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快適な朝は、筋肉の収縮と共に始まる。
「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」
私は新居の庭(元・荒野)で、手頃な岩――推定三百キロ――を背負ってスクワットをしていた。
朝日が岩肌を照らし、私の額から爽やかな汗が流れる。
空気は乾燥していて少し埃っぽいが、王都の澱んだ空気(人間関係的な意味で)に比べれば、最高に美味しい。
「九百九十八、九百九十九……千!」
ズンッ、と岩を下ろす。
地面が少し沈んだ気がするが、気のせいだろう。
「ふぅ、良いウォーミングアップになったわ」
私はタオルで汗を拭き、満足げに息を吐いた。
キッチンからは、セバスが作る朝食の匂いが漂ってくる。
今日のメニューは「ドラゴンの照り焼きサンド」と「ドラゴンの骨から取った濃厚コンソメスープ」だそうだ。
「ご飯の前に、少し周辺のパトロールをしてきましょうか」
私は岩場を軽快に駆け出した。
ここは私の領地だ。
不法投棄や不審者がいないか、チェックするのは領主の義務である。
数分ほど走ったところだろうか。
領地の境界線付近、切り立った崖の下に、「それ」は落ちていた。
「……あら?」
私は足を止めた。
赤茶けた地面の上に、黒っぽい塊が転がっている。
遠目には、ボロ布のようにも見えるし、干からびた巨大な昆虫のようにも見える。
(不法投棄かしら? 許せないわね、分別は大事よ)
私は眉をひそめ、近づいていった。
もし可燃ゴミなら燃やし、不燃ゴミなら埋め立てに使おう。
あるいは、新種の魔物の死骸なら、部位によってはセバスに鑑定してもらえばいい。
ザッ、ザッ、ザッ。
足音を立てずに近づき、私はその塊を、落ちていた木の枝でツンツンと突っついた。
「……もしもし? ゴミですか? それとも資源ですか?」
返事はない。
しかし、突っついた感触は柔らかかった。
私は屈み込み、その塊をひっくり返してみた。
「……あ」
それはゴミでも魔物でもなかった。
人間だ。
しかも、若い男性である。
泥と煤(すす)で汚れているが、服の仕立ては上等だ。
騎士風の軍服に、銀糸の刺繍。腰には剣を帯びているが、刃こぼれが酷い。
そして顔は――。
(……綺麗な顔ね)
泥汚れを指で少し拭ってみると、驚くほど整った顔立ちが現れた。
長い銀髪、通った鼻筋、長い睫毛。
王都の舞踏会でも、これほどの美形は見たことがない。
アレック殿下が「自分こそ国一番の美男子」と豪語していたが、この行き倒れに比べれば、殿下などカボチャの煮付けレベルだ。
「……う……ぅ……」
男が微かに呻き声を上げた。
生きている。
「水……みず……」
「あら、意識があるのね」
私は周囲を見回したが、水筒を持ってくるのを忘れていた。
仕方ない。
私は近くに生えていた「サボテンのような多肉植物」を引き抜いた。
トゲを指先で器用にむしり取り、男の口元へ持っていく。
「はい、お口を開けて」
私はサボテンを片手でギュッと握りしめた。
ブチュウッ!!
私の握力によって搾り出された新鮮な水分が、男の口へと注がれる。
「んぐ……っ」
男は反射的にそれを飲み込んだ。
少し苦いかもしれないが、贅沢は言わないでほしい。
水分を得て、男の呼吸が少し落ち着いたようだ。
しかし、依然として顔色は悪い。
衰弱しきっている。
(このまま放置したら死ぬわね)
それは目覚めが悪い。
それに、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。
(労働力とか、労働力とか、あと労働力とか)
私は決断した。
「よし、拾って帰りましょう」
私は男の襟首を掴み――いや、さすがにそれは乱暴か。
お姫様抱っこ?
