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第一章 禁断の花
発芽
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2086年3月31日、明日からの春に備えて新しい化粧品を買うと話す部員を横目に、私はグランドピアノの鍵盤を叩いた。音楽室に響く自然な音、引くたびに音は表情を変えて、その後の静寂をも音楽にしてしまう。
「小春、やっぱりピアノ上手だね。」桜は私にそう言うと、グランドピアノの傍らで肘をついた。
私は照れながらも「そんなことないよ。それより、そろそろ時間じゃない?練習始まるよ。」と言うと、彼女は笑顔で「そうね、じゃあ練習はじめましょうか!」と部員達に部活の始まりを伝えた。
私は子供の頃から親に教えられ、ピアノを練習していた。親は別にピアニストにならなくてもいい。と言ってはいたけど、私自身ピアノが大好きだから音大に就職しようと思っている。
「じゃあ、発声します!小春、音お願い!」桜がそういうと、部員がピアノの周りに集まりだした。
私はいつもの調子でピアノの鍵盤を叩く。それに合わせて部員は音を上げ下げ回し、時には大きく時には小さくするのだ。
もうすぐコンクールがある。声からはそれぞれの緊張感を滲ませ、特別力強い発声となった。
それから何時間も経った。練習は集中して行われ途中30分の休憩を2回ほど入れた。そしてその日の練習は終わった。
夕時、私と桜は音楽室に残った。コンクールに向けての会議をする為だ。夕日に写る烏の影が帰路を思わせ、咲きかけの桜は枝と共に真っ赤に染まる。
私は席で楽譜と睨み合っていた。今日の演奏で表現に悩ましい部分があり、しかも自分でも何が違うのかが分からないと言ったところだ。
「相変わらず真面目だね小春。」桜の声にハッとすると彼女はいつの間にか私の後ろに回っていた。「スキあり!」 桜は勢いよく私を後ろから抱きしめると頭に頬を擦り付けた。
「ちょっと、桜、やめなよぉ、くすぐったいって。」私は頬をほんのり染めて力無き抵抗をする。桜は「小春いい匂い~あれ?シャンプー変えた?前のも良かっけどやっぱり良いですぞ~」と口調を変えながらも頬ずりをやめない。
「もう桜!やめてよ~」私が抵抗も虚しくそう言うと桜は笑いながら「えへ、ごめんごめん」と舌を出した。
桜は人がいる時はあまりこういうことはしないのだが、2人きりと知るといつも抱きついては甘えてくるのだ。
「小春ぅ、照れなくてもいいじゃん!」彼女は離れない。いつもそうだが、一度抱きつくと誰かが来るまで離れなかったり、帰ろうとするまで離れないのだ。「もう、今からコンクールの話し合いするんでしょ?正面に座ってくれないと話しにくくて仕方ないわ。」私がそういうと、桜は少し頬を膨らませた。
「ごめんね、小春、それは嘘なの。あのね、すごく言いにくいことなんだけど、」彼女が突然小声になる。その声はか細く、そして緊張に震えていた。
そして、彼女の抱きしめるてはギュッと強くなる。 音楽室が静寂に包まれる。心臓の音だけが時間を刻んだ。
彼女はひとつ息をつくと、「好きなの、あなたが、私、ずっと。こんなこと、気持ち悪いかもって、思うかもしれないけど、やっぱり、伝えたくて」途切れ途切れ彼女は呟いた。
心臓が跳ね上がった。ドクドクと止まることを知らぬ血潮、こんなにも血の流れを意識した日はあるだろうか。
女の子同士、その背徳はとてつもない。確かに男の子と付き合うイメージはできないけれど、でも、それは、
頭がグチャグチャになる。混乱して手に汗をかいてしまっているようだ。
あれから少し時間が経ってしまったらしい。彼女の手は少し震えていた。
「私じゃ、嫌、かな、仕方ないよね。そうよね、女の子同士だものね…」彼女の声が弱くなる。
「嫌じゃないよ、だから、その~、いいよ。私も、好き。」私の言葉に彼女は、涙を流した。
