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小鳥のさえずりと、カーテンの隙間から差し込む朝日。
私は重い瞼を開けた。
「……ん」
体を動かそうとすると、腰に重たいものが乗っていることに気づく。
太くて、逞しい腕だ。
隣を見れば、ギルバート様が幸せそうな寝顔で、私を抱き枕のように抱きしめて眠っていた。
(……ああ、そうでした)
私は昨夜の記憶を呼び起こした。
盛大な結婚式。
打ち上げ花火。
そして、その後の『初夜』という名の、計算不可能な体力測定。
「(……エネルギー消費量が想定の三倍でしたわ)」
私は赤面しつつ、そっと彼の手を退けようとした。
しかし。
ガシッ。
「……どこへ行くつもりだ、俺の奥さん(マイ・ワイフ)」
「起きていらしたのですか?」
ギルバート様は目を開けず、腕の力を強めて私を引き寄せた。
「まだ寝ていろ。昨日は疲れただろう」
「ですが、時刻は七時です。通常の業務開始時間です」
「新婚初日に業務なんてない。今日は一日中、ベッドの中で愛を囁き合う日だ」
「非生産的すぎます! それに、確認しなければならない案件が山ほど……」
私が抵抗しようとすると、ギルバート様は私のうなじに顔を埋め、低音ボイスで囁いた。
「……エーミール。昨夜の続き、したいか?」
「ッ!?」
「嫌なら大人しく二度寝することだ」
「……き、脅迫ですか? 独占禁止法違反ですわ」
「愛の独占は合法的だ」
私は観念して、彼の胸の中に収まった。
硬い筋肉の感触と、安心する匂い。
悔しいけれど、この場所は世界で一番心地よい『安息地(セーフティゾーン)』だ。
「……分かりました。では、あと三十分だけ延長します。その代わり」
「ん?」
「昨日の結婚式の『最終収支報告』だけ、口頭でさせてください。気になって眠れません」
「はぁ……。お前らしいな。聞こうか」
私は彼の胸に指で数字を書きながら報告した。
「来場者数、延べ三千人。ご祝儀および参加費の総額、金貨八千枚。物販の売上、金貨一万二千枚。……経費を差し引いても、純利益は過去最高です」
「すごいな。一晩で城が建つぞ」
「ええ。この利益をどう運用するかですが……」
私が熱弁を振るおうとすると、ギルバート様が私の唇を塞いだ。
チュッ。
「……投資先は決まっているだろう?」
「え?」
「『新婚旅行(ハネムーン)』だ」
***
数日後。
私たちは、領地の北端にある『隠れ家ロッジ』に来ていた。
ここはギルバート様が独身時代、静かに過ごしたい時に使っていた別荘だという。
森の中にひっそりと佇む、ログハウス風の建物。
近くには小川が流れ、夜には満天の星空が見える。
「どうだ? 何もない場所だが」
ギルバート様が荷物を置きながら尋ねる。
「はい。本当に何もありませんね。市場も、顧客も、騒音も」
私は周囲を見回した。
「ですが……最高のリソース(資源)です」
「え?」
「静寂という贅沢。何もしないという価値。これは、多忙な現代貴族が最も求めている『商品』ですわ!」
私はまたしても職業病を発揮し、手帳を取り出した。
「閣下! ここを『究極のデジタルデトックス・リゾート』として開発しましょう! キャッチコピーは『時間を忘れる森』! 一日一組限定にして、宿泊費は強気の価格設定で!」
「エーミール……」
ギルバート様が私の手帳を取り上げた。
「今回は仕事抜きだと言っただろう?」
「で、ですが、勿体無くて……! この素晴らしい環境を独占するなんて、機会損失です!」
「その損失を俺たちが享受するんだ。……ほら、こっちへ来い」
彼は私をソファに座らせ、温かいココアを淹れてくれた。
「君は、働きすぎだ。たまにはスイッチを切らないと、壊れてしまうぞ」
「私は頑丈なのが取り柄ですが」
「心のメンテナンスだ。……俺に、君を甘やかす仕事をさせてくれ」
ギルバート様は隣に座り、私の肩を抱いた。
窓の外では、雪が静かに降っている。
