い! 『私のポエム』! これがロータス様が中学一年の時の作品だ!」
突然、エチエンヌ少年の手の内に現れる一冊のファンシーな表紙のノート。
すると、
「いやああ! やめて!」
なんだか、題名を読みあげらられただけでもう生命力削られてしまって、霊力がパワーアップしている聖女様であった。
それを見て、深く沈痛の面持ちの少年ではあったが、
「……ロータス様、すみません。でもこれはあの闇に対抗するために必要なことなのです。どうか許してください——読みます。ロータス様の詩集『私のポエム』より……『私の、私の好きなもの』……」
彼は無情にも続けるのだった。
私の、私の好きなもの
ふふふ、それは何?
甘い甘いマシュマロよりも
ふかふかのベットよりも
好きなのは
お父様ではなくてよ
お母様あなたでもなく
レオくん?
あなたは
私が何を言うかわるかな?
好き好き大好き
言えない思い
言わずに重い(ママ)を告げられなくて
私は重い(ママ)をあなたのそばに
ずっと見つめて
レオくん
私はあなたに言うでしょう
私の、私の好きなもの
ふふふ、それは何?
レオ君?
……
「あれ?」
「ロータス様!」
気絶してるよ!
地面に倒れかけたロータスを慌てて抱き支えるエチエンヌ少年だった。
黒歴史で生命力を削って霊力を出すロータスだが、今回の黒歴史はさすがに負荷が大きすぎたようだ。さすが聖教会がいままで使用許可を出さなかった代物だけのことはあるが、その使用には相応のリスクがあり、そのリスクを押してまで使用せざるをえない今回の危機の重大さを俺は今更にしるのだが、
「あれれこまりましたねえ。このままじゃ世界が闇に包まれますねえ? ローゼ様の魔法はこう言うの苦手なんですよね。闇と闇でまざり合っちゃうんですよね」
「む!」
「むしろ、闇が濃くなっていくだけで——これじゃローソク代かさんで大変なんですね」
なんだか緊張感がない割に何か対策を持っているわけでもなさそうな魔術組二人であった。
でも、すると、あれ? なんだかこんな簡単に世界が終わっちゃうの?
今までローゼに巻き込まれた、数々の世界の危機を、——そんな危機をなんとか乗り越えたことを思い出しながら、こんなあっさりと伏線もない突然の闇みたいなので俺らは終わってしまうのかと呆然と愕然としてしまうのだが、……
「失せろ!」
事実のチャック・ノリスが闇に向かって低く呟くと、その世界の危機は、瞬く間に、さっきまでの漆黒が嘘のように消え去るのだった。
——チャック・ノリスは懐中電灯を必要としない、
——彼が闇を見つめると、闇は自ら移動する
「ホワット? 何がおきたかな? ガール?」
俺らに合わせてなのか、いんちきくさいカタカナ英語混じりの日本語を喋るところを除けばそれは映画や写真なんかで見る本人そのものだった。
ローゼの魔法なんだから、たぶん本人を召喚しているに違いなとは思うが……
問題は、彼が現実のチャック・ノリスなのか、それとも事実のチャックノリスかなのだが?
