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「――おかしい」
歓迎会の翌朝。
私は執務室の机に向かい、眉間に深い皺を寄せていた。
目の前には、昨夜の宴会費用の請求書。
そして、私の相棒である魔導計算機。
いつもなら、指先一つで瞬時に計算が終わるはずの単純な足し算が、できない。
「1+1=……田んぼの田?」
「エーミール様? どうしました、朝から寝言みたいなことを」
コーヒーを持ってきたガストン団長が、不思議そうな顔で覗き込んでくる。
「いえ、計算機の調子が悪いようです。数字が踊って見えます」
「踊る? 数字が?」
「ええ。ワルツを踊っています。……ふふ、優雅ですわね……」
私はフワフワとした感覚に包まれていた。
天井が回っている。
床が波打っている。
「あっ、エーミール様!? 顔が真っ赤っすよ!?」
「赤字? 赤字はいけません……黒字に転換しなければ……」
「いや、そういう意味じゃなくて! 体温が!」
ガストン団長が慌てて私のおでこに触れようとした、その瞬間。
プツン。
私の視界がブラックアウトした。
「エーミール様ぁぁぁ!!」
遠くで、野太い悲鳴が聞こえた気がした。
***
次に目を覚ました時、私は自室の天蓋付きベッドの中にいた。
「……ここは?」
重い瞼を開けると、心配そうな顔をしたギルバート様が、すぐそばに座っていた。
「気がついたか、エーミール」
「閣下……? 私、どうして……」
体を起こそうとしたが、鉛のように重くて動かない。
「寝ていろ。倒れたんだ」
ギルバート様が優しく私の肩を押し戻した。
「倒れた……私が?」
「ああ。執務室でガストンの腕の中に崩れ落ちたそうだ。あいつ、『女神が死んだ! 世界の終わりだ! もう肉が食えねぇ!』って泣き叫んで、砦中が大パニックだったぞ」
「……あの筋肉ダルマ、あとで減給ですね」
私は掠れた声で毒づいた。
「熱がある。三十九度だ」
ギルバート様が、濡らしたタオルを私の額に乗せてくれる。
ひんやりとして気持ちがいい。
「三十九度……。計算外です。私の自己管理(ヘルスケア)は完璧だったはずなのに」
「王都での激務と、昨日の長距離移動。それにあの馬鹿騒ぎだ。疲れが出たんだろう」
「疲労……。非効率ですわ。寝ている時間は一銭の利益も生まないのに」
私が悔しがると、ギルバート様は苦笑して、私の頬を指でつついた。
「君は本当に、病人の時まで損得勘定か」
「当然です。……あ、そうだ。明日の温泉リゾートの視察、キャンセルしないと。それから氷の出荷リストの承認も……」
私が起き上がろうとすると、ギルバート様が今度は少し強引に、私をベッドに縫い留めた。
「ダメだ」
「ですが、納期が」
「仕事なら、俺とガストンたちで分担して終わらせた」
「え?」
「視察は延期。出荷リストは俺が承認印を押した。帳簿の整理も、ガストンたちが泣きながら終わらせた。『エーミール様が安心して休めるように』とな」
ギルバート様は、サイドテーブルを指差した。
そこには、綺麗に整理された書類の束と、一輪の花が飾られていた。
「……あいつら、数字を見ると頭痛がすると言っていたのに」
「君のためなら、頭痛薬を飲んででも頑張るそうだ。……愛されているな、君は」
胸の奥が、熱とは違う温かさで満たされた。
「……バカ者どもめ。計算ミスがあったら、給料から天引きしてやりますから」
私は照れ隠しにそう呟き、また枕に頭を沈めた。
「さて」
ギルバート様が、椅子を引き寄せた。
「部下たちが頑張ったんだ。上司(ボス)である俺も、働かないとな」
「閣下の仕事? 書類仕事なら終わったのでは?」
「いや、俺の仕事はこれだ」
彼は、湯気の立つ器を手に取った。
甘い香りがする。林檎と蜂蜜を煮込んだスープだ。
「さあ、口を開けて。あーん」
「は?」
私の思考回路が停止した。
あーん。
今、この『氷の辺境伯』と呼ばれる強面の武人が、幼児に向けるような言葉を?