暖炉の火が爆ぜる音だけが聞こえる。
何も計算しない時間。
数字を追わない時間。
最初はソワソワしていた私も、次第に彼の体温に溶かされていった。
「……悪くないですね、こういうのも」
「だろう?」
「でも、タダで休むのは性に合いません」
「まだ言うか」
私は彼のシャツの裾を掴み、上目遣いで見た。
「ですから……その、夫婦としての『共同作業』で、生産性を高めたいのですが」
「共同作業?」
「……具体的には、その……『世継ぎ』の生産計画とか……」
私が消え入りそうな声で言うと、ギルバート様が目を見開き、そして顔を真っ赤にした。
「ッ……! 君ってやつは、本当に……!」
「合理的でしょう? 時間は有効に使わないと」
「ああ、そうだな。……最高に合理的で、最高に可愛い提案だ」
ギルバート様は私を押し倒した。
「覚悟しろよ。今の俺は、利益率度外視で攻めるからな」
「の、望むところです……!」
(※この後の展開は、R指定のため割愛させていただきます。ご想像にお任せします)
***
翌朝。
「……ふぅ。素晴らしい成果でした」
私はベッドの上で、満足げに伸びをした。
「君の体力は底なしか……」
ギルバート様がげっそりしている。
「閣下、弱音を吐いている暇はありませんよ。今日はロッジ周辺の散策です。新しいハーブや、食用キノコが自生していないか調査します」
「勘弁してくれ……」
「行きますよ! おんぶしてあげますから!」
「いや、それは俺のプライドが許さん」
私たちがじゃれ合っていると、窓の外から何やら物音がした。
ガサゴソ。
「ん? 魔獣か?」
ギルバート様が警戒して窓を開ける。
すると、そこには。
「うぅ……寒い……お腹すいた……」
「もう歩けないよぉ……」
雪まみれになった、二つの影があった。
薄汚れた作業着。伸び放題の髭と髪。
「……クラーク? それにミーナか?」
そう、鉱山から逃亡……ではなく、鉱山の休日を利用して(?)迷子になった元王太子と元ヒロインだった。
「あ! エーミール様だ! ギルバート様だ!」
二人が私たちの顔を見て、泣き叫んだ。
「助けてぇぇ! 鉱山の慰安旅行で道に迷って、三日も彷徨ってたんだぁぁ!」
「お腹すいたぁぁ! 何か食べるものをぉぉ!」
「……」
私とギルバート様は顔を見合わせた。
「……どうします、閣下。せっかくのハネムーンに、不純物が混入しました」
「追い返すか?」
「いえ。彼らは『労働力』です」
私はニヤリと笑った。
「ちょうど、ロッジの薪割りと雪かきの手が足りないと思っていました。……彼らに働いてもらいましょう」
「ははっ、君はブレないな」
私は窓から身を乗り出し、二人に声をかけた。
「あら、奇遇ですね。ちょうど求人募集中でしたの。温かいスープと寝床を提供しますが……対価として労働していただきます。よろしいですね?」
「やります! なんでもしますぅぅ!」
「芋以外のものが食べたいですぅぅ!」
二人は雪の中で土下座した。
こうして、私たちの甘い新婚旅行は、なぜか元王太子たちを使った『別荘開拓合宿』へと変貌した。
「クラーク! 腰が入っていません! もっと強く!」
「はいっ! エーミール教官!」
「ミーナ! 窓拭きの角度が甘いです! 四十五度!」
「了解ですぅ! ピカピカにしますぅ!」
彼らをこき使いながら、私はギルバート様とテラスで優雅にお茶を楽しんだ。
「……平和だな」
「ええ。労働力が適正に配置され、利益が生み出される。……これぞ『完全な世界』ですわ」
ギルバート様は苦笑しながら、私のカップに紅茶を注ぎ足してくれた。
「君の隣にいれば、退屈する暇は一生なさそうだ」
「当然です。死ぬまで楽しませて差し上げます(こき使います)わ」
雪の舞う森の中。
私たちの笑い声と、元王太子たちの悲鳴(労働の喜びの声)が、いつまでも響いていた。
そして物語は、いよいよ最終ページへと進む。
数年後の未来。
私たちが築き上げた『幸せの決算書』を、最後にお見せしましょう。
