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003:地下1階1
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出張所の裏口を出るとすぐ目の前が森の入り口になっている。伐採のための印が付けられた木がまだ左右に残って入るが、ダンジョンまで真っすぐに見とおせる範囲に関してはすでに作業が終わっていた。まだ切り株がそのまま残っていて歩きにくくはあるが、森の奥の方はと見てみれば、そこにはすでにダンジョンの入り口が見えている。
山の斜面に向かって刺さるような形をして口が開き、その先が丸く盛り上がっている。入り口だけでも高さが3メートルほどあるだろうか、聞いた話ではそこから地中の通路がしばらく続いた先で20メートル四方ほどある部屋にたどり着き、その部屋の中央に地下1階への階段があるのだという。
日帰り予定の荷物を背負ったクリストたちは、切り株を避けながらダンジョンに向かって歩いて行く。最終的にはこの道ももう少し幅を広げ、そして左右は柵で立ち入りが制限されるようになる。その道を数分かけてゆっくりと進み、ダンジョン前に到達した。今はまだ柵ができていないが、一応立ち入りを制限するかのように周囲にはロープがぐるりと張り巡らされ、そこかしこにギルドとセルバ家の記章が掲げられていた。
「装備確認、よし。荷物確認、よし。大丈夫だな。体調はどうだ? 問題なし、いいな。いつもどおりだ、気負う必要はない。まずは1階だ。できるだけ詳細な地図をという依頼だからな、これはフェリクス頼む。それからランタンは俺だな。あとはいつも通りだ。フリア、先行頼む」
パーティーのリーダーを務めるクリストは全員の顔を見ながら確認していく。
場所は地上1階の部屋だ。この部屋はダンジョンの一定時間で置いた物が消滅する仕様は働いていないらしく、奥の壁には国旗、州旗、セルバ家の旗が掲げられている。
「もうこの時点でこのダンジョンが他とは違うという感じがするな」
エディの感想は正しいだろう。他のダンジョンで旗を掲げるのならばそれは外だ。それがダンジョン内にあり、しかも頭上には辺りを照らす照明器具がある。この照明器具にしてもダンジョンに足を踏み入れると自動で点灯するという珍しいもので、ギルドの職員が取り外そうと試みたもののその道具を壊しただけに終わったという話だ。
「だからこその調査だからな。さあ行くぞ」
階段を下りると最初の部屋。事前にギルドから提供されたスタート地点から宝箱があったという部屋までの地図のとおり、階段を下りた前方に扉が一つある。
「よし、本番はここからだ。とにかく一つ一つ確認しながらだな。危険な魔物はラットしか確認されていないらしいが、注意は怠るなよ。よし、フリア、扉を開けてくれ」
隊列を組み直し、先行して斥候役を務めることになるフリアが慎重に扉を開ける。
「薄暗いね。見えなくはないけれどランタンが欲しいくらい。話のとおりだね。前方確認、あー、あれかな結構先だけど道端にたぶんスライム。それ以外なし」
「聞いていたとおりか。さすがに地形の変更だとかはないと思いたいな」
フリアが前進を開始する。
少し進んだところで道端に転がっているスライムを確認するそぶりを見せ、こちらを振り返る。
「スルーでいいぞ。いわゆる掃除役らしいからな」
「確かあれでしょ、簡易トイレに使ってみてくれって言われた」
「ああ、それもあったか。まあここじゃなくてもいいだろう」
ギルドからの依頼は調査だけではなく、その一環ではあるものの、冒険に使えるかどうか確認してほしい道具というものもあり、その一つが簡易トイレだ。
金属で補強された木製の折りたたみ式簡易トイレで、開いて床に起き、中央に開いた丸い穴に革袋をかぶせるようにして取り付け、その袋の中に掃除スライムを放り込み、そこでするという仕組みだ。
使い終わったらスライムが入ったまま袋ごと取り外し、その場に放置すればそのスライムが解体処理をするらしい。簡易トイレは折りたたんで持ち運びだ。
