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本編
古代遺跡23
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黒い靄が晴れるとエリック隊長が魔剣をしっかり持って立っていた。いや正確には何か魔剣を睨んでた?
「エリック隊長?魔剣との契約は成功したんだよね?」
とりあえず代表で私が声をかける。
「…っ!!あ、あぁ。無事グラムとは契約出来た。」
それにしては様子が変だよね。
「エリック、本当に大丈夫か?顔色悪いぞ。その魔剣に何かされたんじゃ…」
「何も!何もされてない!えっと、その血だ!少し血を流し過ぎただけだ。」
⦅何を言う。血がいるとは言ったが本来数滴で足りる。それにそれくらいの量で流し過ぎたと言うほどではないだろう?そんな柔な奴と契約したつもりはない。⦆
「数滴で良かったのかよ!?先に言え先に!損したじゃねーか。」
いつものエリック隊長の調子に戻ってきた。良かったー。
「魔剣の声がエリックとティア嬢しか聞こえないとなると不便だな。」
「ですね。なんとなくエリックさんの喋りから内容は想像つくのですが正確には分かりませんしね。なりより、大の大人が剣と話してるという絵はちょっと…」
「私はこういう仕事だから周りからは納得されやすいが…騎士のそれも隊長がとなるとイタイね。」
順に、バンさん、ニールさん、オーディ教授だよ。3人には魔剣の声聞こえないんだったね。どうりでさっきまで静かにしてたわけだ。
「嫌がらせかちくしょー。グラム、他の奴らにも声が聞こえるように出来ないのか?」
⦅エリックと契約した事で可能にはなったぞ。俺様天才!だが断る!俺様との会話はそんなに安くはないんでな。資格を持つ者は俺様の意思とは関係なく声が聞こえるからいいだろう?資格のない者たちと喋るなんて無駄なこと俺様はしたくないんだよ。⦆
「いや断るなよ!天才なんだろ?誰にも知られない天才なんて宝の持ち腐れみたいなものだぞ?それにほら、喋らないでいると本当にオーディ教授にあの手この手で調べられたりするかもしれないぞ。」
⦅ぐぬぬ…それもそうだな。いいだろう。皆に聞こえるようにしてやろう!安心していいぞ、時と場合によってはただの剣のふりもしてやるからな!ギャハハハ俺様優しいぜ。⦆
上手く魔剣を言いくるめたエリック隊長。変人扱いされない為に必死だもんね。了承がもらえてあからさまにホッとしてるもん。
⦅あー。あいうえおかきくけこ…これで全員聞こえてるか?⦆
「「「…!?」」」
さっきまで魔剣の声が聞こえてなかった3人は突如増えた声に警戒心を高める。
⦅ギャハハハ!そんなにビビるなよ。この声が誰のかは予想がつくだろう?⦆
「魔剣…で合っているか?」
⦅ギャハハハ!大正解だ。改めて自己紹介でもしてやろうか?俺様は魔剣グラム。魔剣様でもグラム様でも好きに呼ぶがいいさ。⦆
「エリック、本当にこれ大丈夫なのか?魔剣じゃなくて駄剣の間違いとかないよな?」
ぷっ。魔剣が駄剣って笑笑。
「あははは!駄剣って。ここにスノウがいたら駄犬といいコンビになってたぞ。駄剣と駄犬!!文字は違えど読み方は一緒。最高だな。あははは!」
「ちょっ、エリック隊長!?そこまでは思いつかなかったのになんて事言ってくれちゃうの!?その魔剣はともかく、スノウは駄犬じゃないからー!!」
⦅俺様は駄剣なんかじゃなーい!!それとガキ、俺様はともかくってどういう事だ!犬なんぞに俺様が負けるとでも言うのかぁ?⦆
うーん。魔剣と神獣なわけだし。実際のところどうなんだろう。魔剣は使い手がいないとダメな時点で勝負になるのかな?