——コブラ死んでたしな。
たぶん……
「おお、そのハット? 君は、もしかして魔法使いか? 私は君にここに呼ばれたのか?」
「む! そのとおり!」
ローゼと掛け合いを始めるこの人ノリスは、
「でも、ホワット? 私を呼んだ?」
「む! 危機!」
「リアリィ? 世界の危機を私に救って欲しいと言うのかな?」
「む! そうだ!」
「オーケー! それは良い選択だ、マジック・ガール。世界の危機をなくすことなど、私にとっては朝飯前のことだ……ただし……」
きっと、
「ただし? む……? なんだ?」
「私が世界の危機でなければな!」
うわ事実の方だ絶対これ。
*
と言うわけで、外に出て街を歩き始める俺ら三人であった。
「あれ、ローゼ様、どうしたんですかぁ? そのおじさん誰ですか?」
「む!」
「えっ、ノリスさんですかぁ? そんなすごい人なんですかぁ?」
ちょうど用事が終わり、俺の部屋にやってきたところだったサクアが事実ノリスを見て言う。
いつも通り、「む!」とか言ってるだけのローゼの言葉から、なんでそんなにいっぱい意味を汲み取れるのかわからないが、
「なるほど、さすがローゼ様です。そんなすごい人を召喚するなんて! この使えない使い魔殿とは大違いですね!」
ろくに家事ができないグータラメイドにそんなことを言われるのは心外だが、しかしものは考えようだ。このままローゼの騒動にはこの事実さんが対応してくれれば、俺の心労も少しは減るのではないか? カジュアルに世界の危機だ終わりだをぶち込んでくるローゼが不用意な魔法でおこす騒ぎには、もういっぱいいっぱいな俺なのだった。その負担をこのスクリーンのヒーローに分担してもらえれば、俺はもうちょっと落ち着いた生活ができるのではないか? 俺はそんなことを思いながら、
「ところで今日何してたんだ?」
と珍しくローゼと離れて行動していたサクアが何をしていたものかと興味本位で質問するのだが、
「それは——今日は、街の商工会に頼まれて少しトラブルを解決に行ってたんですよ。別にローゼ様に頼むほどのことでもないですので、ローゼ様には休日を楽しんんでもらうことにして、私一人で行ってました」
「へえ、そうなのか?」
「そうですよ、使い魔殿を召喚してからローゼ様はなんだか暇なしですからね、……たまに何もない日ができて休めると思ったのにこの騒ぎです。こんな些事でわざわざ出向いてもらうほどでもないですから……」
「些事? でもお前何しに行っ……」
「はい。それは……」
俺の言葉に、ニヤリとしながら、腰に下げた袋に手を突っ込んで何か出そうとしているサクア。
「商店街のモニュメントの石像作りに呼んだ石工さんだったはずが、手違いでこんな人がやって来て大騒ぎになってしまったので……撥ねてきたんですよ首を……」
俺は、なんとなく、聞かなきゃよかったと言う後悔とともに、悪い予感マックスでサクアの手元から目をそらすと……
「——メデューサさんの首を!」
「——うぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ! 石なる! 石になる!」
俺は思いっきり目を塞いで、慌てて後ろをむくが、事実さんは微動だにもせずにサクアの取り出した首を見ているようで、
「ふん!」
気合い一閃、
「えっ?」
驚いた様子のサクアの声だった。
はい、多分、あれが起きたんだ。
チャック・ノリスファクトの一つ、
——チャック・ノリスはメデューサを石にした。
俺は振り返り、事実さんにガンをつけられて石になったメデューサの首を見るのだった。
*
そして、石になったメデューサの首は、
「首がない石像があったからちょうどよかったですね」
「む!」
と、首のないニケの像に勝手にくっつけるこの迷惑コンビであった。
まあ、あとでこっそり直して、メデューサの首は扱いに困りそうだからロータスの聖教会にでも引き取ってもらかと俺は思いながら、そのままローゼが歩くのについて行くと、
「む!」
「あ、あなたたち——使い魔も」
なんだか顔を少し赤くして下を向くずっこけ聖女様。俺の部屋に毎日やって来ては凝りに凝った濃厚な料理を作ってくれる重い女であった。この聖女様がやってくるようになってから、ここ最近、俺が数キロは太ったと思われる、——異世界に来て初めてフラグらしきものができたそのロータスに、
「今日は……来ないと思ったらここにいたんだね」
「す、すみません! 明日は二倍……いや三倍料理作りますから!」
「いや……」
頼んでないし、これから頼むつもりもない。でも断ると、落ち込んで慰めるのもめんどくさそうで、じゃあなんとなくそのままで良いかとか——ずるずるしてるうちに、正直今日なんかは現れないと寂しいかななんて思ってしまうようになってしまっている聖女さまであった。