腰掛ける形になっているために姿勢が安定し、袋にする形になっているためにふん尿が飛び散ることがない。しかも袋ごと放置するため物が見えず、最終的にはスライムが処理してくれるため後には何も残らない。これに加えて布か何かで目隠しをすれば人目を気にせずに用を足せるということで女性陣からはすでに評価が高い。スライムがなくてもこれがいいというくらいには、だ。袋はギルドが用意した10枚を今回は持ち込んでいる。持ち運びの手間の検証もあるのだ。
まあ今はそれはいい。どこか安全な部屋でも確保してからならさらに評価は上がるだろうし、それは今ではない。
「前方、右に折れるよ。その先にたぶん何かいる。気配があるよ」
「了解。話ではラットだな。2回の確認で、両方とも曲がったところにラットが1だそうだ。今回も同じならほぼ確定でいるんだろうな」
先行して確認していたフリアの報告を聞くと、隊列を変更してエディが前へ。クリストはランタンのフードを絞って光量を落とすと剣を抜いた。
「予定通りエディにチャージをかけてもらおう。俺の剣は予備で」
「了解、角に出たら右にチャージ」
確認するとエディが単独で前に出て曲がり角へ入り、そのまま右手に掲げた盾に体を隠すような体勢で大きく右へ踏み出す。
ガツンという激しい音がして、エディはそのまま盾を右へ払うように振り上げると、物が硬い場所にたたきつけられる音が一度してそれで終わりだった。
「ふむ、やはりラットだ。どう見ても普通のラットだな。特に特徴はなし」
「了解、予定どおりか。報告用に尻尾と魔石を確保する」
剣を収め、ランタンの光量を戻したクリストがそのままラットの処理をする間にフリアが前方の偵察に出る。
「交差点確認。分かれ道3方向だね。きれいに分かれるよ」
「聞いていたとおりの正方ダンジョンてことだな。まずはその宝箱があったっていう部屋を目指してみるか」
「わかった。途中の他の部屋はどうしよう、クリアだけはする形でいい? 行き止まりは確認する?」
「一応行程をなぞって行くか。完全に一致するならいいんだが確か鍵があったりなかったりだろうって話だろう? 途中の部屋ってのが怪しいかもな」
聞いた話では途中の部屋には扉も箱もなく、そして宝箱が見つかった部屋には扉があったが鍵がかかっていた時とかかっていなかった時があった。これは鍵だけの問題なのか、扉の有無にも変化があるのか、確認が必要だった。
「まずは右へ行くよ。たぶん途中に空き部屋、その先に分岐のはず」
フリアは十字路で前方と左の安全を確認すると右へ曲がり、他のメンバーもそれに続く。魔物はなし、先方でフリアが立ち止まり右を確認するが明らかに様子がおかしい。
「そこが空き部屋だってところか。どうだ?」
追いついたエディが右を見て止まる。それにフリアは肩をすくめて見せた。そこへ追いついた他のメンバーも右を見て止まる。そこに情報とは違う明らかな変化、扉のない空き部屋だと書かれていた場所に、木製の扉があったのだから。
「ここでそう来るのか」
渡された地図では扉なしの空き部屋が書かれていた場所は木製の扉によってふさがれていた。これで地図は同じでも扉の有無は変わることが確定した。
「鍵穴はなし、気配もなしだよ」
「分かった。エディ、頼む」
フリアと場所を変わったエディが念のために盾を構え、扉に手をかける。そして押し開けてもすぐには踏み込まず、盾を構えたまま待つ。
「罠はないようだな。フリア、頼む」
再度場所を変わり、フリアが部屋の中へ。クリストがその頭越しにランタンを掲げて部屋の中を照らした。
「問題はなさそう。箱なし、罠なし、魔物なし。安全ではあるね」
姿勢を低くして部屋の内部を確認したフリアの報告が入る。
「よし、この部屋はこれでいいな。フェリクス、地図もいいか? よし。地形に変化はなかったが扉の有無は変わった。ってことは恐らく魔物も罠も鍵も箱も変わるんだろうな。ここはそういうダンジョンだってことだ」
「これは初心者も油断できないんじゃないか。入るたびに変わるってことは流れ作業を許さないってことだ」
エディの評価は正しい。特に魔物と罠の場所が変わるということが厳しい。ここだと考えていた場所ではなく、想定していない場所で出会うことは難易度を上げる。ただ何となくで行動することを許さないダンジョンだということだ。
部屋をクリアし、フリアが先行に戻って先へ進む。
「交差点、左右のみ。右が行き止まりだったよね。確認する」