「な、何を仰っているのですか! 自分で食べられます!」
「ダメだ。スプーンを持つ筋力エネルギーの無駄遣いだ。俺がやるのが一番効率的だろ?」
「うっ……ロジック(理屈)で攻めてくるとは」
「ほら、冷めるぞ。あーん」
スプーンが口元に差し出される。
ギルバート様は真顔だ。ふざけているわけではなく、本気で看病しようとしている。
拒否するのは、彼の好意(と労働力)を無駄にすることになる。
私は観念して、小さく口を開けた。
「……あ、あーん」
パクリ。
甘酸っぱい林檎の味が広がる。
温かい。
そして何より、恥ずかしい。
「どうだ? 美味いか?」
「……はい。適正な糖度です」
「そうか。じゃあ、もう一口」
そこからは、羞恥プレイの連続だった。
スープを飲ませてもらい、口元を拭いてもらい、汗をかいたら着替え(さすがにメイドを呼んだが)の手配まで。
至れり尽くせり。
過保護すぎる。
「か、閣下。もう十分です。これ以上のサービス(奉仕)は、対価を支払えません」
私が布団を被って訴えると、ギルバート様は笑った。
「対価なら、もう貰っている」
「え?」
「君が大人しくしている顔を見られるだけで、俺には十分な報酬(メリット)だ」
彼は布団の上から、私の頭を撫でた。
「普段は強気で、隙がなくて、可愛げのない計算機みたいな君が……こうして弱って、俺を頼ってくれている。……悪くない気分だ」
「……性格が悪いですわね」
「君ほどじゃない」
軽口を叩き合う。
その空気が心地よくて、私はまたウトウトとしてきた。
だが、眠りに落ちる寸前。
ギルバート様が、ポツリと呟いたのが聞こえた。
「……心配したんだぞ、本当に」
その声は震えていた。
「君が倒れたと聞いた時、目の前が真っ暗になった。国を失うよりも怖かった」
彼は私の手を握りしめ、その甲に額を押し付けた。
「お願いだ、エーミール。無理はしないでくれ。君がいなくなったら……俺は、どうすればいいか分からない」
彼の体温が、震えが、直接伝わってくる。
ドクン。
心臓が大きく跳ねた。
これは、熱のせい?
いいえ、違う。
私の脳内で、ずっと保留(ペンディング)にしていた計算式が、勝手に答えを弾き出しそうになる。
『胸の高鳴り』+『心地よい束縛感』+『失いたくないという恐怖』=???
答えは明白だ。
でも、それを認めてしまえば、私は私でいられなくなる気がして。
「……閣下」
私は、握られた手に少しだけ力を込めて握り返した。
「……死にませんよ。まだ、老後の資金(二千万金貨)が貯まっていませんから」
「……ははっ、そうか。なら安心だ」
ギルバート様は顔を上げ、涙ぐんだ目で笑った。
「じゃあ、早く治して稼がないとな」
「ええ。コキ使ってやりますから、覚悟しておいてください」
私は目を閉じた。
意識が闇に沈んでいく中、私は一つの事実を認めざるを得なかった。
(……計算ミスですわ、エーミール)
この感情は、損得勘定では割り切れない。
そして、この人を愛してしまったという事実は、どんなに計算しても『赤字(リスク)』にはならない。
むしろ、私の人生における、最大の『黒字(幸福)』になるかもしれない。
そう自覚した瞬間、私の熱はさらに一度上がった気がした。
「……知恵熱でしょうか。バカなことを考えすぎました」
私は熱い頬を枕に押し付け、深い眠りへと落ちていった。
***
翌日。
私の熱は嘘のように下がった。
だが、別の『症状』が残ってしまった。
「おはよう、エーミール。顔色はいいな」
執務室に入ってきたギルバート様を見た瞬間。
ドクンッ!!
