転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

束の間の休息

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「はい、あーん。」


「ん~~!!美味し~!!」


「もう一口どうぞ。あーん。」


「あーん!!うみゃ~」



 私はギルドの空き部屋でニールさんたちとお茶をしていた。ニールさんのお膝に乗って甲斐甲斐しく食べさせて貰ってます。1人で座ろうとしたんだけど、気付いたら捕獲されていた。それでそのままお茶をすることに。


「おや、何です?そんなに睨め付けるなんて私が何かしましたか?もしや、あなたも食べさせてもらいたいと?」


「そんなわけあるか!!」


 対面に座っているアルは不機嫌そうに尻尾をビタンビタンと椅子にぶつけている。スノウは呑気に欠伸をしている。


「では、買ってきたお菓子がお気に召しませんでしたか?それは申し訳ない事をしましたね。」


「違う!このお菓子は美味しい、美味しいが…」



「あっ、分かった!あれでしょ!人が食べているものの方が美味しく見える現象!さてはアル、私の食べてるお菓子の方が美味しそうに見えているんだな。ププッ、アルってば~同じものなのに仕方ないなぁ。」


「ふふっ。そうかもしれませんね。」


 そんなティアの考えにニールは笑いながら返す。


(あれはただ私に嫉妬しているだけでしょう)


 なんで自分がイライラしているのか分かっていないアルベルタをいいことに教えてやらないニール。



 ティアは自身が食べていたお菓子を掴み、乗り出すようにしてアルベルタに腕を伸ばした。



「はい、あーん」


「「〈⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎〉」」


「ん?食べないの?」


「た、食べる!……美味い。」


 勢いよく口を開けてティアに食べされて貰ったアルベルタ。不機嫌そうだった尻尾はゆらゆら揺れてご機嫌モードだ。


「これはしてやられましたね。」


〈ズルい!ズルいズルい!〉


「えぇ?」


 ニールさんとスノウの言葉にハテナを浮かべる私。てか、スノウちゃっかり起きて見てたのね。欠伸してたから寝てるのかと思ってたよ。


「やっぱり、ティアに食べさせて貰うものは一段と美味しく感じるな。不思議だ。」


(そりゃあ、好きな子に食べさせて貰えば格段に美味しく感じるのは当たり前ですよ!)


 ニールは言葉にはしないが心の中でアルベルタに言ってやる。


 和やか(?)なお茶の時間はあっという間に過ぎ、コクリコクリと眠たそうにし始めたティアにニールは背中をとんとんする。

 
「ふみゅ…」


「ふふっ。おやすみなさいティアさん。」


 なんとも眠気を誘うリズムに自然と瞼がさがり、すーすーと眠ったティア。



〈ニール!ニール!ティアのさっきの聞いた?ふみゅ…だって!可愛すぎない?〉


 尻尾をパタパタしてニールに話しかけるスノウ。ニールは頷き、気持ち良さそうに寝ているティアの頭を撫でる。するとスリスリと擦り寄ってくるのだから堪らない。


「可愛すぎますね…」


 ニールは視線をチラリと前に向けた。そこにはまるで宝物でも見るかのような愛しくて仕方ないと言わんばかりの表情をしたアルベルタがいた。


「全くこれで自覚なしなのですから厄介ですね(ボソッ)」


〈本当だよね~まぁ、見てて面白いけど〉


 アルベルタはニールとスノウの会話が聞こえる事はなく、ただティアを見つめるのであった。













 



 

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