ここまで地形は地図通り。右の行き止まりにも変化はなかった。地図通りであれば左に曲がって進んだ先、左側に空き部屋、その先に前方と左の通路、さらに前進して前方と左の通路、そこを左に曲がると扉ありの部屋に着くことになる。交差点で待機する仲間の前を通り過ぎ、左の通路へと入ったところでフリアが立ち止まった。
「ここは特に何もないはずだったよね」
「そうだね、地図にもないよ」
地図を見ていたフェリクスの声を聞きながら、フリアがしゃがみ込み地面を調べ始めた。
「もしかして、あれか」
「だね、ほらここ、ちょっと沈む」
地面のタイルを軽く押すとわずかに沈み込む。報告にあったつまずく仕掛けだ。
「少しだけすぎてよくわからないな。左に曲がってすぐか。見落とす位置だ」
「うん。それに、そこに部屋があるでしょ。扉がない。それで中に気配があるよ」
曲がって気づかずにつまずいた場合は、そこが部屋の入り口辺りになり、そして部屋の中には気配があるということは魔物がいるということだ。
「嫌がらせかよ。そういうことを仕組んでくるダンジョンだってことだな」
フリアと場所を交代したエディが足元に注意しながら前進し、盾を構えた状態で部屋の入り口に近づく。
剣を構えたクリストとナイフを抜いて攻撃にも対応できるようにしたフリアがそれに続き、カリーナが防御と回復に備える。地図に記入するフェリクスは待機だ。
「気配複数。たぶん2。大きさ的にはラットだよ」
気配察知を試みたフリアの警告。ラットであれば数が2でも問題ではない。
エディが盾を斜めに、部屋の中から飛び出してくる魔物を仲間の側に誘導するような形で配置して前進する。
入り口を素通りする形になるエディを見つけた部屋の中の魔物が飛び出すが、盾に遮られて攻撃はできない。そして進行方向はエディの盾によって遮られた側ではなく、クリストやフリアが待ち構える側しかない。
2人がそれぞれラット1体ずつを受け持つと同じように一撃で仕留め、戦闘は終了した。
「ラットだったからいいが、うまい配置だよな。でかい相手とか飛んでくる相手とかだったらここまでうまくは回せない」
普通のラットだったから一撃で終わったが、これが一撃で仕留められなかった場合は混戦になる。クリストもフリアも盾は持っていないし、フリアに至っては防御面がどうしても薄い。こちらの立ち位置や魔物の誘導方法もうまく考えなくてはならないだろう。
「でもこれ、初心者にはいい経験になるんじゃない?」
「だろうなあ。気配が察知できていなければ奇襲を受けるかもしれないし混戦になるだろうしな。考えられているっていうのも変なもんだが、そういう評価だよな」
防御や回復に備えていたカリーナの評価にクリストもうなずく。
フェリクスも地図に罠や魔物の位置や種類、数を書き込むものの、事前に受け取っていたものとは変わっていることから、実際には臨機応変に対応する必要があるだろうと評価を高めていた。
「部屋の中は何もなし。先へ進むよ」
確認を済ませたフリアの報告を聞くと隊列を整えて前進を再開、この先は前方と左への分岐になる。
「この左の方の道、たぶん最初の十字路を真っすぐ進んだ道とぶつかるんじゃないかな」
「ああ、そうだね、地図だとそうなる予想かな。正方のダンジョンはわかりやすくていいよね」
「これが洞窟型だとか非正方だとかってなると訳が分からなくなるからなあ。特に調査の段階で正方だと迷わないだけありがたいよな」
洞窟型はとにかく上下の移動がわかりにくい。地形が複雑な上にわずかな傾斜も長く続けば階層が変わるということがあるためだ。
非正方の場合は曲線が多用されたり、障害物によって複雑な地形を作っていたりといった場面があり、調査段階での地図作成が容易ではない。地図の作成で迷っているところに魔物の襲撃に遭うということも多々あることも容易ではない要因になっていた。
「次の交差点を左に行ったところに部屋、1回目扉ありの箱なし、2回目扉に鍵あり箱ありだな。とにかくそこまで行ってみよう」
前方と左への2方向の分岐を前へ進むとさらに前と左の分岐にたどり着き、行き止まりと思われる前方へ。
「この先に気配、待って」
フリアの指示に前進を止めると、クリストもランタンを左手に持ち替え、剣を抜いた。
「確認した、ラット3体。聞いていたよりも数が出る感じ」
「そうだな。ラットだからまあいいんだが」
もともとラットは群れて現れることの方が多い。単体では弱すぎるということもあるが、群れれば群れるほど驚異度は増す。
