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【狡猾】
しおりを挟む信長からの密書を読んで考えを巡らす家康…その結果 信長に良い返事を書いた。
内容は家康が努める先発隊が織田軍の砦を制圧したと見せ掛け籠城して待機する…
各所にある砦にも次々と今川軍は出撃するはず、そして半数以下になった今川義元本陣を織田軍と同じに攻撃して義元を討つ!と言う作戦だ。
しかし実際の所、家康は動くつもりは無かった…信長に寝返ったところで勝つ‼と言う保証は無い…むしろ信長の勝つ可能性が出ただけの事だ。
ならば、どっち付かずの高みの見物と洒落込むのみ…結果がどうあれ後の事は連絡が無いため出遅れたとでも言い訳すれば良い…
これで何もせずとも両軍に良い顔が出来る事になる。
家康は信長が勝つ可能性が低いと思うのに何故中立の立場をとったのか?やはり信長が言う通り、今川に人質として捕らわれいた事を根に持っているようだ。
家康はこのころから敵を作らずに甘い汁を吸う事を覚え始める。
これも幼少期の人質経験の影響だろうか…
戦国の人質とは同盟国や領土にした国が裏切らない為のもの…
領土にされた家康の場合は敵の家で生活するようなもので身近に敵と味方が混在する中に身を置き、廻りの者にはいつも仲間だと思われる様にしていた…
家康のイクサは敵か味方か出はなく、この相手に勝てるか勝てないかだ…
強い者になびき勝てない勝負はしない‼ハイエナのように狡猾に立ち回る家康は戦国時代をその嗅覚で強い者を嗅ぎ分けて生き延びて行く。
家康を味方に付けた信長はギリギリの所で活路を見出だした。
正確には家康を信用した訳では無いが、信用してもしなくても信長のやるべき事は同じで信じた方が士気が上がると言う事だが…不安を振り払えない信長は藁にもすがる作戦を立てた…
百姓に扮した家臣達が大量の酒を持って今川本陣に行く… どうか信長を倒して尾張をお救い下さいと芝居をさせ酒を差し出す…気を良くした今川軍はその酒を飲みフラフラになる作戦だ。
本来、戦国の武将なら こんな幼稚な策は考えもしないだろう…普通に考えて“殺るか殺られるか”のイクサ中にいくら優勢でも酔うほど酒を飲むバカがいる筈がない。
圧倒的不利なイクサに怯える信長が考え模索した結論は可能性が低くても出来る事はやるだ! そしてそれが項を奏した…
何とバカがいた!しかも大量に今川本陣のほとんど…
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