隠れた花園

八双 四郎

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第一章 禁断の花

夜に風は

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 夜が来るのは早かった。あの夕暮れもずっと夕暮れのままに佇むことは無く、家路につくように私たちの前から姿を消した。
 真っ暗な帰り道は高揚と興奮から昼のように明るく、花園のように鮮やかに映った。
 今まで意識はしていなかったが、私たちはいわゆる相思相愛。女の子同士だけれど、それはそれで世間様は許してくれよう。
 これは背徳か、興奮か、高まる鼓動、ふわふわと漂う足。BGMのように漏れ出す鼻歌。私はステップをやめないまま、自宅へと帰っていった。

「ただいまー」玄関で高らかに歌う。
「おかえりなさい桜。今日も部活?ご飯出来てるよ。」母が玄関まで出迎えをする。我が家の恒例行事だ。
「今日のごはんなに?いい匂い!」この言葉はまさに家の中を漂う香りを指した。まるで家が料理になったようだ。
「今日はグラタンね。早く手洗いうがいして、ご飯食べなさい?」母の言葉は食卓と私とをとても近くに感じさせた。口の中は唾液でいっぱいになったので、私は洗面台へと走ったのであった。





満腹、いつも気にしているウエストはきっと一昨日計ったときよりも上の値を指しているだろう。いいのだ。いいのだ。育ち盛りなのだ。
私は今悩んでいた。いや、別に体重やウエストのことではない。
(私は告白をした。彼女はそれに「好きよ」と答えた。しかし、どうだろう、なんと連絡したらいいのか。困ったものだ…はてさて…なんぞと考えていても答えはでぬぞ、うーぬうーぬ。)
桜は口をへの字に曲げながら、てらてらと光るスマホの画面を睨んでいた。

「ここで、速報です。」
ニュースの音が耳に飛び込んだ。
右側では母が食後の皿をさらりさらりと洗っている。その音は落ち着くのにとても良いのだが。その音に似合わぬ言葉が聞こえたときは、ハッとしたものだ。

ニュース番組のアナウンサーは続けた。
「少子高齢化社会改善法が、新たに設立されるされることが急遽決定されました。内容については依然発表されておらず、内閣総理大臣は、次のように述べています。」
画面はシワのある中年の男性を映した。白い光がチカチカ飛んでいる。
「今回、我らが日本は人口減少の問題に対し、深く考えるとし、急遽法律を設立します。内容につきましては、明日明朝ーーー」

桜はそのニュースを黙って見ていた。最近人口が減っているのは知っていたが、法律が急いで作られるまでとは思ってもいなかった。その後の話によると、それは中国の一人っ子政策を参考にした法律で、普通の生活には特に影響の内容なものらしい。

「あ、」スマートフォンの画面に名前が表示され、ピコンと音を立てた。
小春からの連絡がやっときた。小春は昔からメールの類はあまりチェックせず、返信はいつも素っ気ない。「今日の風はとても不器用ね。あまりにも乱暴だから、せっかくの気持ちが不安になってしまいそう」……

私は思わず笑ってしまった。(小春、きっと悩んだ末にこんなにもヘンテコな文章を書いてしまったんだわ。)笑みはやまない。こんなにももどかしくて嬉しい時間はあるのだろうか。

明日もまたいいことがあるだろうか、お付き合いするんだし、きっと小春と手を繋いだりたくさんのところに行くのだわ。

夜は刻々と顔を変え、私はお風呂の後の眠気に身を任せ、夜闇に落ちた。


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