「本当?本当に?あとでやっぱダメって言ってもダメなんだからね!」彼女は喜びに、その腕に力をいれ、精一杯に喜んだ。その日の夕暮れは鮮やかに見えたのもまた別の話。
ここに一つのカップルが誕生した。だが、これからの彼女たちは、背徳と波乱の運命に苛まれることを未だ知ることはないだろう。
「小春、やっぱりピアノ上手だね。」桜は私にそう言うと、グランドピアノの傍らで肘をついた。
私は照れながらも「そんなことないよ。それより、そろそろ時間じゃない?練習始まるよ。」と言うと、彼女は笑顔で「そうね、じゃあ練習はじめましょうか!」と部員達に部活の始まりを伝えた。
私は子供の頃から親に教えられ、ピアノを練習していた。親は別にピアニストにならなくてもいい。と言ってはいたけど、私自身ピアノが大好きだから音大に就職しようと思っている。
「じゃあ、発声します!小春、音お願い!」桜がそういうと、部員がピアノの周りに集まりだした。
私はいつもの調子でピアノの鍵盤を叩く。それに合わせて部員は音を上げ下げ回し、時には大きく時には小さくするのだ。
もうすぐコンクールがある。声からはそれぞれの緊張感を滲ませ、特別力強い発声となった。
それから何時間も経った。練習は集中して行われ途中30分の休憩を2回ほど入れた。そしてその日の練習は終わった。
夕時、私と桜は音楽室に残った。コンクールに向けての会議をする為だ。夕日に写る烏の影が帰路を思わせ、咲きかけの桜は枝と共に真っ赤に染まる。
私は席で楽譜と睨み合っていた。今日の演奏で表現に悩ましい部分があり、しかも自分でも何が違うのかが分からないと言ったところだ。
「相変わらず真面目だね小春。」桜の声にハッとすると彼女はいつの間にか私の後ろに回っていた。「スキあり!」 桜は勢いよく私を後ろから抱きしめると頭に頬を擦り付けた。
「ちょっと、桜、やめなよぉ、くすぐったいって。」私は頬をほんのり染めて力無き抵抗をする。桜は「小春いい匂い~あれ?シャンプー変えた?前のも良かっけどやっぱり良いですぞ~」と口調を変えながらも頬ずりをやめない。
「もう桜!やめてよ~」私が抵抗も虚しくそう言うと桜は笑いながら「えへ、ごめんごめん」と舌を出した。
桜は人がいる時はあまりこういうことはしないのだが、2人きりと知るといつも抱きついては甘えてくるのだ。
「小春ぅ、照れなくてもいいじゃん!」彼女は離れない。いつもそうだが、一度抱きつくと誰かが来るまで離れなかったり、帰ろうとするまで離れないのだ。「もう、今からコンクールの話し合いするんでしょ?正面に座ってくれないと話しにくくて仕方ないわ。」私がそういうと、桜は少し頬を膨らませた。
「ごめんね、小春、それは嘘なの。あのね、すごく言いにくいことなんだけど、」彼女が突然小声になる。その声はか細く、そして緊張に震えていた。
そして、彼女の抱きしめるてはギュッと強くなる。 音楽室が静寂に包まれる。心臓の音だけが時間を刻んだ。
彼女はひとつ息をつくと、「好きなの、あなたが、私、ずっと。こんなこと、気持ち悪いかもって、思うかもしれないけど、やっぱり、伝えたくて」途切れ途切れ彼女は呟いた。
心臓が跳ね上がった。ドクドクと止まることを知らぬ血潮、こんなにも血の流れを意識した日はあるだろうか。
女の子同士、その背徳はとてつもない。確かに男の子と付き合うイメージはできないけれど、でも、それは、
頭がグチャグチャになる。混乱して手に汗をかいてしまっているようだ。
あれから少し時間が経ってしまったらしい。彼女の手は少し震えていた。
「私じゃ、嫌、かな、仕方ないよね。そうよね、女の子同士だものね…」彼女の声が弱くなる。
「嫌じゃないよ、だから、その~、いいよ。私も、好き。」私の言葉に彼女は、涙を流した。
「本当?本当に?あとでやっぱダメって言ってもダメなんだからね!」彼女は喜びに、その腕に力をいれ、精一杯に喜んだ。その日の夕暮れは鮮やかに見えたのもまた別の話。
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