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本編
古代遺跡25
グラムside
「おい!ティア、しっかりしろ!ティア!」
魔力暴走しかけている気配を感じ急いでガキのもとへと駆けつけた。
「グラム、ティアは大丈夫なんだよな!?」
顔色のひどいガキを見てパニックになるエリック。
⦅落ち着けエリック。ガキは大丈夫だ。このガキ、無意識にだがエリックを傷つけないように魔力暴走を自力で抑えてやがる。暴れている魔力は俺様が引き受ける。エリック、お前はガキから離れるなよ?お前が少しでも離れた瞬間、このガキの魔力は爆発するぞ。だから絶対離すなよ?⦆
それだけこのガキはエリックを信頼しきっている。故にエリックが傷つくことを恐れている。失うこともだ。このガキにとってエリックは最大の弱点だ。このガキの1番でいたいあいつからしたらエリックの事が邪魔で仕方ないだろう。まだあいつが手出しできないことが救いか。
「ティア…ティア…」
ティアか…ガキの荒ぶる魔力を吸収しながら気付く。ガキの側には分厚い本が落ちていた。いや本じゃない。日記帳だ。俺様はこれを知っている。俺様に約束を取り付けたここの創造主である小娘が持っていたものだ。そしてここに置いていった忌々しい小娘の軌跡だ。くそっ。見ちまったのかよ。なにか気付いたのか?それとも思い出したのか?分からない。こればっかりはその時その時で違うからな。
ダダダダダダ
「エリックさんっ!!」
おうおうおう。どうやら他の奴らも駆けつけたようだな。って、ちょっと待って。この気配…
〈ティアーー!!!どこのどいつだティアに何かしたのは…殺すぞ。〉
⦅ゲッ…厄介なのが来やがった。ただでさえガキの魔力を吸収して抑えるので忙しいってのに。ガキフェンリル、久しぶりの挨拶はなしか?それともその今にも殺さんとする殺気を飛ばすのがお前なりの挨拶なのか?⦆
〈あ"ぁ?ふざけてるの?どこの誰かと思えば使えない魔剣じゃないか。お前がティアに何かしたの?答え次第では魔剣だろうが容赦なく消えてもらうから。〉
まだガキだってのに流石は神獣フェンリルってことか。威圧感がとんでもない上に殺気とか…勘弁してくれ。エリックもだが他の奴らも下手に動けなくなっちまってる。
⦅俺様は今、このガキの魔力を吸収してやってるんだ。邪魔をするな。ガキがこんな風になった原因はそこに落ちてるだろ?⦆
〈そこ?ーーッ!!こ、これ…まさかティアは読んだの?〉
⦅だからこの状況なんだろうが!分かったならさっきと殺気を引っ込ませろ。⦆
ガキフェンリルは大人しく殺気を引っ込めた。ふぅ、余計に疲れたぜ。
「「「はぁはぁ…」」」
エリックたちもガキフェンリルの殺気から解放された事で力が抜け呼吸がし易くなったんだろう。皆、額に汗が浮かんでいる。
これでガキの魔力吸収に専念できる。
⦅よしっ!これでもう大丈夫だろう。⦆
俺様はガキが落ち着いたのを確認し聞こえるように伝えた。安堵の様子が周りの奴らの様子から窺える。
「なぁ、お前たちの会話から察するに原因はこの分厚い本なんだよな?」
〈⦅本じゃない。日記帳…⦆〉
見事にガキフェンリルと被った。忌々しい日記帳である事を知っている為、つい俺様たちは低い声になってしまった。
「日記帳…これはティアのなのか?」
〈ティアのと一括りにすればそうなのかな。こんなものなんで作ったんだろうね。僕は…この日記帳が大嫌いだ。〉
⦅俺様も同感だ。これは嫌なものだ。俺様自身の弱さ、惨めさを痛感させられる。⦆
俺様は一度、二度、三度、いやもう何回だろうな。数えきれないほどこの日記帳と出会い知ってしまった。俺様にはこの日記帳を消せない。物理的にも精神的にも。
「ならっ!!私が魔法で消します!!」
〈ニール…やれるものならやってみなよ。〉
ハーフエルフは緑魔法の風の刃で切り裂いた。清々しいほどに粉レベルまでにな。
だが…
「「「なっ!?」」」
そう。日記帳は復活した。はじめから切り裂かれた事など無かったとでいうように。それもガキの手元に。