いや、足元が見えにくくて危ない。
私は男の手首を掴み、自分の背中に担ぎ上げた。
いわゆる「米袋担ぎ」である。
「……軽い」
思わず呟いてしまった。
身長は私より高いのに、重さは私が普段使っているダンベル(片手分)と同じくらいしかない。
筋肉が足りないのではないか?
ちゃんと食べているのか?
(拾ったからには、少し太らせないと使い物にならないわね)
謎の飼育義務感が芽生えるのを感じながら、私は家路を急いだ。
数分後。
「ただいま、セバス」
私がリビングのドアを開けると、セバスがスープの味見をしていた。
「お帰りなさいませ、お嬢様。……おや?」
セバスの目が、私の肩の上にある物体に釘付けになる。
「そちらは……今朝の獲物ですか? ドラゴンの次は、人型の魔物でも狩ってこられたので?」
「違うわよ。ゴミかと思ったら人間だったの」
私は男を、作りたての石のソファー(座布団付き)にドサッと下ろした。
「行き倒れていたから拾ってきたわ。多分、遭難者ね」
セバスが近づき、男の顔を覗き込む。
そして、ハッと息を呑んだ。
「お嬢様、この方……身につけている装飾品を見るに、ただの遭難者ではありませんぞ」
「え? そうなの?」
「ええ。この紋章……どこかで見た覚えが……」
セバスが難しい顔をする。
私は肩をすくめた。
「まあ、身元なんてどうでもいいわ。とりあえず生きてるんだから、ご飯を食べさせましょう」
「……そうですね。お嬢様の『拾い癖』にも困ったものですが、見捨てるわけにもいきません」
セバスは苦笑しつつ、濡れタオルを持ってきた。
男の顔を丁寧に拭う。
泥が落ち、銀髪が露わになると、その美貌がさらに際立った。
閉じていた瞼が、ゆっくりと震える。
「……っ」
男が目を開けた。
その瞳は、吸い込まれるような深い蒼色(アイスブルー)だった。
彼はぼんやりと視線を彷徨わせ、私と目が合うと、掠れた声で呟いた。
「……ここは……天国、か……?」
「いいえ」
私は即答した。
「ここは魔境ヴォルカ。地獄の一丁目よ」
男はキョトンとした後、私の後ろ――石造りの壁、暖炉、そして漂うスープの香り――を見て、混乱したように眉を寄せた。
「魔境……? だが、この家は……」
「私が昨日建てたの。まあ、細かいことはいいから食べなさい」
私はセバスからスープ皿を受け取り、スプーンを男の口に突っ込んだ。
「栄養満点のドラゴンスープよ。滋養強壮に効くわ」
男はおずおずと一口飲み……目を見開いた。
「……うまい」
「でしょう? おかわりもあるから、安心して」
男は夢中でスープを飲み干した。
生きる気力が戻ってきたようだ。
彼は深呼吸をして、改めて私に向き直った。
その眼差しには、警戒心よりも好奇心、そして微かな安堵が宿っていた。
「……助けてくれて、感謝する。私は……」
彼は言いかけて、口を噤んだ。
何かを隠そうとするような、躊躇い。
私は手を振った。
「名乗らなくていいわよ。事情があるんでしょう?」
「……え?」
「ここは世捨て人の吹き溜まりだもの。過去を詮索するのは野暮ってものよ。私も色々あってここに来たわけだし」
私はニカッと笑った。
「私はコロロ。この土地の領主よ。……貴方のことは、そうね……」
私は彼の銀色の髪を見た。
「『シロ』って呼ぶわね」
「……犬か?」
「嫌なら『ポチ』でもいいけど」
「……シロで頼む」
男――シロ(仮名)は、小さく笑った。
その笑顔は、どこか疲れ切っていたが、同時にとても魅力的だった。
こうして、私たちの奇妙な同居生活に、新たな(そして少し顔の良い)居候が加わったのだった。