「ひぃっ!?」
心臓が早鐘を打ち、顔が沸騰し、思考回路がショートした。
「ど、どうした? また熱か?」
ギルバート様が心配して近づいてくる。
顔が近い。カッコいい。無理。
「ち、ちちち、近寄らないでください! 感染(うつ)ります!」
「風邪はもう治ったんだろう?」
「風邪ではありません! これは……その……『対人恐怖性・接近過敏症候群』です!」
「なんだその病名」
私は計算機を盾にして後ずさった。
認めてしまったが最後、意識しすぎて直視できない。
これが『恋』というバグの恐ろしさか。
「とにかく! 半径二メートル以内の接近を禁じます! 業務連絡は筆談で!」
「ええ……昨日あんなに甘えてくれたのに……」
ギルバート様がガックリと肩を落とす。
その様子を見て、ガストン団長たちがヒソヒソと話していた。
「おい、見たか。女神がツンデレに進化したぞ」
「デレの反動がすげぇな」
「あれはあれで、ご褒美なんじゃねぇか?」
騎士たちの生温かい視線に見守られながら、私の『恋の病』との闘病生活(仕事は通常運転)が始まったのである。
歓迎会の翌朝。
私は執務室の机に向かい、眉間に深い皺を寄せていた。
目の前には、昨夜の宴会費用の請求書。
そして、私の相棒である魔導計算機。
いつもなら、指先一つで瞬時に計算が終わるはずの単純な足し算が、できない。
「1+1=……田んぼの田?」
「エーミール様? どうしました、朝から寝言みたいなことを」
コーヒーを持ってきたガストン団長が、不思議そうな顔で覗き込んでくる。
「いえ、計算機の調子が悪いようです。数字が踊って見えます」
「踊る? 数字が?」
「ええ。ワルツを踊っています。……ふふ、優雅ですわね……」
私はフワフワとした感覚に包まれていた。
天井が回っている。
床が波打っている。
「あっ、エーミール様!? 顔が真っ赤っすよ!?」
「赤字? 赤字はいけません……黒字に転換しなければ……」
「いや、そういう意味じゃなくて! 体温が!」
ガストン団長が慌てて私のおでこに触れようとした、その瞬間。
プツン。
私の視界がブラックアウトした。
「エーミール様ぁぁぁ!!」
遠くで、野太い悲鳴が聞こえた気がした。
***
次に目を覚ました時、私は自室の天蓋付きベッドの中にいた。
「……ここは?」
重い瞼を開けると、心配そうな顔をしたギルバート様が、すぐそばに座っていた。
「気がついたか、エーミール」
「閣下……? 私、どうして……」
体を起こそうとしたが、鉛のように重くて動かない。
「寝ていろ。倒れたんだ」
ギルバート様が優しく私の肩を押し戻した。
「倒れた……私が?」
「ああ。執務室でガストンの腕の中に崩れ落ちたそうだ。あいつ、『女神が死んだ! 世界の終わりだ! もう肉が食えねぇ!』って泣き叫んで、砦中が大パニックだったぞ」
「……あの筋肉ダルマ、あとで減給ですね」
私は掠れた声で毒づいた。
「熱がある。三十九度だ」
ギルバート様が、濡らしたタオルを私の額に乗せてくれる。
ひんやりとして気持ちがいい。
「三十九度……。計算外です。私の自己管理(ヘルスケア)は完璧だったはずなのに」
「王都での激務と、昨日の長距離移動。それにあの馬鹿騒ぎだ。疲れが出たんだろう」
「疲労……。非効率ですわ。寝ている時間は一銭の利益も生まないのに」
私が悔しがると、ギルバート様は苦笑して、私の頬を指でつついた。
「君は本当に、病人の時まで損得勘定か」
「当然です。……あ、そうだ。明日の温泉リゾートの視察、キャンセルしないと。それから氷の出荷リストの承認も……」
私が起き上がろうとすると、ギルバート様が今度は少し強引に、私をベッドに縫い留めた。
「ダメだ」
「ですが、納期が」
「仕事なら、俺とガストンたちで分担して終わらせた」
「え?」
「視察は延期。出荷リストは俺が承認印を押した。帳簿の整理も、ガストンたちが泣きながら終わらせた。『エーミール様が安心して休めるように』とな」
ギルバート様は、サイドテーブルを指差した。
そこには、綺麗に整理された書類の束と、一輪の花が飾られていた。
「……あいつら、数字を見ると頭痛がすると言っていたのに」
「君のためなら、頭痛薬を飲んででも頑張るそうだ。……愛されているな、君は」
胸の奥が、熱とは違う温かさで満たされた。
「……バカ者どもめ。計算ミスがあったら、給料から天引きしてやりますから」
私は照れ隠しにそう呟き、また枕に頭を沈めた。
「さて」
ギルバート様が、椅子を引き寄せた。
「部下たちが頑張ったんだ。上司(ボス)である俺も、働かないとな」
「閣下の仕事? 書類仕事なら終わったのでは?」
「いや、俺の仕事はこれだ」
彼は、湯気の立つ器を手に取った。
甘い香りがする。林檎と蜂蜜を煮込んだスープだ。
「さあ、口を開けて。あーん」
「は?」
私の思考回路が停止した。
あーん。
今、この『氷の辺境伯』と呼ばれる強面の武人が、幼児に向けるような言葉を?