熊の獣人やエルフも日記帳を手に取っては試すが結局はいつの間にかガキの手元へ還ってくる。ガキと出会ってしまったから、もう還ってくる事が出来るようになってしまった。ガキが日記帳に出会う前なら、破壊してもガキの元へと還ることはなかった。どこか別の場所で復活していたはずだ。故に二度目にこの日記帳を目にした時は俺様は恐怖したものだ。確かに俺様が斬って消滅させたはずだったから。その後も縁あって日記帳と出会うことが何度もあった。日記帳単体の時もあれば……こいつと一緒の事もあった。次第にこの日記帳はこいつの生きた証なんだって痛感した。それを消す事は生きていた事を否定する事になる。そう思うと俺様はこの日記帳を消せなくなってしまった。
〈もうやめたら?無駄なんだから。僕だって何度も試したんだから!本当に消したい…〉
ガキフェンリルは俺様とは違い物理的に消せないだけだ。なにせ生きた年月が俺様とは違う。俺様はここだけじゃない長い年月を外で生きてきた。だからこそ何度も出会いと別れを繰り返した。その中で精神的にも消せなくなったがガキフェンリルからしたらこの日記帳は小娘とガキにしか当てはまらない。視野が狭いって言うのか?まぁその考えも悪くないと思うが。これにどれだけの想いが詰まっていて何で存在しているのかそこまで頭が回ってない。まだまだ親のバルフには追いつかないだろうな。消したいのに消せないまるで悪循環だな。本当に忌々しい限りだ。
⦅その日記帳はもうガキのものだ。破壊しても還ってくる。余計な事はしない方がいい。逆に破壊…消さなければガキの元へと戻ることはない。エリックたちが持っていても大丈夫だということだ。⦆
大抵は取り憑かれたようにずっと本人は持参し続けるがな。
「ならティアがこの日記帳をもう見たくないと願うならば俺たちが遠ざけても問題はないってことだな。」
⦅あぁ。⦆
「とにかくここから出ませんか?これ以上はティアさんに危険です。」
ハーフエルフの意見には満場一致で賛成し、エリックがガキを抱えて外へと出た。
「おい!ティア、しっかりしろ!ティア!」
魔力暴走しかけている気配を感じ急いでガキのもとへと駆けつけた。
「グラム、ティアは大丈夫なんだよな!?」
顔色のひどいガキを見てパニックになるエリック。
⦅落ち着けエリック。ガキは大丈夫だ。このガキ、無意識にだがエリックを傷つけないように魔力暴走を自力で抑えてやがる。暴れている魔力は俺様が引き受ける。エリック、お前はガキから離れるなよ?お前が少しでも離れた瞬間、このガキの魔力は爆発するぞ。だから絶対離すなよ?⦆
それだけこのガキはエリックを信頼しきっている。故にエリックが傷つくことを恐れている。失うこともだ。このガキにとってエリックは最大の弱点だ。このガキの1番でいたいあいつからしたらエリックの事が邪魔で仕方ないだろう。まだあいつが手出しできないことが救いか。
「ティア…ティア…」
ティアか…ガキの荒ぶる魔力を吸収しながら気付く。ガキの側には分厚い本が落ちていた。いや本じゃない。日記帳だ。俺様はこれを知っている。俺様に約束を取り付けたここの創造主である小娘が持っていたものだ。そしてここに置いていった忌々しい小娘の軌跡だ。くそっ。見ちまったのかよ。なにか気付いたのか?それとも思い出したのか?分からない。こればっかりはその時その時で違うからな。
ダダダダダダ
「エリックさんっ!!」
おうおうおう。どうやら他の奴らも駆けつけたようだな。って、ちょっと待って。この気配…
〈ティアーー!!!どこのどいつだティアに何かしたのは…殺すぞ。〉
⦅ゲッ…厄介なのが来やがった。ただでさえガキの魔力を吸収して抑えるので忙しいってのに。ガキフェンリル、久しぶりの挨拶はなしか?それともその今にも殺さんとする殺気を飛ばすのがお前なりの挨拶なのか?⦆
〈あ"ぁ?ふざけてるの?どこの誰かと思えば使えない魔剣じゃないか。お前がティアに何かしたの?答え次第では魔剣だろうが容赦なく消えてもらうから。〉
