隠れた花園

八双 四郎

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プロローグ

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 同性愛を禁止とするーーー。

 私が産まれた日本は変わってしまった。昔の日本は好きな人と出会い、好きな人と遊び、好きな人と好きあうことだってあった。昔はこの国は自由だった。
 2086年、4月1日。少子高齢化の進んだ日本では人口の減少が著しく、2070年から2080年のたった10年で全人口が5000万人から1000万人へと減った。田畑の多い田舎からは人間が消え、地方によっては草木の成長が留まることを知らず、森として自然に帰る場所もある。
 そこで、国は日本国存続の危機と考え、一部人権の放棄を考えた。それこそが「恋愛の自由」だ。
 国は国民から「恋愛の自由」を取り上げ、「強制婚姻制度」つまり、18歳の男女に結婚の義務をかせたのだ。加えて、同性愛を禁止とする「同性恋愛禁止法」を定め、同性愛者に対し、厳しい罰を制定した。

  「私たち、これからどうしようね。」
 教室の一角で彼女は囁いた。夕暮の教室が頬の色を隠す静かな放課後。外からは野球部の声と烏の寂しげな叫びだけが聞こえる。
  彼女は山咲桜。同じ合唱部の部長である彼女の声はソプラノの透き通った水のように美しく、クラスの男子はよくその声に聞き惚れているらしい。
「そうね、どうしましょうね」
 私がそう言うと、彼女は悪戯めいた表情微笑んでで「駆け落ちなんてどう?」と私に問いかけた。
「ダメよそんなの。自分から犯罪者って言ってるようなものじゃない。」私が嫌味たらしくそう言うと、「ちぇっ」と唇を尖らせた。
 
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