転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

文字の大きさ
10 / 314
本編

ラーロルド王国について

しおりを挟む
 部屋に着いてしばらくすると、エリック隊長が部屋に入ってきた。

「ノックくらいしたらどうです?」

「あ、悪い…」

 セシルに注意されて素直に謝るエリック隊長を見て面白いと思った。

「ねぇ、エリック隊長がラーロルド王国の騎士だって言ってたでしょ?ここはラーロルド王国なの?」

「あぁ、そうだ。ここはラーロルド王国にある騎士寮だぞ。」

「へぇ!ラーロルド王国以外にも国があるの?」

「「え!?」」

 私の質問にエリック隊長とセシルが2人して声をあげた。

「もしかして、ティアはラーロルド王国も知らなかったのですか?」

「うん…(そーだよね、普通に考えておかしいよね。どうしよっ!そうだ!)実はね、自分がティアっていう名前だって事しか覚えてないの…だからこの世界について全然分からなくて…」

 さすがに記憶が無いって言う理由は厳しいかな?他に何か思いつかないし…

 ティアが下を向いて考えていると、その様子から泣きそうなのだと勘違いした2人は、

「だ、大丈夫ですよ⁉︎きっと怖い思いをしたんですね。もう心配ありませんからね。」

「そ、そうだぞ!安心しろ。無理に思い出す必要もないぞ。」

 必死になって声をかけてきた。

(なんか変に勘違いしてそうだけど…上手く誤魔化せたみたい!よかった。)

 ティアがホッと息をつく。

「(余程怖い思いをしたんだろう。可哀想に。)」

「(きっと思い出したくなくて記憶をなくしてしまっているのかもしれませんね。)」

 2人は普通に勘違いしていた。

「それでね、このラーロルド王国について教えて欲しいの。だめ?」

 首をかしげて2人を見つめる。

 ふむ…少しわざとらしかったかな?2人が固まってるよ。なんか恥ずかしくなってきたよぉ!!

 少し顔が赤くなっていると、2人が現実世界に戻ってきたようだ。

「も、勿論いいぞ!!」

「えぇ、ティアにこの国について簡単に説明しましょう。」

「ありがとなの!!」

「おう!じゃあ、セシルあとは頼むぞ!」

「はぁ…そんな事だろうとは思いましたよ…では、まずラーロルド王国に住む者達についてです。この国の多くは人族が占めています。ですが他種族も受け入れているので中立国として、獣人やエルフ、ドワーフも少なからず生活しています。ここは魔物の棲まう森…モーリーの森も近くにあり他国からは攻められにくく、気候もよく作物類も潤っているので安全性のある国の1つと言われています。また、身分制度があり王族、貴族、平民、奴隷となります。」

「俺やセシルも貴族なんだぞ。」

「はい、その通りです。貴族にも階級があります。上から、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵となります。ちなみにエリックは公爵家で、私は侯爵家です。」

「えぇ!!エリック隊長もセシルも貴族なの⁉︎しかも、かなり位が高いよね!普通に話しても大丈夫なの?(不敬罪なんかにならないかな?)」

「ふふふ。気にしなくて大丈夫ですよ。身分を振りかざすバカもいますが、私たちには普通に接していただいて構いません。」

「よかったー!!」

「では、最後です。この国を治めているのは王で、ガルジール・サン・ラーロルド陛下です。王妃様と2人の王子がいらっしゃいます。簡単にまとめてみましたが、質問はありますか?」

「大丈夫です!分かりやすかったです。」

「それは良かったです。もし聞きたいことができたら、その時その時教えますのでいつでも聞いて下さい。」
 
「俺に聞いてもいいぞ!」

 2人に感謝して、ありがとうと言うと代わる代わる頭を撫でてくれた。

 部屋でゆっくりしていていいと言われたので、無限収納にお金以外に何が入っているのか確かめることにしよう!!!
しおりを挟む
感想 169

あなたにおすすめの小説

愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。

ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。 子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。 ――彼女が現れるまでは。 二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。 それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……

婚約破棄されなかった者たち

ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。 令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。 第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。 公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。 一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。 その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。 ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

愛されなかった公爵令嬢のやり直し

ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。 母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。 婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。 そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。 どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。 死ぬ寸前のセシリアは思う。 「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。 目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。 セシリアは決意する。 「自分の幸せは自分でつかみ取る!」 幸せになるために奔走するセシリア。 だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。 小説家になろう様にも投稿しています。 タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。

愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした

ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。 しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。 オリバーはエミリアを愛していない。 それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。 子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。 それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。 オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。 一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

【完結】私を忘れてしまった貴方に、憎まれています

高瀬船
恋愛
夜会会場で突然意識を失うように倒れてしまった自分の旦那であるアーヴィング様を急いで邸へ連れて戻った。 そうして、医者の診察が終わり、体に異常は無い、と言われて安心したのも束の間。 最愛の旦那様は、目が覚めると綺麗さっぱりと私の事を忘れてしまっており、私と結婚した事も、お互い愛を育んだ事を忘れ。 何故か、私を憎しみの籠った瞳で見つめるのです。 優しかったアーヴィング様が、突然見知らぬ男性になってしまったかのようで、冷たくあしらわれ、憎まれ、私の心は日が経つにつれて疲弊して行く一方となってしまったのです。

処理中です...