転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

認めないからな(エリック視点)

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 俺の腕の中ではティアがすやすやと眠っている。ティアの寝顔を見ていると癒される。


 だが、しかしだ!目の前にいるこいつ…いやレオンハルト様がこの時ばかりは敵意を向けざる負えない。


「今、何と?」


「ですからティアを僕に下さい!」


「……つまり婚約者にと?」


 そうだと言わんばかりに頷くレオンハルト様。


「「ダメだ(です)!!」」


「「賛成だ(よ)!!」」


 俺とルドルフは反対し、ガルジールとセルーナ様は大賛成する。


「ティアちゃんを王家に嫁がせるなんて宰相である僕がさせません!!」


「あら、私はティアちゃんが娘になってくれるなら大歓迎よ!」


「私もセルーナに同意だ。可愛いティアを毎日のように堪能出来る!」


 ルドルフお前いい奴だな。心強いぞ。この件に関してはガルジール達は敵だ。


「ティアちゃんのお菓子は僕のものなんです!!」


 ……訂正。お前はティアのお菓子に釣られて味方になっただけだったか。


「とにかくティアはレオンハルト様の婚約者にはしません。俺はティアが好きな相手と結ばれて欲しい。」


「ならばティアが僕を選んだ時はもらってもいいんですね?」


「……それと俺が認めたらな」


 俺はティアに幸せになってほしい。ティアが心から添い遂げたいと思う人が出来た時には反対はしない。……多分。


「それは何としても認めさせないとだな」


「ええそうね!頑張るのよレオンハルト」


「はい!」


 王族3人の団結力に顔が引き攣ったのは否めない。


「…もしかしてティアちゃんがレオンハルト様の婚約者になれば差し入れでお菓子が食べれるのか?」


 おいルドルフ。変に頭を回転させるな。宰相としていかに最善の道を見つける為に使う思考回路だろ。それを選択肢にしてはダメだ。


「それはいいな!ルドルフ、協力してくれたらティアに頼んでお前の分も用意してもらうようにしよう!!」


「…!!!」


 ルドルフの目が光った。ルドルフは生粋の甘党…お菓子好きだからな。それで釣るのは卑怯じゃないか。


「ルドルフ、ガルジールの言うことは聞くなよ。ティアは優しい子だ。頼まなくてもお菓子を作ってくれるぞ。」


「そ、そうですよね!!危うく陛下の手に乗るところでした。すみませんエリックさん」


 申し訳そうにするルドルフ。たまにこいつが宰相で大丈夫かと疑うことがあるのはこういう事が原因だろう。


「本当にティアを婚約者にと考えているなら俺が認める存在になってもらいますからねレオンハルト様。」


「騎士団の団長に認められる強さ……なかなか厳しそうですね。ですが僕だって本気です。まだまだ時間はある。必ずティアの心を射止め、エリック殿を認めさせます!!」


「強さだけを求めているのではないが…しかしその意気込みは認めよう。やってみるがいいさ。」


 まぁ、俺が認めたとしてもティアのの父親がもし見つかった時はどうなるか分からないがな。その父親が認めるかどうか俺には分からない。まぁティアの父親が見つかる保証も今はないしな。


「レオンハルトよ。頑張るのだぞ。そしてティアにガルお義父様と呼んでもらうのだ!」


「それは良いわね!なら私はセルーナお義母様になるのかしら。」


 この2人の話を聞くと無性に腹が立つな。特にガルジール。ティアが「ガルお義父様」なんて呼んだ日には俺は暴れるかもしれん。


「レオンハルト様悪いがやっぱりさっきの話は……」


「なかったことにしよう。なんて言いませんよね?騎士団長ともあろう方が自分の言った言葉に責任を持たずに発言するはずありませんもんね。」


 ぐぬぬ……レオンハルト様意外と鋭い。


「ふははは。いいぞレオンハルト!そうだよなぁ。今さら取り消したりなんかしないよなぁ。」


 そうだろうエリック?とこちらを見て笑うガルジールに殺意が。腐っても王族だ。手は出せない…くそぉお!


「も、もちろんだとも。取り消したりなんて事はしないさ。レオンハルト様頑張って下さいね。」


 そうさ。俺が認めなければいいのだ。





 絶対に認めたりなんかしないんだからな!














ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 今回はエリック視点でした!久しぶりのエリックside。なかなか親バカですな。そして何故か恋愛小説らしくなってしまった。軌道修正せねば。あくまでファンタジー!!ᕦ(ò_óˇ)ᕤ


 


 





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