でも、
「それは置いといて……何してんの?」
俺は、必死の形相をしながら、手から何か霊力を出しているロータスを見ながら言う。
「なんだ、魔女の使い魔! お前はそんなこともわからないのか?」
「ん?」
声の方向を振り向けば、そこにいたのはロータスの騎士エチエンヌであった。
「あれを見ろ。ロータス様の戦っているものが見えないのか?」
「と言われても、何にも……あれ?」
俺は、目の前の風景の奇妙さに気づいた。
ロータスが見つめる街路は、この真昼間だというのに、目の前十メートルくらい先から、薄暗い暗闇に包まれていたのだった。
「あれ、何?」
「何も? お前は目の前に見てるものも分からないのか?」
「分からないのかと言われても——なんで街が闇に包まれてるの? まだそんな時間じゃないだろ?」
「それが問題なのですわ!」
「闇が問題なんだよ」
「…………?」
「まったく、頭の悪い使い魔殿ですね。この面白聖戦士二人組に諭されるなんて、どんなお馬鹿さんなのですか?」
俺は、その聖戦士二人よりもさらに言われたくない、奴に馬鹿にされてかなりムッとするが、
「だから——そう言われても——闇がなんでこんな昼間にやって来ているのかって俺は聞いてるんだけど……」
「理由なんてわかったら苦労はしないですわ」
「そうだぞ、魔女の使い魔。理由のない禍や矛盾、そんなものが世界に現れたのが虚無の闇で、それが今世界を被おうとしている」
「だから私がそれを止めようと、さっきから霊力を注ぎ混んでいるのですが、この闇は強力で……このままでは世界がすべて闇になってしまいます……」
どうも、知らぬ間にまたずいぶんと気軽に世界の危機が起きていたようだった。
で、それにロータスが対抗しているのだが、どうにも旗色が悪く。
「だから、この闇に対抗できるほどの力を持つ、ロータス様の黒歴史がついに聖教会本部から使用許可がでたのだ!」
ほう?
「来い! 『私のポエム』! これがロータス様が中学一年の時の作品だ!」
突然、エチエンヌ少年の手の内に現れる一冊のファンシーな表紙のノート。
すると、
「いやああ! やめて!」
なんだか、題名を読みあげらられただけでもう生命力削られてしまって、霊力がパワーアップしている聖女様であった。
それを見て、深く沈痛の面持ちの少年ではあったが、
「……ロータス様、すみません。でもこれはあの闇に対抗するために必要なことなのです。どうか許してください——読みます。ロータス様の詩集『私のポエム』より……『私の、私の好きなもの』……」
彼は無情にも続けるのだった。
私の、私の好きなもの
ふふふ、それは何?
甘い甘いマシュマロよりも
ふかふかのベットよりも
好きなのは
お父様ではなくてよ
お母様あなたでもなく
レオくん?
あなたは
私が何を言うかわるかな?
好き好き大好き
言えない思い
言わずに重い(ママ)を告げられなくて
私は重い(ママ)をあなたのそばに
ずっと見つめて
レオくん
私はあなたに言うでしょう
私の、私の好きなもの
ふふふ、それは何?
レオ君?
……
「あれ?」
「ロータス様!」
気絶してるよ!
地面に倒れかけたロータスを慌てて抱き支えるエチエンヌ少年だった。
黒歴史で生命力を削って霊力を出すロータスだが、今回の黒歴史はさすがに負荷が大きすぎたようだ。さすが聖教会がいままで使用許可を出さなかった代物だけのことはあるが、その使用には相応のリスクがあり、そのリスクを押してまで使用せざるをえない今回の危機の重大さを俺は今更にしるのだが、
「あれれこまりましたねえ。このままじゃ世界が闇に包まれますねえ? ローゼ様の魔法はこう言うの苦手なんですよね。闇と闇でまざり合っちゃうんですよね」
「む!」
「むしろ、闇が濃くなっていくだけで——これじゃローソク代かさんで大変なんですね」
なんだか緊張感がない割に何か対策を持っているわけでもなさそうな魔術組二人であった。
でも、すると、あれ? なんだかこんな簡単に世界が終わっちゃうの?
今までローゼに巻き込まれた、数々の世界の危機を、——そんな危機をなんとか乗り越えたことを思い出しながら、こんなあっさりと伏線もない突然の闇みたいなので俺らは終わってしまうのかと呆然と愕然としてしまうのだが、……
「失せろ!」
事実のチャック・ノリスが闇に向かって低く呟くと、その世界の危機は、瞬く間に、さっきまでの漆黒が嘘のように消え去るのだった。
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