私は重い瞼を開けた。
「……ん」
体を動かそうとすると、腰に重たいものが乗っていることに気づく。
太くて、逞しい腕だ。
隣を見れば、ギルバート様が幸せそうな寝顔で、私を抱き枕のように抱きしめて眠っていた。
(……ああ、そうでした)
私は昨夜の記憶を呼び起こした。
盛大な結婚式。
打ち上げ花火。
そして、その後の『初夜』という名の、計算不可能な体力測定。
「(……エネルギー消費量が想定の三倍でしたわ)」
私は赤面しつつ、そっと彼の手を退けようとした。
しかし。
ガシッ。
「……どこへ行くつもりだ、俺の奥さん(マイ・ワイフ)」
「起きていらしたのですか?」
ギルバート様は目を開けず、腕の力を強めて私を引き寄せた。
「まだ寝ていろ。昨日は疲れただろう」
「ですが、時刻は七時です。通常の業務開始時間です」
「新婚初日に業務なんてない。今日は一日中、ベッドの中で愛を囁き合う日だ」
「非生産的すぎます! それに、確認しなければならない案件が山ほど……」
私が抵抗しようとすると、ギルバート様は私のうなじに顔を埋め、低音ボイスで囁いた。
「……エーミール。昨夜の続き、したいか?」
「ッ!?」
「嫌なら大人しく二度寝することだ」
「……き、脅迫ですか? 独占禁止法違反ですわ」
「愛の独占は合法的だ」
私は観念して、彼の胸の中に収まった。
硬い筋肉の感触と、安心する匂い。
悔しいけれど、この場所は世界で一番心地よい『安息地(セーフティゾーン)』だ。
「……分かりました。では、あと三十分だけ延長します。その代わり」
「ん?」
「昨日の結婚式の『最終収支報告』だけ、口頭でさせてください。気になって眠れません」
「はぁ……。お前らしいな。聞こうか」
私は彼の胸に指で数字を書きながら報告した。
「来場者数、延べ三千人。ご祝儀および参加費の総額、金貨八千枚。物販の売上、金貨一万二千枚。……経費を差し引いても、純利益は過去最高です」
「すごいな。一晩で城が建つぞ」
「ええ。この利益をどう運用するかですが……」
私が熱弁を振るおうとすると、ギルバート様が私の唇を塞いだ。
チュッ。
「……投資先は決まっているだろう?」
「え?」
「『新婚旅行(ハネムーン)』だ」
***
数日後。
私たちは、領地の北端にある『隠れ家ロッジ』に来ていた。
ここはギルバート様が独身時代、静かに過ごしたい時に使っていた別荘だという。
森の中にひっそりと佇む、ログハウス風の建物。
近くには小川が流れ、夜には満天の星空が見える。
「どうだ? 何もない場所だが」
ギルバート様が荷物を置きながら尋ねる。
「はい。本当に何もありませんね。市場も、顧客も、騒音も」
私は周囲を見回した。
「ですが……最高のリソース(資源)です」
「え?」
「静寂という贅沢。何もしないという価値。これは、多忙な現代貴族が最も求めている『商品』ですわ!」
私はまたしても職業病を発揮し、手帳を取り出した。
「閣下! ここを『究極のデジタルデトックス・リゾート』として開発しましょう! キャッチコピーは『時間を忘れる森』! 一日一組限定にして、宿泊費は強気の価格設定で!」
「エーミール……」
ギルバート様が私の手帳を取り上げた。
「今回は仕事抜きだと言っただろう?」
「で、ですが、勿体無くて……! この素晴らしい環境を独占するなんて、機会損失です!」
「その損失を俺たちが享受するんだ。……ほら、こっちへ来い」
彼は私をソファに座らせ、温かいココアを淹れてくれた。
「君は、働きすぎだ。たまにはスイッチを切らないと、壊れてしまうぞ」
「私は頑丈なのが取り柄ですが」
「心のメンテナンスだ。……俺に、君を甘やかす仕事をさせてくれ」
ギルバート様は隣に座り、私の肩を抱いた。
窓の外では、雪が静かに降っている。
暖炉の火が爆ぜる音だけが聞こえる。
何も計算しない時間。
数字を追わない時間。
最初はソワソワしていた私も、次第に彼の体温に溶かされていった。