「スノウさんは犬ではありませんよ。神獣フェンリルです。魔剣であるグラムさんといい勝負だと思いますけどね。」
⦅グラム様だ!様を付けろ。……そういや神獣?今、神獣って言ったよな。神獣フェンリルって。もしかして10階に住んでる2匹のうちのどっちかのことか?いや1匹の気配は消えたから残りのガキフェンリルってところか?だとしたら駄犬で合ってるぜ。バルフと比べりゃアレはまだまだ成長過程。契約もしてないガキフェンリルに俺様は負けねぇ。⦆
「ガキフェンリルなんかじゃないもん!スノウは私と契約してるんだから!自信過剰な魔剣なんかに負けたりしないよ。」
あっかんべー!!
⦅なっ!マジかよ…契約したことで力は増したはずだし。それも契約者によって成長も変わるだろ。で、その契約者がこのガキ。……あーうん。まだ成長中だしな。俺様の方が経験豊富な分有利だよな。きっと負けたりしないよな。仮に負けても俺様のせいじゃない。使い手が悪かっただけだよな。⦆
それ負けた時の言い訳だよね?この様子に魔剣としての尊厳はなく、私たちは呆れたような視線を向ける。
「やはり様付けするまでもないですね。グラムさんで十分です。」
ニールさんの言う通りだ。魔剣もバツが悪いのだろう無言で否定出来ないでいる。
「スノウをバカにしたんだから私は魔剣の事はグラムって呼ぶね!!」
⦅ぐぬぬ。ガキ、お前は前からッ!…なんでもない。ガキは俺様を好きに呼べ。⦆
何か言いかけたような。
「では俺はグラム殿と呼ぼう。」
「なら私は駄剣と呼びましょう!!」
⦅そこの熊の獣人は許そう。だがそこのエルフ!何が駄剣だっ!それは俺様を侮辱してるのか。⦆
バンさんはグラムに殿をつけて呼ぶらしい。なんとなく予想はついてたけどね。対してオーディ教授は…絶対面白がって駄剣なんて呼んでるよね。
わいわい騒ぐ私たちを見て魔剣グラムは呟いた。
⦅小娘、約束は守る。だから…ガキ、今度こそ生きろよ⦆
グラムの消え入りそうな声の呟きがグラムを持っていたエリックの耳に届いていた事をグラムは知らない。
「エリック隊長?魔剣との契約は成功したんだよね?」
とりあえず代表で私が声をかける。
「…っ!!あ、あぁ。無事グラムとは契約出来た。」
それにしては様子が変だよね。
「エリック、本当に大丈夫か?顔色悪いぞ。その魔剣に何かされたんじゃ…」
「何も!何もされてない!えっと、その血だ!少し血を流し過ぎただけだ。」
⦅何を言う。血がいるとは言ったが本来数滴で足りる。それにそれくらいの量で流し過ぎたと言うほどではないだろう?そんな柔な奴と契約したつもりはない。⦆
「数滴で良かったのかよ!?先に言え先に!損したじゃねーか。」
いつものエリック隊長の調子に戻ってきた。良かったー。
「魔剣の声がエリックとティア嬢しか聞こえないとなると不便だな。」
「ですね。なんとなくエリックさんの喋りから内容は想像つくのですが正確には分かりませんしね。なりより、大の大人が剣と話してるという絵はちょっと…」
「私はこういう仕事だから周りからは納得されやすいが…騎士のそれも隊長がとなるとイタイね。」
順に、バンさん、ニールさん、オーディ教授だよ。3人には魔剣の声聞こえないんだったね。どうりでさっきまで静かにしてたわけだ。
「嫌がらせかちくしょー。グラム、他の奴らにも声が聞こえるように出来ないのか?」
⦅エリックと契約した事で可能にはなったぞ。俺様天才!だが断る!俺様との会話はそんなに安くはないんでな。資格を持つ者は俺様の意思とは関係なく声が聞こえるからいいだろう?資格のない者たちと喋るなんて無駄なこと俺様はしたくないんだよ。⦆
「いや断るなよ!天才なんだろ?誰にも知られない天才なんて宝の持ち腐れみたいなものだぞ?それにほら、喋らないでいると本当にオーディ教授にあの手この手で調べられたりするかもしれないぞ。」