エディも剣を抜き、盾を中央に配置。右からエディの剣、盾、クリストの剣となる配置で前進する。いざとなればクリストの左側にフリアが入れる。
気配が強くなったところでクリストが前方を照らすようにランタンを掲げる。その明かりの中で群れていたラットが顔を上げてキーキーと鳴いた。
「突っ込んで押さえる。クリスト、一番左のやつを」
「了解」
盾役となるエディが攻撃も受け持つ形で一気に前進、クリストもそれに続く。
3体のラットが並ぶ格好になっているところへ接近すると、中央の1体にぶつけるように盾を押し出し、右の1体をエディが、左の1体をクリストが受け持つ形で攻撃を仕掛けた。エディは殴りつけるような形で剣を2振り、クリストは突き上げるような1振りでラットを倒すと振り下ろすような形で中央のラットにも剣をたたきつけ、それで戦闘は終了した。反撃を受けるような余地もない。数が3とはいえ相手はラットだ。
「よし、片付いたな」
「背後も問題ないよ」
ラットの処理を手早くすませると交差点に戻り、今度は右折する。ひとまずの目的地になっていた扉ありの部屋がそこのはずだ。
「うん。ここだね。今回も扉あり。鍵穴があるね」
「ここは地図と一致か」
「気配はなし。鍵を調べるよ」
扉の横に張り付くようにしていたフリアが鍵穴に道具を差し込んで2、3度カチャカチャと動かす小さな音がする。
「鍵はなし、罠もなしだね」
「了解、変わろう」
扉から離れたフリアに変わってエディが盾を構えた状態で扉の前に立つ。
ノブに手をかけるとそれを軽く回し、扉を押すようにして開けた。
「問題はなさそうか、そしておめでとう、だな」
盾を構えた状態で扉を開けるが、今回も罠などはなさそうだった。再び場所を変わったフリアがも室内の様子を確認する。
「罠なし、魔物なし、そして宝箱あり。おめでとうだね」
報告にあった宝箱が部屋の奥の壁の中央に鎮座していた。
山の斜面に向かって刺さるような形をして口が開き、その先が丸く盛り上がっている。入り口だけでも高さが3メートルほどあるだろうか、聞いた話ではそこから地中の通路がしばらく続いた先で20メートル四方ほどある部屋にたどり着き、その部屋の中央に地下1階への階段があるのだという。
日帰り予定の荷物を背負ったクリストたちは、切り株を避けながらダンジョンに向かって歩いて行く。最終的にはこの道ももう少し幅を広げ、そして左右は柵で立ち入りが制限されるようになる。その道を数分かけてゆっくりと進み、ダンジョン前に到達した。今はまだ柵ができていないが、一応立ち入りを制限するかのように周囲にはロープがぐるりと張り巡らされ、そこかしこにギルドとセルバ家の記章が掲げられていた。
「装備確認、よし。荷物確認、よし。大丈夫だな。体調はどうだ? 問題なし、いいな。いつもどおりだ、気負う必要はない。まずは1階だ。できるだけ詳細な地図をという依頼だからな、これはフェリクス頼む。それからランタンは俺だな。あとはいつも通りだ。フリア、先行頼む」
パーティーのリーダーを務めるクリストは全員の顔を見ながら確認していく。
場所は地上1階の部屋だ。この部屋はダンジョンの一定時間で置いた物が消滅する仕様は働いていないらしく、奥の壁には国旗、州旗、セルバ家の旗が掲げられている。
「もうこの時点でこのダンジョンが他とは違うという感じがするな」
エディの感想は正しいだろう。他のダンジョンで旗を掲げるのならばそれは外だ。それがダンジョン内にあり、しかも頭上には辺りを照らす照明器具がある。この照明器具にしてもダンジョンに足を踏み入れると自動で点灯するという珍しいもので、ギルドの職員が取り外そうと試みたもののその道具を壊しただけに終わったという話だ。
「だからこその調査だからな。さあ行くぞ」
階段を下りると最初の部屋。事前にギルドから提供されたスタート地点から宝箱があったという部屋までの地図のとおり、階段を下りた前方に扉が一つある。
「よし、本番はここからだ。とにかく一つ一つ確認しながらだな。危険な魔物はラットしか確認されていないらしいが、注意は怠るなよ。よし、フリア、扉を開けてくれ」
隊列を組み直し、先行して斥候役を務めることになるフリアが慎重に扉を開ける。
「薄暗いね。見えなくはないけれどランタンが欲しいくらい。話のとおりだね。前方確認、あー、あれかな結構先だけど道端にたぶんスライム。それ以外なし」