まだガキだってのに流石は神獣フェンリルってことか。威圧感がとんでもない上に殺気とか…勘弁してくれ。エリックもだが他の奴らも下手に動けなくなっちまってる。
⦅俺様は今、このガキの魔力を吸収してやってるんだ。邪魔をするな。ガキがこんな風になった原因はそこに落ちてるだろ?⦆
〈そこ?ーーッ!!こ、これ…まさかティアは読んだの?〉
⦅だからこの状況なんだろうが!分かったならさっきと殺気を引っ込ませろ。⦆
ガキフェンリルは大人しく殺気を引っ込めた。ふぅ、余計に疲れたぜ。
「「「はぁはぁ…」」」
エリックたちもガキフェンリルの殺気から解放された事で力が抜け呼吸がし易くなったんだろう。皆、額に汗が浮かんでいる。
これでガキの魔力吸収に専念できる。
⦅よしっ!これでもう大丈夫だろう。⦆
俺様はガキが落ち着いたのを確認し聞こえるように伝えた。安堵の様子が周りの奴らの様子から窺える。
「なぁ、お前たちの会話から察するに原因はこの分厚い本なんだよな?」
〈⦅本じゃない。日記帳…⦆〉
見事にガキフェンリルと被った。忌々しい日記帳である事を知っている為、つい俺様たちは低い声になってしまった。
「日記帳…これはティアのなのか?」
〈ティアのと一括りにすればそうなのかな。こんなものなんで作ったんだろうね。僕は…この日記帳が大嫌いだ。〉
⦅俺様も同感だ。これは嫌なものだ。俺様自身の弱さ、惨めさを痛感させられる。⦆
俺様は一度、二度、三度、いやもう何回だろうな。数えきれないほどこの日記帳と出会い知ってしまった。俺様にはこの日記帳を消せない。物理的にも精神的にも。
「ならっ!!私が魔法で消します!!」
〈ニール…やれるものならやってみなよ。〉
ハーフエルフは緑魔法の風の刃で切り裂いた。清々しいほどに粉レベルまでにな。
だが…
「「「なっ!?」」」
そう。日記帳は復活した。はじめから切り裂かれた事など無かったとでいうように。それもガキの手元に。
熊の獣人やエルフも日記帳を手に取っては試すが結局はいつの間にかガキの手元へ還ってくる。ガキと出会ってしまったから、もう還ってくる事が出来るようになってしまった。ガキが日記帳に出会う前なら、破壊してもガキの元へと還ることはなかった。どこか別の場所で復活していたはずだ。故に二度目にこの日記帳を目にした時は俺様は恐怖したものだ。確かに俺様が斬って消滅させたはずだったから。その後も縁あって日記帳と出会うことが何度もあった。日記帳単体の時もあれば……こいつと一緒の事もあった。次第にこの日記帳はこいつの生きた証なんだって痛感した。それを消す事は生きていた事を否定する事になる。そう思うと俺様はこの日記帳を消せなくなってしまった。
〈もうやめたら?無駄なんだから。僕だって何度も試したんだから!本当に消したい…〉
ガキフェンリルは俺様とは違い物理的に消せないだけだ。なにせ生きた年月が俺様とは違う。俺様はここだけじゃない長い年月を外で生きてきた。だからこそ何度も出会いと別れを繰り返した。その中で精神的にも消せなくなったがガキフェンリルからしたらこの日記帳は小娘とガキにしか当てはまらない。視野が狭いって言うのか?まぁその考えも悪くないと思うが。これにどれだけの想いが詰まっていて何で存在しているのかそこまで頭が回ってない。まだまだ親のバルフには追いつかないだろうな。消したいのに消せないまるで悪循環だな。本当に忌々しい限りだ。
⦅その日記帳はもうガキのものだ。破壊しても還ってくる。余計な事はしない方がいい。逆に破壊…消さなければガキの元へと戻ることはない。エリックたちが持っていても大丈夫だということだ。⦆
大抵は取り憑かれたようにずっと本人は持参し続けるがな。
「ならティアがこの日記帳をもう見たくないと願うならば俺たちが遠ざけても問題はないってことだな。」
⦅あぁ。⦆
「とにかくここから出ませんか?これ以上はティアさんに危険です。」
ハーフエルフの意見には満場一致で賛成し、エリックがガキを抱えて外へと出た。
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