「な、何を仰っているのですか! 自分で食べられます!」
「ダメだ。スプーンを持つ筋力エネルギーの無駄遣いだ。俺がやるのが一番効率的だろ?」
「うっ……ロジック(理屈)で攻めてくるとは」
「ほら、冷めるぞ。あーん」
スプーンが口元に差し出される。
ギルバート様は真顔だ。ふざけているわけではなく、本気で看病しようとしている。
拒否するのは、彼の好意(と労働力)を無駄にすることになる。
私は観念して、小さく口を開けた。
「……あ、あーん」
パクリ。
甘酸っぱい林檎の味が広がる。
温かい。
そして何より、恥ずかしい。
「どうだ? 美味いか?」
「……はい。適正な糖度です」
「そうか。じゃあ、もう一口」
そこからは、羞恥プレイの連続だった。
スープを飲ませてもらい、口元を拭いてもらい、汗をかいたら着替え(さすがにメイドを呼んだが)の手配まで。
至れり尽くせり。
過保護すぎる。
「か、閣下。もう十分です。これ以上のサービス(奉仕)は、対価を支払えません」
私が布団を被って訴えると、ギルバート様は笑った。
「対価なら、もう貰っている」
「え?」
「君が大人しくしている顔を見られるだけで、俺には十分な報酬(メリット)だ」
彼は布団の上から、私の頭を撫でた。
「普段は強気で、隙がなくて、可愛げのない計算機みたいな君が……こうして弱って、俺を頼ってくれている。……悪くない気分だ」
「……性格が悪いですわね」
「君ほどじゃない」
軽口を叩き合う。
その空気が心地よくて、私はまたウトウトとしてきた。
だが、眠りに落ちる寸前。
ギルバート様が、ポツリと呟いたのが聞こえた。
「……心配したんだぞ、本当に」
その声は震えていた。
「君が倒れたと聞いた時、目の前が真っ暗になった。国を失うよりも怖かった」
彼は私の手を握りしめ、その甲に額を押し付けた。
「お願いだ、エーミール。無理はしないでくれ。君がいなくなったら……俺は、どうすればいいか分からない」
彼の体温が、震えが、直接伝わってくる。
ドクン。
心臓が大きく跳ねた。
これは、熱のせい?
いいえ、違う。
私の脳内で、ずっと保留(ペンディング)にしていた計算式が、勝手に答えを弾き出しそうになる。
『胸の高鳴り』+『心地よい束縛感』+『失いたくないという恐怖』=???
答えは明白だ。
でも、それを認めてしまえば、私は私でいられなくなる気がして。
「……閣下」
私は、握られた手に少しだけ力を込めて握り返した。
「……死にませんよ。まだ、老後の資金(二千万金貨)が貯まっていませんから」
「……ははっ、そうか。なら安心だ」
ギルバート様は顔を上げ、涙ぐんだ目で笑った。
「じゃあ、早く治して稼がないとな」
「ええ。コキ使ってやりますから、覚悟しておいてください」
私は目を閉じた。
意識が闇に沈んでいく中、私は一つの事実を認めざるを得なかった。
(……計算ミスですわ、エーミール)
この感情は、損得勘定では割り切れない。
そして、この人を愛してしまったという事実は、どんなに計算しても『赤字(リスク)』にはならない。
むしろ、私の人生における、最大の『黒字(幸福)』になるかもしれない。
そう自覚した瞬間、私の熱はさらに一度上がった気がした。
「……知恵熱でしょうか。バカなことを考えすぎました」
私は熱い頬を枕に押し付け、深い眠りへと落ちていった。
***
翌日。
私の熱は嘘のように下がった。
だが、別の『症状』が残ってしまった。
「おはよう、エーミール。顔色はいいな」
執務室に入ってきたギルバート様を見た瞬間。
ドクンッ!!
「ひぃっ!?」
心臓が早鐘を打ち、顔が沸騰し、思考回路がショートした。
「ど、どうした? また熱か?」
ギルバート様が心配して近づいてくる。
顔が近い。カッコいい。無理。
「ち、ちちち、近寄らないでください! 感染(うつ)ります!」
「風邪はもう治ったんだろう?」
「風邪ではありません! これは……その……『対人恐怖性・接近過敏症候群』です!」
「なんだその病名」
私は計算機を盾にして後ずさった。
認めてしまったが最後、意識しすぎて直視できない。
これが『恋』というバグの恐ろしさか。
「とにかく! 半径二メートル以内の接近を禁じます! 業務連絡は筆談で!」
「ええ……昨日あんなに甘えてくれたのに……」
ギルバート様がガックリと肩を落とす。
その様子を見て、ガストン団長たちがヒソヒソと話していた。
「おい、見たか。女神がツンデレに進化したぞ」
「デレの反動がすげぇな」
「あれはあれで、ご褒美なんじゃねぇか?」
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