「聞いていたとおりか。さすがに地形の変更だとかはないと思いたいな」
フリアが前進を開始する。
少し進んだところで道端に転がっているスライムを確認するそぶりを見せ、こちらを振り返る。
「スルーでいいぞ。いわゆる掃除役らしいからな」
「確かあれでしょ、簡易トイレに使ってみてくれって言われた」
「ああ、それもあったか。まあここじゃなくてもいいだろう」
ギルドからの依頼は調査だけではなく、その一環ではあるものの、冒険に使えるかどうか確認してほしい道具というものもあり、その一つが簡易トイレだ。
金属で補強された木製の折りたたみ式簡易トイレで、開いて床に起き、中央に開いた丸い穴に革袋をかぶせるようにして取り付け、その袋の中に掃除スライムを放り込み、そこでするという仕組みだ。
使い終わったらスライムが入ったまま袋ごと取り外し、その場に放置すればそのスライムが解体処理をするらしい。簡易トイレは折りたたんで持ち運びだ。
腰掛ける形になっているために姿勢が安定し、袋にする形になっているためにふん尿が飛び散ることがない。しかも袋ごと放置するため物が見えず、最終的にはスライムが処理してくれるため後には何も残らない。これに加えて布か何かで目隠しをすれば人目を気にせずに用を足せるということで女性陣からはすでに評価が高い。スライムがなくてもこれがいいというくらいには、だ。袋はギルドが用意した10枚を今回は持ち込んでいる。持ち運びの手間の検証もあるのだ。
まあ今はそれはいい。どこか安全な部屋でも確保してからならさらに評価は上がるだろうし、それは今ではない。
「前方、右に折れるよ。その先にたぶん何かいる。気配があるよ」
「了解。話ではラットだな。2回の確認で、両方とも曲がったところにラットが1だそうだ。今回も同じならほぼ確定でいるんだろうな」
先行して確認していたフリアの報告を聞くと、隊列を変更してエディが前へ。クリストはランタンのフードを絞って光量を落とすと剣を抜いた。
「予定通りエディにチャージをかけてもらおう。俺の剣は予備で」
「了解、角に出たら右にチャージ」
確認するとエディが単独で前に出て曲がり角へ入り、そのまま右手に掲げた盾に体を隠すような体勢で大きく右へ踏み出す。
ガツンという激しい音がして、エディはそのまま盾を右へ払うように振り上げると、物が硬い場所にたたきつけられる音が一度してそれで終わりだった。
「ふむ、やはりラットだ。どう見ても普通のラットだな。特に特徴はなし」
「了解、予定どおりか。報告用に尻尾と魔石を確保する」
剣を収め、ランタンの光量を戻したクリストがそのままラットの処理をする間にフリアが前方の偵察に出る。
「交差点確認。分かれ道3方向だね。きれいに分かれるよ」
「聞いていたとおりの正方ダンジョンてことだな。まずはその宝箱があったっていう部屋を目指してみるか」
「わかった。途中の他の部屋はどうしよう、クリアだけはする形でいい? 行き止まりは確認する?」
「一応行程をなぞって行くか。完全に一致するならいいんだが確か鍵があったりなかったりだろうって話だろう? 途中の部屋ってのが怪しいかもな」
聞いた話では途中の部屋には扉も箱もなく、そして宝箱が見つかった部屋には扉があったが鍵がかかっていた時とかかっていなかった時があった。これは鍵だけの問題なのか、扉の有無にも変化があるのか、確認が必要だった。
「まずは右へ行くよ。たぶん途中に空き部屋、その先に分岐のはず」
フリアは十字路で前方と左の安全を確認すると右へ曲がり、他のメンバーもそれに続く。魔物はなし、先方でフリアが立ち止まり右を確認するが明らかに様子がおかしい。
「そこが空き部屋だってところか。どうだ?」
追いついたエディが右を見て止まる。それにフリアは肩をすくめて見せた。そこへ追いついた他のメンバーも右を見て止まる。そこに情報とは違う明らかな変化、扉のない空き部屋だと書かれていた場所に、木製の扉があったのだから。
「ここでそう来るのか」
渡された地図では扉なしの空き部屋が書かれていた場所は木製の扉によってふさがれていた。これで地図は同じでも扉の有無は変わることが確定した。
「鍵穴はなし、気配もなしだよ」
「分かった。エディ、頼む」