この男が、実は隣国の大物皇帝であることなど、この時の私は知る由もなかったのである。
「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」
私は新居の庭(元・荒野)で、手頃な岩――推定三百キロ――を背負ってスクワットをしていた。
朝日が岩肌を照らし、私の額から爽やかな汗が流れる。
空気は乾燥していて少し埃っぽいが、王都の澱んだ空気(人間関係的な意味で)に比べれば、最高に美味しい。
「九百九十八、九百九十九……千!」
ズンッ、と岩を下ろす。
地面が少し沈んだ気がするが、気のせいだろう。
「ふぅ、良いウォーミングアップになったわ」
私はタオルで汗を拭き、満足げに息を吐いた。
キッチンからは、セバスが作る朝食の匂いが漂ってくる。
今日のメニューは「ドラゴンの照り焼きサンド」と「ドラゴンの骨から取った濃厚コンソメスープ」だそうだ。
「ご飯の前に、少し周辺のパトロールをしてきましょうか」
私は岩場を軽快に駆け出した。
ここは私の領地だ。
不法投棄や不審者がいないか、チェックするのは領主の義務である。
数分ほど走ったところだろうか。
領地の境界線付近、切り立った崖の下に、「それ」は落ちていた。
「……あら?」
私は足を止めた。
赤茶けた地面の上に、黒っぽい塊が転がっている。
遠目には、ボロ布のようにも見えるし、干からびた巨大な昆虫のようにも見える。
(不法投棄かしら? 許せないわね、分別は大事よ)
私は眉をひそめ、近づいていった。
もし可燃ゴミなら燃やし、不燃ゴミなら埋め立てに使おう。
あるいは、新種の魔物の死骸なら、部位によってはセバスに鑑定してもらえばいい。
ザッ、ザッ、ザッ。
足音を立てずに近づき、私はその塊を、落ちていた木の枝でツンツンと突っついた。
「……もしもし? ゴミですか? それとも資源ですか?」
返事はない。
しかし、突っついた感触は柔らかかった。
私は屈み込み、その塊をひっくり返してみた。
「……あ」
それはゴミでも魔物でもなかった。
人間だ。
しかも、若い男性である。
泥と煤(すす)で汚れているが、服の仕立ては上等だ。
騎士風の軍服に、銀糸の刺繍。腰には剣を帯びているが、刃こぼれが酷い。
そして顔は――。
(……綺麗な顔ね)
泥汚れを指で少し拭ってみると、驚くほど整った顔立ちが現れた。
長い銀髪、通った鼻筋、長い睫毛。
王都の舞踏会でも、これほどの美形は見たことがない。
アレック殿下が「自分こそ国一番の美男子」と豪語していたが、この行き倒れに比べれば、殿下などカボチャの煮付けレベルだ。
「……う……ぅ……」
男が微かに呻き声を上げた。
生きている。
「水……みず……」
「あら、意識があるのね」
私は周囲を見回したが、水筒を持ってくるのを忘れていた。
仕方ない。
私は近くに生えていた「サボテンのような多肉植物」を引き抜いた。
トゲを指先で器用にむしり取り、男の口元へ持っていく。
「はい、お口を開けて」
私はサボテンを片手でギュッと握りしめた。
ブチュウッ!!
私の握力によって搾り出された新鮮な水分が、男の口へと注がれる。
「んぐ……っ」
男は反射的にそれを飲み込んだ。
少し苦いかもしれないが、贅沢は言わないでほしい。
水分を得て、男の呼吸が少し落ち着いたようだ。
しかし、依然として顔色は悪い。
衰弱しきっている。
(このまま放置したら死ぬわね)
それは目覚めが悪い。
それに、もしかしたら何かの役に立つかもしれない。
(労働力とか、労働力とか、あと労働力とか)
私は決断した。
「よし、拾って帰りましょう」
私は男の襟首を掴み――いや、さすがにそれは乱暴か。
お姫様抱っこ?