⦅ぐぬぬ…それもそうだな。いいだろう。皆に聞こえるようにしてやろう!安心していいぞ、時と場合によってはただの剣のふりもしてやるからな!ギャハハハ俺様優しいぜ。⦆
上手く魔剣を言いくるめたエリック隊長。変人扱いされない為に必死だもんね。了承がもらえてあからさまにホッとしてるもん。
⦅あー。あいうえおかきくけこ…これで全員聞こえてるか?⦆
「「「…!?」」」
さっきまで魔剣の声が聞こえてなかった3人は突如増えた声に警戒心を高める。
⦅ギャハハハ!そんなにビビるなよ。この声が誰のかは予想がつくだろう?⦆
「魔剣…で合っているか?」
⦅ギャハハハ!大正解だ。改めて自己紹介でもしてやろうか?俺様は魔剣グラム。魔剣様でもグラム様でも好きに呼ぶがいいさ。⦆
「エリック、本当にこれ大丈夫なのか?魔剣じゃなくて駄剣の間違いとかないよな?」
ぷっ。魔剣が駄剣って笑笑。
「あははは!駄剣って。ここにスノウがいたら駄犬といいコンビになってたぞ。駄剣と駄犬!!文字は違えど読み方は一緒。最高だな。あははは!」
「ちょっ、エリック隊長!?そこまでは思いつかなかったのになんて事言ってくれちゃうの!?その魔剣はともかく、スノウは駄犬じゃないからー!!」
⦅俺様は駄剣なんかじゃなーい!!それとガキ、俺様はともかくってどういう事だ!犬なんぞに俺様が負けるとでも言うのかぁ?⦆
うーん。魔剣と神獣なわけだし。実際のところどうなんだろう。魔剣は使い手がいないとダメな時点で勝負になるのかな?
「スノウさんは犬ではありませんよ。神獣フェンリルです。魔剣であるグラムさんといい勝負だと思いますけどね。」
⦅グラム様だ!様を付けろ。……そういや神獣?今、神獣って言ったよな。神獣フェンリルって。もしかして10階に住んでる2匹のうちのどっちかのことか?いや1匹の気配は消えたから残りのガキフェンリルってところか?だとしたら駄犬で合ってるぜ。バルフと比べりゃアレはまだまだ成長過程。契約もしてないガキフェンリルに俺様は負けねぇ。⦆
「ガキフェンリルなんかじゃないもん!スノウは私と契約してるんだから!自信過剰な魔剣なんかに負けたりしないよ。」
あっかんべー!!
⦅なっ!マジかよ…契約したことで力は増したはずだし。それも契約者によって成長も変わるだろ。で、その契約者がこのガキ。……あーうん。まだ成長中だしな。俺様の方が経験豊富な分有利だよな。きっと負けたりしないよな。仮に負けても俺様のせいじゃない。使い手が悪かっただけだよな。⦆
それ負けた時の言い訳だよね?この様子に魔剣としての尊厳はなく、私たちは呆れたような視線を向ける。
「やはり様付けするまでもないですね。グラムさんで十分です。」
ニールさんの言う通りだ。魔剣もバツが悪いのだろう無言で否定出来ないでいる。
「スノウをバカにしたんだから私は魔剣の事はグラムって呼ぶね!!」
⦅ぐぬぬ。ガキ、お前は前からッ!…なんでもない。ガキは俺様を好きに呼べ。⦆
何か言いかけたような。
「では俺はグラム殿と呼ぼう。」
「なら私は駄剣と呼びましょう!!」
⦅そこの熊の獣人は許そう。だがそこのエルフ!何が駄剣だっ!それは俺様を侮辱してるのか。⦆
バンさんはグラムに殿をつけて呼ぶらしい。なんとなく予想はついてたけどね。対してオーディ教授は…絶対面白がって駄剣なんて呼んでるよね。
わいわい騒ぐ私たちを見て魔剣グラムは呟いた。
⦅小娘、約束は守る。だから…ガキ、今度こそ生きろよ⦆
グラムの消え入りそうな声の呟きがグラムを持っていたエリックの耳に届いていた事をグラムは知らない。
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