フリアと場所を変わったエディが念のために盾を構え、扉に手をかける。そして押し開けてもすぐには踏み込まず、盾を構えたまま待つ。
「罠はないようだな。フリア、頼む」
再度場所を変わり、フリアが部屋の中へ。クリストがその頭越しにランタンを掲げて部屋の中を照らした。
「問題はなさそう。箱なし、罠なし、魔物なし。安全ではあるね」
姿勢を低くして部屋の内部を確認したフリアの報告が入る。
「よし、この部屋はこれでいいな。フェリクス、地図もいいか? よし。地形に変化はなかったが扉の有無は変わった。ってことは恐らく魔物も罠も鍵も箱も変わるんだろうな。ここはそういうダンジョンだってことだ」
「これは初心者も油断できないんじゃないか。入るたびに変わるってことは流れ作業を許さないってことだ」
エディの評価は正しい。特に魔物と罠の場所が変わるということが厳しい。ここだと考えていた場所ではなく、想定していない場所で出会うことは難易度を上げる。ただ何となくで行動することを許さないダンジョンだということだ。
部屋をクリアし、フリアが先行に戻って先へ進む。
「交差点、左右のみ。右が行き止まりだったよね。確認する」
ここまで地形は地図通り。右の行き止まりにも変化はなかった。地図通りであれば左に曲がって進んだ先、左側に空き部屋、その先に前方と左の通路、さらに前進して前方と左の通路、そこを左に曲がると扉ありの部屋に着くことになる。交差点で待機する仲間の前を通り過ぎ、左の通路へと入ったところでフリアが立ち止まった。
「ここは特に何もないはずだったよね」
「そうだね、地図にもないよ」
地図を見ていたフェリクスの声を聞きながら、フリアがしゃがみ込み地面を調べ始めた。
「もしかして、あれか」
「だね、ほらここ、ちょっと沈む」
地面のタイルを軽く押すとわずかに沈み込む。報告にあったつまずく仕掛けだ。
「少しだけすぎてよくわからないな。左に曲がってすぐか。見落とす位置だ」
「うん。それに、そこに部屋があるでしょ。扉がない。それで中に気配があるよ」
曲がって気づかずにつまずいた場合は、そこが部屋の入り口辺りになり、そして部屋の中には気配があるということは魔物がいるということだ。
「嫌がらせかよ。そういうことを仕組んでくるダンジョンだってことだな」
フリアと場所を交代したエディが足元に注意しながら前進し、盾を構えた状態で部屋の入り口に近づく。
剣を構えたクリストとナイフを抜いて攻撃にも対応できるようにしたフリアがそれに続き、カリーナが防御と回復に備える。地図に記入するフェリクスは待機だ。
「気配複数。たぶん2。大きさ的にはラットだよ」
気配察知を試みたフリアの警告。ラットであれば数が2でも問題ではない。
エディが盾を斜めに、部屋の中から飛び出してくる魔物を仲間の側に誘導するような形で配置して前進する。
入り口を素通りする形になるエディを見つけた部屋の中の魔物が飛び出すが、盾に遮られて攻撃はできない。そして進行方向はエディの盾によって遮られた側ではなく、クリストやフリアが待ち構える側しかない。
2人がそれぞれラット1体ずつを受け持つと同じように一撃で仕留め、戦闘は終了した。
「ラットだったからいいが、うまい配置だよな。でかい相手とか飛んでくる相手とかだったらここまでうまくは回せない」
普通のラットだったから一撃で終わったが、これが一撃で仕留められなかった場合は混戦になる。クリストもフリアも盾は持っていないし、フリアに至っては防御面がどうしても薄い。こちらの立ち位置や魔物の誘導方法もうまく考えなくてはならないだろう。
「でもこれ、初心者にはいい経験になるんじゃない?」
「だろうなあ。気配が察知できていなければ奇襲を受けるかもしれないし混戦になるだろうしな。考えられているっていうのも変なもんだが、そういう評価だよな」
防御や回復に備えていたカリーナの評価にクリストもうなずく。
フェリクスも地図に罠や魔物の位置や種類、数を書き込むものの、事前に受け取っていたものとは変わっていることから、実際には臨機応変に対応する必要があるだろうと評価を高めていた。
「部屋の中は何もなし。先へ進むよ」
確認を済ませたフリアの報告を聞くと隊列を整えて前進を再開、この先は前方と左への分岐になる。
「この左の方の道、たぶん最初の十字路を真っすぐ進んだ道とぶつかるんじゃないかな」