いや、足元が見えにくくて危ない。
私は男の手首を掴み、自分の背中に担ぎ上げた。
いわゆる「米袋担ぎ」である。
「……軽い」
思わず呟いてしまった。
身長は私より高いのに、重さは私が普段使っているダンベル(片手分)と同じくらいしかない。
筋肉が足りないのではないか?
ちゃんと食べているのか?
(拾ったからには、少し太らせないと使い物にならないわね)
謎の飼育義務感が芽生えるのを感じながら、私は家路を急いだ。
数分後。
「ただいま、セバス」
私がリビングのドアを開けると、セバスがスープの味見をしていた。
「お帰りなさいませ、お嬢様。……おや?」
セバスの目が、私の肩の上にある物体に釘付けになる。
「そちらは……今朝の獲物ですか? ドラゴンの次は、人型の魔物でも狩ってこられたので?」
「違うわよ。ゴミかと思ったら人間だったの」
私は男を、作りたての石のソファー(座布団付き)にドサッと下ろした。
「行き倒れていたから拾ってきたわ。多分、遭難者ね」
セバスが近づき、男の顔を覗き込む。
そして、ハッと息を呑んだ。
「お嬢様、この方……身につけている装飾品を見るに、ただの遭難者ではありませんぞ」
「え? そうなの?」
「ええ。この紋章……どこかで見た覚えが……」
セバスが難しい顔をする。
私は肩をすくめた。
「まあ、身元なんてどうでもいいわ。とりあえず生きてるんだから、ご飯を食べさせましょう」
「……そうですね。お嬢様の『拾い癖』にも困ったものですが、見捨てるわけにもいきません」
セバスは苦笑しつつ、濡れタオルを持ってきた。
男の顔を丁寧に拭う。
泥が落ち、銀髪が露わになると、その美貌がさらに際立った。
閉じていた瞼が、ゆっくりと震える。
「……っ」
男が目を開けた。
その瞳は、吸い込まれるような深い蒼色(アイスブルー)だった。
彼はぼんやりと視線を彷徨わせ、私と目が合うと、掠れた声で呟いた。
「……ここは……天国、か……?」
「いいえ」
私は即答した。
「ここは魔境ヴォルカ。地獄の一丁目よ」
男はキョトンとした後、私の後ろ――石造りの壁、暖炉、そして漂うスープの香り――を見て、混乱したように眉を寄せた。
「魔境……? だが、この家は……」
「私が昨日建てたの。まあ、細かいことはいいから食べなさい」
私はセバスからスープ皿を受け取り、スプーンを男の口に突っ込んだ。
「栄養満点のドラゴンスープよ。滋養強壮に効くわ」
男はおずおずと一口飲み……目を見開いた。
「……うまい」
「でしょう? おかわりもあるから、安心して」
男は夢中でスープを飲み干した。
生きる気力が戻ってきたようだ。
彼は深呼吸をして、改めて私に向き直った。
その眼差しには、警戒心よりも好奇心、そして微かな安堵が宿っていた。
「……助けてくれて、感謝する。私は……」
彼は言いかけて、口を噤んだ。
何かを隠そうとするような、躊躇い。
私は手を振った。
「名乗らなくていいわよ。事情があるんでしょう?」
「……え?」
「ここは世捨て人の吹き溜まりだもの。過去を詮索するのは野暮ってものよ。私も色々あってここに来たわけだし」
私はニカッと笑った。
「私はコロロ。この土地の領主よ。……貴方のことは、そうね……」
私は彼の銀色の髪を見た。
「『シロ』って呼ぶわね」
「……犬か?」
「嫌なら『ポチ』でもいいけど」
「……シロで頼む」
男――シロ(仮名)は、小さく笑った。
その笑顔は、どこか疲れ切っていたが、同時にとても魅力的だった。
こうして、私たちの奇妙な同居生活に、新たな(そして少し顔の良い)居候が加わったのだった。
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