「……悪くないですね、こういうのも」
「だろう?」
「でも、タダで休むのは性に合いません」
「まだ言うか」
私は彼のシャツの裾を掴み、上目遣いで見た。
「ですから……その、夫婦としての『共同作業』で、生産性を高めたいのですが」
「共同作業?」
「……具体的には、その……『世継ぎ』の生産計画とか……」
私が消え入りそうな声で言うと、ギルバート様が目を見開き、そして顔を真っ赤にした。
「ッ……! 君ってやつは、本当に……!」
「合理的でしょう? 時間は有効に使わないと」
「ああ、そうだな。……最高に合理的で、最高に可愛い提案だ」
ギルバート様は私を押し倒した。
「覚悟しろよ。今の俺は、利益率度外視で攻めるからな」
「の、望むところです……!」
(※この後の展開は、R指定のため割愛させていただきます。ご想像にお任せします)
***
翌朝。
「……ふぅ。素晴らしい成果でした」
私はベッドの上で、満足げに伸びをした。
「君の体力は底なしか……」
ギルバート様がげっそりしている。
「閣下、弱音を吐いている暇はありませんよ。今日はロッジ周辺の散策です。新しいハーブや、食用キノコが自生していないか調査します」
「勘弁してくれ……」
「行きますよ! おんぶしてあげますから!」
「いや、それは俺のプライドが許さん」
私たちがじゃれ合っていると、窓の外から何やら物音がした。
ガサゴソ。
「ん? 魔獣か?」
ギルバート様が警戒して窓を開ける。
すると、そこには。
「うぅ……寒い……お腹すいた……」
「もう歩けないよぉ……」
雪まみれになった、二つの影があった。
薄汚れた作業着。伸び放題の髭と髪。
「……クラーク? それにミーナか?」
そう、鉱山から逃亡……ではなく、鉱山の休日を利用して(?)迷子になった元王太子と元ヒロインだった。
「あ! エーミール様だ! ギルバート様だ!」
二人が私たちの顔を見て、泣き叫んだ。
「助けてぇぇ! 鉱山の慰安旅行で道に迷って、三日も彷徨ってたんだぁぁ!」
「お腹すいたぁぁ! 何か食べるものをぉぉ!」
「……」
私とギルバート様は顔を見合わせた。
「……どうします、閣下。せっかくのハネムーンに、不純物が混入しました」
「追い返すか?」
「いえ。彼らは『労働力』です」
私はニヤリと笑った。
「ちょうど、ロッジの薪割りと雪かきの手が足りないと思っていました。……彼らに働いてもらいましょう」
「ははっ、君はブレないな」
私は窓から身を乗り出し、二人に声をかけた。
「あら、奇遇ですね。ちょうど求人募集中でしたの。温かいスープと寝床を提供しますが……対価として労働していただきます。よろしいですね?」
「やります! なんでもしますぅぅ!」
「芋以外のものが食べたいですぅぅ!」
二人は雪の中で土下座した。
こうして、私たちの甘い新婚旅行は、なぜか元王太子たちを使った『別荘開拓合宿』へと変貌した。
「クラーク! 腰が入っていません! もっと強く!」
「はいっ! エーミール教官!」
「ミーナ! 窓拭きの角度が甘いです! 四十五度!」
「了解ですぅ! ピカピカにしますぅ!」
彼らをこき使いながら、私はギルバート様とテラスで優雅にお茶を楽しんだ。
「……平和だな」
「ええ。労働力が適正に配置され、利益が生み出される。……これぞ『完全な世界』ですわ」
ギルバート様は苦笑しながら、私のカップに紅茶を注ぎ足してくれた。
「君の隣にいれば、退屈する暇は一生なさそうだ」
「当然です。死ぬまで楽しませて差し上げます(こき使います)わ」
雪の舞う森の中。
私たちの笑い声と、元王太子たちの悲鳴(労働の喜びの声)が、いつまでも響いていた。
そして物語は、いよいよ最終ページへと進む。
数年後の未来。
私たちが築き上げた『幸せの決算書』を、最後にお見せしましょう。
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