「ああ、そうだね、地図だとそうなる予想かな。正方のダンジョンはわかりやすくていいよね」
「これが洞窟型だとか非正方だとかってなると訳が分からなくなるからなあ。特に調査の段階で正方だと迷わないだけありがたいよな」
洞窟型はとにかく上下の移動がわかりにくい。地形が複雑な上にわずかな傾斜も長く続けば階層が変わるということがあるためだ。
非正方の場合は曲線が多用されたり、障害物によって複雑な地形を作っていたりといった場面があり、調査段階での地図作成が容易ではない。地図の作成で迷っているところに魔物の襲撃に遭うということも多々あることも容易ではない要因になっていた。
「次の交差点を左に行ったところに部屋、1回目扉ありの箱なし、2回目扉に鍵あり箱ありだな。とにかくそこまで行ってみよう」
前方と左への2方向の分岐を前へ進むとさらに前と左の分岐にたどり着き、行き止まりと思われる前方へ。
「この先に気配、待って」
フリアの指示に前進を止めると、クリストもランタンを左手に持ち替え、剣を抜いた。
「確認した、ラット3体。聞いていたよりも数が出る感じ」
「そうだな。ラットだからまあいいんだが」
もともとラットは群れて現れることの方が多い。単体では弱すぎるということもあるが、群れれば群れるほど驚異度は増す。
エディも剣を抜き、盾を中央に配置。右からエディの剣、盾、クリストの剣となる配置で前進する。いざとなればクリストの左側にフリアが入れる。
気配が強くなったところでクリストが前方を照らすようにランタンを掲げる。その明かりの中で群れていたラットが顔を上げてキーキーと鳴いた。
「突っ込んで押さえる。クリスト、一番左のやつを」
「了解」
盾役となるエディが攻撃も受け持つ形で一気に前進、クリストもそれに続く。
3体のラットが並ぶ格好になっているところへ接近すると、中央の1体にぶつけるように盾を押し出し、右の1体をエディが、左の1体をクリストが受け持つ形で攻撃を仕掛けた。エディは殴りつけるような形で剣を2振り、クリストは突き上げるような1振りでラットを倒すと振り下ろすような形で中央のラットにも剣をたたきつけ、それで戦闘は終了した。反撃を受けるような余地もない。数が3とはいえ相手はラットだ。
「よし、片付いたな」
「背後も問題ないよ」
ラットの処理を手早くすませると交差点に戻り、今度は右折する。ひとまずの目的地になっていた扉ありの部屋がそこのはずだ。
「うん。ここだね。今回も扉あり。鍵穴があるね」
「ここは地図と一致か」
「気配はなし。鍵を調べるよ」
扉の横に張り付くようにしていたフリアが鍵穴に道具を差し込んで2、3度カチャカチャと動かす小さな音がする。
「鍵はなし、罠もなしだね」
「了解、変わろう」
扉から離れたフリアに変わってエディが盾を構えた状態で扉の前に立つ。
ノブに手をかけるとそれを軽く回し、扉を押すようにして開けた。
「問題はなさそうか、そしておめでとう、だな」
盾を構えた状態で扉を開けるが、今回も罠などはなさそうだった。再び場所を変わったフリアがも室内の様子を確認する。
「罠なし、魔物なし、そして宝箱あり。おめでとうだね」
報告にあった宝箱が部屋の奥の壁の中央に鎮座していた。
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上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
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ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
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剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
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入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
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